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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十七章 人を攫って
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468 黙って見ていられないやつ

 人買いのアジトに侵入するため、ミラ、カレン、ルビア、マリエル、ジェシカの5人を『攫われたかわいそうな人』の役割とし、残ったメンバーは覆面を被って悪人感を出す。


 これで完璧なはずだ、いや通常であればもう色々とおかしすぎるのだが、何かといい加減なこの世界においては、ある程度の変装をしておけばどうにかなってしまうことであろう。


 かわいそうな人役の5人を縄で縛り上げ、数珠繋ぎにする。

 もちろん気合を入れれば簡単に解けるように縛ってあるため、いざというときには全員で戦うことが可能だ。



「よし、全員それぞれの役としてそれなりの振る舞いをしろよ、じゃあ呼び出すからな……コンコンッと、すみませ~ん、誰か居ますか~っ?」


『……ウ○コ』



 人買いのアジト、そのドアをノックしたところ、いきなりの不潔極まりない返答を得た。

 いや、これは合言葉の類だ、先程殺したモヒカンの所持品の中にそれらしきメモがあったはず。


 サッとそれを取り出し、確認する……あった、『ウ○コ』は合言葉③らしい、となると返答は……



「……おしっこ」


『お前超汚ねぇな』


「お前もな」


『よし、入りな……』



 とんでもない合言葉であったが、とりあえずは疑われずに寸済んだらしい、次からはもう少しマシなものにして欲しいところだが、もう二度とここへ来ることはないのだし、合言葉の不潔さに関してどうでも良いか。


 開いたドアの向こうから現れたのは汚い面をした中級魔族、コイツは雑魚キャラの案内係なのであろうが、妙に偉そうな雰囲気を醸し出しているのが気に食わない、作戦中でなければ殺していたところだ。



「1……2……3……5匹か、まぁ上玉ばかりだし少しは金になるだろうよ、てかてめぇら覆面人攫いヤーじゃねぇか、そんなもん被っても捕まるときは捕まっちまうもんだぜ、ケヘヘヘッ」


「は、はぁ……と、それは良いから早くこいつらを引き取って金を渡してくれよ、俺はもうそういう店にいきたくて行きたくて……」


「ケヘヘヘッ、おめぇはそういう感じの中毒者か、この町にはおめぇみたいなのと、あと良くわかんねぇ変なのと2つのタイプの人攫いヤーが居るからよ、ま、そんなことはどうでも良いな、金をくれてやるから獲物をこっちへ連れて来い」



 適当に悪人のクズ感を出しつつ、親玉の所へ案内するよう誘導してみるのだが、話せば話しただけこの雑魚の中級魔族をブチ殺したくなる、顔のキモさも含めて非常に不快な奴だ。


 そもそも何だよ『人攫いヤー』というのは? 転売ヤーぐらいの気軽なノリで重大犯罪に手を染めている奴が、この海沿いの町に、いや旧共和国領内には山ほど居るということだな……


 中級魔族の後に付いて行くと、すぐに階段を降りて地下へ、どうやら表で営業しているボッタクリバーとは無関係の、完全に人攫い、人買いを目的として設置された空間のようだ。


 今のところは俺達の正体を悟られていないため、敵意を感じることはないが、この地下空間にはかなりの数の魔族が居り、その大半が中級、下級魔族という雑魚ばかりの集団。


 だがおそらく親玉は上級魔族、それもまともな戦闘力を持った強キャラのはず。

 あまり油断していると隙を突かれかねないため、いつどこで戦闘になっても良いように引き締めておくべき……早速リリィがどこかに消えてしまったではないか……



『おいセラ、リリィはどこへ行ったんだ?』


『しーっ、さっき小部屋を見つけて入っちゃったわ、止めようと思ったけど、何か怪しまれそうだから放っておいたの』


『しょうがない奴だな……』



 これだけの人数で来ているゆえ、1人ぐらい減ったところで頭の悪い中級魔族如きに気付かれることはないであろう。


 だが抜け出した先で何かをやらかさないとも限らない、探索に飽きてそのまま馬車に戻ってくれれば良いが、敵意を持った奴に遭遇して暴れでもしたら大事だ。


 不安を抱えながらも目立つようなことは出来ず、そのまま地下の廊下を歩いて行く。

 かなり広い空間だ、そして時折、どこからともなく助けを求める女性らしき声が聞こえてくる。


 人攫いに拉致され、ここに買われて牢屋に放り込まれた人々の叫びだ。

 もちろんここが終着点ではなく、また別の所に売られていくのであろう。


 だがその行き先はまだ見当も付かない、そして今居る人々を助け出すこともかなり困難。

 彼女らがこの後連れ去られた先でどんな目に遭うかはわからないが、必ず俺達が助け出すゆえ、それまでは辛抱して欲しい。


 そんなことを思っても、今現在助けを求めている人々には伝わることがない。


 もしここで捕らわれた人の姿が見えてしまったらどうか、仲間のうち誰かがとっさに助け出し、裏で動いている作戦を崩壊させてしまうようなことにはならないであろうか?


 不安は倍増し、長い廊下の突き当りまで到達する頃には顔を覆った覆面の下で冷や汗が滲み出ているのを感じ取るほどであった……



「ケヘヘヘッ、着いたぜ、この奥でその連中を引き渡して、代わりに金を受け取って帰るんだな」


「ああ、ちなみにさ、俺達ここのご利用は初めてなんだが、こいつらいくらぐらいになるんだ?」


「ふむ、俺にそれを聞かれても詳しくは答えらんねぇが、おそらくそっちの若くて巨乳の子、それは高いぜ、あとそっちの狼獣人もな」


「他の3人はどう思う?」


「う~む、若ければ若いほど高くて、血の気の多い種族の獣人も高い、あとはおっぱいがデカかろうが尻が良かろうが、はたまたどっかのご令嬢だろうが、その辺のババァとたいして値段が変わんねぇんだよ、不思議なことにな」


「そうなのか、まぁ良いや、この奥で直接交渉してやる、早く開けてくれよ」


「ケヘヘヘッ、そう急かすんじゃねぇよ、じゃ、ごゆっくり~」



 ミラとカレンは高く売れる、しかし他の3人にしても明らかな美人、マリエルは清潔感の塊、あからさまな高級令嬢だし、ルビアとジェシカのおっぱいはボヨーンッと凄まじい。


 それがその辺のババァと同等の価格で買い叩かれるなどあってはならないことなのだ。

 特にこの3人、すぐに解けるとはいえ縄で縛られて喜んでいる変態なのである、もっと良い値が付いても、いや最高等級として扱われるべきであろう。


 いや、もしかしたら最終消費者側が変態揃いなのかも知れない、ロリコンや獣人好きで、通常良しとされるおっぱいボヨーンッにはあまり興味を示さない顧客ばかりということも考えられる。


 とにかくろくなものではないのだが、まずはここの親玉らしき奴と話をしてみよう。

 鬱陶しい中級魔族が魔力で出来た扉の鍵を開けると、その奥には応接間のような部屋。


 中に居たのはなんと、上級魔族ですらない、今まで案内をしていた馬鹿と大差ないレベルの雑魚中級魔族。

 そして格好から明らかにわかる、コイツはボッタクリバーの『男性スタッフ』だ、つまりボッタクリ後の脅迫を専門とする店員だ。


 部屋の入口から正面に見えるローテーブル、その奥の高級ソファにドカッと座ったその姿はまさにマフィアのボス。


 まぁ実際には店でも、そしてもし所属しているとしたら魔王軍でもかなりの下っ端なのであろうが、見た目が厳ついというだけでこうも威厳が出るものなのか。


 そのマフィアのボス風雑魚がこちらを見据え、ついでに縛ってある5人を値踏みするかのように順番に眺め、最後に口を開く……



「おうお前等、かなりの上玉を連れてきたつもりらしいがな、そっちの若いのと狼獣人以外は別の所で売った方が良いかもだぜ、ウチはちょっと特殊だからな」


「いやいや、俺達は他にこういうツテがないんだって、だからここで買い取ってくれよ、ほれ、コイツのおっぱいなんてこんな感じで……」


「そいつは金貨1枚だな、あともう1人の巨乳とお嬢様っぽいのもだ、で、若い巨乳は金貨10枚、狼獣人は……金貨20枚ってとこかな、それでどうだ?」


「金貨33枚か……これなら3日ぐらい豪遊出来るじゃねぇか、グヘヘヘッ、よし、じゃあ全部ここで売るよ、女を引き渡すから金を出してくれよ」


「おうよ、おい、誰か金貨33枚持って来い、ちなみにお前等、ここのことは信頼出来ねぇ奴に教えるんじゃねぇぞ、秘密の人買い倶楽部だからな、ヘヘヘヘッ」



 気持ちの悪い顔を歪ませて笑うマフィアのボス風中級魔族、ルビア、マリエル、ジェシカの3人に付いた値段がそれぞれ金貨1枚とは、マジで人を見る目がないのか、それとも単なる馬鹿なのか、おそらく両方であろう。


 もちろんミラが金貨10枚、カレンですら金貨20枚の査定金額だ、この空間の上で営業しているボッタクリバーではないが、ここもたいがい相手を舐めた商売をしている。


 まぁ、ここで売られるのは基本的に誘拐された女ばかり、つまり売り手側はまともな権限を持った当局に捕まれば火炙りか八つ裂き、良くて磔程度の刑が科される重罪人だ。


 こいつらが足元を見て安く買い叩くのも無理はないし、被害者を売りに来る犯罪者共もその程度のことはわかっているはず、仕方ないといえば仕方ないといった感じだな。


 と、ここで覆面仲間のユリナが前に出る、マフィアのボス風中級魔族に何か質問を投げ掛けるようだ……



「ちょっと良いですの? ここで買われた人達は最後どこへ運ばれていくんです? 私達はこれからも裏家業として人攫いをしていきたいと存じておりますゆえ、攫った人間の行き先が知りたいんですわ」


「おう、俺も詳しいことは知らねぇんだが、ここで買い取った連中は漏れなく北の魔族領域に送られているみたいだぜ、まぁ、どっかの金持ち魔族がロリコンケモ耳趣味なんだろうよ」


「北の魔族領域……そこに人族の子どもや獣人を集めている何者かが居ると、そういうことですわね?」


「ああそういうことだ、あとな、確か北の魔族領域に入る手前の街道沿いでな、狐獣人の里が襲われて何十人も連れ去られたって言うんだ、だからもう間違いねぇよ」


「狐獣人ですの……」



 ユリナの質問に対し、ポロポロと重要そうな情報を漏らしまくる中級魔族、よほど頭が悪いらしい。

 そして俺の意力は顔が見えないが、前で縛られて立っているカレンとジェシカが、狐獣人という言葉に反応したのはその動きから見て取れた。


 この2人は以前元大魔将カイヤと戦った際、一緒に馬車に乗って北を目指したことがあり、そのとき北方の狐獣人の里で世話になったことがあるのだ。


 そして、狐獣人の一族は俺達の追う、おそらくこの世界における冒険の最後の最後を担うであろう謎、人族が火山の噴火で吹き出した瘴気によって姿を変えたことに関し、何らかの情報を伝承いるとのこと。


 もしその狐獣人の里を襲い、そこの人々を攫ったのが今回の事件の主犯と同一であれば、攫われ、売られた人々と同時に助け出し、ついでに色々と話を聞くこととしよう。


 攫われた人々が既に亡き者とされている可能性がないとは言えないが、生きていると信じて捜索し、確実に全員を助け出さなくてはならないな……



「ほら、これがお前等にくれてやる金だ、今度はもっと子どもっぽいのだけ狙うんだぜ、そしたら報酬の方もたんまりになるからよ、ヘヘヘヘッ」


「よっしゃ、おい皆、これで今夜は飲めや歌えやの大騒ぎが出来るぜ、早速帰ってどの店に行くか相談だっ!」


「ヘヘヘヘッ、出来りゃこの上の店に来てくれよな、サービスしてやるぜ」



 完全に悪い人攫いの役になり切った俺達は、かわいそうな人役の5人を中級魔族に引き渡す。


 この後5人は他の被害者と共に牢屋に入れられ、『出荷』のときを待つのであろうが、どのタイミングで救出すべきなのかはまだ判断していない。


 間違いなく北の魔族領域行きの船に乗せられる前にそうしなくてはならない、さもなくば5人は自力救済、つまり暴れて逃げ出すということをする他なくなるのだ。


 その場合、俺達がどうにも怪しいことや、その俺達を含めた何者かが調査に入っていることを敵に悟られてしまい、逃亡や証拠隠滅を図る原因となってしまう。


 ゆえに、可能であれば穏便に、コッソリと事を進め、敵には『どういうわけか逃げ出してしまった』とか、『あの5人の中に縄抜けマスターが居たに違いない』程度のことを推測させておく必要がある。


 そこまで完璧にやるのはなかなか難しそうだが、俺達の実力をもってすれば……と、今しがた歩いて来た廊下の方がなにやら騒がしいような……



「おいっ、向こうの、てか商品をストックしてある部屋の方が何だか騒がしくねぇか? ちょっと誰か行って様子を見て来い」


『へい、オラが行って来ますだっ!』



 マフィアのボス風中級魔族の指示で、後ろに控えていた薄汚い下級魔族が扉から出て行く。

 扉が開いた際に聞こえた音は凄まじく、普段の何気ない日常で鳴り響くような音量ではない。


 明らかに襲撃者系の騒ぎのようだが、外から誰か突入したのか? それとも中で被害者が暴れ……暴れ……そういえばリリィはどこへ行ったんだ、もしかして暴れているのは……



『ひぃぃぃっ! た、大変ですお頭! ど、どどどっ、ドラゴンが侵入して暴れてっ!』


「ドラゴンだとぉぉぉっ!? 何でそんなモンがこんな所にっ! ヤバい、ヤバいぞっ! とにかく俺の退路だけでも確保しろっ!」


『待ってくれだすっ! オラ達もまだ死にたくはないだすよっ!』


「うるせぇっ! つべこべ言ってないでサッサと行って喰われてしまえっ! その間に俺は退散するからよっ!」


『ぎょぇぇぇっ!』



 大慌てで様子を見に行って戻った下級魔族を、さらに室内に居た部下連中を扉の向こうに放り投げるマフィアのボス風中級魔族、どうしても助かりたいらしい、俺達の頭上を雑魚キャラが飛んで行く。


 しかしリリィの奴、マジでやらかしやがったな、暴れているということは何かが気に食わなかったということだが、さすがに捕らわれている被害者達に被害が及ぶような暴れ方はしていないはず。


 理由は後で聞くとして、まずはこの中級魔族、それに部下共だ。

 どうせここから逃げ出してしまうのであればもう調査もクソもない、この場で全部ブチ殺してしまおう……



「おいそこの連中、逃げ出すなんて情けないじゃねぇか」


「何言ってんだお前はっ!? 凶暴なドラゴンが侵入したんだぞっ! お前が喰われるのは勝手だが、俺はとっとと逃げさせて貰うぞっ!」


「お生憎、その凶暴なドラゴンはウチで飼っている奴なんだ」


「へ? どういうことだ……」


「どういうこともこういうことも、貴様等はここで死ぬってことだよっ! じゃあなっ!」


「ぎょぇぇぇっ! し、死ぬっ、し、死んだ……」



 こうなってしまえばもう覆面人攫いヤーも、それから攫われて来たかわいそうな人もない。

 覆面を外し、縛られていた5人は縄から抜け出し、その場に居た敵共を悉く殺害した。


 そこで扉が破られ、リリィがヌッと巨大な顔を突っ込んでくる、俺と目が合い、やっちまいました感を出しつつ視線を逸らすが、もう色々と事後であることはわかり切っているため、特に言い訳をしたりはしないようだ。


 とにかくリリィを人の姿に戻させ、ついでにミラによるお尻ペンペンの刑を執行しつつ事情を聞く……



「で、途中で離脱したのはどうしてなんだ?」


「あいてっ、いでっ、そのっ、助けてって聞こえて、ドアを開けたら私よりも小さい子が檻に入れられてて……」


「それを助けようとしたと?」


「そうなんですけど、そしたら横に見張りの魔族さんが居て、それを殺したらまた横にも居て、もう面倒だから全部まとめて殺しちゃおうと思って……あいったぁぁぁっ! お、お尻痛い」


「……まぁ良いや、もう取り返しが付かなくなったのは確かだし、軍の調査が頓挫する件は後で王宮に謝っておこう、マリエルがだけどな」


「そこは私なんですか……あ、それでリリィちゃん、見張りの魔族を殺したってことは、捕まっていた子達を助けたのよね? その子達は今どこへ行ったのかしら?」


「え~っと、天井を破ったら上にも部屋があったんで、私の背中伝いにそっちへ移動しました、上に居たのも魔族さんでしたけど、サキュバスって人達でしたね、何か凄くビックリしてました」


「上のボッタクリバーに被害者を逃がしたのかよ……しかしそれで驚いてたってんならバーの連中はこの事件に関与していなかった可能性が高いかな」


「そうですね、もし『商品』が逃げ出していたんならもっと別な反応をするかと思います、バーのサキュバス達はシロで、ここに居た脅し要員の雑魚キャラのみが人身売買に手を染めていた、そう考えるのが妥当ですね」



 何はともあれ色々とやらかしてしまったのだ、解放した子ども達のことも気になるし、まずは地上にあるボッタクリバーへ行ってみよう。


 あと、この状況下においてはもうアンジュを隠しておく必要もなさそうだ、連れて行けばサキュバス達も協力的な態度に出るはずだし、もしかしたら何か食べるものなど無料でサービスしてくれるかも知れない。


 ということで一旦、元来た通路を用いて地上に戻る、リリィのせいで、建物は地下だけでなく地上部分までもが半壊、死んだ魚の目をして並んでいた馬鹿共は巻き込まれて全員死亡していた。


 こんな所で無駄に死んでしまったとはいえ、元々サキュバスに魅了され、ボッタクリバーの常連となり、全てを奪われた状態で呼吸だけしていたのだ。


 ここでサクッと死ぬことが出来たのは良いことだし、むしろ原因を作ったリリィに感謝しつつ、次はサクッと地獄へ落ちるべきところなのである。


 馬車で待機していたアンジュ、それに暇そうにしていたアイリスとエリナ、メルシーも一緒にボッタクリバーへと向かう。


 半壊した店舗の横で慌てふためいていた店長らしきサキュバスが、腰に紐を巻かれ、その先を精霊様に持たれた状態のアンジュを発見し、目を丸くする。


 リリィが救助した被害者達は外に並べられており、他のサキュバスから事情を聞かれている最中であった。


 とにかく俺達もその事情聴取に混ぜて貰おう、それと、店長サキュバスにも今ここで起こっている事案に関して、具体的な説明をしてやらねばならないようだ……

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