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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十六章 南の城の主
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457 やり方は

「今夜は本当に静かで良いわね、ちょっと寒いけど」


「ああ、あの馬鹿共も、それからここで起こったことを知った『同志』も、少なくともメルシーが滞在している間は余計なことをしないはずだ」



 メルシーが屋敷にやって来た日の翌日、夜が更けた頃にセラと2人でテラスに出てみる。

 静寂の町、昨夜まであんなにやかましかった連中は、聖女様のご威光に恐れをなして集まってすらいない。


 王都の夜はこんなにも静かで、こんなにも見晴らしが良かったのかと感動してしまう。

 月明かりに照らされる家々の屋根を、時折忍者なのか暗殺者なのか、人影が跳んで渡って行く。


 と、その人影のうちのひとつが、どう考えてもこちらに向かっているではないか……



「ねぇ、アレは何なのかしら? 敵……じゃないわよね?」


「う~ん、敵意は感じないが怪しい奴ではあるな、もう少し近付いたら撃ち落してみてくれ」


「わかったわ、殺さない程度にやっつけて、精霊様かシルビアさん辺りに拷問を依頼しましょ」



 一旦部屋の中に戻り、杖を携えて戻って来たセラ、その頃には忍者らしき人物の影がくっきりと見える位置まで近づいていた。


 もう寝ている仲間も居るため、出来ることなら静かにカタをつけてしまいたい。

 狙い済ましたセラの風魔法を……何だろう、それに気付いた人影がはたと止まったではないか……



「狙われているのに気付いたのね、手を挙げて降参しているわ、どうする勇者様?」


「うん、とりあえずそのままこっちへ来るように合図を出してくれ、手を下げたら撃つみたいな感じでな」



 鳥目の俺にはそこまでハッキリとその人影の仕草が見えるわけではないが、セラには十分見えているようだ。


 杖の先に魔力を集中したまま、それを使って何やらサインを出すセラ、人影が再び動き出し、ゆっくりとこちらへ近付いて来る、さて、忍者の正体は……もしかしてくのいちじゃないか?


 十分に近付いた時点で、屋敷の庭に設置らされている風呂用の明かりに照らされて見えた人影の正体。

 ペッタンコに程近いもののギリギリで有しているおっぱい、顔立ち、そして綺麗な肌、どう考えてもおっさんではない、美少女だ。



『あ、あのっ、撃たないで下さい、私敵じゃありません……』


「さて、敵とみなされるかどうかはお前の態度次第なんだが、誰に頼まれてここへ来たんだ?」


『王宮です、総務大臣の直筆サインが入った大変あり難い命令書を受け取って』


「ほう、奴等に何を言われたんだ、俺達を始末しろってか?」


『違いますってばっ! 伝令ですよ伝令! いつもの方が休暇中とのことで、ホントは間諜部隊の私が頼まれて来たんですよっ!』


「紛らわしい奴を送って寄越すなと言っておけ、じゃあな」


『えぇぇぇっ!? ちょっと待って下さいっ! 伝令、伝令の内容がまだっ!』



 夜中だというのにやかましい奴だ、クソ以下の脳みそを持った賊共が来なくなった途端に、新たに平穏を打ち消す、しかも今度は公的な存在が登場してしまった。


 テラスの戸を閉めて部屋に戻ろうとしたが、慌てて階段を駆け上がって来たくのいちに阻止されてしまったではないか。


 ……しかも良く見たら可愛い、ショートカットの黒髪が良く似合う、おっぱい以外は最上級の美少女だ、これは無視出来かねる、屋敷の中に引き入れて伝令だか何だかの内容を聞こう。



「よし、とりあえずテストは合格だ、中へ入れ」


「テストって、何を取って付けたような……というか命令書に書いてあった『マジで狂った連中だから気を付けるように』というのも、あながち大げさな話ではありませんでしたね、本気で殺されるかと思いましたよ」


「いや、殺したりはしないさ、なぁセラ」


「ええ、生け捕りにして痛い目に遭わせて、情報だけ引き出したらドブにでも捨ててしまうつもりだったわ、もちろん態度が悪かったら今からでもそうなる可能性は秘めているけど」


「ひぃぃぃっ! 勘弁して下さいっ! お伝えする文書だけ渡したらすぐに帰りますからっ!」



 くのいち少女は冗談が通じないタイプらしい、本当に拷問に掛けられると思ったのか、既に足がガクガクと震えている。


 忍者なんだからそういうシチュエーションに耐えるための訓練をしていると思うのだが、やりすぎて逆にトラウマになったりとかしたのかな?


 とにかくそのくのいち少女が懐から出した文書を受け取る。

 マリエル宛だが別に見ても構わないはずだ、一応は勇者パーティーに向けた内容のものらしいからな。



「え~っとなになに……おぉっ! もうキャシーさんとのコンタクトに成功したのか、早すぎるような気もするが別に良いや、で、お前はこれを渡すためだけにここへ来たのか?」


「そ……それはもちろんですよ、ええ、本当にそれだけでして……」


「……怪しいな、セラ、ちょっとこのくのいちさんを地下室へご案内しようか」


「そうね、たっぷり拷問して、本当の目的を吐かせましょ」


「ひぇぇぇっ! お許しをぉぉぉっ! たいしたことじゃないんですってばぁぁぁっ!」



 俺がくのいちの首根っこを掴み、セラは足の方を抱えるようにして持ち上げる。

 寝ているミラにカレンやリリィ、メルシーを起こさぬよう慎重に、かつ素早く地下室へと向かった。


 地下室は明かりが灯され、精霊様とシルビアさんが何やら話しているようだ、そういえばルビアとジェシカも部屋に居なかったし、おそらく一緒に居るのであろう。


 何をしているのかは知らないが、一時作業を中断してこの不審なくのいちの拷問をして貰おう、あの文書を渡すだけに留まらず、何を調べて帰るつもりであったのかを知っておくべきなのだ……



 ※※※



「それで、その子を捕まえたってわけね、タイミングバッチリよ」

「あらあら、なかなか活きが良さそうな子じゃないの、拷問のし甲斐があるわ」


「ところで精霊様、シルビアさんも……ルビアとジェシカで何をしていたん……まぁだいたい想像は付きますけどね……」



 地下室に居たのはやはり4人、精霊様とシルビアさんと、それからボロボロになって倒れているルビアとジェシカだ。


 どうやら新たな拷問の実験をしていたらしい、そしてルビアまで気を失ってしまったため、実験継続のための回復魔法を掛けられなくなったとのことである。


 そこへちょうど良く現れたのがくのいち少女を捕まえた俺とセラ。


 早速身柄を引き渡すと、何だかとんでもない装置を用いてあれやこれやと、とても口に出しては言えないような悲惨な拷問が繰り広げられている。



「ひぎぃぃぃっ! しゃ、喋りますから、だからやめて、じゃないと色々出ちゃう……」


「ほう、じゃあ本当は何のために俺達の屋敷へ忍び込んだのか、キッチリ答えて貰おうか」


「そ……それは……聖女様がしっかり勉強して、夜は早く寝て朝は早起きしているかどうかを確かめておくようにとの裏命令が……」


「え、ショボッ!」


「だからたいしたことじゃないと……ぎぃぇぇぇっ!」



 最後に一撃締め上げた後、くのいち少女を拷問装置から解き放つ、何だか少し背が伸びているような気がしなくもないが、相当に強い力で引き伸ばされていたのであろう。


 少女にはメルシーはしっかり早寝早起きしているが、勉強はこれっぽっちもしていない、というか勉強セットを持ち込んだ形跡がないことを正直に伝えておく。


 勉強していないのを俺達のせいにされたら堪らないからな、こちらには一切責任がないという点をキッチリアピールしておかなくては。



「で、他に何か秘密裏に調べようとしていたことはないか? 今すぐに白状すれば、特別にお仕置きを2割引にしてやる」


「そんなっ、それ以外に秘密にしていることなんて特にありません、特には……」


「お前超怪しいな、セラ、コイツは地下牢にブチ込んでおこう、後で本格的に取調べをするぞ」


「そうね、てかくのいちなのに顔に出すぎなのよ、もう少しポーカーフェイスを習得してから侵入すべきだったわね」


「そっ、そんなぁ~っ! ひぇぇぇ……」



 ということでくのいちを縛り上げ、適当に空いている牢の中に放り込んでおく。

 セラの指摘通り、こいつはとても忍とは思えない程度に隠蔽が杜撰だ。


 先程問い詰めて白状したメルシーが勉強しているかどうかを調べるなどといったショボい目的ではなく、もっと別の、それこそ王宮ではない『裏の雇い主』から何か依頼を受けているはず。


 もちろんそれに関しても拷問していけばいずれ情報を吐くのであろうが、さすがに口が硬くなるのが確実。

 今はそのようなことに何日も割くわけにはいかないため、とりあえずは保留として収監しておくべきだ。



「おいお前、先にひとつだけ質問しておく、本当の雇い主は誰だ?」


「だから王宮ですってば、それ以外に雇い主なんて……その……居るわけがないでしょうっ!」


「……こりゃダメだな、俺達は今ちょっと忙しいんだが、その事案が解決したらお前をとんでもない目に遭わせてやる、楽しみにしておくんだな、あと牢屋内のルールはその辺の隣人にでも聞け、じゃあな」


「えーっ!? ちょっと、これから王宮に報告をしに戻って……もしもーしっ!」



 しばらく騒いでいたくのいち少女であったが、隣の独房で寝ていたチビ先生が不機嫌そうな顔で目を覚ましたのを見て恐怖し、スッと静かになった。


 その後は復活したルビアが自分とジェシカの傷を癒すまで待ち、ちょうど良いということで地下室にて酒盛りを開始する。


 そこでくのいち少女から受け取った文書をもう一度読み返すと、下の方に追記事項が記されていることが発覚した。


 仙人共への処刑は明後日執り行うとのこと、処刑人として精霊様を、また前座の受刑者としてこちらで押さえてあるドロシーの身柄を広場に移送して欲しいとの内容だ。



「だってよ精霊様、明後日はよろしく頼む」


「ええ、じゃあここでの研究で新たに考案した残酷な処刑ショーをお見せするわ」

「私も見に行かなくっちゃ、それと出店で儲けなくっちゃ、ルビア、もちろんあなたは無給で手伝いをするのよ」


「えぇ~っ、お小遣いぐらいくれれば良いのに……」


「お小遣いはあげないけど、鞭ならいくらでもあげるわよっ!」


「あひぃぃぃっ! も、もっと……」



 ということで当面の予定は決まった、牛乳集落から王都を目指している最中であろうキャシーを待つこと、そして翌々日の処刑イベントを観覧することだ。


 その夜は適当なところで酒盛りを切上げて就寝、そして翌日は何事もなく、OFFの一日を過ごした。

 なお、マリエルには一応、王宮に雇われていたくのいちが怪しいため、地下牢に監禁してあると伝えておくのも忘れない。


 さらにもう一晩過ごしたところで、腐った仙人共を拷問、そして処刑するためのイベント当日を迎える……



 ※※※



「よし、じゃあドロシーは精霊様に任せた、まぁ逃げたりはしないと思うがな」


「あの、本当に今日の処罰を受ければ命は助かるのですか? 安心させておいてサックリ、などということがないよう、出来れば書面で約束を交わして欲しいのですが、というか書面の意味がわかりますか?」


「相変わらず面倒臭い奴だな、精霊様、もう猿轡でも噛ませておくんだ」


「そのぐらいの約束はして頂いても特に問題はなっ……フガーッ、フゴッフゴッ……」



 ドロシーを地下牢から引き摺り出し、馬車に押し込んで王宮前広場へと向かう。


 なかなかの賑わいだ、ちなみにシルビアさんとルビアは日が出る前に出発し、どこかを陣取って出店を始めているはず、ミラもバイト(有償)としてそれに付いて行ったらしい。


 広場のステージには既に柵で囲われた何か、いや、アレは大理石のプレートだ、高級ホテルでシェフが使っていたものの巨大版である。


 昨日のうちに精霊様が指示し、設置させていたものだというが、もしかしてあのプレートで仙人共を焼き肉にするつもりか?



「勇者様、今日も専用のVIPルームが宛がわれています、食べ飲み放題だそうですので早めに行きましょう」


「うむ、じゃあ精霊様はまた後で、ドロシーもな」


「フガッ、フガガッ……」



 こういったイベントの際にはいつも観覧席代わりに使わせて頂いているホテルの一室に入り、適当に料理と酒を注文する、もちろん精霊様の分と、それからお土産分も忘れない。


 しばらく食事をしながら窓の外を眺めていると、精霊様がドロシーを引き連れて壇上に現れる。

 ドロシーは『私は悪いことをしました、ごめんなさい』という木の板を首から提げているが、何をやったかについては言及されていないという実に杜撰なものだ。


 だが観衆にとってそんなことはどうでも良いのである、四つん這いにされ、精霊様にパンツまで降ろされるドロシーの情けない姿を見て適当に盛り上がっているだけそれ以上でもそれ以下でもない。


 精霊様によって鞭で尻を叩かれ始めるドロシー、だが反応が薄い、元々表情に一切出ないのだが、地獄の痛みと恥ずかしさでもそれは変わらないようだ。


 盛り下がる観客達、精霊様に向かってちゃんとやれなどと罵声を浴びせる酔っ払いは……鼻から水を流し込まれ、頭が破裂して死亡した。


 それを見た観衆は罵声を飛ばすのをやめ、静かにステージを見つめていた。

 そのまま100叩きの刑は滞りなく終わり、精霊様は一旦ステージを離れてドロシーの身柄をこちらに届ける……



「全く、あんたのせいで変な連中に馬鹿にされちゃったじゃないの、責任は取って貰うわよ」


「大変申し訳ありません、どうか命だけはお助けを、あと出来れば傷を治療して頂けると助かります、このままだと痛みでおもらししてしまいますから」


「結局効いてはいるのね、まぁ良いわ、この後が本番なんだし」


「精霊様、可能なら賢者の石の封印を解除する方法、例えば儀式のやり方なんかを聞き出してくれ、そこを闇雲にやるとまた大爆発とか人類滅亡とか、ややこしいことになりそうだからな」


「わかったわ、じゃあもう一度行って来るから、あ、ロースとチキンレッグを頼んでおいてちょうだい」


「へいへい、いってらっしゃ~い」



 どうしてこれから『人間を焼き殺す』のに、焼いた肉を食べようなどと思えるのかと考えながらも指示通りにローストチキンレッグをお持ち帰りで注文しておく。


 そのオーダーが通ったところで、再び壇上に姿を現す精霊様、3匹1組にされた仙人共も一緒、そしてあの長い肩書きのラスボス仙人、そして事件の発端となった大仙人には名札が付されている。


 その主要2匹は後回しにして、まず最初の3匹を柵の中に入れる精霊様、大理石のプレートは下から炎で炙られ、徐々に熱さを増していく。



「あ、何だか足踏みし出したわね」


「だろうな、そろそろ下はアッツアツだぞ、そして柵に手を掛けようとしても……やっぱ熱いよな……」



 逃げ場もなく、どこかを掴んで足元の熱さから逃れることも叶わない3匹の仙人。

 しばらくの間、真夏のプールサイドで子どもがするようにして足踏みを続けていたが、そのうち1匹が遂に気付いてしまったようだ。


 隣の仙人を引き倒し、その上に乗って難を逃れる1匹の仙人、当然下敷きにされた1匹はジュウジュウと音を立てて焦げながら悶絶している。


 次に残りの1匹が、その安全地帯を奪おうとして上の奴を、半分焼かれつつも起き上がることに成功した下敷きの奴が逆襲、といった具合に、阿鼻叫喚の緊急避難地獄が繰り広げられた。


 盛り上がる観衆、先程の失態が嘘のように、今度は精霊様を称賛する言葉が飛び交っている。


 15分か20分程度の後、3匹の仙人は完全に火が通り、全く動かなくなってしまう。

 一旦火を消し、水を掛けてプレートと柵を冷やす精霊様、その間に次の3匹組を用意する。


 と、そこでいよいよ本題だ、恐れおののく仙人共の前に立った精霊様が、必要な情報を引き出すための質問タイムを始めた……



『あんたたちっ! 賢者の石の封印について何か知っている者も居るわよね? 主に力の伝承者が揃った後の解除の儀式とか、誰か答えなさいっ!』



 そんな質問に答えたりはしない仙人共、というか目立ってしまって次の犠牲者として選ばれるのが嫌なだけの奴も居るはずだ。


 ラスボス仙人や大仙人の胸ぐらを掴み、爪を剥がして歯を折ってなどと責め続ける精霊様だが、状況は変わらずただ時間だけを浪費していく。


 そろそろ手を打たないと、また観衆が飽きてしまって収拾が付かなくなる。

 どうする精霊様、ここが力の見せ所だと思うぞ……



『あぁそう、答えないのなら別に良いわ、白状したらそいつだけはちょっと優遇してやろうと思ったのに、残念ながらそれを希望する者はナシと、処刑を続けるわね』


『あっハイッ! わしが答えるのじゃ、仙人の中でもラスボスであったわしには、その解除の儀式の方法が全てわかっている、即ち天才、最高の頭脳、比類なき究極の……』


『余計なこと喋ってないでサッサと答えなさいっ!』



 精霊様の提示したインセンティブに、速攻で手を挙げたのはなんとラスボス仙人、恥も外聞もない、ただただ自分だけは助かりたいという、実に薄汚い魂胆が前面に押し出された態度だ。


 そのラスボス仙人の供述によると、仙人と同じ力を有する俺が、賢者の石の前で最初から最後まで儀式を取り仕切る。

 そこへ3人の伝承者を順番に呼び、それぞれが満足するようなもてなしをした後に、固有のアイテムを台座に、さらに手をかざして力を込めて貰うのだという。


 何だか良くわからないが、おそらく独力でその方法に辿り着くのは困難であったはずだ。

 ここで聞いておいたのは本当に正解であった、これで封印解除に1歩近付くことが出来たといえよう。



『それじゃ、約束通りあんただけ優遇してあげるわ、処刑スタート時にマウントポジションから始めさせてあげる』


『えっ!? 助けて貰えるんじゃ……』


『なわけないでしょこのスカポンタンッ! 次を始めるから早く柵の中に入りなさいっ!』



 助かると思って重要な情報を売ったにも関わらず、結局次の処刑グループに抜擢されてしまったラスボス仙人。

 一応は優遇ということで、残りの2匹を足の下に置いたマウントポジションからのゲーム開始だ。



『ぎぃぇぇぇっ! 熱いっ、アヅイィィィッ!』



 その後も処刑は続き、仙人共は悉く無様な最期を遂げた。

 これで正義の執行は完了したわけだが、当初の目的が達成されるのはもう少し先。


 すぐに、もう数日のうちにキャシーが王都に来るはずだ、到着し次第屋敷に来させ、直ちに儀式をスタートしよう……

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