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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十六章 南の城の主
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456 確認

「ご主人様、城門が見えてきましたよ」


「わかった、ほれ、全員荷物をまとめておけ、あとすまないがルビアは屋敷で全員を降ろした後そのまま王宮へ向かってくれ、ちょっと帰還の報告、それと必要な要求だけしておきたい」


「わかりました、じゃあまずはお屋敷へ向かいますね」



 王都の西門から入り、そのまま屋敷へと向かう、到着後すぐに荷物、そして囚人でもあり賢者の石の封印解除を担う予定のドロシーを降ろす。


 ちょうど近くに居たシルビアさんによると、未だメルシーの乗った馬車がここを訪れてはいないという。

 まだ王宮に居るのか、それとも王都にすら到着していないのかはわからない。


 だがホテルに来ていた兵士が馬で王都に向かったとすれば、もう俺達がその保護役に立候補していることぐらいは伝わっているはず。


 となるとまだ到着していないのか、女神を祭る儀式に使う祭具や金ピカ調度品などといった荷物も多く持ち出しているだろうし、脱出部隊の進行速度が遅いのも無理はないか……



「よっしゃ、じゃあセラとマリエルは乗り込め、御者はルビアに任せるから、ジェシカは風呂にでも入って休憩しておけ、それと鬼畜美少女探偵さんは……」


「生憎だけどあたしの屋敷は王都のかなり南の方なの、ここからは相当に遠いわよ、だから今夜はあんた達の家に泊めてちょうだい」


「ふざけんじゃねぇよっ! 誰が殺人事件の権化なんぞ家に招き入れるんだ」


「あ、確かにそうね、あたしが自宅以外の場所に泊まれば何かが起きるわ、となると……とりあえず夜までには帰るわ、だからしばらく休憩させて」


「まぁ、その程度なら構わないが……」



 マーブルの視線は交渉相手の俺や屋敷そのものではなく、庭に設置された温泉に行っている。

 つまりそれを利用したいということであろう、本来なら有料だが、今回は美少女割が効いて100%引きだ。


 事件の発生はもちろん恐い、ここに至るまでの道中にも、野営をしているだけにも拘らず様々な事案がひっきりなしに発生した。


 隣で野営していた商人の一団が、酒に酔って喧嘩を始め、真っ暗闇の中で1人死亡、街道近くの洞窟を根城にしていた盗賊団の下っ端が、魔物の襲撃に見せかけて仲間全員を密室で殺害などである。


 もちろんそれらが解決し、真犯人が発覚するまでの間、何らかの理由で道が寸断、行くことも進むことも不可能な陸の孤島に閉じ込められてしまったのだ。


 だが、マーブルが『宿泊』していなければ、そういった事案の発生は回避出来るのではないかと思われる。

 現に豪華な夕食のみ頂いてチェックアウトしたホテル最終日には、誰かが死んだとか殺されたという話を聞かなかったのだ。


 ゆえに、今ここで温泉に浸かり、夕方には迎えの馬車を寄越させるということであれば特に問題はないはず。


 もちろん疲れて寝てしまったとかそういう事情があったとしても、どうにかしてマーブルをこの屋敷の敷地内から排除して夜を迎えるべきであるのは確実だが。



「それじゃ、ちょっと王宮へ行って来るから、もしかしたら入れ違いで聖女様ご一行が来るかもだからな、そしたらすぐに対応出来るようにしておいてくれ」


「わかりました、ではいってらっしゃい」



 帰って早々、俺達が不在の間にデモ隊が捨てて行ったと見られる弁当の空や飲み物の容器を片付け始めたミラとアイリスに見送られ、俺達は馬車で王宮を目指した……



 ※※※



「おぉ、ゆうしゃよ、戻っておったか、して今日は何の用で……」


「よぉ駄王、残念ながら貴様如きに用はない、ババァはどこ行った、鬼籍に入ったのか?」


「総務大臣は今しがた西門へ向かったところじゃ、またしても陥落した聖都の要人がそろそろ到着するとかでの」


「チッ、入れ違いになったか、まぁ良い、しばらくここで待たせて貰うから茶と菓子でも出させるんだ、あと菓子は4人前な、外でルビアが待っているんだ」


「うむ、ではすぐに用意させよう」



 茶を啜り、談笑しながら1時間程度待ったところで、ようやく高級仕官10人以上を引き連れたババァが、さも偉そうに王の間へと入って来た。


 その後ろには神輿のようなものに乗せられたメルシーの姿、いかにも聖女らしい格好だが、もしかして馬車ではなくそれに乗って聖都からここまで来たのか?


 ……というかそうに違いない、担ぎ手のマッチョ達がかなり疲弊している辺り、形式を重視してずっとアレに乗って来たのだ。


 そもそも攻め落とされて逃走しているというのに、そんな悠長なことを考えている暇なのかという疑問はフツフツと沸き上がってくるのだが、お役所、特に宗教絡みの省庁のやることだ、常識というものは通用しないのであろう。



「むっ、勇者が居るではないか、いつ戻ったのじゃ?」


「おう、ついさっきだよ、リアル入れ違いだぜ」


「おぉっ! そなたらはアレではないか、リリィちゃんはどうしたのじゃ?」


「よぉメルシー、元気してたか? リリィなら屋敷に居るし、もうすぐ会えるからな、あとお前自身にもちょっと用があるんだ、そのことに関してそのこシワシワババァと話をするから、しばらくここで菓子でも抓んでいてくれ」


「うむ、わかったのじゃ!」



 大人しく言うことを聞いてくれるメルシー、さすが聖女様だ、しばらく屋敷で預かることによって、一緒に過ごすはずであるリリィの行動も少しは改善するかも知れない。



「それで勇者よ、わしに用があったのじゃろう? 簡潔に申してみぃ」


「あぁ、ちょっと頼みがあってな、まず聖都奪還までの間、俺達がメルシーの保護をしたいってのは報告を受けているよな?」


「うむ、それは聞き及んでおる、おぬしらの所であれば敵の襲撃対策としても万全じゃろうが……」


「じゃろうが、何だ?」


「毎晩のように外で罵詈雑言を吐いている連中を先にどうにかした方が良いと思うのじゃよ」


「……確かにな、だがそれもメルシーが居ればどうにかなる気がするぞ、奴等は世俗の権力者に対してはあーだこーだうるさいけどさ、宗教的指導者に罵られたらどうかな?」


「ほう、なるほどの、そう攻めれば奴等、しばらくの間寄り付かぬやも知れぬな」



 この作戦にはかなりの自信がある、いくらクズ共であれ、実在している女神に仕える神官的存在のトップが、直々に消え失せろと言えばそれなりにビビるはず。


 もちろん女神そのものにそれをやらせるのが一番手っ取り早いのだが、おそらく過干渉がどうのこうのと真面目腐ったことを言って協力してくれない。


 ゆえに、実際にはその身分が女神から与えられたものではないとはいえ、人族の中の取り決めで『女神に仕える最高権力者』となったメルシーの言葉が、公権力に服さないあの連中にとって一番重いものとなるのだ。


 ついでに切腹しろだの崖からダイブしろだのと言わせてみよう、もしその言葉に従い、あの台所のGにも劣るゴミムシ共が集団自殺を図ってくれれば万々歳。


 残念ながらそれで絶滅することはないと思うが、少しでも奴等の数が減ること、1匹でも多く地獄に落ちることが、ひいてはい地域のみならず、世界全体の平和と安定に資することになるのだから。



「それで勇者よ、頼みたいことというのは聖女様の件とはまた別のことなんじゃろ? わしも忙しいゆえサッサと言わぬか」


「おっとそうだった、ちょっと人を1人、王都に召喚して欲しいんだ、大至急」


「人を? というと今おぬしらがやっておることに関してのキーパーソンなのじゃな?」


「キーパーソンどころかキーそのものだ、厳密に言えばキーの力を伝承しているキーパーソンなんだが、そのキーの力を借りて封印を解くキーにするんだよ、どうだ、凄いキーパーソンだろ?」


「すまぬがおぬしの頭と説明が低次元すぎての、少しばかり頭痛がしてきたわい……」


「ふんっ、この程度で混乱するとはまだまだだな」



 とにかくキャシーのこと、そのキャシーが以前俺達によって偽村長一家から解放された牛乳集落の所属であることを総務大臣に伝える。


 もちろん連れて来るのは可能だが、場所が場所ゆえにある程度の時間を要するとの返答を得た。

 確かに牛乳集落はここから遥か東、人族の領域全体で考えても外れと言って良い位置にある。


 だがなるべく急いで欲しい、馬車ではなく馬に2人乗りで、もっと早い乗り物があるのならそれで、とにかく最速を意識して本人を王都まで連れてきて欲しいと頼んでおく。



「まぁそういうことだ、そのキャシーさんって人を連れて来ない限り、聖都みたいにサキュバスボッタクリバーのせいで甚大な被害を被る都市が出続けるぞ、イヤなら超急ぐことだな」


「う~む、なかなか難しいが、そういうことであればこちらも気合を入れねばならぬの、まぁ、とりあえずその女の招聘はこちらに任せておくのじゃ」


「じゃあそういうことで頼んだぞ、それとお偉い聖女様はもう連れて帰るからな、おい、3人共帰るぞっ」



 俺の座っていた席で菓子を貪っていたメルシーと、最初から最後まで茶を啜っていたセラとマリエルを呼び、王宮を後にする。


 というか今思ったのだが、セラとマリエルはいつも何をしに王の間へ来ているのだ?

 特にマリエル、適当にフラフラし、たいして役にも立たずに帰宅する、もう親に顔を見せに来ているのとたいして変わらないではないか。


 まぁ、それはどうでも良いとして、包んで貰った茶菓子をエネルギー源としたルビアの華麗な操車によって、行きよりも速いペースで屋敷に辿り着いた。


 まだ昼下がりの時間帯のため、脳の腐ったデモ隊は屋敷の前に集合していない。

 だが場所取りなのか何なのか、屋敷から少し離れた位置でシートを敷いて座り込んでいるオヤジが1人。


 近付くと立ち上がり、両手を広げて進路を妨害しようと試みる。

 なるほど、俺達のやることなすこと、全てを邪魔して遅延させようという魂胆か。



「どうしますかご主人様?」


「別に良いよ、そのまま進むんだ」


「わかりました、はいグチャッと」



 もちろんそこはモロに車道であったため、馬車で轢き殺してしまう、これは当然かつ妥当な措置だ。


 かような阿呆な輩に対しても、静かに祈りを捧げる比較的真面目な聖女メルシー。

 その必要はないんだよと、そっと手を添え、馬鹿の御霊が天国に導かれるのを阻止してやった。



「なぁメルシー、今夜ああいう奴が沢山屋敷の前に来ると思うんだけどさ、全部キモくて死んだ方がいい連中なんだ、だから死ねって言ってやってくれないかな?」


「キモくて死んだ方が良いとはどういう連中じゃ? 前に殺したカッパハゲとかその類なのかえ?」


「まぁ、似たようなもんだ、今日来る連中の中にはハゲじゃない奴も居るが、かつてのカッパハゲと同等かそれ以下の扱いをしてやって構わん」


「わかったのじゃ、その連中が来たらまた教えてたも、妾が成敗してくれるのじゃ」



 頼もしい聖女様と共に屋敷の中へ入り、すぐに飛んで来たリリィに面倒を見ておくよう伝える。

 俺はゆっくり風呂にでも入ろう、一緒に王宮へ行ったセラとマリエル、そしてルビアも一緒にだ。


 この後は夕飯で、それからメルシーの歓迎会と、ここに居るもう1人の伝承者候補であるドロシーも交えて一定の事項の説明をする。


 他にも色々と成すべきことはあるのだが、それらをしているうちに、あのやかましい連中が屋敷を取り囲んで騒ぎ出すであろう。


 それを聖女様の力で一気に始末し、しばらくの平穏と、それから賢者の石の封印解除に力を入れることが出来る帰還を確保するのだ。


 しばらくして夕食を取り、帰って行く鬼畜美少女探偵マーブルを見送る。

 少し休憩したらやることをやろう、だが疲れたし少しだけ休憩を……そのまま目を閉じると、急に意識が遠のいていった……



 ※※※



『うぉぉぉっ! 暴力反対! 暴力反対!』

『暴力反対! 暴力勇者はこの世から消えろっ!』


「……あいつら、暴力反対を叫びながらつるはしのようなものを持って襲い掛かってくるとは、まず自分の姿を鏡で……この世界では鏡は高級品でったな」


「見てよアイツ、懐にアイスピックのようなものを忍ばせているわよ」


「殺る気満々じゃねぇか、よし、誰かちょっとメルシーを呼んで来てくれ」



 夜、案の定やって来たクズ共、いやもう『賊』と表現しておこう、とにかく奴等によって俺の昼寝、いや夕寝は妨害された、マジでブチ殺してやる。


 というか、相変わらず掲げている正義だの非暴力だのといった標語のわりには、破壊に襲撃、殺害の予告など、より取り見取りの暴力行為を成している。


 そういえば例の勇者風ハゲは居なくなったな、やはり憲兵に殺され、そのまま帰らぬ人となったのであろうか。



「おいお前等お久しぶり、今日はすんごいゲストが来ています、すぐに呼ぶのでそこで正座して待っているんだな、あと何度も言っているが近所迷惑だから静かにしろ」


『出たな異世界勇者めっ! 我らの勇者様をどこへやったのだっ! 返せっ!』

『返せっ! 返せっ! 返せっ! 返せっ!』


「それを俺に言われてもな……」



 ここで何か言っても余計にやかましくなるだけな気がしたため、しばらく黙ってメルシーの登場を待つ。


 どうやら地下でカレンやリリィと遊んでいた、というか食糧庫に忍び込んでつまみ食いをしていたらしきメルシーは、しばらくすると楽しげな表情でテラスに現れた……



「む? こいつらがさっき言っておったカッパハゲと同じぐらい死んでも良い連中なのかえ?」


「そうだ、まずはお前が聖都に君臨する聖女様であることを教えてやれ、そうしないとこの馬鹿共は、ただの子どもだと思って尊大な態度を取りかねないからな」


「それはもしかしてじゃ、妾に対して偉そうにするということなのかえ?」


「その通りだ、馬鹿だのアホだの、それからいきなり攻撃してくる可能性もあるから気を付けるんだぞ、当たり前のようにウ○コ投げてくるかも知れないし」


「どれだけ馬鹿なのじゃこの連中は……」



 呆れ返った様子のメルシーがテラスの前に出る、こんな子どもに呆れられるとは、下に沸いた賊共がどれだけ低俗な存在なのか、それを窺い知ることが出来てしまったな。


 そしてその賊共、明らかに聖女であるメルシー、肖像画ぐらい誰でも見たことがあるはずのメルシーの姿を目にしても、騒ぎを止めるどころか一切意に介さない。


 ……と、後ろの方で数人が、これはヤバいといった表情でスッと離脱していった。


 さすがにわかった奴も居るのか、だが大半の連中は気付いていない、というかもう『勇者を糾弾する自分』に酔ってしまって、周りがまるで見えていない奴が多いようにも思える。



「ほらメルシー、ちゃんと教えてやらないと、あの馬鹿共にはお前が誰なのかわかっていないんだぞ」


「本当にしょうもない、では教えてやるのじゃ……妾は大聖女、メルシー様じゃぞ~っ! その場に跪き、非礼を詫びよ~っ! さもないと死刑じゃぞ~っ!」


『何を言っているんだこのガキがっ!』

『そうだそうだっ! お前みたいなのが聖女様なわけなかろうっ!』

『嘘を付く子どもはこのピッケルのようなもので脳天を貫いて殺してやるっ!』


「……何なんじゃこいつらは? どうして妾が聖女だと認めぬのじゃ……こうなったらもう証拠を出すしかないのじゃっ!」


「ん? 何をするつもりだ? え? あ……えぇ……」



 意を決したかのようにポケットに手を突っ込んだメルシー、その手に掴まれて出て来たのはかなりの大きさを誇る職印、いやこれは金印というやつだ、普通に鋳潰してもかなりの換金価値であろうが、この状態なら金貨数万枚の値が付いても不思議ではない、非常に美麗かつ精巧な造り。


 メルシーはそれを今まで、法衣のポケットに突っ込んだままその辺を走り回っていたというのだ。

 落として破損したり、そもそも失くしたりしたらどうするつもり……いや、そこまで考えることは出来なさそうだな……


 その金印を高く掲げるメルシー、同時に黄金色のそれは、白く強い光を放ち出す……なぜか賊共が平伏した、この世界の人間のみにわかる、何か聖女独特の力を発しているのであろう。



「凄いなメルシー、そんなアイテムを持っていたのか」


「前にカッパハゲから貰ったのじゃ、手垢とか付いていて汚かったけど、洗ったらまた使えるようになったのじゃ」


「へぇ~、それが聖女の力……と、どうした精霊様?」



 メルシーの持つ金印の力の感動していると、テラスには居なかったはずの精霊様が突然出現していることに気付いた。

 そういえば地下で賢者の石をもう少し調べると言っていたな、何か焦った様子だが、トラブルでも生じたのか?



「ちょっとあんた、あっ! そのアイテムの力ねっ!」


「何があったんだ?」


「賢者の石が急に反応し始めたの、本の数秒前にね、それで急いで力を感じる方に来てみたら……」


「この状況だったと、つまりメルシーが『聖なる力』の伝承者であることはもう確定だな」


「それと、今やっていた実験であのドロシーって子も、封印に何らかの影響を及ぼす力が備わっていることを確認したわ」


「ほう、それはそれは激アツなことで」



 これで3人のうち2人、予想した通りの人物が力を発揮してくれた。

 あとは何日か後にここへ来るであろう、牛乳集落のキャシーだ。


 彼女が目論見通りに『鍵の開閉に関する力』を発揮してくれさえすれば、それで賢者の石の封印が解けるはず。

 メルシーの持つ金印もそうだが、おそらくキャシーが持っていたペンダントが力を発揮するためのきっかけとなるに違いない。


 まぁ、それはキャシーの到着を待って考えるとして……まずは屋敷の前で平伏しているゴミを掃除しておかないとだな……



「メルシー、この不敬者共はどう処分する?」


「う~ん、顔も中身も臭そうじゃし、実に頭が悪い、よって全員死刑じゃ!」


「おう、それで良いが……2人か3人助命してやってくれ、巣に帰らせて、ここでどういう目に遭ったのかを伝えさせるんだ、そうすればしばらくは静かになるからな」


「うむ、それで良いのじゃ、ではアイツとアイツ、それからそこの変な顔のアレを助けてやるのじゃ」



 もはやメルシーの言うことなら何でも聞くといった感じの賊共。

 指名された3匹は帰らせ、残りはしばらくして到着した憲兵に引き渡した。


 こんな連中の妨害などもうどうでも良い、早くキャシーが到着して、賢者の石の封印を解くのだ。

 その先はもう、南の四天王アンジュとの直接対決である……

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