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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十四章 忘れられた村
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436 犯人の正体

「はいは~い、そこはもっと詰めて下さい、より多くの人が犯人指摘の瞬間に立ち会えるよう、ご協力をお願い致しま~す……クソッ、おいセラ、どうして俺達がこんなスタッフ紛いのことをしなきゃならんのだ」


「仕方ないでしょ、宿泊客も入れると凄い人数なの、どこからこんなに沸いてきたのかはわからないけど、あ、すみませ~ん、真犯人である可能性が低い方々は現場の室内じゃなくて廊下での待機を、え、前で見たい? ワガママ言っているとこの世から追い出すわよ……」


「全く、まるで台所の隙間からひょっこり出て来るアイツみたいだな、あっ、おいそこのお前何やってんだ? それは大事な証拠品だ、記念にガメようとするんじゃねぇっ! それともアレか、お前も殺人事件の被害者にしてやろうか?」



 鬼畜美少女探偵であるマーブルが犯人の指摘をするイベント、そこには当然ホテルの従業員だけでなく、宿泊していた客も全員集められた、それが探偵モノの基本であるためだ。


 もちろん拒否すればその場で犯人(仮)として指摘、もし潔白が証明されたとしても、一度疑われた者を野放しにすると補償とか賠償とか、とにかく国の方で色々と面倒なことになてってしまう、ゆえに始末されることが確定する。


 と、殺されてしまうというマイナス面での理由もあるのだが、実はこの鬼畜探偵、王都のみならず様々な町で何かと有名なのだそうな。


 なので強制せずとも、宿泊客は興味津々で、むしろ現場の交通整理をしている俺達に取って迷惑なぐらい積極的にこの犯人指摘イベントに参加しようとしている。


 まぁ見た目は可愛いし、それでいて次々に事件を解決しているのだ、多少なりとも有名になるのが普通だ。


 そして、そういった存在が宿泊していることは、これから指摘される予定の真犯人も承知しており、通常であればそれを理由として、マーブルが滞在している間の犯行は控えるはず。


 だがそれだとストーリーとして成り立たない、成り立たなければ探偵が活躍する機会も訪れない。

 そのはずなのだが……はずなのだが、どういうわけか事件は必ず発生してしまう。


 探偵に敗れ、その犯行を白日の下に晒される者は、その知能が如何に高かたっとしても、わざわざ『探偵の滞在期間を狙って』犯行に及ぶのである。


 もうここまでくると『探偵が殺人事件を誘発している』という、誰もがそうではないかと思う予測の証明にリーチが掛かりそうな勢いなのだ。


 しかしそれが証明されてしまった場合、全ての異世界に存在しているのであろう、警察を差し置いて不可解な殺人事件を解決に導くという、にわかに信じ難い活躍をするタイプの探偵はおまんまの食い上げ。


 これによって殺人事件は相当に減少するはずだが、その分探偵の大活躍を伝える情報に胸躍らせる一般民衆の娯楽、さらには『勉強すれば探偵になれる』という、保護者によるいい加減な方便への利用も叶わなくなってしまう。


 つまり、超頭脳で殺人事件を解決する探偵が居なくなった場合の利益と不利益を比較考量すると、明らかに不利益の方が大きく、よって探偵の活躍を否定するような証明をすべきでないとの結論に至るのだ。


 まぁそんなことはどうでも良い、考え事をしながらボーッと案内係を続けている間に、ホテルの宿泊客は全て捌かれて廊下に整然と並んでいた。


 ちなみに、生美少女探偵に興奮し、俺達スタッフの指示に従わなかった者も数多く、非常に困惑させられたのは言うまでもない。


 当然そういったカス共には制裁を加え、美少女探偵はおろか、二度とお天道様を拝めないようにしてやった。

 今は潰された目を手で押さえながら、邪魔にならない場所でのた打ち回っている、ざまぁ見やがれ。



「さて、これで会場準備の方は完了ね、私達は厨房に入って良いらしいから、こんなゴチャゴチャしたと場所よりもそっちに行きましょ」


「ああ、結局犯人は誰なのかな? 証拠もあの赤黒い玉と、片栗粉とニンジンのヘタだけだ、あんなので本当に真犯人がわかるってんだから驚きだよな」


「案外ここでも適当に決めるのかも知れないわよ、さっきチョビ髭がダーツを用意していたし」


「それは構わんが……俺達の名前だけは絶対に入れないように言っておこう、特に精霊様な、真犯人に当選しなかったとしても、名前を書かれただけでキレること間違いなしだぞ……」



 チョビ髭オヤジが必死で作っていたダーツの的を確認すると、やはり俺達勇者パーティー全員の名前が記載されてた。


 もちろん本格的に迷宮入りしそうなときにだけこういった『抽選』をすることになるのだが、もしそのときが来たときに問題が生じるのは拙い。


 ということで、俺達の名前を消さない場合には、貴様を殺してその髭を便所掃除のブラシにするとチョビ髭を脅し、ダーツの的の半分にオーナーのジジィやシェフを始めとしたホテル従業員の氏名、残り半分のうちさらに半分には『チョビ髭』、残りの部分は……タワシで良いか。


 それで本当に準備を完了した俺達は、既に他のメンバーや真犯人候補の容疑者達が待機させられている事件現場、厨房へと足を運んだ……



 ※※※



「これこれ、やっぱ犯人指摘イベントはこのぐらいの人数じゃないとな」


「そうね、しかも自分が犯人扱いされる可能性がゼロだと思うと安心して、楽しく見ていられるわ」



 厨房に集まったのは俺達勇者パーティーがアイリスとエリナも含めて14人、まぁこれはオブザーバー参加だ。


 他の者、つまり真犯人候補の本命達は、シェフと見習いで計3人、それ以外の従業員モブが5人、あとはこのホテルのオーナーであるジジィ、合計で9人である。



「さてと、全員集まったわね、あ、王女様はそっちの高そうな椅子で、槍持ちは……チョビ髭、外野の中から公務員、出来れば兵士を呼んで来なさい、ダッシュで」


「畏まりましたっ!」



 生意気なマーブルも、一応は自分の所属国の王女たるマリエルに対して敬意を払うようだ。

 だがその分特別扱いを受けない精霊様が怒っている、後で宥めておこう。



「探偵様、休暇でバカンスに来ていた王都の高級兵士を発見しました、ではお休みのところ申し訳ありませんが、王女様の武器を持つ係をお願いします……と、既に始めているのですか」


「遅いっ! てかそのぐらい喋らずにやりなさいよ息が臭いんだからっ! ほら、終わったら次の仕事でしょ、おじいちゃんをここへ連れて来なさいよ、早くっ!」


「かかかっ、畏まりましたっ!」



 本番を目前にして溢れんばかりの無能ぶりを発揮しているチョビ髭。


 これが本来は探偵の秘書ではなく、王都で刑事デカとしての職を持っているのだから驚きだ。

 いや、探偵を際立たせるため、国の方でわざとこういう役立たずを選抜し、補佐として宛がっているのか?


 とにかくモタモタと、最後の段取りを取るチョビ髭に対し、待たされている真犯人候補のイライラは最高潮に、外で見ているギャラリーも騒ぎ始めたようだ。



「おい早くしろってんだこのクズ野郎! てめぇみてぇなクソがわしの宿に客として来ていたなんて、こんなもん末代までの恥だぜっ!」

「そうですよ、だいいちこういう準備を済ませてから我々をここへ呼ぶべきでは? 特に私は先程疑われて、それで無償に腹が立っているのです、このままだと無能だった見習い①君のようにあなたも……いえ、今の話は忘れて下さい」



 思わずとんでもないことを口にしてしまった最有力候補のシェフ、この時点で既に犯人らしさをプンプン醸し出している。


 だが探偵からしてみれば、その一般人にも察知可能なオーラを放つ真犯人は、単に犯人というだけでなく営業妨害までしてくる凶悪犯罪者に他ならない。


 もし本当に、この場に居る多くの人間が予想しているように、今回の犯行がシェフによるものであると指摘されてしまった場合、ギャラリーからすればガッカリどころの騒ぎではないのだ。


 まぁ、だからといって確定した犯人を捻じ曲げるのは芳しくない、どころか無理矢理な理由で抽選で決めたような奴を犯人に仕立て上げても、人によってはそれが嘘でヤラセだと簡単に見抜いてしまいそうである。


 つまりマーブルも今回に限ってはデタラメが出来ないのだ、ゆえにここはつまらない結果であったとしても、その後の『動機公表イベント』や『悪あがきイベント』で、それなりのエンターテイメントが提供されることを祈る他ない。


 そう考えながらチョビ髭の作業が終わるのを待っていたところ、ようやく準備が整ったようである。

 まずは美少女探偵たるマーブルが前に出て……突然気を失ってしまったではないか……



「え~、皆様、意識を飛ばした探偵様はこれより、おじい様であるキマりのダイジローに憑依して……」


『うるせぇっ! そんなことわかってんだよっ!』 

『そうだそうだっ! 貴様は黙っておけこの無能がっ! てか死ねっ!』

『美少女探偵は見たいけど、チョビ髭は見たくないのよね……』



 マーブルの気絶と同時にシステムの解説を始めたチョビ髭に対し、外野連中からの非難が殺到する。

 事情を知らない俺にとっては解説は有り難かったのだが、有名なマーブルについて良く知っている連中からは邪魔でしかなかったようだ。


 まぁ、俺としても解説なら可愛い女の子にやって欲しかったと思う、いくら何でも汚く無能なチョビ髭オヤジのナレーションなど聞きたいとは思えないのである。


 と、気を失って椅子に倒れ込んだマーブルの代わりに、そのじっちゃんであるシャブ漬けの、じゃなかった何だ? とにかくダイジローが突如正気を取り戻したかのような顔をし、目を見開く。


 そのまま自分を椅子に縛り付けていた縄をブチブチと引き千切り、椅子も粉々に粉砕して立ち上がった。

 しかも先程までの痩せ細り、死を待つのみであった体が、いつの間にか筋肉隆々、格闘家のようなボディーに変貌している。


 これがダイジロー本来の姿か、ここで判明したのは、コイツをシャブ漬けにしてあったのはマーブルの趣味だけを理由とした行動ではないということ。


 きっと犯人を見つけるとこの状態になり、ソイツを仕留めるまで破壊の限りを尽くすのだ。

 現に、拳を握り締めたダイジローは、まさに今真犯人候補の並ぶ壁に向かって強烈な一撃を……止まった!



『ふぅっ、今回もギリギリで間に合ったようね、全くおじいちゃんは危険なんだから』


「おいちょっと待てマーブル、お前それどうなってんだ?」


『う~ん、説明するのが面倒ね、後で私の本でも買って勉強なさい』


「いや、そのビジュアルでその声はやめろってことだ、原理はどうあれこの上なくキモいんだよ……」



 ムキムキマッチョジジィのボディーから発せられるマーブルの女の子然とした声。

 憑依するのは構わないが、そこは元のじっちゃんの声を踏襲した方が良かったと思う。


 が、これでもし真犯人が暴れだしても平気である、か弱いマーブルでは野郎の、しかも殺人犯などには到底敵わないはずだが、今のこのジジィスタイル、その戦闘力は王国軍のわりと精鋭寄りな兵士と同等かそれ以上だ。


 その姿のマーブル、いやマーブルの心だけ持った何かが、まずは着ていたシャツをバリバリと破り捨て、次いで人差し指をまっすぐに伸ばした右手を、可能な限り高く掲げる。


 キッと真犯人候補の並ぶ壁を見据えたマーブル、いよいよ本日のメインイベントが執り行われるのであった……



『犯人は……お前だっ! それからお前もだっ!』


「ふ、2人だとっ!?」

「しかもシェフが犯人じゃないのねっ!?」



 予想を裏切る展開、なんと犯人が2人指摘されるという、このテの話では反則のような結末。

 しかも大方の予想を裏切り、真犯人は怪しい言動をしていたシェフではない……うむ、これは王道のパターンか……


 しかし、犯人として名指しされた2人もキョトンとしているではないか。


 その2人は見習い②と見習い③、死んだ見習いと全く同じ、まるで金太郎飴でも切ったかのような顔をした2人が、まさかの犯人として指名されたのである。


 とはいえ犯人候補の数は絞られていたのだかrこれも不思議なことではない。

 あとはその根拠、この2人が真犯人だという不動のエビデンスを、マーブルが提示することが出来るかどうか、それ次第だ。



『これにて犯人指摘イベントを終わるわ、しばし休憩の後、改めて理由の説明をするからそのつもりで』


「おいおいっ! ここで一旦CMなのかよ!? 明らかにタイミングが間違ってんだろ!」


『仕方ないじゃないの、この姿だとやり辛いし、そもそも美少女探偵としてこれはどうかと思うビジュアルだわ、元に戻るまで5分ぐらい掛かるか、真犯人が暴れない限りこのまま休憩よ』


「マジでいい加減な探偵だな……」



 とはいえ規定の時間が経過しないと元に戻らないものはどうしようもない。

 名指しされた見習いの2人も特に動く様子はないし、このままマーブルが自分の体に戻るのを待つこととしよう……



 ※※※



「うぅっ、うぃ~っ……」


「おう、元に戻ったかマーブル、早速推理の仔細を教えてくれ、どうしてあの2人が犯人なのかをな、そしてどっちが主犯なんだ?」


「そうね……2人は共同正犯といったところかしら、同じ目的を持って、別の役割を果たしてガイシャを死に追いやったのよ、噂話を国の機関である勇者パーティーや王女に漏らしたことを理由としてね」



 見習い②と見習い③を真犯人として指摘したマーブル、なんだかんだ言って、俺達が王国に所属する勇者パーティーであることは元々見抜いていたようだ、初対面での不遜な態度はフェイクか。


 もちろんマリエルが王女であることを見抜いていたのは間違いない、それは既に確認済みだ。

 初対面で王女様と呼んで、上座の良い椅子に通す行動はそれが誰だかわかっていないとすることが出来ないのである。


 そして、そんな賢い美少女探偵マーブルの推理は続く……



「まずこの片栗粉とニンジンのヘタ、おそらく賄いにはニンジンのソテー、それも客に出すことが出来ないような、ちょっとシナった野菜を使っていたはず、片栗粉に力の残滓が残っていたのは、ソテーする前に塗した余分な粉を叩き落としたときに移った、そういうことなのね」


「ふむ、つまり犯人は賄いのニンジンソテーに、その正体不明の力を仕込んだんだな?」


「そう、今そこにある死体、というかもはや『人間であった何かの痕跡』ね、それには体の内部から破壊された形跡があるの、ねぇシェフさん、ガイシャが突然死したのは朝食を取った後なんでしょ?」


「そうです、まずは朝の腹拵えということで、それぞれが自分の朝食を……いえ、亡くなった見習い①君は大変に無能でして、いわゆる朝飯前の仕事が終わっていなくてですね」


「だからこの見習い②と見習い③が、彼の分まで賄いを作ってあげた、そうね?」


「ええ、そうです、というか毎朝のようにそうでした、今日用意していたのは……」


「ニンジンの切り口からして見習い③の方ね、まるで料理などしたことがない、とてもシェフの見習いとは思えないものよ、昨夜ニンジンを下拵えしていた見習い②とは雲泥の差だわ」


「ま、まぁそれは……彼は良く気が付くし、仕事上は有能の部類ですが、どうも料理の腕が付いてこなくて困っていたところだったんです」



 マーブルが読んだのは朝の賄いに関して、客に出せないニンジンを、従業員用に焼いて食べていたことを確認、そのヘタの切り口から、とてもシェフ見習いとは思えない腕前の見習い③がそれを切ったこと、そして賄いを調理したことを推察したのだ。


 さらにマーブルの話は続く、次は大理石の下にあった赤黒い玉についてだ……



「シェフ、あの魔法の玉、確かにあなたの所有物だとは思うけど、どうやって手に入れたのかしら? さっきもちょっと聞いたけど、もう一度話して貰える?」


「あ、アレは見習い②君が買出しの際に……あっ、大量生産の製品を買って来いと言ったのに、どうしてあんな一点モノの良い品を、余裕で予算オーバーのはずじゃ……」


「それは簡単、魔力とは別の力を通して、人を殺すのに十分なエネルギーを得るためよ、普通に魔力を通せば炭火焼きの魔石、でも私達には良くわからない、強い力を通せば人ぐらい簡単に殺せるわ……ちなみにさっきそっちの異世界勇者が触ったときには少しだけ発動していたけど、その力が存分に発揮されそうね」


「ん? おれがあの玉触った時出ていた力か、そういえば精霊様もそれに反応して飛び込んで来たんだよな……」


「うん、魔力でも、そこで偉そうにしている精霊の力、即ち霊力でもない、そして神々が振るうちからとも違うけど、異世界勇者は神の遣いだものね、とりあえず神通力ってことで、それと同じ力を持っているあなた達見習いの2人、そろそろ正体を現したらどう?」


『・・・・・・・・・・』


「おい見習い②、見習い③、何とか言ったらどうだ? 正直こんなにファン的な奴等が入る前で言いたくはないけど、このマーブルの推理は乱暴すぎてとても探偵モノとは思えない杜撰さだぞ、ほら、まずは見習い②、お前がなにか反論してみろ」


「バレたのであればしょうがないの」


「え、何だって? もうちょっと大きい声でおねがいしまーっす!」


「バレたのであれば仕方ない、ゆえにサラバじゃっ! せいっ!」



 不穏な台詞とともにドロンッと煙に包まれる見習い②、見習い③も一緒だ。

 これは逃げ出すパターンだ、そして、この2人は間違いなく勇者風ハゲを操る大仙人、またはその仲間か部下辺りの存在である。


 まず、煙の隙間から覗く正体を現した2人の顔が、これまでの見習い①と全く同じ顔ではなく、白い髭を大量に蓄えた、山奥にひっそりと住んでいそうなものに変わっているのだ。


 完全なる仙人、そしてどこかへ転移しようとしているのは明らか。

 このままでは何の理由も判明することなく、ただ1人の死者を出したのみでこのコンタクトが終わってしまう。


 一瞬、もうダメかと思った次の瞬間、そこで転機は訪れた。

 見習い③の方が、転移の際に大理石の下に設置された、事件の証拠品であるあの赤黒い玉を持ち去ろうとしたのだ。


 次の瞬間、片膝を立てて高級な椅子の横に居た兵士の手によって、大きな槍が1本、床と並行を保ち、ふんわりと宙を舞ったのである……

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