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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十二章 怪しい店
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415 発足式の前に

「……ということなんだ、既にこの村にもボッタクリバーは存在する」


「大々的に観光客を受け入れる前で良かったですね、でもそろそろ近隣の代表者が来ると思いますから、なるべく早く対応しておかないとなりません」


「うむ、今日はもう腹も減ったし疲れたからアレだが、明日の夕方には調査のために入店、日が暮れる前には強制捜査といきたいものだな」



 ハウスに戻り、とりあえず丙と丁を正座させたうえでメンバーに事情を話す。

 アイリスは夕飯の支度をしているようで、厨房からは良い匂いが漂い始めていた。


 発足式のためにこの拠点村へと集う各国の代表者が、ボッタクリの被害に遭うことを懸念するマリエルの気持ちは良くわかる。


 最初の最初でそんな目に遭う、しかも国の代表として訪れたにも関わらずだ。

 それはこの拠点の凄まじいイメージダウンとなる、確実に避けなければならない。


 まぁ、公務として来たにも拘らず、ボッタクリかどうかは判断しかねるとして、そういった店の扉を開ける時点でどうかと思うのではあるが……



「それでだ、今日は夕食後、この大馬鹿者2人に対して厳しい罰を与えることにした、2人共覚悟は出来ているな?」


『は……はいぃぃぃっ!』



 縛られた状態のまま必死で土下座する丙と丁、床にズリズリと頭を擦り付ける。


 そのやかましさに、部屋の隅で寝かせてあったミラが目を覚ましてしまったではないか。

 これはお仕置き追加だな、せっかく気持ちよく寝ていたところを、騒音によって起こされたミラも不機嫌そうな顔だ。


 ちなみに同じく寝かせてあったリリィは、特に問題なく寝息を立てている……こちらは夕飯の準備が出来た瞬間に飛び起きるはずだ。



「あの、ちなみに私達の分の夕食は……」

「えっ? あるよね、夕飯抜きなんてことはないよねっ!?」


「そうだな、お前等そのものを串刺しにして焼いてやっても良いんだが、どうする、こんがり焼けた自分の肉でも喰らうか?」


『ひぃぃぃっ! 調子に乗ってすみませんでしたっ!』



 もちろん丙と丁の分も夕飯が出るはずだ、厨房に立つアイリスも俺達が2人を連れて戻ったのを確認したはずだし、食材は勝手に配達されるため不足するようなこともない。


 必死で土下座する2人の頭を拳でグリグリと痛め付け、食事を出してやることを告げる。

 さらに深く、床にめり込む勢いで土下座した2人、俺様の慈悲に生涯感謝すると良い。



「は~い、みなさ~ん、夕飯の支度が出来ましたよ~」


「おっ、カレン、ルビア、配膳を手伝ってやってくれ、リリィは……どこへ行ったんだ?」


「音もなく飛び起きて自主的に配膳を手伝っていますよ、雰囲気で夕飯の完成を察知したらしいです」


「そうか、何か知らんが凄いな、とにかく夕飯にしよう」



 夕食を終え、風呂にも入って少しゆっくりする、その後、いつもの居間で村全体のマップを広げ、丙と丁に対し、まずはサキュバスボッタクリバーがどこにあるのかを示させることとした。


 ついでに今現在村にどんな施設や店舗、またはその予定地があるのかも確認しておこう。

 これから先、各国の代表者を迎えるに当たって非常に重要なことだ。


 ローテーブルを囲んで床に座り、丙と丁の2人は罰として石抱き用のギザギザの上に正座させた。

 後ろで三角木馬や鞭打ち台をセットする精霊様が、あえてガチャガチャと音を立てている。


 その音に恐怖しながら、そして時折振り向きながら、ついでにギザギザの痛みに耐えながら、2人は広げた地図の上に様々な施設名を書き込んでいく。


 もちろん、赤書きしたのは問題となっているサキュバスボッタクリバーである……



 ※※※



「よっしゃ、これで終わりってことで良いんだな?」


「え、ええ、ちゃんと全て書き込みましたから、出来ればこのギザギザから降ろして頂けると……」

「痛い~っ、スネとかめっちゃ痛い~っ!」


「黙れ、そんな要求が通ると思ったのか? ルビア、ジェシカ、石抱き用の重石を持って来てくれ」


『ひぃぃぃっ!』



 畳的な何かを外すと、まるで掘りごたつかの如く空間が現れる、その中には大量の拷問セット、もちろん石抱き用のアイテムもそこに含まれている。


 重い石の板を6枚、そこから取り出す、まずはおかしな要求をしてきた丙からだ……と、その前に色々確認しておかねばならないな……


 ということで2人を石抱き用のギザギザから降ろし、再びテーブルの上の地図に向き直る。

 赤書きされたボッタクリバーは、温泉施設からすぐ近く、南へ向かう正面大通りに面して存在していた。



「で、この道にはいろんな店が並ぶんだな、商店街なのか?」


「はい、そのつもりです、ここが肉屋でここが魚屋で……」


「で、ボッタクリバーはここと……一番良い角地じゃねぇかっ! あと何なんだそのすぐ横にあるデカい建物は?」


「これは宿泊施設です、発足式に来た人達の中で、官位が低いような人はまとめてここに滞在して頂くことになっていますね」


「もう入れ食いじゃねぇかぁぁぁっ!」


「あいてっ! ごめんなさいっ!」



 アホすぎる状況を作り出し、それを堂々と告げた丙の尻を木の板で引っ叩く。


 発足式のために適当に送り込まれた木っ端役人や団体の事務担当者、おそらく俺達とそう親しくない連中が、そういったランクの低い出席者を用意するはずだ。


 となると、『その連中がボッタクリの被害に遭う⇒本国や団体の事務所に戻り、その旨を半泣きで報告する⇒この拠点を運営している勇者パーティーの評価が下がる⇒めっちゃいじめられる』という流れで、俺達は後々大変な損失を被ることになる可能性が高い。


 これはさっさとどうにかしなくては、間違いなく大変なことになるぞ……



「それで丁、出席者の中で一番早い奴はいつ来る予定なんだ? そのぐらいの連絡は受けているだろ?」


「え~っと、確か今朝早馬が来て、ペタン王国の参加者は明日の朝には団体で来るらしいよ」


「王国が? ちょっと参加者の名前を言ってみろ」


「王国は確か……第一王子、筋肉団長? それと王子のお付きと護衛が全部で15人だったかな……」


「なるほど、インテリノ王子と、それから筋肉団はゴンザレス、王子のお付きの人は怖そうなメガネのおばさんだろうな、とはいえ護衛の兵士が……まぁ王国の奴等ならどうなっても良いか、作戦は明日の夜で十分だな」



 おそらく低身分者用の宿舎に泊まるはずの護衛団15人、もちろんおっさんばかりなのは言うまでもない。


 そして、着いたら速攻で飲みに行くのも確実、さらには宿舎の真横にある、ちょっとエッチそうな店に入るのも確実、それが1軒目か2軒目かはわからないが、とにかくいずれのタイミングでも入店しない可能性はゼロである。


 護衛団は間違いなくヤられるな、いや、もしかすると俺達が調査に入る時間と被るかも知れないな。


 それなら話は早い、自ら被害に遭って不快な思いをするよりも、横で兵士のおっさん達がボッタくられて居るのを確認し、その事実をもって摘発のための証拠とすれば良いのだ。


 その場で捕らえたサキュバスお姉さん達をどうするのかについては後々考えなくてはならないが、少なくとも被害者を脅迫するための『男性スタッフ』が雇われているはずだ。


 そいつらを目立つ場所、例えば広場などで残虐処刑して惨たらしい死体を晒し者にし、以降に到着する出席者達への注意喚起のネタとしよう。



「さて、じゃあ摘発作戦は明日の夕方として、2人共後から現場検証等で呼び出すかも知れないからな、そのつもりで居るんだぞ」


「わかりました、となると夜ぐらいですかね、執務室で待っておきます」

「じゃ、私達はもう帰るね、明日も朝早いしこんなところで……」


「おいコラちょっと待て、お前等は今日帰れません、やったことがやったことだからな、そっちで精霊様のお仕置きを受けるんだ」


「もちろん、朝までみっちりよっ!」


『ひぇぇぇ……』



 三角木馬の横で鞭を振り回す精霊様、諦めた丙と丁はその三角木馬にライディングし、鞭で打たれて苦痛の声を漏らし始める。


 今夜は2人の呻きと悲鳴をBGMにして寝ることとしよう、冷えてきたし、カレンでも抱えて……と、既にジェシカに奪われていた、『耳掃除をしてやる』という名目でガッチリとホールドされてしまっているではないか……


 仕方ない、もう1人の温かいキャラであるマーサを抱えて……こちらもマリエルとアイリスが挟み込んで使用している、このままだと俺が凍えてしまうな。


 俺の左に寝るルビアは定位置に着いたのだが、右側が寂しすぎる。

 セラはミラと一緒に寝るのが常だし、そもそも痩せすぎで温かさなど微塵もない。


 ユリナ、サリナ、エリナの3人は仲良く1つの布団で寝ている、あそこに割り込むと角がどこかに刺さって大怪我をしてしまいそうだし、リリィは布団を使わないのだ。


 精霊様はまだ丙と丁のお仕置きを続ける感じだし、さて、どうやって暖を取ろうか……そうだ、いいことを思い付いたぞ、暖を取るための『抱き枕』がないのなら、呼び出してしまえば良いのである。


 半分寝ていたアイリスに声を掛け、持たせてある護身用魔導デバイスの在り処を聞き出す。

 バッグの中にあったそれを取り出し、2つあるボタンのうち白い方をポチッといく。


 たちまち白い光が現れ、全裸の女神が召喚された……



「わわわっ!? ゆ、勇者よ、どうしたのですかこんな夜更けに、しかも着替え中を狙うとは破廉恥な……」


「いや、別に狙ったわけじゃないぞ、たまたまそうなっただけだ、運命なんだよこれは、神の思し召しってやつさ」


「そんな思し召しには覚えがありませんっ! あ、でもちょうど良かったです、勇者と、それからお仲間の皆さんに伝えておきたいことがあったのです」


「伝えておきたいこと? どうせろくでもない話なんだろうな、簡潔に、30文字以内かつ10秒以内に頼むわ」


「ええ、実はですね、勇者パーティーに伝えておきたいことというのは……」



 冒頭で与えられた30文字を使い果たし、さらに余裕で10秒を経過しているにも拘らず、当たり前のように話を続ける馬鹿女神。

 きっと数も、そして時間すらも数えられないのであろう、誠に哀れな存在だ。


 ちなみに俺と、信心深いがゆえ跳び起きたマリエルとジェシカ、女神の話を聞いているのは3人だけである。


 他はグダグダと横になったりしてフル無視、精霊様に至っては、丙と丁に対してより一層強く鞭を打ち付け、女神の語りを妨害しているのであった。


 で、その相手にもされないかわいそうな女神が言うには、四天王を全て討伐し終えたところで、俺達に対して何らかの報酬が授与される可能性があるのだという、もちろん神界からだ。


 これまでの報酬というと、王国のケチババァが選定する粗品めいたもの、つまりタオルや雑巾、ボックスティッシュに、酷いときにはシケモクの詰め合わせなど、とんでもないものばかりであったと記憶している。


 もちろん金も貰えることはあったのだが、王都の財政が比較的しっかりしていた最初の頃と比べると、その内容は極めてショボいといわざるを得ない。



「まぁ、それはわかった、ということでお前はこっちへ来いっ!」


「え? ちょっと、女神たるこの私に何をっ!? いやぁぁぁっ! せめて衣服ぐらいはっ!」



 俺が女神を呼び出した理由はそんな話を聞くためではなく、抱き枕にするためだ。

 慈愛に満ち溢れ、ほんのりとした温かみを持つ女神のボディーを抱え込み、寒さを感じることなく朝を迎えた……



 ※※※



 翌日の夕方、早目の夕食を済ませた俺達は、いよいよサキュバスボッタクリバーの摘発、いや、まずは調査から始めていくためにハウスを出る。


 もちろん全員では行かない、俺とセラ、ルビアにジェシカ、その4人を選抜メンバーとした。


 他はどう考えてもそういう店に入って良い見た目でなかったり、人族の地なのにそれ以外の種族であったりと、怪しまれずに調査を行うのには少しばかり支障がある連中ばかりなのだ。


 ちなみにマリエルも参加させようと思ったのだが、今日は別件でお出掛け中、発足式に参加するために派遣され、今朝方到着した弟のインテリノに会うと言って出て行ったきり戻らない。


 ということで参加者は4人、徒歩で店のある場所へと向かう、かなり目立つその店の隣の宿舎からは、やたらに盛り上がった兵士の一団が出て来ている最中。


 兵士達は全員、当然のようにサキュバスの店を見据えているのだが、やはり2軒目か3軒目にするようだ。

 非常におっさんらしい選択をした兵士15人は、いくつか営業を開始している一般の居酒屋を求め、夕暮れの商店街へと消えて行った……



「よぉし、じゃあ入るぞ……と、おさわりは1回銅貨1枚なのか、それ以外のサービスは……」


「ちょっと勇者様、いくら精霊様の力で魅了をカットしているとは言っても、変なことしたら突然効果が途切れるかもなのよ、それと、私も承知しないわ」


「お……おう、魅了封じの効果の前に、俺の息の根が途切れそうだからやめておくよ……」



 店の前に掲げられたピンクの看板、おさわりが銅貨1枚であることの他に、ドリンクの料金や料理のメニューなどが書き込まれている。


 これだけ見ればかなり良心的な価格設定だ、まぁおさわりで金を取るのはどうかと思うが、この表示が真実であった場合、世に蔓延る野朗共からの支持を得ることが出来るはずだ。


 しかし、実際は座るだけで世界の半分を請求される、またはここではやり方が違い、もっと別の方法で高額請求を仕掛けてくるのかも知れない。


 とにかくまともではないことだけは確かだということを頭の片隅に留めつつ、豪華な装飾風のハリボテ装飾が施されたドアに手を掛ける……



『いらっしゃいませーっ! お客様、え~っと4名様ご来店ですっ! ささっ、こちらへどうぞ』


「うむ、では早速生4つで」



 こういう店ではあるが、俺達にとっては1軒目であるため、とりあえずの生を注文しておく。

 奥のソファに通されるものの、すぐに脅しを掛ける係がやって来る様子はない。


 そのうち来るのであろうが、それまでは生を飲んで待つこととしよう。

 しばらく待つと、ジョッキに入った生を持ったサキュバスが……



「はい生4つ、お待たせしましたーっ」


「いやちょっとお姉さん、どう見ても3つなんだが」


「イヤだなー、わかってるくせに、お客様の『生』はこちらっ!」



 サキュバスのお姉さんが胸のボタンをパパパッと外す、その下からボインッと出現したのは、生は生でも生おっぱい、実に良いサービスだ、こんな序盤で本当の『生』がお目見えするとは。



「それじゃ、いっただっきまーすげろぺっ!」


「勇者様、二度と生を堪能出来ない体にするわよっ!」


「も……もうなってます……」



 サキュバスお姉さんの生おっぱいにしゃぶり付こうとした瞬間、セラによって処刑されてしまう。

 だがその勢いでワンタッチだけ、ほんの一瞬だけ『生』を堪能することが出来たのであった。


 柔らかい、スベスベの質感、ルビアからの治療を受けながら、その一瞬の幸福を二度と忘れまいと誓い、目を閉じる……違う足音が近付いて来たではないか、しかも薄汚い野郎のものだ……



『はーいお客さーん、今触ったよね? おさわりしたよね?』


「ん、何だ貴様は? この鬱陶しいゴリラ野郎め、キモい顔を晒してないでブタ小屋にでも引っ込んでいろ、さもなくばぶち殺すぞ」


『いやいやお客さん、今おさわりしたんだから、その分の料金を払ってもらわないと、え~っと、今触った面積が5c㎡だから、1μ㎡あたり1回銅貨1枚として、分子レベルで3万回は触っているはずだから……おさわり代は『世界の半分』だな、耳を揃えて払って貰おうか』


「おいコラ待てそこのクソゴリラ野郎、何が世界の半分だ、何がどうあってもその請求内容じゃなきゃいかんのかこのボッタクリバーはっ!?」


『おっと、そのことを知っていたのか、じゃあタダじゃ帰せねぇな、世界の半分と、それから追加料金で貴様の命も貰い受けるっ! 死ねぇぇぇっ!』



 殴り掛かってくるゴリラ風おっさん魔族、遅い、そしてパワーもミジンコ並みだ。

 顔面を狙ったと思われる最初の一撃をスッと回避し、そのままルビアが飲み干していた生のグラスを顔面にブチ当ててやる。



『がぁぁぁっ! ひょんげぇぇぇっ! いだいぃぃぃっ!』


「何だお前、散々調子乗っておいてもう終わりか? ジェシカ、やかましいから気絶させておけ」


「うむ、ではこちらのグラスを使って……それっ!」


『ひょげっ……』



 自分の飲み干した生のグラスでゴリラ魔族の後頭部を殴り、あっさり気絶させたジェシカ。

 ちなみに体の小さいセラは未だに生を飲み干していない、そして俺のに提供された生は、恐怖で地面にへたり込んでしまっている。



「おい生のお姉さん、この場で直ちに死にたくなければオーナーを呼べ、ダッシュで!」


「しょ、承知しましたぁぁぁっ!」



 生おっぱいをボインボインと揺らしながら、店の奥へと走って行くサキュバスお姉さん。

 すぐに別のサキュバスが現れ、床に平伏して命乞いを始めた……



「邪悪な暴力組織の方とは知らず、不当な請求をしてしまったことは謝罪致します、どうかっ! どうか命だけはっ!」


「誰が邪悪だっ! 貴様、異世界勇者様に向かってその口の聞き方、これからたっぷり後悔することになるからなっ!」


「ひぃぃぃっ!? い……異世界勇者っ!」



 このサキュバスボッタクリバーは直営店、つまりこのお姉さんも、生のお姉さんも、そして割れたグラスの破片に沈み、虫の息のゴリラ魔族も、主要スタッフは全員が魔王軍の関係者であるはず。


 よって慈悲を与えてやる必要はない、むしろ通常よりも厳しく当たるべきところだ。


 店内に居た全員を集合させ、まずは脅し要員、クソみたいな顔の、図体だけデカいおっさん魔族5匹に死刑を宣告する。

 ルビアが治安部隊を呼びに行ったし、後のことは任せてしまおう。


 そして、残ったのは全員がサキュバス、オーナーのお姉さんは丙や丁とは仲が良いのか。

 となると営業許可を勝手に取り消し、完全にこの店を潰してしまうのは拙そうだな。


 よし、ここはひとまず営業を続けさせよう、ただし、俺の認める適切な経営方針に変えさせてのことではあるが。


 もうすぐ先程の兵士達がこの店に来るはず、最初の客はその王国兵15人だ……

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