表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十一章 西の城
403/1360

402 討ってみよう

「じゃあセラは魔力が回復するまで休憩な、次はユリナの番だ」


「わかりましたの、どっかーんっといってやりますわ」


「はっはっは、あまりやりすぎるなよ、世界が滅びてしまうからな」



 いつもデタラメをして大変な事態を巻き起こすユリナであるが、ここに関しては人が住んでいるというわけでもなく、特に困ったことにはならないはずだ。


 もちろん俺達が巻き込まれるようなことをすれば、また精霊様の鞭が飛ぶということぐらい、賢いユリナはわかっているはず、よってここは本人の制御にすべてを任せてしまうこととしよう。


 作業員の中から1匹、鎖に繋がれて『爆心地』の礎となる者を選別する。

 全員を並ばせ、その前を行ったり来たり、俺がピタリと止まると、目の前の奴がビクッとなるのが実に面白い。



「……よし、今回はお前だ、何となく顔がムカつくし、脇も臭そうだからな」


『そ、そんなっ! 勘弁してつかぁさい……』


「うっせぇこのボケがっ! 臭い口を閉じてさっさと準備しやがれっ!」


『うぅ……せめて遺書を……』


「それなら枝を使って地面にでも書いておけ、雨が降ったら無効な遺言書になるがな、ギャハハハッ!」


『ぐぅぅぅっ! クソッ、どうして俺達がこんな目にっ!』



 どうしてこんな目に遭うのか? それは自分達が馬鹿でキモ顔で甲斐性なしで、それだけでなく間接的にとはいえ魔王軍にも協力したためだ。


 いや、とんでもない低賃金で働いていたところを見るに、魔王軍からこのれんちゅうの所属していた派遣会社に支払われた金も相当に少ないはずである。


 つまりこの連中が、俺達の敵である魔王軍に対し、積極的に、しかもダンピングとも取れる低廉な価格で労働力を売却していたのは確かなこと。


 となると、この連中は間接的にではあるものの、積極的に魔王軍に対する利益供与を行っていたという結論に至るではないか。


 しまったな、無償とはいえ作業員として働かせる以上、それなりの待遇をしなくてはならないと思ってそうしてきたのだが、もう少し厳しく当たるべきであった、いや、今日以降はそうしよう。


 具体的には寝させない、、休憩させない、食事を一切やらない……いや、それは今でもそうか……ではさらに苦しめて、これから死ぬまでの間を地獄にさせる方法を考えておかなくてはならないな……



「はい、準備が出来ましたわよ、さっさとあの穴に入って行くんですの」


『ひぃぃぃっ! どうかそれだけはっ! あのバケモノに喰われるのはイヤだっ!』


「大丈夫だ、何てったってお前にはこのユリナさんの魔力が流し込まれるんだぞ、もしあの化け物に喰われそうになっても、その膨大な魔力の放出を見て一目散に逃げ出す、或いはその場で死ぬかもだ、わかったか?」


『おぉっ! そいつは有り難てぇ、何だよ大丈夫なんじゃねぇか、てことでいってきまーっす!』


「おう、頑張れよっ!」



 相変わらずの馬鹿だ、昨日セラによって同じように鎖に繋がれ、穴に入っていった奴の末路を知らないのか?


 いや、実際に見たわけではないからわからないのか、おそらく穴の奥では、魔力を注ぎ込まれた体が急激に膨張し、眼球は飛び出て腹は裂け……キモすぎるから考えるのをよそう……


 そうしている間に、意気揚々と穴の奥へ消えて行った作業員、しばらくすると鎖が伸び切る、魔法発動の時間だ。



「いきますわよっ! 有線遠隔火魔法、発射!」


「有線って言っちゃうんだな、次ぐらいからは無線でかっこよくやれるようにしような……」



 炸裂するユリナの火魔法、昨日よりも鎖の長さを伸ばし、3倍程度にしたのだが、さながら地下核実験となるその衝撃波は、穴の前でしゃがみ込んで待機する俺達を襲った。


 普通の人間であれば内蔵が破裂し、さらには飛来物によって全身を蜂の巣にされるであろうその威力。

 昨日は完全な状態で出て来たバケモノであったが、今日は少しぐらいダメージを負っていたとしてもおかしくはない。



「おっ、結構な範囲で陥没したな、奴め、相当な距離を行ったり来たりしていたんだ、きっと地下は空洞だらけだぞ」


「というか見えないぐらい先まで行っているのね、行動範囲が広いわ」



 おそらくこの地域の地下は、あのバケモノのせいで巨大なアリの巣のようになっているのであろう。

 相当の昔から地中のトンネルは掘り進められていたはずで、その『アリの巣』の規模は計り知れない。


 ……と、そこで感じ取ることがギリギリ可能な振動、次いで少し大きな揺れ……どうやら今回の大爆発にも奴が反応したようだ、徐々に近付いて来ているのがわかる。



「そのうち出て来るぞ、警戒しておけっ!」


「あと1kmってところね、700……500……300……あと100m、すぐそこよっ!」



 頼んでもいないのにわざわざ実況してくれたマーサのお陰で、バケモノが地上に姿を現す瞬間を完全に把握することが出来た。


 強い振動と共に、有線遠隔魔法で使った鎖のはみ出た穴から這い出したのは、直径1,5m程度のイソメかゴカイか、とにかくそういった類の生物。


 午前中は土埃の向こう、しかも遥か彼方で暴れ狂っている所を見たに過ぎないのだが、こうやって間近で見ると、その気持ちの悪さは尋常ならざるものだ。


 ズルズルと30m程度を地面から出し、ヘビのように鎌首を擡げ、こちらを狙っている様子のバケモノ。

 どこに目があるのかは知らないが、こちらに顔を向けている以上、何らかの方法で俺達を認識しているのであろう。


 しかし細長いな、あまりにもデカい、というよりも長いため、少ししっくりこないのではあるが、釣り餌として渡されたときにこれは何かと問われれば、イソメではなくゴカイと答えるべきだ。


 もっとも、地面から出ていない部分も含めると、推定で100m以上はありそうなこのバケモノが、『ちょっと反撃してくるキモい釣り餌』に過ぎなかったイソメやゴカイだとは思えない。


 まぁ、この類の生物は水槽の中で知らぬ間に成長し、全長1mから3m近くにまで成長するという話を聞いたことがある、本当か嘘かは知らないが、そういう話があるのは確かだ。


 で、俺の居た常識的な世界でもそのようなことがあるのだから、このトチ狂った異世界で、今目の前に居る環形動物のバケモノが、100m程度の全長を持っていようと、特におかしなことではない。


 問題はこのバケモノが、強いというだけでなく、思っていた以上に賢いということである……あ、これは喋りますね、普通に……



『……貴様等、貴様等が我の安眠を妨害し、眠りから覚めた我が空腹を感じて魔の者を喰らえば、何やら魔力の暴発のようなものを起こし、それすら妨害した不届き者共か?』


「そうだけど、何か問題でも? てかお前さ、どうしてゴカイの分際で喋ってんだよ、黙ってウネウネしながらメゴチにでも喰われとけやこのカスが」


『何だとそこのチビッ! 我はゴカイではなくイソメだっ! 確かにちょっと細長いが、それは長らく眠っていた間に痩せ細っただけのこと、わかるかっ?』


「私がゴカイだといのは誤解ですってか?」


『なぁぁぁっ!? なんとっ! 我が眠りについている間、この世界に生きる者の笑いのセンスはそこまで劣化してしまったというのかっ!? つまらん、実につまらんぞっ!』


「す……すみません……」


「ちょっと、勇者様は異世界から来た異世界人なのっ、この世界の人間がこんなにつまらないダジャレを言う低脳な存在だと誤解しないでよねっ!」


「ゴカイだけに……」


「勇者様はちょっと黙りなさいっ!」



 酷いことを仰るセラと敵のゴカイ、ではなくイソメか、とにかくあの見た目にして相当に知能が高いということだけは良くわかった。


 きっと元々は普通の小さな環形動物で、想像も付かないような長い時を生き、次第に知能を獲得していったのであろう。


 しかしどうして『海の釣り餌』たるイソメがこんな所に居るのかについては未だ言及していない。

 おそらく太古の昔、この地域は海であった説が批准されるのであろうが、少し気になるので聞いてみよう。



「はいはいっ! 少し質問よろしいですか?」


『何だつまらん人間よ、つまらん質問をしたらこの場で喰い殺すぞ』


「あっそ、でさ、何でお前みたいなキモい釣り餌がこんな陸地に居るんだ? ここは同じ環形動物でもミミズさんの縄張りだぞ、許可取ってんのかコラ?」


『許可など要らぬわっ! 我は数十万年前よりこの地で暮らしておる、当時ここは入り江で、今では地下水の中に塩分が……』



 どうやら予想通りの答えらしい、このバケモノがまだ一端の釣り餌としてこの付近で暮らしていた頃には、ちょうど俺達が居る辺りまで海の水が来ていたと。


 それが地殻変動によって徐々に離れて行き、気が付いたときには既に手遅れ。

 ここの地下にある水源を抜けて、干乾びずに海へ辿り着くことは不可能になっていたのだという。


 ゆえにこのバケモノはここに、というよりもこの地下にある水源に留まり続け、限られたエネルギーの節約のため、半ば休眠状態で過ごすことが多かったのである。


 で、ゆっくり眠っているところに俺達が道を慣らす工事を始め、その振動で目覚めたのだ。


 何事かと思い、干乾びる心配のない夜中に出て来て確認したところ、串刺しになっている魔族を見つけ、適当に喰らう、そこまでは良かった。


 だが今日になり、午前中に一発、魔力の暴発による地面の崩落、これにはさすがにキレてしまったそうで、出て来て暴れ、手近な魔族共を食い散らかして腹の虫を収める。


 そして、午後になって次の一発、またかと思って出て来たところ、俺達と鉢合わせて現在に至る、そいううことだそうな、まぁ、その辺りの経緯はどうでも良い。



「あ~、はいはい、それは何となく想像付くからもう良いや、で、この付近一帯の地下を行き来しているようだが、魔族の城とか知らない?」


『もちろん知っておる、1,000年程度前、この先に出来た邪魔臭っさい城だ、500年ほど前に城主が滅ぼされて代わったようだが、今度の奴は挨拶に来ないどころか我の存在を知らないようだ』


「そりゃお前がただの都市伝説に成り下がるぐらいジッとしてたからだろ、もっとアクティブに活動しないと認識すらして貰えないんだぞ、自己アピールが足りないんだよ自己アピールが」


『そうなのか? 時代は変わったものだ、大昔、我がひとたび姿を現せば生贄だの供物だの、何か凄かったものだが……いや、全てはあの城のせいだな、後から来てこの地域の支配者ぶりよって、やはりあの城の地下を崩落させて……』



 個人的な恨み全開であるが、このバケモノも俺達と同じ、西の四天王とは敵対する立場、いや、そこまではいかないものの、あまり良く思っていないのは確かである。


 しかしコイツが地下から城を崩壊させるということは、もしかすると俺達が行ったときにはすでに四天王城はなく、それこそ俺達の使っているような、仮設のプレハブ城になっていてもおかしくはない。


 もしかするとこれはチャンスかも知れないぞ、こいつをけしかけ、西の四天王の城をどうこうしてしまうのだ……



「おいお前、魔族の城に恨みがあるならさ、もう今から行って崩壊させてやれば良いじゃん、善は急げだぜ」


『むぅぅぅ、そうだ、確かにそうだが……良く考えれば既に穴は掘ってあるのだし、あの周辺は少しでも地中を崩せば一気に陥没する、ゆえにそこまで急ぐ必要はないのだ、つまり、ここでの目的を達成するぐらいの暇はあるということだ……』


「ここでの目的? 何か用があったのか、ならさっさと済ませて早く四天王の城を……」


『黙れこのチビ人間がっ! ここでの目的というのは貴様等を殺すことっ! 我の安眠を妨害した罪、ここで償うが良いっ!』


「いやだからさ、それはあの作業員共が勝手に……っと、何だこれはっ!?」



 俺が弁解をしている最中だというのに、イソメのバケモノは口からペペッと、黄色とも緑とも取れぬ、奇妙な液体を吐き掛けてきた。


 ベチャッという音を立てながら地面に落ちたその液体……粘度が凄い、さらに土を溶かしてしまっているではないか……



「おい気を付けろ、あのベチャッとした汁に触れると溶かされるぞ」


「勇者様、忠告されなくてもあんなキモい汁に触れたりはしませんよ、ちなみに狙いは勇者様みたいですよ」


『かぁぁぁっ、ペッ! ペッ!』


「うわっ!? 何で俺ばっかり狙うんだよっ」


『貴様だけは肉が硬そうだからだ、喰っても美味くはないだろうし、この場で溶けてしまえっ!』



 そういうことか、このバケモノ、他のメンバーは生け捕りにしてゆっくり喰い殺すつもりらしい。

 もちろんこんな奴に負けるような俺達ではないが、バケモノにそういう想像をされているというだけでもかなり不快である。


 ちなみに、敵が俺だけを狙ってくることにはメリットも存在する。

 執拗に追い掛けてくるため、俺1人がそれから逃げていれば良いのだ、他のメンバーは攻撃し放題。


 当然そのことに気付いていないメンバーは1人も……ルビア以外は居らず、俺が自由に動き回れるよう、皆さりげなくその進路を開けておいてくれる。


 徐々に後ろへ下がりながら、敵であるイソメのバケモノの体全体を地表に引きずり出すよう、敵が追撃のチャンスと感じそうなギリギリのところで攻撃を回避していく。


 もちろん追って来るイソメ、地面に空いた穴から、ズルズルとその長いボディーが、まるで掃除機のコードを引っ張り出すが如く現れる。


 最後、徐々に細くなっていったその直径が、人の腕周りぐらいの太さになったところでフィニッシュだ。

 奴のボディーは完全に穴から抜け、秋の太陽が輝く地表に晒されたのである。



「今だっ!出入り口を塞げっ! それからリリィとユリナで攻撃、セラは熱風でも送ってやれ!」


「ついでにこうしておきますっ!」


『ぎゃぁぁぁっ! この狼獣人めっ、我のボディーに何をするっ!』


「その辺に落ちていたでっかい針です、釣り餌にはこれがお似合いですっ!」



 俺が指示を出したところで動き出すセラ、リリィ、ユリナの3人、今回は水を使うべきでないため、精霊様は渋々といった感じで、地味な穴の埋め立て作業に従事する。


 さらに、敵の動きを止める目的でカレンが持ち出したのは、どこかから発掘したらしい謎の釣針。

 人の背丈ほどもあるそれをバケモノの終点部分にザクッと突き刺し、さらに地面に固定してしまった。


 というか、あのサイズの釣針で何を釣ろうというのだ? 見た感じかなり古いもので、この付近に化石よろしく埋まっていたものだとは思うが、正直言って人間に扱える代物ではない。


 まぁ、それはともかく、固定されて身動きが取れなくなったバケモノ、自分の出て来た穴は埋められ、さらにドラゴンのブレス、そして火魔法で焼かれ、ついでにその熱気を逃がさない風魔法を喰らっている。



『ぐぉぉぉっ! 貴様等、何ということをしてくれるっ! こうなったら自切してでもっ!』



 徐々に乾燥してきたようだが、それでも自分のボディーを引き千切り、釣針の拘束から逃れる程度の力はあったようだ。


 フリーになって暴れ狂うバケモノの姿は、さながら日向のコンクリートの上ででのた打ち回るミミズである。

 もちろん、そんな姿になっても攻撃をしてくるあたり、この世界の巨大生物は侮れない……



『喰らえっ! 全方位汁!』


「きゃっ! ちょっと、汚い汁を飛ばさないでよねっ! ちょっと掛かったじゃないのっ!」


「いや精霊様、溶けてる、溶けてるからっ!」


「あらやだ本当だわ、汚いし、ちょっと泉で綺麗な水を補給してくるわね」



 汁が掛かった精霊様、主に着ている服が溶かされ、半裸の状態で泉に向かって行った。

 どうやらこの汁、生物ではなく服を溶かしてしまう効果の方が大きいようだ。


 確かに、捕まえた獲物の身に着けている余計な服を溶かし、全裸の状態で美味しく頂くというのは理に適っている。

 しかしそれなら俺を狙うなよな、どうせ肉はほとんど溶けないんだし、もっとこう、女の子をだな……まぁ良いや。


 と、その間にもリリィとユリナの攻撃は続き、バケモノイソメは少しずつ、確実に追い詰められていく。

 そろそろ動けなくなりそうだな、その前に何か仕掛けてくるとは思うが……



『おぉぉぉっ! 我が、我が乾燥していく……このままでは拙い……ウエイト攻撃でぺちゃんこに潰れ、死んでしまうが良いっ!』


「皆避けてっ! 圧し掛かってくるわよっ!」



 100m以上もあるボディーを一気に伸ばし、さらにそれをグネグネと曲げ、ちょうど俺達の居る場所へ、全体が覆われるように落下して来るバケモノイソメ。


 ど真ん中の俺とマリエルだけは避け切れるかどうか微妙だ、他は大丈夫そうだし、ここは俺がカバーするかたちでマリエルだけ守ろう。


 槍を突き上げ、そのままカウンターとする姿勢で構えるマリエル、その後ろから俺が聖棒を真横に持ち、それで受け止める態勢を整える。


 少しダメージは大きいと思うが、あのヌメヌメの気色悪いボディーが、マリエルの柔肌にベチャッと行くよりはマシだ。


 当然マリエルの槍、そして俺の聖棒によって発生した攻撃効果で、奴の体液がブワァーッと……それも全て俺が被ることとしよう……


 意を決してその姿勢をキープする、迫り来る巨体、しかもキモい。

 目を瞑り、そのときを待つ以外、俺に選択肢はなかった……と、いつまで経っても衝撃が来ないではないか。


 しかも周囲からはドスンッという強烈な地響き、外れたか? いや、あのコースで直撃しないなどということはない。

 どういうことかと目を開けると、まず俺と同じ、薄目を開けて恐る恐る周囲を見渡そうとしているマリエル。


 これは良い、だがその他の状況が異様。


 どうしてバケモノイソメがぶつ切りにされているのだ? しかも他のメンバーは遠くに退避し、セラが魔法を放ってこれをやったような形跡もない。



「……何が起こったんだ?」


「勇者様、あそこを見て下さい、あの未だに動いているバケモノのパーツ、誰かが弄繰り回していますよ……」



 マリエルが指し示した方向、確かに見える人影、イソメのボディーを巨大な針に刺しているその人影は、明らかに見覚えのあるものであった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ