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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十章 西方拠点
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388 飛び地を拠点に

ここから章を変え、新しいストーリーに移ります。

引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。

「何だか久しぶりの屋敷だな、どこかぶっ壊れてないか心配だぞ」


「いえ、元々穴とか損壊が凄かったと思うわよ、世間一般で言うぶっ壊れた状態だったわね」


「まぁ、そういう見方もあるな」



 温泉郷での2週間の静養、もとい強化合宿を終えた俺達は、馬車を走らせて屋敷を目指していた。

 王都の西門から馬車道を通り、北門近くの勇者ハウスが近付いて……塀が全て失われているではないか……



「おいおい、せっかく金の柵を持って来たってのに、どうして塀が無くなってんだよ、足が生えて逃げたのか?」


「壁に足が? あ、でもそういう妖怪も居たわね、きっとそれに違いないわ」


「いや、冗談だったんだが……」



 とにかく、俺達の屋敷の塀が失われていることは事実だ、良く見ると下の部分だけ微妙に残り、砕かれたと思しき石の残骸が敷地の中に散らばっている。


 間違いない、外側から何者かによって力を加えられたのだ、おそらくは暴徒、その類の連中が俺達の不在中にここへ押し寄せ、居ないとわかると無駄に破壊行為をして帰って行ったに違いない。


 とにかくシルビアさんだ、当時の状況を聞いてみよう……



「あらおかえりなさい、温泉はどうだった? 温泉饅頭買って来た?」


「ただいま戻りました、こちら、温泉饅頭となります、山吹色のは入ってませんが、ところでウチの塀なんですけど……」


「あ、あれなら『勇者を滅する平和的市民運動』とかいう団体の仕業よ、夜中に気が付いたら塀が破壊されてて、もう屋敷に火を放つ寸前だったわ」


「……それの何が平和的市民運動なんでしょうか?」



 屋敷本体と庭の温泉に関しては、シルビアさんと駆け付けたレーコ達魔族連中がどうにか守ってくれたようだ。

 シルビアさんには追加の温泉饅頭を渡しておこう、レーコ達もお土産増量である。



「しかし主殿、最近そういった連中が増えすぎではないか? もう夜もオチオチ寝ていられないぞ」


「そんなこと言って、ジェシカはいつもグッスリじゃないか、羨ましい限りだぜ、なぁカレン」


「そうですよ、私やマーサちゃんはちょっとした物音でも、怪しいと感じたらすぐに起きちゃうんですからねっ」


「マーサは無視して寝直すことの方が多いけどな……」



 お陰さまで頻繁に侵入を試みる夜盗の類に対しての守りは完璧なのだが、夜中嫌がらせのために現れ、大きな音を立てていくような輩に対しては脆弱なのである。



「でも勇者様、このままだと四天王に打ち勝つためのパワーアップにも悪影響を及ぼしかねませんよ、夜ぐらいキチンと寝られるようにしておかないと」


「うむ、ミラの言う通りだな、せっかく気候も安定してきたというのに、秋の虫じゃなくて馬鹿な虫けらの声を聞きながら寝るのはイヤだよな」


「となると勇者様、ちょっと王宮から受けた相談の中にいい話があるのですが……」


「何だよマリエル、王宮からの相談だ? どうせまた損失ばかりこちらに押し付けられる結果になる、ババァの詐欺スキームに引っ掛かるのはもう勘弁だぞ」


「いえ、今回はほんの少しの負担で村1つ分の土地を贈与するという激アツな案件です」


『マリエルさん、それは明らかに詐欺です!』



 皆から一斉に指摘を受けてしまったマリエル、だが、それで諦めたのかと思いきや、一度王宮で話だけでも聞いてみようと言って聞かない。


 まぁ、ヤバそうな話であればキッパリ断れば良い、というかそういう結果に終わるのは目に見えているのだが、マリエルを黙らせるためにも少し話を聞きに行こう。


 もちろんいつものメンバー、即ち俺とセラ、そしてマリエルの3人では心許ない。

 悪辣ババァ大臣によって簡単に騙され、臓器を売ったうえで生涯リボ払い地獄に陥るのは必至だ。


 ということでサポート役として精霊様を連れて行く、もし怒りを買えば王宮を破壊されるかも知れない、そう思わせておく以外に俺達の財産と尊厳を守る術はないのである。


 あらかじめ準備されていたかのような手際の良さで迎えに来た馬車に乗り込み、4人で王宮へと移動した……



 ※※※



「む、来たか勇者よ、今日は折り入って相談があっての、まぁそこに掛けると良い」


「掛けると良いって、どうして俺だけ机がみかん箱なんだよっ!? しかも座布団すらないとは……」


「いや、いつも通り3人で来ると思っておったでの、適当な机と椅子が見つからなかったのじゃ、しばしそれで我慢せい」


「そもそも王の間にテーブルセットがなくて、ついでにみかん箱がある時点でどうかしているのだが?」



 意味不明なのはもう慣れっこであるのだが、理不尽な扱いを受けるのは未だにムカつく。

 とはいえ精霊様をこんな所に座らせるわけにはいかないし、今のところは我慢してやろう。


 それよりも今日の用件についてだ、さっさとその話を終わらせ、キッパリ拒絶して屋敷へ戻るのだ。

 わざわざ詐欺紛いの話に乗ってやる必要はないのだからな……



「それでじゃ勇者よ、おぬしら、西方の都市群にて村を1つ滅ぼしたじゃろう?」


「村を滅ぼした? 魔王軍じゃあるまいし、そのような不埒な真似はしていない、断じてな」


「……明らかに50人程度か残っておらぬ村があったそうなのじゃが? 残りの連中は悉く攫われ、生贄として惨殺されたと言っておったの」


「あぁ、何だよあの村か、あそこの連中は悪人が多くてな、見逃してやっても良いような連中はあれだけだったんだ、ちなみに滅ぼしてはいないぞ、あの人数でもどうにか再建は可能なはずだからな」



 俺達が村を滅ぼしたなど、言いがかりも大概にして頂きたい。


 あの地域で俺達がやったのは、ただ単に腐ったゴミの切除、それだけなのだ。

 生きる価値をギリギリ留めている者についてはきっちり助命したし、労働力としても残した連中がある。


 むしろ、その後に王都から派遣されて来た王国軍の方が無益な殺生をしていそうではないか。

 温泉郷だけでも死体の山はそこそこ芸術的な積み上がり方であったし、殺さなくて良かった奴も多少は巻き込んでいるに違いない。


 その点、俺達のように『相手の反応をしっかり確認』したうえで生かすか殺すかを決める方法は正確だ。

 もちろんそこには女神の目もあったわけだし、そもそも圧倒的な『善』である俺達の行動に誤りがあるとは思えない。


 というわけで俺達の正当性をババァに説明し、その加齢と共に凝り固まったバリカタの脳みそに事実を摺り込んでやったのである。



「ふむふむ、おぬしの言い分はもう何となくわかったから当分喋らんで良い、でじゃ、その村の生き残りは全てメインにする温泉郷へ移しておっての、今あの村は無人なのじゃ」


「そうなのか、で、どの部隊が駐留……まさか俺達じゃないよな……」


「何を言っておるのじゃ、おぬしらが次に攻めるのは西の四天王なんじゃろ? となればあの位置はここよりも拠点とするのに相応しい、しかも使い終わったら村ごとくれてやろうというのじゃ、いい話じゃろ?」


「馬鹿言ってんじゃねぇっ! また無人の領地を受け取ってどうしろってんだよ! 作物の収穫も税収も一切ゼロなんだぞっ! てか寄越すなら温泉旅館の経営権だろ、むしろついこの間まではそっちを期待していたんだが?」


「勇者よ、調査によるとじゃの、あの村にも小さな温泉が1つあっての、更に周囲でも十分な湯量が確保出来そうだというのじゃ、ちょっと掘ってみたら良いじゃろうに」


「……と、ざけんなっ、それで小さい『温泉宿』だけ造ったとして、メインの『温泉郷』に勝てるわけないだろっ!」



 これは間違いなく罠である、その温泉の価値は極端に低い、というのは横に居る精霊様が放ったハンドサインで確認した。


 今の一瞬、俺やセラだけであれば不用意にOKを出していたかも知れない。

 だが良く考えてみれば、すぐ近くに巨大な温泉郷があるのに、そんなところに温泉を掘ったところで収益は期待出来ない。



「むぅ、かくなるうえは……水の大精霊様、向こうの部屋にお食事とお酒の用意が出来ておりますのじゃ、冷めないうちにぜひおあがり下さい」


「あら、じゃあそうさせていただこうかしら、ということで今日の夕飯は要らないわ、じゃあね」


「おいちょっと精霊様!? せいれいさまぁぁぁっ!」



 料理と酒に釣られて退室してしまった精霊様、しまった、精霊様の弱点は王宮の方でも把握済み、事後的な対策ぐらい十分にとることが可能なのだ。


 ここはジェシカ辺りを連れて来るべきであったか、とんだ失敗である……



「さて勇者よ、先程の交渉をもう少しだけ続けようかの」


「このっ、卑怯者がぁぁぁっ!」



 ※※※



「ふむふむ、ということはつまり、王都とは泉質の全く異なる温泉が沸いているんだな」


「そうじゃ、しかも原泉の温度的に、その湯気で様々な食材を蒸して提供する商売なども可能じゃの」


「勇者様、これは素晴らしい案件よっ! 今すぐ契約書にサインすべきだわ、他の貴族とかに取られる前にっ!」


「あぁ、最初は詐欺だとしか思わなかったが、実のところこんな激アツな話だったなんて、マリエルの意見を少しでも聞いておいて良かったぜっ!」


「では勇者よ、早速明日より当該廃村へ向かい、そこを拠点として西の四天王討伐に備えるのじゃ」


『うぇ~い!』



 俺とセラ、そしてマリエルの3人は、この件を屋敷の皆に伝えるべく、急いで王の間を飛び出した。

 精霊様? あの裏切り者は知らない、今日の夕飯は要らないそうだが、明日の朝食も抜きで良い、罰としてな。



「たっだいま~っ、おいミラ、良い案件を持って来たぞ、早速明日から移動だから準備するよう皆に言ってくれ」


「おかえりなさい、良い案件って何ですか? というか精霊様はどちらへ……」


「精霊様は酒に釣られて会議を中座しやがったんだ、だがその後は俺達だけで上手く話をまとめて来たから安心しろ」


「……いや、勇者様とお姉ちゃんとマリエルちゃんでですか?」


「そうだが、何か問題でもあるのか?」


「問題が生じているとは限りません、というか既に『終わっている』可能性の方が高いと思います、とりあえずどういう話をして来たのか、2階で皆に話して下さい」



 庭掃除をしていた心配性のミラが顔を青くしている、俺達が総務大臣と結んで来た『完璧なWIN=WINの契約』に疑念を抱いているようだ。


 だがメインである温泉郷の温泉旅館ではないにせよ、遠く離れた地の、しかもこの庭に沸いているものとは泉質の異なる温泉を手に入れたのである、


 これ以上の成果というものは他に考えようがない、今回の話は完璧無比、最初から詐欺の可能性など微塵もなく、ひたすら『頑張っている勇者パーティー』に利益を供与するためのものであったのだ。


 いくらパーティーの中では賢い方とはいえ、それを疑うなど不届き至極。

 ミラにはしっかり言い聞かせたうえで、お尻ペンペンの刑でも宣告してやろう。


 俺達3人は、今回の立役者でもあるマリエル王女殿下を先頭に、自信満々でテラスの階段を上がり、既にミラが慌てて集合させていたパーティーメンバーの所へ凱旋した……



 ※※※



「それで主殿、セラ殿、マリエル殿、最初の段階で精霊様の指摘があったのだろう? ここで温泉宿を開業しても、地域の中心であり、温泉によって成り立つ予定のあの郷には敵わない、即ち利益には期待出来ないと」


『……すみませんでした』


「で、温泉を掘るとして、この屋敷の庭にあるのは筋肉団があっという間に、という感じであったのだが、その力を借りずしてどうするつもりだ? 村は廃村となって無人、つまり労働力はゼロ、その状況下で温泉を掘る? その他の建物も建てて村を再興する? そもそもこの屋敷の真裏にある領地ですらあの状況なのに、ここからさらに無人の村を1つ、しかも飛び地になるのだぞ、その状況がどのように困難なものなのかわかっているのか? だいいち主殿は……」


『……すみませんでした』



 成功者としての威厳に満ち溢れた様子で皆の前に立ち、堂々と今回取って来た契約に関してのプレゼンを始めた俺とセラ、マリエルの3人。


 5分後には正座させられ、正面に座ったジェシカから説教を喰らっていた。

 どうやら俺達は、というか俺は、またしてもあの性悪ババァに騙され、負担のみを押し付けられたのだという。


 つまり、ほぼほぼ価値の見出せない土地を押し付けられたのだ。

 負担付き贈与の負担側が、受け取る資産の価値の10倍から30倍程度と推計されるとのこと。


 やられた、これは誰のせいなのだ……うむ、アドバイザーの癖に中座した精霊様が100%悪いな、いや、80%ぐらいか、残り20%の責任のうち18%は話を持って来たマリエル、2%は俺を止めようとしなかったセラのせいだ。


 つまり俺は一切悪くない、何だ、やはり伝説の異世界勇者様には、責められるべき落ち度など微塵も存在しなかったのではないか。



「さて、話も終わったことだし、そろそろ夕飯の準備でも……」


「主殿、どこへ行くというのだ? 今日は3人共正座&夕飯抜きだぞ」


「げぇぇぇっ! 俺は悪くないだろっ、精霊様がっ、マリエルがっ!」


「勇者様、既に4人分減らした料理を始めています、もう諦めて下さい」



 鬼畜ミラのせいで、結局夕飯を摂取することが出来なかった俺を含む3人。

 深夜に戻った精霊様に八つ当たりをし、その後にこっそり食糧庫からハムを盗んで空腹を満たした。


 ちなみに、契約で決まってしまった以上、もう例の村に向かわなくてはならない。

 既に準備は終えているし、あとは出発するのみだ。



「ところで勇者様、あの村に着いたらまず何からやるの?」


「え~っと、あの中で一番デカい屋敷を拠点に……いやちょっと待て、村長の屋敷はぶっ壊したんだったか?」


「そうよ、御取り潰し(物理)とか言って調子に乗ってたじゃないの、奪った財産はまだあるけど、アレを使って人を雇うべきかしらね」


「う~ん、そもそも雇うべき人自体が居ないんだよな、もう八方塞じゃないか……あのババァ、完全に上手いこと言って騙しやがったな……」



 食糧庫から適当に奪った食材と酒を角部屋に持ち込んで晩酌をしながら、俺とセラ、そして精霊様の3人で以降の行動に関して相談する。


 ちなみに今回の件の責任者の1人であるマリエルは、隣で呑気に寝息を立てているのであった。


 まるで反省していないなこの王女は、そもそも最初にこんな話さえ……いや、今ここでマリエルをせめても仕方ないか、そもそも起きてすらいないのだし……


 と、そこで部屋のドアが開き、先程まで散々俺達に説教を喰らわせていたジェシカが登場する。

 わざわざ復讐でもされに来たのか? 通常ではあり得ないことだが、ジェシカに関してはその常識は通用しないからな。



「何だ主殿、まだ起きていたのか? 早く寝ないと明日の移動に障るぞ」


「何だとは何だ、こちとら特に悪くもないのに腹を空かせていたんだ、あと晩酌もしないと寝られないからな」


「……さすがは主殿、まるで反省していないようだな、まぁ良い、私もちょっとご相伴に預かろう」



 どうやらジェシカの奴、単に目が覚めてしまっただけのようだ、普通に入って来て干し肉を抓み、酒を飲み始める。


 しかしここで酒を飲むということは、明日は朝イチで出立する気がないということか? もしかして行く気満々なのは俺とセラだけとか……



「ところでジェシカよ、この先のことなんだが、例の村を上手く運営していくための秘策を出せ、いや出して下さい」


「もしかして今までその話をしていたのか? だとしたら不毛だと思うぞ、まずは村の状況を確認して、そこでどういった場所にしていくのかを考えておおまかな未来予想図を完成させる。それから移民希望者が多く居そうな付近の町村を回るのだが、これは地域全体が安定してからでないとかなり厳しくて……」


「わかった、わけがわからんということだけがわかった、だからこの話は後にしよう、というかもうやめて、しばらくはあの場所を拠点に、西の四天王を討伐することだけを考えよう」


「まぁ、そうするしかなさそうだな、ちょっと主殿の知能には難易度の高い話だから……」


「調子に乗るなっ!」


「あいてっ!



 結局その日は夜明けの直前まで無駄な話をし、翌日は昼を過ぎてから必要な物品の買出し、そして屋敷を出発したのは夕方であった。


 途中で何度も休憩や野営を挟みながら、ついこの間も訪れた例の村、名前は『ヤバミ村』というらしいが、本当にヤバかった村へと到着したのである……



 ※※※



「ご主人様、村が見えてきましたよ……何か様子がおかしいですけど……」


「おいちょっと待て、どうして夥しい数の敵が存在しているんだ? 無人の村だろ? 村人は移動させたんだろ?」



 何があったのかはわからないが、とにかく敵対する勢力によって制圧されているのは確かだ。


 武器を用意し、そのまま馬車で近付いて行く……村の入り口には、なかったはずのゲートが設置されている……『魔王軍傘下、西の四天王軍侵略拠点村へようこそ!』だとっ!?


 しかもゲートの下に設置された看板には、『拠点村完成予想図』として、美しい緑と広大な温泉を湛える近未来的な村、というよりもリゾートの絵が描かれているではないか。


 と、そこで金色に輝く伝書鳩が飛来し、馬車の窓から入ってマリエルの肩に止まる……



「何だマリエル、ここが先に制圧されてしまった旨の通知か?」


「いえ、総務大臣からのお知らせです、『記、勇者へ、当該廃村は、放置している間に魔王軍らしき軍勢によって占領され、現在はその連中の支配下にあると思われる、よってそこを奪還し、こちら側の拠点とするように、以上』だそうです……」


「あのババァ、帰ったらタダじゃおかねぇぞっ!」



 温泉が出ると言って価値のない廃村を押し付け、しかもそこが敵軍に制圧されているという瑕疵を伝えないとは、まさに性悪ババァである。


 だが仕方ない、魔王軍を発見してしまった以上、勇者として知らない振りなどするわけにはいかないのだ。

 とにかく村の中に入り、ここを押さえている連中の頭を捜すこととしよう……

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