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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第六章 決着の時
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349 ぶっちぎり

「おいっ! ミラは大丈夫かっ?」


「大丈夫よ、あのブレスレッドのおかげで落下したダメージだけだわ、また床に降ろすと貼り付くから、私が抱えたまま治療を受けさせるわね」



 東の四天王ブギーの最初の攻撃、単純に剣を振るっただけであったが、それを受けたミラが30mぐらい吹っ飛ばされてしまった、交通事故並みの衝撃であるのは確かだ。



「おやおや、思っていたよりも体重が軽かったようだな、おっぱいがデカいからてっきりもっと重いものだと思ったぞ、ゆえに全力の5%程度の力で打ってしまった、謝罪しておこう、フハハハッ!」


「今ので5%かよ、絶望の極みだな……」


「ん? 絶望とはどういうことだ、貴様等のような貧乏人のゴミ虫でも生きていて希望を感じる瞬間があったというのか? ちなみに我は強くてイケメンで金持ちだからな、希望しかないのだ、フハハハッ!」



 ひとつ言っておくと、例に違わずブギーの顔はキモい、ビジュアル系みたいな化粧で誤魔化してはいるものの、それでもなおキモいのだ。


 鏡、持ってないんじゃないですかね……



 そのブギーがまた歩き出す、このまま動けない俺達を、冷笑しながら各個撃破していくつもりなのであろう。

 今度は先程途中でやめたジェシカの所を目指しているようだ。


 しゃがんだ拍子に尻が凍って貼り付いたジェシカは、その拘束から逃れようと必死で体を捩っている。

 普段なら面白いのだが、『圧倒的敗北』がすぐ目の前に見えているこの状況では笑えない。



「そこの残念な貴様、そんな無様な格好をした奴を倒しても四天王の名折れだからな、特別に助けてやる」


「ほ……施しは受けないぞっ、この程度は自力で……クッ」


「おいジェシカ、無理しないでお言葉に甘えておけ、一時の恥だ、そのまま全身が凍ったら未来永劫恥晒しの氷像としてそこに鎮座する羽目になるぞ」


「確かに、で、ではお願いします……」



 ブギーがスッと手を近づけると、ジェシカの周りに張っていた氷だけが一気に溶け、大理石の床があらわになる、もちろんジェシカはビショビショだ。


 立ち上がり、尻と同時に靴も床から離れたジェシカが、どこか移動する場所はないかと辺りを見渡した瞬間、再び氷が迫り、最初と同様に足だけを固定した。


 結果元に戻っただけではあるが、奴が氷の温度を自在に操ることが出来るということだけはわかった、これを何かに役立てることが出来れば勝機が見えてくるかも知れない。


 だが現状動くことが出来るのは精霊様のみ、これでは到底……いや待てよ、動けるようになりそうな方法が1つだけあったではないか……



「ふんぬぬぬぬっ! っと、よし、片足が外れたぞ」


「何をやっているのだ貴様は? まさか片方の足だけ上げてキックで戦おうとでもいうのか、実にお粗末な発想だな、フハハハッ!」


「いやそうじゃなくてだな、この『魔導カイロ』を靴の裏に……やっぱ嵌める所があるんだな」


「何だとっ!? どうして貴様がそれを持っているのだ?」


「スパイクブーツは普通に入口で借りた、魔導カイロは購入した、厩舎の所に居たメイドさんからな」


「あの冷徹メイドかっ!? 余計なことをしやがって、後でお仕置きだなっ!」


「それは俺達が代行しておく、お前はここで死んでおけ、カレン、マーサ、魔導カイロを受け取るんだ」



 先程から不思議に思っていたことがある、氷を自在に操ることが出来、さらには多少足元が凍った程度ではビクともしないブギーは良い。


 だがこの城で働くメイドさんや、この間討伐した家事使用人戦隊の連中はどうしていたのかと。

 少なくとも奴等の力では、ブギーに近付いた際にまともに歩くことは出来ない。


 そして購入した魔導カイロに借り物のブーツ、間違いなくこの2つのアイテムに『ブギーの近くでまともに職務を遂行する』ための秘密が隠されている、そう踏んだのだ。


 これで動くことが出来る、もちろん数が足りないゆえ、この作戦を取るのは俺とカレンとマーサの3人。

 後衛は固定砲台で頑張って貰い、ミラ、ジェシカ、そして中衛のマリエルは防御に徹しておくよう告げる。


 反対側の足も無理矢理引き剥がし、靴底の土踏まずにもう1つのカイロを貼り付ける。

 こちらも簡単に氷を溶かし、俺は、そして同じようにした2人もまともに歩けるようになった。


 特に熱いとかそういうわけではないのに、不思議なこともあるものだな……



「フンッ、まぁ良いさ、貴様等のような虫けらが動けようと動けまいと、我の前では止まったハエと飛んでいるハエ程度の違いにしかならないからな、簡単に叩き潰してくれよう、フハハハッ!」


「いや、飛んでるハエ叩き潰すのは難儀なことだろ……」



 動くことが出来るのは精霊様も含めて4人、だが精霊様はまだ動き出さないようだ。

 先程からセラの背中に貼られた魔導カイロを観察している。


 戦いに参加して欲しいのはもちろんだが、精霊様ならこのカイロの仕組みに関して何かヒントを見つけられるかも知れない。


 それに期待することとして、今は俺とカレン、マーサの3人で戦おう。



「いくわよっ! ウサちゃんパーンチッ!」


「なんのこれしきっ! フハハハッ!」


「ひぃぃぃっ、おててが冷たいわ……」



 こちら側初の物理攻撃であるマーサのパンチ、ブギーはそれを、先程ユリナが放った魔法と同様に氷の盾で受ける。

 縦には小さなヒビが入ったものの、むしろマーサの拳が負ったダメージの方が大きい。


 しかも盾のヒビは一瞬で修復し、今の攻撃は実質的になかったものとされてしまったではないか……



「今度はこちらからいくぞっ! フハハハッ! ハッ!?」


「当たらないわよそんな攻撃、てか後ろは良いわけ?」



 マーサに攻撃を当てようと躍起になるブギーの後ろにササッと回っていたカレン、飛び上がって背中に一撃を喰らわせる。



「いでぇぇぇっ! この狼獣人めっ、はぐぅっ! 貴様もか……」


「そうだよ、俺もだよ、残念だったなキモメン氷野郎!」



 カレンによる攻撃の直後、今度は後ろに意識が行ったブギーの鳩尾に俺が聖棒を突き立て、これで2ダメージ、たいして効いてはいないようだが、この積み重ねで体力を削っていこう。


 と、そこで精霊様がセラの背中に貼ってあったカイロを剥がし、マーサに投げ渡す。



「それを手に付けて戦いなさい、そうすれば氷の盾も容易に貫通するはずよっ!」


「あ、なるほど、こうやって貼って……出来たっ、ということで早速ウサちゃんパンチ2号!」


「ぐぅぅぅっ!」



 氷の盾をあっさりぶち抜いたマーサのパンチは、その向こうで守られていたブギーのボディーにめり込む。

 これを喰らって死なない時点でかなり凄いのだが、吹っ飛んでもいないのは信じがたいことだ。


 直後に動き回っていたカレンの一撃、さらに反対の手に持っていた氷の剣を俺が弾き飛ばす。

 ついでに後方からセラとユリナが放った魔法が連続で着弾……やはり火魔法の方がはるかに効果が高いようだ……



「えぇいあっちへ行けこのクソめがっ! しかし貴様等が魔導カイロを持っているのであれば、わざわざ力を使って氷で動きを止めるのも無駄だな、エネルギーがもったいないから解除してやろう」


「お、そうしてくれると助かるな」


「だがその分の力が我の体に凝縮するのだぞ、しかもまだ全然本気じゃないからなっ! もし我が本気を出したら貴様等のような軟弱者など一撃で跡形もなく……」


「わかったわかった、お前が強いのはわかったからさっさと氷を溶かすんだ、本当に面倒臭い奴だな」



 ブギーが指をパチンと鳴らすと、床を覆っていた氷は一瞬にして水に変わった。


 これで全員動くことが出来る、リリィもドラゴン形態に変身して戦えるし、敵が苦手とする炎の攻撃の使い手が増えた、問題はこれで奴がどこまでパワーアップしたのかということだが……



「てぇぇぇぃっ!」



 動けるようになったと同時に、これまで不遇かつ恥晒しの極みであったジェシカが斬り掛かる。


 巨大な光の両手剣、もちろん魔族に対して効果の大きいものだ。

 だがブギーは、その斬撃を小指1本で軽々と受け止めて見せたのであった。



「どうした? もっと攻撃しても構わないんだぞ、全員で掛かって来るが良い、フハハハッ!」


「野郎、皆いくぞっ! ボッコボコにしてやろうぜっ!」



 全員参加、最初はセラ、リリィとユリナによる攻撃をブチ当て、次いで寄って集っての物理攻撃をお見舞いする、精霊様は物理で参加だ。


 しかしブギーはその場に立ったまま、防御しようとすらしない。

 マーサのパンチが再び直撃しても、聖棒の先が目を捉えても、全く動きがないのである。


 というかまるで効いていない、全ての攻撃を無効化し、ダメージはゼロだ。

 そして攻撃を続ける俺達をあざ笑いながら、ブギーがサッと手で扇ぐ動作をする。


 ……爆風、凄まじい風と共に、周囲で攻撃を続けていた前衛と中衛は紙くずの如く飛ばされた。

 なんと、追撃のために放たれ、空中を移動していたセラの魔法すらも打ち消される威力。



「いてて……おい、ちょっとタイムだ、もちろんお強い四天王様はそのぐらいの時間をくれるよな?」


「当たり前だ、貴様等がその空っぽの頭を千切れるほどに捻り、どうにかならないものかと無益な相談をする姿、コメディとして堪能させて頂こうぞ、フハハハッ!」



 少し作戦会議、とはいえ実際は今受けたダメージを回復するためのものだ。

 何か案を出す可能性があるのは精霊様ぐらい、他はもう奴に対抗する術など思いつきようがないレベルの差である。



「おいどうするよ? アイツ、これまでの敵の中でぶっちぎりに強いぞ……」


「どうするって言ったって、普通にやったら勝ち目はないわよ、弱点の炎すら全く効かないんだもの、精霊様、何とかしてよ」


「う~ん、妙案がここまで出掛かってるんだけど……」



 そう言いながら腹の辺りを擦る精霊様、妙案は下から排泄されるのか? 口から出るものだとしたらまだまだ出掛かっているとは言い難い位置だぞ……



「というか、アイツに攻撃が効かないのは何か仕掛けがあるのかしら? それを解除すればすごく弱くなるとか?」


「残念ながら純粋に超強いだけだ、アレで『四天王の面汚し』とか、もうどうかしているとしか思えないんだがな」



 純粋な強さで俺達を圧倒しているブギー、ダメージを与えるためには致命的な弱点を発見し、そこを突くしかないのだが、精霊様ですら未だにそれが掴めない。



「で、精霊様、その妙案ってのはいつか出てきそうなものなのか?」


「ええ、この『魔導カイロ』の仕組みがわかればね、あとそれがユリナちゃんの魔法の力で再現出来ればだけど、まぁとにかく時間は掛かるわね」


「それまでどうしたら良いんだよ、まさか殴られ続けろってんじゃないだろうな?」


「……その通りよ、ちょっと堪えてちょうだい」


「げぇ~っ、もう謝って許して貰おうぜ……」


「何言ってんの、はい作戦会議終わり、ボコられに行きなさい」



 勇者らしからぬ発想が出たところで作戦会議は強制終了となり、なぜか俺だけがブギーの所に投げ飛ばされる。


 そのままブギーに蹴飛ばされ、また精霊様の所へ、そして投げ飛ばされてブギーの所へ……これは俺が物言わぬ肉塊になるまで続くのか?


 と、そこで他のメンバーが渋々、といった感じで再び戦闘態勢に入る。

 なぜかカレンだけはやる気満々なのだが、もしかして負けそうなのを認識出来ていないのであろうか……



「コントの時間はもう終わりか? では再び攻撃を始めさせて貰うぞ」


「いやいや、今まで散々人のこと蹴っておいて何言ってんだよっ!」


「ああ、あれはただ単にゴミを除けただけだ、貴様のような不潔な物体が服に当たると汚れてしまうからな、フハハハッ!」



 調子に乗りやがって、だが会話をしていればその分だけボコられる時間が減る。

 精霊様はユリナと2人で何かを考えているようだし、しばらく時間を稼ごう。



「おいブギー、腹が減ったりしないか? 干し肉を分けてやるから一緒に食べようぜ」


「馬鹿かっ! 我はミディアムレアにしたシャトーブリアンしか食さないのだ、というか貴様、今その干し肉をポケットから直に取り出したな? 薄汚ない奴めっ!」


「そうだ、しかもポケットには干し肉と一緒に砂利や石なんかも入ったままだ、まともに洗濯をしていないからな」


「うっ、それ以上我に近づくなこの不潔ゴミ野朗! 死ねぇぇぇぃっ!」


「ふごっ!」



 会話で繋ぐつもりであったが、早々に怒りを買ってしまったようだ、次はもっと清潔な話にしよう。

 と、ちょうど良い所まで吹っ飛ばされたようだな、ルビアに治療して貰いながら精霊様に研究の進捗状況を聞こう……



「どうだ精霊様、何かわかったか?」


「あのね、まだ1分も経っていないわよ、ほら、さっさと戦いに戻る!」



 その後も戦闘に復帰しては吹っ飛ばされ、また復帰しては、という動きを繰り返した。

 しかも俺だけではなく前衛と中衛の全員でだ、回復役のルビアは大忙しである。


 ちなみに宿屋の主人から奪ったブレスレッドなど、とっくの昔に全ての効果を使い切ってしまった。

 ルビアの魔力もそろそろ限界だな、精霊様、早くしてくれ……



 ※※※



「ぎぇぇぇっ! はいどうも、また吹っ飛ばされて来ましたよ、これで17回目だ、ルビア、治療してくれ」


「はいはい、でもまだマリエルちゃんの治療が終わっていませんので、ちょっと待っていて下さいね」



 ルビアの横には魔力回復薬の瓶が大量に転がっている、徹夜残業マンのエナジードリンクよりも遥かに使用量が多いな、副作用とか大丈夫なのか?


 と、すぐ横で精霊様がちょいちょいと手招きをしている、どうせ回復魔法を受けないと戦闘には戻れないし、そちらに行ってみることとしよう。



「どうした精霊様、便所にでも行きたいのか?」


「そうじゃなくて、こお魔導カイロについて少しわかったことがあるのよ」


「何がわかったんだ、製造元か? それともメーカー希望小売価格とかか?」


「そんなのじゃなくて仕組みについてよ、このカイロ、普通に熱を発しているわけじゃないみたいなの」


「……どういうことだ?」



 精霊様曰く、この魔導カイロは『動いている』のだという、とはいえ中に機械のようなものが入っているというわけではなく、カイロを構成する物体が、魔法の力で動いているとのことだ。


 そして動かすために使っているのは火魔法ではないかも知れないということもわかったらしい。

 物体が動いている……いや、物体ではなく分子が振動して、それで熱を発しているのか?



「精霊様、その『動いている』ってのは凄く小刻みにか?」


「そうよ、『震えている』と言った方がしっくりくるレベルの動き」



 もしかしてマイクロ波的なものを発生させて、カイロの中の水分を加熱しているのか?


 ブギーが氷に使っていた力を取り戻し、強化する前にマーサがこれを手に貼って攻撃した際、確かに氷の盾は一瞬で解けていたな。


 となると奴の弱点となる『熱』は、一般的な炎による加熱ではなく、マイクロ波を使った電子レンジのような加熱によって発生したものに限定されている、その可能性があるな。


 だから火魔法もリリィのブレスも、弱点属性なはずなのに全くダメージが入らない、そう考えることが出来る。



 とはいえこの世界には電子レンジも、そもそも真空管すら存在しない、高周波メスみたいな武器? 残念ながら俺は文系なのでそんなものの造り方など知らない。


 となると『振動』させて熱を発生させるということを精霊様に伝え、良い感じに考えて頂く他ないな……



「なぁ精霊様、それとユリナも聞いてくれ、たぶん奴には小刻みな振動を直接ブチ込んで、体を、というか体内の水分を沸騰させるような攻撃しか効かないと思うんだ」


「でもご主人様、さっきまで何度も火魔法を当てましたの、それが全く効果ナシだったんですわよ」


「……いえ、アレが無効だったのは体表面の氷のせいよ、元々床に張ってあった氷が、今は全部奴の体を覆っているの、凄く薄く、しかも超低温で、そう簡単には溶けたりしないわ」



 そういうことか、最初は効果があったマーサのパンチも、本来は自分を強化するための氷を床に使っていたことによるものであったか。


 だが魔導カイロを超える振動を直接喰らわせれば、その氷の皮膜どころか腹の中の水分まで一気に熱を与えることが出来る、つまり攻撃が通るということだ。


 と、そこでようやく治療の順番が回ってきたため、一旦這い蹲ってルビアの下へと移動する……ふと見ると、ユリナの尻尾が赤く、そして次第に白く輝き始めたではないか。



「おいユリナ、それは?」


「ええ、そういえば私の火魔法も、魔力で尻尾を震わせて発現させているなと思ったんですわ、だからちょっと限界までここに力を込めてみますの」



 そういえばユリナもサリナも、魔法を使う際には尻尾をピンと立てて小刻みに震わせているな……もしかしたらこれが突破口につながるかも知れないぞ……


 治療が終わると同時にユリナと精霊様の所へ戻り、尻尾の様子を詳しく見る。

 ブゥーンというような音、間違いない、これは振動によって熱を発している状態だ。


 これを直接ブギーの野郎に押し付ければ、もしかするともしかする、そんな予感がしなくもない。


 だが問題はどうやってそれを成し遂げるのか、という部分にある。

 前衛や中衛のメンバーでも一撃でどこかへ飛ばされてしまうのだ、直接戦闘が不得手なユリナは、近付くことすら叶わない可能性が高い。



「あっ! 危ないですわよっ!」


「ん? どわぁぁぁっ!」



 そこへ飛ばされて来たのはマーサであった、ブギーに蹴飛ばされたらしい。


 しかし俺とマーサなら、ユリナを簡単に後ろに隠すことが出来るな、以前にも使った手だが、ここでもう一度やってみるか、ついでにサリナの幻術も活用しておこう……



「マーサ、それにサリナも聞いてくれ、ちょっと作戦があるんだ、上手くいくかはわからないが、俺も含めた4人でメインを張って欲しい」


『は~い』



 どうにかしてブギーにユリナの尻尾を押し付ける作戦、殺人光線などというものがないこの世界で、奴に超振動を与えるための唯一の手段が、俺達の唯一の望みでもある。


 最初で最後だ、間違いなくチャンスは一度きりである、ここは気張っていこう……

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