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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第四章 東の火山
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334 峠を越えて

「おかえりなさ~いってうわっ……どうしてそんなに顔が死んでいるんですか? 鮮度の落ちたお魚のような目をしていますよ……」


「それに何よその子ども、またどこかで誘拐して来たわけ?」


「違うわボケッ! これはかくかくしかじかであーなってこーなって……しかも何だ『また』ってのはっ!?」


「ふ~ん、イマイチ信用ならないけどまぁ良いわ」



 俺に疑いの目を向けるマーサ、だがこの世界を統べる女神の目の前で幼女誘拐など出来るはずがなかろう。

 そもそもコイツは18歳なのだ、そうは見えないがそれが事実、たとえ誘拐したとしても……まぁ悪いといえば悪いが……



「それより2人共、つい先程重大な事実が発覚したんだ、落ち着いて良く聞いてくれ」


「何でしょうか? もしかして人族が滅亡……」


「いや、そんな生易しいもんじゃない……考えてみてくれ、俺達の行こうとしていたルートを、そして馬車がこれ以上先へ進めないことを……」


『あ……ひゃぁぁぁっ!』



 マーサとマリエルにも事の重大さがわかったようだ、美術の教科書に載っていた『叫び』と完全に一致する表情を作り出している。


 事実を告げたところで一旦食事休憩とし、さらに時間を経て気分が落ち着いたタイミングで、第2回進軍ルート選定特別会議を開催する運びとなった。


 周辺地域が全て記載された巨大な地図を広げ、セラをリーダーとして新たなルートを模索していく。


 すぐに発覚したのは、火山の周辺は深い森に覆われ、ここからだとそれを迂回しない限り北東の魔族領域入口には辿り着けないということであった。


 絶望である、悲嘆にくれる俺達に示された新ルートは、一度海の近くまで出て、そこから少し東へ行った所から北上するという、かなり大回りなものであった。


 これを俺が異世界転移する前に住んでいた国に当て嵌めてみよう。


 今居るのがおそらく富士山の富士宮口周辺、そこから南へ下って田子の浦まで到達、東へ向かい、御殿場方面ルートで北を目指す、そんな感じだ。


 それを馬車で移動しなくてはならないのである、街道はまともな舗装もされておらず、途中でどんなトラブルが起こるのかすら予想出来ない状態で……



「もう無理じゃね? 四天王とか諦めたくなってきたわ」


「う~ん、四天王はどうでも良いかもだけど、そうするとフルートちゃんがかわいそうよね、せっかく実家に帰れると思っていたのに」


「確かにな、四天王討伐はもう忘れても良いが、フルートの実家にはどうしても行ってやりたいところだ」



「あの、もしもし勇者よ、女神たるこの私の前で、大々的に職務放棄を宣言するのはどうかと思いますよ……」



 申し訳ないといった表情のフルート、対するは勝手な主張を展開し、俺達を四天王討伐に向かわせようとする女神。


 どちらを大切にしてやるべきかは一目瞭然なのだが、この場合は両者の利益が一致している。

 つまり俺達は、現状この面倒なルートで魔族領域を目指さなくてはならないということだ。



「しかし弱ったな、これじゃ山の反対側に出るまでに1週間、いやもっと掛かりそうだぞ」


「そうね、でも勇者様、もっと早く行ける可能性が1つだけ残されているわ、このルートよ」


「おいおい、そこはまぁまぁの山道じゃないか、樹海を突っ切ることになるんだぞ、しかもこんなにグネグネ曲がって……」


「ええ、ここを行くなら覚悟が必要よ、でも3日、コーナーを攻めれば2日あれば山の反対側に出るわ、どうかしら?」



 皆が一斉に見たのはジェシカの顔、馬車に関してはそのジェシカと、もう1人操車が出来るルビアに全て委ねられているのだ。


 もちろん鈍臭いルビアにそんな危険な道を任せるわけにはいかない。

 ということで、このルートを進むかどうかの判断はジェシカに一任される……



「わかった、行ってみようではないか、私のドラテクでどうにかなるかはわからないが、遠回りをして気力を削がれるよりはこちらの方が良いはずだ」


「……決まりだな、峠のコーナーを攻めまくるぞっ!」



 こうして俺達の新ルートが確定した、出発は明朝、あとはジェシカのテクに期待するのみだ……



 ※※※



 会議の後、ミラとアイリスが夕飯の下拵えを始めたところで、俺と精霊様で頭目少女の尋問に移った。



「で、あの参謀とかいうおっさんはどこで拾って来たんだ?」


「逆なの、むしろ私が拾われたの、確か孤児院の前に捨てられていた私を誘拐して育てたとか言っていたの」



 なるほど、いざというときのための捨て駒、さらには人を集めるための象徴、そしてその容姿から、多少捕まった程度では殺されたりしないという安定性。


 それらを兼ね備えたこの少女を頭目とし、あとはその辺の雑魚を集めて盗賊団を結成。

 謀略を張り巡らせて莫大な利益を得ようと考えていた、そういうことだな。



「次の質問だ、奴の能力、アレは一体何なんだ?」


「う……それは人に喋ってはいけないと言われているの……もし誰かに知れたらどうなるかわからないの……」


「そうか、じゃあ精霊様、拷問セットを出してくれ」


「ひえぇぇぇっ! やめて下さいなのっ!」


「黙れっ! そういえば8歳の設定だったな、悪い子はお尻ペンペンだ!」


「きゃいんっ! 痛いのっ! 恥ずかしいのっ! 話すからやめて欲しいのーっ!」



 拷問の導入部分で折れてしまった、最近は根性のない敵が多くてつまらんな。

 まぁとにかく話を聞いておこう、拷問セットは後で難癖付けて使えば良い。



「うぅ……お尻痛いの……」


「おい、これ以上叩かれたくなかったら早く話せ」


「はいなの、参謀の能力、アレは殺した相手から奪ったものなの、確か上限が500とか言っていたの、だから今頃は誰かを殺してその人のスキルを……」


「あれ? ちょっと待ちなさい、だとしたらあの男、神を殺していることになるわよ!」


「そうだな、だがそれに何の問題があるんだ? あの便所紙とかパンツ泥のレベルなら簡単に殺せそうだぞ」


「あんなのでもなかなか死なないのよ、神同士ならいざ知らず、それ以外の者が神を殺すってのはかなり難しいのよ、そもそも免罪機能付きの武器がないと神罰が下るし」



 精霊様の言っていることはよくわからないのだが、とにかく神殺しというのは実に難易度の高いものらしい。

 今度キャシーに会ったら牢獄の封印を解かせて、試しにあの便所紙を殺してみよう。



「それで、奴の逃げた先に心当たりはないか? 探し出して討伐しておかないとヤバいことになりそうだ」


「わからないの、でも人の多く住む町なんかに行ったときはいつもエッチな店を朝までハシゴしていたの、だから探すとしたらそういう店なの」



 エッチな店か、それなら次から人族の町へいく度に、その町にあるそういう店を……おっと、セラの殺気が俺の心臓を貫いたではないか、一緒に行きたいということかな?


 その後は登場したセラによって鉄アレイで小一時間殴打されたらしく、一切の記憶がない。

 だが相談の結果として、四百二十面相探しは東の四天王討伐後にする方針で固まったとの話だけは聞くことが出来た。



「さて勇者よ、私は夕食を取った後神界に帰らせて頂きます、あのおっさんを私の部屋に放置しておくのは心配ですし、四天王討伐後にまたお呼び願います」


「何だお前、まだ居たのか、しかも図々しく夕飯まで貪っていこうというのか、せいせいするレベルのド畜生だな」


「お褒めに預かり光栄です」


「褒めてねぇーっ!」



 結局あれやこれやと注文を付けながら夕飯を平らげ、神界に帰って行った女神。

 もちろん救出した天使も一緒にだ、次に奴等を呼び出すのは王都に帰ってからだな。


 ちなみに頭目少女も女神に預けた、あの参謀が『神殺し』かも知れないということで、個別に事情を聞きたいそうだ。


 神界には連れて行かないようだが、どこに収容するのかまでは聞かなかった。



 その日はそれで活動終了、適当に野宿し、翌朝の出発に備えて早めに就寝とする……



 ※※※



「おはようジェシカ、車輪の調子はどうだ?」


「なかなかのコンディションだ、マーサ殿が言うには馬も良い感じとのことだし、峠道を駆け抜けることも不可能ではなさそうだぞ」



 全員で入念に準備をする、荷物は固定し、壊れ物は布を畳んで緩衝材として使い、確実に保護しておいた。


 ロープを使ってシートベルト的なものも作ったし、あとは……何だ? 1つだけ明らかにおかしな席があるではないか……



「ここは私の特等席だから、他の子は絶対に座らないように」


「おい精霊様、どこからバケットシートなんか持って来たんだ? てか俺達の分はないのか?」


「ないわよ、これは私の体型にフィットする特注品なの、諦めて硬い椅子で苦しみなさい」



 ファンタジー世界にそぐわない形状の最新式バケットシート、俺も欲しくなってきたぜ、だが雰囲気はぶち壊しだぞ……



「お~い、そろそろ出発するぞ~っ!」


『了解で~っす!』


「じゃあジェシカ、よろしく頼むぞ」


「任せておけ、それでは出発!」



 一気に加速していく馬車、当然であるがまだ峠には差し掛かっていない。

 これはアレだ、気合だけが空回りして失態を演じるパターンだ……



「うぉぉぉっ! 最初のコーナーだっ! 皆しっかり掴まっておくんだぞっ!」


「もしもしジェシカさん、まだそういうの良いんで、というかスピード出しすぎじゃ……もしもーし……」



 次の瞬間には強い衝撃が走る、最新式バケットシートの精霊様以外は一瞬宙に浮き、そのままドスンと落下した。



「……すまない主殿……脱輪した」


「ほれみろ言わんこっちゃない、1回降りて車体を押すぞ」



 全員で降りて馬車を押す、ぬかるみに嵌まっただけで、どうにか脱出することが出来た。

 乗り物とは人を運搬するための便利アイテムだ、人が必死で押して移動させるものでは断じてない。


 お馬鹿ジェシカには説教を喰らわせ、御者台のもう1つの席、つまり助手席をルビアからユリナに入れ替えて再スタートする。


 もちろんユリナはお目付け役だ、ジェシカがまた調子に乗りそうな兆候を見せた場合、すぐに横からお仕置きが可能な態勢で待つ。



 その後しばらく走ったところで、地図を見ていたセラの指示によって馬車は左折し、細い路地のような山道に入る。


 両側は鬱蒼と茂る森、まだ午前中だというのに心なしか暗く、不気味な雰囲気が漂うその道は、やがて緩やかな上り坂となっていく。


 峠道に突入したということか、もちろんガードレールなど存在しない。

 万が一落下した場合、斜面の木々にぶつかりながら転がり落ちることは避けられないであろう。


 この峠道が山を1周し、魔族領域へと続く古い街道に繋がる。

 俺達は今からそこを行く、無事切り抜けられることを祈るばかりだ……



「早速急カーブだ、左に曲がるから皆内側へ寄ってくれ!」


「マジかよ!? 大丈夫なんだろうな……」


「任せておけと言ったであろう、行くぞぉぉぉっ!」


『ひぇぇぇっ!』



 客車を振り子のように揺らしながら左カーブを曲がる馬車、とんでもない『G』だ、台所に居る『G』ではなくGravityの『G』だ。



「おいジェシカ、ちょっと攻めすぎだぞお前はっ!」


「何を言っているのだ主殿は、私は責めるのよりも責められる方が好きだぞ」


「そういうことを言ってんじゃねぇぇぇっ!」



 助手席のユリナはその場でひっくり返ってしまったためジェシカを制止することが出来ない。

 かと言って右へ左へ激しく揺れる客車の中で立ち上がり、御者台まで行って直接注意することなど到底不可能だ。


 ジェシカめ、もし生き残ることが出来たら覚えておけ、尻をおろし金で磨り下ろしてやる。



 その後もおよそ3時間に渡り、滅茶苦茶な運転に付き合わされたのであった。

 昼前には少し広くなった所を見つけることが出来、そこで食事も兼ねた休憩とする……



 ※※※



「さ~て食事を済ませて午後もガンガン……皆どうしたというんだ?」


「おぇぇぇっ……お、お前のせいだ……」



 完全に食欲がない、無駄に元気なリリィと、それから専用シートの精霊様を除く全員がダウン。

 特に『荷物』として後ろの荷台に固定してあったメリーさんは悲惨な状況だ。


 比較的早く復活したカレンとマーサが全員分の缶詰を用意し、眩暈が治ったところでそれを食べつつ、地図の確認をする。



「今のでまだ10分の1ぐらいしか進んでいないわね……」


「嘘だろう? あんなのがあと9ラップも続くってのか、死ぬぞ、目が回りすぎて目玉が裏返って死ぬぞ」


「情けないな主殿は、あの程度の揺れでどうにかなってしまうものでもなかろうに」


『ジェシカーッ!』



 ジェシカの今の発言は全員の怒りを買ったようだ、もちろん俺の怒りも。

 一気に襲い掛かって取り押さえ、上着を剥ぎ取り、ズボンもパンツも脱がせて没収する。



「ご主人様、この馬用の鞭を使いましょう」


「そんなんじゃダメだ、イバラの鞭にセラの雷魔法を込めて使おう」


「わかったわ、打ち手は精霊様で良いわね」



 どこからともなく取り出されたイバラの鞭にセラの魔法を込め、それを精霊様に渡す。

 精霊様はそのまま全裸で地面に押さえ付けられているジェシカに近付き、そして振りかぶる……



「ちょっと、皆どうしたというのだ? なぜ私を取り押さえる?」


「それがわからないのであれば体に教えるしかないな、精霊様、やれっ!」


「ひゃぁぁぁっ! がびびびっ……あぁぁぁっ! がびびびっ……」



 打撃と電撃を同時に喰らいわけのわからない悲鳴を上げるジェシカ、悪は滅び去った、ここからは安全運転に努める『綺麗なジェシカ』に交代して貰うこととしよう……



「おいジェシカ、そろそろ行くぞ」


「へへーっ! 承りましてございますですっ!」



 休憩時間中ずっと正座させていたジェシカを引き起こし、没収してあった衣服のうちパンツだけを返却して御者台に戻す。


 ちなみに鞭の痕は治療済みだ、ここからは心を入れ替えて半裸で頑張って頂きたい。



「主殿、これでは蚊に食われてしまうぞ、せめて肌着だけでも上を返してくれないか」


「ダメだ、反省して安全な速度で運行しているのを確認してから返す」


「もうっ、コーナーを攻めると言ったのは主殿なのに……」



 何事もやりすぎは禁物なのである、即ちコーナーも攻めすぎは禁物だ。

 再出発し、今度は曲がる前にしっかりと減速するよう指示しつつ、峠道を進む。



「あっ! ご主人様、前方に人影のようなものがありますのっ!」



 しばらく走った所で、助手席で監視役をしていたユリナが何かを発見する。

 こんな樹海の中で人影か……これは出たかも知れないな……



「スピードを落として様子を見ながら進むんだ、死者なら呪われる前に突破、生者ならさらに詳しく確認して対応を決めよう」



 徐行運転に入り、俺も御者台に顔を突っ込んで様子を覗う……進行方向に見えるのは確かに人間だ、俺に見えるということは幽霊ではないはず。



「あ、あああ、主殿、幽霊……幽霊が……」


「落ち着け、俺にも見えているから幽霊じゃない、流れ者の変質者か何かだろうよ」


「いいえ、ご主人様、アレはめっちゃ濃厚な幽霊ですの、あのクラスになると霊力がほぼゼロでも見えますのよ」


「意味わかんねぇよ、幽霊に濃いめとか薄めとかあるのか?」


「相当に深い怨念があればあのぐらい濃くなりますの、ちなみに突破は無理ですわ、絶対に憑いて来ますの」



 なるほど、そうなると話を聞いてみて、必要があれば何らかの処置や供養をしてやる必要がありそうだな。

 そもそもジェシカは怯え切ってしまって御者どころではないし、交代要員のルビアも同様に何も出来ない。


 もちろん俺があの幽霊に近付いていけば呪い殺されるのは明らか。

 ここは精霊様と、それから第一発見者であるユリナを出そう。



 2人と幽霊は少しの間何かを話していたようだが、何やらまとまったようで一緒になってこちらに来る。

 もちろんミラ、ルビア、ジェシカの3人は恐慌状態で荷台に隠れた。



「ご主人様、この幽霊、この間メリーさんの軍に蹂躙されたらしいですわ、近くの集落に住んでいた人族の集合体ですの」


『あー、恨めしや~、マジでリアルに恨めしや~、特にメリーさんとかいう総大将恨めしや~』


「……わかった、ちょっと待っていてくれ」



 荷台に縛り付けてあったメリーさんを取り出し、幽霊の前に正座、さらには土下座謝罪させる……



『あー、コイツ仇敵そのものじゃん、良いッスか? っちゃって良いッスか?』


「構わんが、反省しているようだから殺さない程度にしてやってくれよな」


『うっす、じゃあコレでいくんで、マジ覚悟しとけよこのクソビッチが』



 その辺の良くしなる枝を拾い、土下座状態のメリーさんをビシバシ叩き始める幽霊。


 祟りなのに物理なのか? と思ったが、徐々に満足してきたらしい幽霊が薄くなり、遂には全く見えなくなった、今はメリーさんを打ち据える木の枝だけが俺の目に映っている。


 なるほど、ポルターガイスト現象の真相はこういう感じであったのか……



 しばらくすると枝が地面に落ちる、メリーさんが一度顔を上げ、そこからヘコヘコと頭を上げたり下げたり、どうやら最後に説教されているようだが、幽霊の声は俺に届かない。



「大変申し訳ございませんでした、深くお詫び申し上げるとともに二度とこのようなことをしないと誓います、どうか許して下さい……」


「あ、成仏したようね、霊体は完全に消滅したわ」



 メリーさんの謝罪が幽霊に届いたようだ、これにて進軍中に殺害してきた人族の許しを得たメリーさん、ここで荷物扱いをやめ、座席の隅にでも座らせてやることとしよう。


 お化け怖い組の3人が幽霊の恐怖から立ち直るのを待ち、再び馬車は峠道を進んだ。


 そこから2日半、ようやく開けた場所が見えてきた。

 山間ではあるが均された道が続き、街道脇には澄んだ川も流れている。


 ここを抜ければもう人族の住める領域ではなくなる、つまり瘴気に包まれた魔族の住む地へと、足を踏み入れることになるのだ。


 この先に一体どんな景色が待っているのか、それを知ることになるのはおそらく、あと2日ないし3日の旅をした後であろう……

次回新章突入です、引き続きお楽しみ頂けると幸いです。

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