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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第四章 東の火山
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333 書庫

「かなり近付いてきたな、リリィ、どんな奴が何人ぐらい居るかわかるか?」


「え~っと、何かめっちゃ居ます」


「女は?」


「1人だけです、小さい女の子が」



 1人だけということは、そいつが盗賊団の頭目、連中の言う『美少女頭目』であることは間違いない。


 だがリリィの評価で『小さい』だそうだ、それは背が低いということなのか、それとも単純にリリィを下回る程度のがきんちょなのか、出来れば前者であって欲しいところだ……



 現状、ターゲットを含む一団は俺達に先行するかたちで登山している。

 こちらからはなんとなく姿が見えるのだが、向こうはまだ俺達に気が付いてすらいないようだ。


 場所は7合目付近、涼しいというか寒い、背負っているカレンもテンションの高さを取り戻し、もう少ししたら自分で歩かせても良いレベルに戻りつつある。



「勇者様、私にも女の子の位置がわかったわ、避けて攻撃出来そうだけど、どうする?」


「う~ん、どうしようか……」



 このまま追いかけて行けばそのうち発見され、乱戦になる。


 その場合敵が弱くても斜面に転がる石に躓いて転倒したり、或いは滑落して重傷を負う、などということがないとは言えない。


 この寒さだとアナコンダさん方のサポートには期待出来そうもないし、ここは安全のため、敵の数を大幅に減らしておくべきであろう。



「よし、じゃあセラ、頭目らしき奴を避けて攻撃するんだ、それと、もし可能でも他の奴等を全滅させるなよ、話を聞ける奴が居なくなるかもだからな」


「わかったわ、じゃあやんわり攻撃するわね」



 セラが最小限の力で放った魔法は、斜面を駆け上がるようにして敵の集団へと向かう。

 最後尾の1人が何かを感じて振り向いた瞬間、風の刃がそこを通過する……



『あげっ!』

『何だっ!? 頭目をお守りしろっ!』

『祟りじゃーっ! 山の神の祟りじゃーっ!』



 登山していた敵集団のおよそ半分が死に、恐慌状態に陥った。

 蜘蛛の子を散らすように逃げ出したグループ、一箇所に集まり、何かを守ろうとするグループ、その反応は千差万別だ。


 逃げ出した連中は、セラ、ユリナ、精霊様の3人がそこをピンポイントで狙って殺害していく。

 すぐに片付いたようだ、穿たれ切り刻まれた死体が無数に転がっている。


 さらに動くことが出来ずに固まっていた連中も精霊様が始末した。

 これで残るは何かを守っている10人前後の集団のみ、あの真ん中に頭目が居るのは明らかだ。


 一気に走って近付いて行くと、その集団は武器を手に取って身構える……



「クソッ! こんな所で快楽殺人犯のグループに遭遇するなんて……」


「誰が快楽殺人犯だ、悪い盗賊団を始末しただけだぞっ!」


「貴様っ! どうして俺達が盗賊団だと知っているのだ!?」


「参謀のおっさんが言っていたからな、ちなみに奴は逃げたぞ、他はだいたい殺したし、残りはアナコンダとか何とかに喰われた」



 この山に来てから何度も説明したことをここでも繰り返す。


 だがこいつらは盗賊団の精鋭のようだ、参謀もそうであったが、話の中で唐突に登場するアナコンダに関してあまり驚いたりはしない。


 だが仲間を殺されたことに関してはかなり怒っているようだ、前列に居る3人が剣を振りかざし、襲い掛かって来る……と、そのお陰で後ろに隠されていた人物の姿を確認することが出来たではないか……


 攻撃を仕掛ける3人の処理はそっちのけで、頭目と思しき少女を見る。

 うむ、確かに美少女だ、だがその風貌はどう見ても10歳前後、つまりがきんちょ。


 金髪をツインテールにしているあたりもかなり子どもっぽさを増長しているのだが、それ抜きでも大人には見えない、見えないのだが……



「おいそこのガキ、お前が頭目か? そして歳いくつだ?」


「わ……私が頭目なの、歳はえ~っと……8歳なのっ!」



「え? 頭目は18歳ではないですか、8歳ではなく18歳の間違いです、訂正した方が良いですよ」


「あーっ! 何でそんなこと言うのっ! 8歳だったら8歳なのっ! そうすれば殺されたりしないの……」



 どうやら部下の男が言っているのが事実のようだ、その容姿を逆手に取り、年齢を詐称することで子どもに見せかけるつもりか。


 確かにそれなら捕まっても殺される可能性は低いし、『命を大事に』でいくなら妥当な作戦だ。

 だが部下がその作戦を理解していなかった、それは大きなミスであったな。



「あの……ホントにホントに8歳……」


「はいはい、わかったから降参しろ、部下の首は全部差し出せよ」


「うん、こいつらならいくら殺しても構わないの」


「えっ!? 頭目、それはないんじゃ……」


「黙りなさいなのっ! お前達は私のために黙って死ねば良いのっ!」


「あぐっ! あぁぁぁっ!」



 突然部下の1人を蹴飛ばす頭目少女、部下はバランスを崩し、斜面を転がり落ちてジェシカの前に到達した……そして次の瞬間には剣で串刺しにされる……



「お~い、早く次のタマを寄越せっ!」


「わかったなの、お前達、早く行くのっ!」


『そ、そんなぁぁぁっ!』

『あんまりだぁぁぁっ!』

『頭目の裏切り者おぉぉぉっ!』



 とか何とか言いながらも自ら斜面を転がってこちらに来る部下の連中、どうやら頭目少女に逆らうことが出来ないらしい、口では批判や反論が可能なようだが、それが行動には反映されない。


 その転がって来た部下を1匹1匹丁寧に殺していると、サリナが何かに気付いたようだ……



「ご主人様、この連中には幻術が使われていますよ」


「幻術か……あの頭目がやったわけじゃなさそうだな、おそらく四百二十面相の仕業に違いない」


「これ、私よりも強い力がないと成し得ないレベルなんですが……」



 怪人四百二十面相の新たな力が明らかになった、幻術まで使えるとはとんでもない奴め。

 きっと攻撃魔法や剣技、それにリリィや精霊様みたいな特殊攻撃も使えるのであろう。


 もう奴に関しては『強大な敵』扱いをせざるを得ない……



 と、そんなことを話している間に落ちて来る賊が途絶えた。

 見上げると、残っているのは頭目少女のみ、最後の部下もミラが殺し、それで全滅だ。



「よし、残弾がゼロになったならお前も降りて来い、両手を挙げてゆっくりとだ」


「わかったの……でも殺さないって約束して欲しいの……」


「命だけは保証しよう、命だけだがな」


「何か怖いけどとりあえずそっちに行くの、ちょっと待っていて欲しいの」



 既に諦めた、というよりも最初の一撃で部下の半数を失った時点で、もう戦おうという意思はなかったようだ。


 ゆっくりと降りて来た盗賊少女をその場に跪かせ、ルビアが無駄に持っていた縄で拘束する。

 しかし見れば見る程に『お子様』だ、何だか俺達が誘拐犯みたいになっているのだが……



「で、本当は8歳じゃなくて18歳、それで良いな?」


「違うのっ! ホントにホントに8歳なのっ! 女神に誓って8歳なのっ!」


「ダウトッ! 勇者よ、その者は18歳です、言っておきますが年齢詐称は重罪ですからね」



 何でそんなもんが重罪なのかはさておき、頭目少女は今しがた誓った女神が、この場に居てダウトを宣言した馬鹿そうな女だとは思いもしないはずだ。


 真の女神に指摘されてもなお、自分が8歳だという主張を曲げようとしないのであった……



「……仕方がありませんね、神罰を受けなさいっ!」


「あぎゃっ! がべべべべっ……はっ! へへぇ~っ! あなた様こそが真の女神……」


「わかればよろしい、神の前で年齢を偽った罪、深く反省なさい」



 どうやら神罰には、神の威光を知らしめる、何か特殊な効果もあるようだ。

 良くわからないが頭目少女がこの馬鹿を女神であると認識し、地に頭を擦り付けて土下座した。



「それで、年齢詐称作戦は以前にも使ったことがあるのか?」


「はいなの、去年どこかの豪邸に窃盗に入ったときに捕まって、そこでとっさに8歳だと言ったらお尻ペンペンで許して貰えたの、だから今回も上手くいくと思って……」


「甘かったな、お前には後であの参謀について聞くから、そのときの拷問を楽しみにしておくんだ」


「ひぃぃぃっ……なの……」



 とりあえず敵の集団はこれにて壊滅だ、さて、コイツに色々と話を聞くのは後にして、まずは山頂の書庫を目指そう……



 ※※※



「さぶっ! 超寒いじゃねぇか……」


「まさか夏でもこんなに寒いとはね、まぁ雪がないだけまだマシかしら」



 極寒の山頂、そしてすぐ脇に見えるのは山小屋……ではなくあれが書庫の入口らしい。

 牢獄内部とは違って封印などされておらず、そもそも石造りの扉が壊れ、中が見えている状態だ。


 女神と天使の了解を得てその扉を完全に破壊し、中を覗き込む……すぐ目に入ったのは地下へと続く階段、その先に大昔の資料が保管されているということだな。


 ちなみにかなり明るい、壁や天井に明かりがあるようには見えないのだが、それでもなぜか明るいのだ。

 まぁ神界の連中が造ったものだし、そういう不思議な現象が起こっていてもおかしくはないか。



「よし、じゃあ入るぞ」


「私も連れて行って貰えるの?」


「当たり前だ、逃げられても困るからな、ちなみに言うとお前等が盗掘しようとしていたようなお宝はないぞ」


「うぇ~、じゃあ行きたくないのっ!」



 捕まっている分際でわがままを言う頭目少女を抱え上げ、階段を降りる。

 背中にカレン、抱えているのは少女、2人共軽いがさすがにキツい……てかカレンは自分で歩けよな……


 などと不満を抱いたまま階段を降りて行くと、今度はきっちり閉まった状態の扉。

 いかにもな感じの装飾が施され、押しても引いても開かず、破壊することさえ出来なかった。



「おいおい天使よ、もしかしてこれ、封印されてんじゃね?」


「そんなはずはありません、確かここは……そうだっ! クイズに正解すると扉が開く仕掛けでした、どこかに問題があるはずなので探して下さい」


「問題か、問題……」



 全員でキョロキョロと問題らしきものを探す、俺は扉をくまなく探すものの、そこにはないようだ。

 となるとミラが探している横の壁の辺りが怪しいな、本人も何やら壁を凝視している……



「どうだミラ、何か見つかったか?」


「ちょっとかずれて読み辛いんですが……というかそもそも字が読めませんね……」



 どうやら以前入手した石版の最も古いものに近い、超古代の文字で何かが書かれているようだ。

 当然俺達勇者パーティーのメンバーにはその記載事項を判読することが出来ない、つまり女神の出番である。



「え~っとこれは……『右を見ろ』ですね」


「右ね、はいはい、また何か書いてあるぞ」


「これは『下を見ろ』と書いてあります」


「今度は下かよ」


「下のは……『上を見ろ』ですね」


「おいっ! いい加減に……」


「『馬鹿』だそうです、良かったですね大馬鹿でなくて」


「ぶっ殺す!」


「ちなみに問題文は扉の上に書かれていますね」


「・・・・・・・・・・」



 女神がその問題を読み上げる、ちなみに答えるところまでは手伝うつもりがないらしい……



『問題:神Aは牢獄併設の図書館にて司書の業務を担当している、これに基づき、以下の選択肢①~③の中から、神Aが司書として法律上行うことが出来るものを1つ選択しなさい』


 ① 未熟な者に対して拳法等を伝授する業務

 ② 図書館の案内および図書の貸し出し業務

 ③ 不動産の権利を登記するための手続業務



 簡単な問題だ、①は師匠、③は司法書士の業務である、当然ここで選択すべきは……



「わかったっ! 一番強そうな①が正解です!」


「こらカレン! 何を勝手に……あ、何かヤバそう……」



 後ろで勝手に答えを、しかも誤りの選択肢をモロに叫んでしまったカレン。

 途端に扉が赤く染まり、何やら物々しい雰囲気を醸し出す……



「……ちなみにこれ、間違えるとどうなるんだ?」


「神界から大聖獣が召喚されてこの世界を滅ぼします」


「なぁぁぁっ!? おいちょっとどうにかしろよ! 召喚中止ボタンとかないのか?」


「ありませんよ、そもそも間違えるような問題じゃありませんし、あ、そろそろ来ますね……」



 なんということでしょう、たった1つの問題を間違えただけで、この世界に生きる全ての人々を巻き込んだ罰ゲームが執行されてしまうのだ。


 常識から考えてありえないのだが、腐った頭の神々が考えることだ、ここは諦めて大聖獣とやらを討伐……何か汚い犬みたいなのが召喚されてきたぞ、しかもヨボヨボじゃないか……



『おぉ、そこに居られるのは女神様、この世界を滅ぼすためにわしを召喚したのはええが、ちょっともう歳なんで勘弁して下さいまし』


「ええ、ご苦労でした大聖獣よ、神界に戻ってよろしい、あとそろそろ引退なさい」


『ははぁ~っ、お慈悲に感謝いたしますぞ、ではこれで……』



 小汚い犬は消えてしまった、どこが『大』でどのあたりが『聖獣』なのか。

 全く理解は出来ないがとにかくアレと戦っても勝ち目がないということだけは皆感じ取れていたようだ。


 あれだけ歳を取った状態でなお、おそらく精霊様を肉球によるワンパンで沈めることが可能な実力、全盛期であればこの世界を滅ぼすのに1秒と掛からなかったはず。


 汚かったが実に恐ろしい犬だ、女神の奴、とんでもないモノを飼っていやがる……



「さてカレン、お前は後でお仕置きだからな、次は邪魔するなよ」


「は~い、ごめんなさ~い」


「わかればよろしい、で、正解の選択肢は②、ファイナルアンサーだ」



 当然の如く正解し、今度は青く光った扉に手を掛ける。

 ゆっくり引くと、音もなく開き、その先の様子が明らかになった……変なおっさんが暇そうに座っているではないか……



「おぉっ! よくぞここに辿り着いた! 我を、いやこの世界を救う可能性を秘めた者達よっ!」


「誰だお前? 悪いが頭髪にお悩みなら救ってやれんぞ」


「いいや、我は既に救われておるといっても過言ではない、そなたらが次に救うべきはこの世界、余力があれば神界もお願いしたいところだがな、ちなみに我はこの牢獄の所長をしていた神だ」


「神だって? おい天使、こいつのこと知っているか?」


「わかりませんが、私のような下っ端が所長に会う機会など一切ありませんから、この神様がどうかというのはちょっと……」



 そういうことか、だがコイツが神であるという点に関しては間違いなさそうだ。

 女神もそれを肯定し、ついでに言うとこんな所に居る時点で神界の存在以外ありえない。



「で、お前はここで何をしていたんだ? サボってないで真面目に仕事しろよ」


「閉じ込められておったのだよ、この牢獄が崩壊した際、スタッフ一同慌ててこの書庫へ重要なものを運び込んだのだが……最後に我が入ったとき、部下に対してカッコイイ感じで『お前達は先に行け!』などと言ってしまってな」


「だからどうした、後から普通に帰れば良かっただろうが」


「ここ、オートロックなのよね、しかも内側から開かないのだよ……」


「……うん、何かすまんかった」



 つまりはホテルの部屋から閉め出されるパターンの逆バージョンを喰らい、数百万年間もこの書庫に閉じ込められていたというのだ、なんと哀れな奴……


 しかしその1人かくれんぼももう終わりだ、俺達がクイズに正解し、しかも現時点でのこの世界の管理者たる女神がここに居るのだから。



「いやぁ~、しかし最近意識だけ外に出す力を得たのは幸運であった、すぐにここの封印ペンダントの片割れをその意識に持たせ、ほれ、そこに居る人族の娘に渡したのだ、いつかはここに辿り着くであろうと考えての」


「まぁ、じゃああの変なおじさんはあなただったのね、ちょっと息が臭かったから気をつけた方が良いわよ」


「・・・・・・・・・・」



 俺達がここに辿り着いたことに感動していた神であったが、空気を読まないセラの指摘によってその気持ちは崩壊したようだ、今は気持ち悪い顔を真っ白にして意気消沈している。


 だがコイツが立ち直るのを待っているほど暇ではない、すぐに意識を呼び戻させ、ここにあるという牢獄崩壊当時の資料がどこにあるのかを尋ねた……



「資料か、資料なら全てここに入っておるぞ、髪は少ないが知力は凄まじいのでな」


「オートロックトラップに嵌まる頭のどこにそんな知能があるんだ?」


「何を言うか、我は数百万年もここに閉じ込められていたのだぞ、その間ここの資料を読み耽るぐらいしかやることがなくて……」


「……うん、何かすまんかった」



 ということはアレか、見渡す限り積み上げられた紙の束の中から目的の資料を探すまでもなく、このおっさんを連れて帰れば事足りる、そういうことだな。


 どうせ行く宛てもないのであろうし、ここはひとまず俺達の旅に……いや、この臭そうなのを馬車に乗せるのはイヤだな、どうにかして別ルートで……



「女神、ちょっとこのおっさんをお前の部屋で預かってくれないか?」


「勇者よ、女神である私の部屋にこの……この小汚い神を上げろというのですか……」


「しょうがねぇだろこれでも神なんだから、じゃあお前、足とか綺麗に洗って、女神の部屋が汚れないように気を付けるんだぞ、話を聞きたいときにはまた呼び出すからな」


「・・・・・・・・・・」



 無駄にディスられまくり、悲しげな顔をしているおっさん。

 説得の後に女神が折れ、その力を借りて神界へと転移して行った。



「さてと、ここの扉はもう一度閉めておく必要がありそうだな、この馬鹿みたいな盗掘団が来たら何をするかわからん」


「馬鹿とは失礼なの、これでも私は盗賊団の……」


「はい、じゃあ馬車に戻ろうか、次はフルートの故郷へ向かうんだったな」



 このときはまだ気付いていなかった、馬車は人族の領域側の3合目付近にあり、魔族領域へ向かうには頂上を挟んで反対側の登山道に出なくてはならないことを。


 俺達の考えた最強の順路は最初から破綻していたのである、そしてそこから馬車で魔族領域へ出るためには、かなりの大回りをしなくてはならないこともまだ知らない。


 意気揚々と山を下る途中、そのことに気付いたセラが皆に事実を伝え、そこから先の道はまるで葬列の如く、俯き加減でぞろぞろと歩いて行ったのであった……

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