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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第二章 それは犯罪です
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318 史上最低の作戦

「おい、やっぱちょっと臭くねぇか?」


「気のせいよ、気のせいだと思うわ、あんな形だからそう感じるだけよ……たぶん……」


「じゃあ精霊様、先に行ってくれ」


「臭いからイヤよ」


「……やっぱ臭いんじゃないか」



 敵の空飛ぶウ○コ型要塞がリアルに臭い、嫌がらせのためにあえてそうしているのか、それともやむを得ない事情でそうなっているのかは不明だが、とにかく臭いのは事実である。



『どうしたの勇者様、何で出撃しないのっ!?』


「いや、そんなこと言ったってな……」



 伝声管から響くセラの声、城壁の下からはまだ敵の禍々しい姿が確認出来ていないのだ。


 攻撃を仕掛けるにしても、かなり離れていてこの臭いだ、近付いたらたちまち参ってしまうことは明らか。

 初撃は王国軍謹製の屁気球に任せてしまおう、どうせそちらも臭いのだ、似た者同士仲良く戦って欲しい。


 立ち上がったまま動けないでいる俺達の頭上を通り過ぎて行く王国軍の屁気球が2つ、その下に設置されたゴンドラには……それぞれセラとユリナが搭乗しているではないか!



「おいお前らっ! どうしてそんな所に居るんだっ!?」


「魔法迎撃部隊に組み込まれたからよっ! ちょっと行って来るわね~っ!」


「てかアレは何なんですのっ!?」



 拙い拙い拙い拙い! あんなのあっという間に撃墜されるぞ、ユリナは大丈夫かも知れないがセラは人族、爆発の炎と、あの高さから落下する衝撃には絶対に耐えられない。



「リリィ、精霊様、俺達も出るぞ、2人が心配だ、俺とリリィでセラを、精霊様はユリナを頼む」


「臭そうねぇ……」



 ブツブツと文句を言う精霊様をどうにか宥め、むしろ巨大ウ○コに大喜びのお子様リリィに乗り込んで城壁から飛び立つ。


 屁気球の速度は遅く、あっという間に追い付くことが出来た。



「お~いっ! 2人共聞いてくれっ! はっきり言ってそれはヤバい!」


「あははっ! 大丈夫よ~っ! 大丈夫……えっ!?」



 俺が警告した一瞬の後、敵の巨大ウ○コから火魔法が飛ぶ、あちらも下にゴンドラを設け、そこに魔法使いを置いて攻撃する仕組みのようだ、ゴンドラの数自体は敵が圧倒しているのだが……


 その攻撃に気付いたセラが風魔法の防御を張る。

 だが巨大な気球の先端がその影響範囲外になってしまった。


 そこへ直撃する敵の火魔法、こちらの気球には臭っさい屁が充填されているのだ。

 当然爆発、炎上し、セラの乗ったゴンドラごと地面に向かって急降下する。



『ご主人様、セラさんが放り出されましたっ!』


「好都合だ、落ちる前に回収するぞ!」



 落下するセラは、どうも爆発の衝撃で気絶しているようだ。

 風魔法を上手く使えばソフトランディングが可能なはずだが、一向にそれをする気配がないことからそう推測出来る。


 急降下し、セラの下に入るリリィ、俺が腕を伸ばし、どうにか体を掴んで救出に成功した。

 大きな怪我はないものの、そこかしこに火傷がある、すぐにルビアの所へ連れて行こう。



『行け~っ! このまま突っ込んで自爆するんだ~っ!』



 もう片方の気球は指揮官が馬鹿なようだ、横に並んで飛び、まるで支援する戦闘機のような状態になっている精霊様も呆れ顔だ。


 まぁ良い、馬鹿は死ななきゃ治らないからな、精霊様はユリナが落下した際に、怪我などしないよう救出して貰えれば十分である。



『ご主人様、他の兵隊さん達がそのまま堕ちて行ってるんですけど……』


「諦めろ、それよりもセラの怪我の方が遥かに心配だ」


『確かに、じゃあ急いで戻りましょ』



 残酷なようだが仕方が無い、そもそも落下して行く兵士は10人以上、全員を助けることは出来ないし、1人乗せるだけでもリリィにとっては大きな負担だ。


 ここは仲間を優先させて頂く、セラの治療が俺にとっての最優先事項なのだから……



 ※※※



 城門付近に設置された王国軍陣地へと帰還し、すぐにセラを抱えて救護所へ飛び込む。

 まだ誰も怪我人は運び込まれていないため、フリー状態のルビアにセラを預ける。



「怪我の具合はどうだ?」


「すぐに治りますよ、でも気を失っているのは自力でどうにかして貰うしかありませんね」


「そっか、じゃあしばらくここに寝かせておいてくれ」


「わかりました……っと、今の音は何でしょう? さっきも同じような……」


「馬鹿が造って馬鹿が指揮する気球が爆発した音だ、ユリナが心配だから見て来る」



 城壁を挟んでもなお伝わる地響き、本当に特攻を仕掛けたのか、それとも途中で撃ち落されたのか。

 外に出てリリィに乗り、再び空に舞い上がると、敵要塞から上がる炎が見えた、特攻したということだな……



『ちっとも効いてないみたいですね……あ、精霊様が飛んでますよ』



 ユリナを抱えた精霊様、こちらは爆発前に救出したのか、無傷の状態である。

 気絶しているわけでもないためそのまま受け取り、リリィの背中に乗せた。



「精霊様、俺は一旦戻るけど、これからどうするんだ?」


「ちょっと試したみたいことがあるの、たぶん上手くいくと思うわ」


「何か見つけたのか?」


「ええ、おそらく向こうもこっちと同じよ、ただ大きいってだけ」



 そう言って飛び去って行く精霊様、俺はユリナを城壁の内側へ届けるべく逆へ向かった。

 振り返ると、巨大ウ○コへ接近して水の弾丸を放つ精霊様……穴が空いたようだ。


 その穴から漏れ出た気体が、気球の突入によって燃え盛る炎に触れたのであろう、引火し、爆発を起こす。

 向こうも気球ということか、そしてあのビジュアルからして間違いなく『詰まっている気体』も同じ物。


 だが巨大さゆえか、こちらのように単一の気室ではないようだ。

 一部が破損し、中身が漏れ出たり燃えたりしても、他が健在である限りは飛び続けることが出来る。


 おそらくは相当な数に小分けされているのであろう、連続で仕掛ける精霊様の攻撃によっていくつもの穴が空いたが、それでも高度を落とすことすらしない。



「ご主人様、もう少し近付けば私も攻撃に参加出来ますの」


「そうか、だがリリィの負担も心配だ、城壁に降ろしてやるからそこで待機するんだ」


「わかりましたの、しばらく待って、届く位置まで来たら攻撃をしますわ」



 精霊様単体ではあの空中要塞を潰し切るのに時間が掛かるのは明白、だとすればユリナも、そしてそろそろ目を覚ましているであろうセラにも攻撃に参加して貰いたい。


 一度城壁の上に立ち寄り、ユリナを降ろして救護所へ向かう……セラは既に目を覚まし、呑気に茶を啜っていた。



「セラ、もう大丈夫なのか?」


「ええ、心配掛けてごめんね、お仕置きして良いわよ」


「それは後だ、すぐに城壁の上に行くぞ!」



 セラの口元に添えられていたティーカップを下からグイッと押し、中身を一気に飲み込ませる。

 当然むせるが気にしない、腕を掴んで引っ張り、リリィに2人乗りして城壁の上を目指した。


 精霊様はまだ戦っているようだが、一向に敵要塞の高度も、その進行速度も落ちない。

 だがそろそろセラとユリナの魔法の射程圏内に入る、そしたら一気に叩き潰してやろう。



『ご主人様、私達も行きましょ!』


「そうだな、精霊様を援護するぞ、それと俺達は裏面を攻撃するんだ、こちら側は2人に任せよう」



 すぐに飛び立ち、全速力で空飛ぶウ○コ要塞に接近する。

 途中、下にあるゴンドラの魔族にブレスを浴びせて牽制しつつ、精霊様の下へ辿り着く。



「どうだ精霊様、気張ってるか?」


「ええ、でも信じられないぐらい固いわよ、ひとつひとつの気室に強力な防御魔法が掛かっているわ」


「そうか、セラ達の魔法もどこまで効果を発揮するかわからないな、とにかく俺達は裏に回ろう」



 一度精霊様と離れて、ウ○コの両サイドから反対側へと回る。

 まだ綺麗な壁にリリィのブレスを浴びせるも、1ヵ所に数秒当てて、ようやく小さな気室が1つ潰せる程度だ。


 その位置から王都の城壁を見る……かなり近くなってきた、このままだと撃墜する前に町の上空へ入られてしまう……


 次の瞬間、セラとユリナの魔法が同時に飛来し、先程まで精霊様が攻撃していた前面にぶつかる。

 衝撃に揺れる巨大ウ○コ、だが高度も速度も落ちない、精霊様の言う通り、相当に頑丈なようだ。


 次の一撃も同じ、表面的にはダメージが入っているようなのだが、内部の、クリティカルな部分には届いていないらしい。



「こうなったらガンガン攻撃するわよ! 町の上に来る前に少しでもコイツの防御を削っておくの!」


「ああ、とその前にだ、俺とリリィは先にぶら下がっているゴンドラを潰しに行く、城壁の上にいる連中に攻撃されたら厄介だからな」



 すぐにウ○コの下へと潜り、いくつもぶら下がったゴンドラをひとつひとつ、ブレスを叩き込んだり、手近なものは聖棒で直接攻撃したりと破壊していく。


 当然そこに乗った魔族、大半が上級魔族のようだが、それも迎撃し始める。

 全て魔法攻撃が使える連中のようだ、たいしたことはないが、普通の兵士にとってはかなりの脅威、いや、一撃で殺されてしまう。



『これで最後ですっ!』


「よしよし、全部落としたな……ほとんど生きてるみたいだが……」


『丈夫な魔族さんですね……』



 地上で粉砕したゴンドラから、何体もの魔族が這い出しているのが見える。

 今のところ特に動きはないが、そのうち集合して、地上部隊として攻撃を開始するはずだ。


 そちらへの対処は城門付近に居る他のメンバーに任せよう。

 再び上へと戻り、精霊様と協力してウ○コ裏面への攻撃を続けた……



「かなり近付いてきちゃったわね」


「だがちょっと傾いてきていないか? 片面に攻撃を集中すればどうにかなるかも知れないぞ」



 巨大な船を撃沈する際には、その船の片面に集中して魚雷をぶち込むという話をどこかで聞いたことがある。

 これは船どころかウ○コなのだが、同じようにすれば或いは、といったところだ。


 セラとユリナも傾きに気付いたようで、俺達の方から見て右側に魔法を撃ち込み始めた。

 徐々に大きくなる傾き、城壁からは一般の魔法兵による攻撃も始まっている。


 いけるかも知れない、このペースなら敵が城壁に辿り着く前に転覆だ。



「ガンガンいけっ! 何としてでもここで食い止めるんだっ!」


「あ、ちょっと待って、動きが止まったわよ、もう進これ以上は進めないみたい」



 遂に停止するウ○コ要塞、動きは止まれどもバランスは悪くなる一方……ん? 何か下面が開いているような気がするのだが……



『脚だっ! 脚を出していますよっ!』


「うわっ!? 本当だ、しかも脛毛ボーボーじゃねぇか!」



 ウ○コから脚が生えてきた、毛深く薄汚い脚である。

 地面に向かって伸びていったその脚は、やがて着地し、ウ○コの平行を取り戻した。



「クソッ! 歩いて王都に進入するつもりか? あの汚い脚で……あんなのに踏み荒らされたら廃都確定だぞ……」


「でも動かないわね、あれから沈黙したままよ」



 冷静に攻撃を続ける精霊様、確かに歩き出す様子はない。

 だが同時に、しっかりとバランスを保ったウ○コに対しては、攻撃で表面を削ることによるダメージなど屁みたいなものだ、ウ○コだけに……



「一旦戻ろう、このまま攻撃を続けても埒が明かないし、何よりも地上に落ちた魔族共の行動が気掛かりだ」


「そうね、何だか土煙が上がっているみたいだし、もう戦闘が始まっているはずだわ」



 ということで城壁の内側に帰還する、門の辺りにはやはり、先程落下して行った上級魔族の一部が押し寄せていた。


 当然地上部隊がこれを迎撃し、特にカレンが無双しているのが見て取れる。

 こっちの戦いはすぐに終わりそうだな、俺達は本部に戻って今後の対応を協議しよう……



 ※※※



「戻ったか勇者よ、ご苦労であった」


「ああ、あの馬鹿気球に乗っていた奴以外は全員戻ったと思うぞ」


「まぁそう言うでない、今回は失敗であったが、次は中に込める気体をもっと燃え難いものとしてじゃな……」


「……まだやるのかよ」



 あんなものに込めるのは気体だけで、決して期待は込めないで欲しい、もしやるなら無人の遠隔操作方式にでもしないとダメだ、そんな技術はないと思うがな。



「それで、これからどうするつもりなんだ?」


「うむ、こちらの攻撃があまり意味を成さない以上、敵の出方を探るしかないのじゃが……動かないものは仕方ないの……」


「もしかすると今日は終わりなんじゃないか? 敵の搭乗員も忙しいんだろきっと」


「だと良いんじゃがな」



 辺りは既に暗くなりつつある、この調子だと今日の攻撃はここまで、明日の朝早くに敵が何らかのアクションを起こして戦闘再開という流れになりそうだ。


 そこへちょうど、城門に殺到した上級魔族を殲滅したメンバーたちが戻って来る。

 同時に城壁の上に居たセラとユリナも降りて来た。



「さて、一旦屋敷へ帰るか、夕飯と風呂だけ済ませてまた戻って来よう」


「では主殿、馬車を回して来るゆえここで待っていてくれ」


「わかった、待機しておこう」



 ジェシカが馬車を取って来る間、開け放たれた城門の向こうにあるウ○コ要塞を眺める。

 ウ○コの上部分はボロボロであるものの、下面はゴンドラが落下したぐらいでそうダメージを負った様子はない。


 ん? その中央付近に扉のようなものが見えているではないか。

 もしかしてあそこがオープンして敵があふれ出すのか?


 扉のようなものが設置されているのはウ○コから生えた脚と脚の間、あれじゃあまるでウ○コがウ○コを……いや、何でもない……



「お~い主殿、早く馬車に乗るんだ」


「おうっ、すまんすまん」


「全く、ずっとあんなものを眺めて、そんなに気に入ったなら小さいのを造って庭にでも飾るんだな」


「ぜ~ったいに嫌だね、気持ち悪いったらありゃしないぞ」



 などと適当な話をしながら馬車を走らせ、屋敷へと向かった……



 ※※※



 屋敷へ戻ると真っ暗、周囲の建物にも明かりが灯っていない。

 皆まだ地下に避難しているのか、そういえば警報の発令はしたものの、それを解除するということをしていない気がするぞ。


 庭に置いてあったカンテラに火を灯し、それを持って地下へ降りた。

 地下牢は明かりが点いているようだ、シルビアさんらしき声も聞こえる。



「あら? おかえりなさい、戦いは終わったのかしら?」


「いえ、一時中断って感じです、まぁ朝までは再開しないでしょうが」


「そうなのね、こんなに暑苦しい時期に地下暮らしは堪えるわ、さっさと始末してちょうだい」


「はぁ、まぁ、その、頑張ります……」



 とりあえず、アイリスが夕食と夜食を準備してくれるそうだ。

 俺達は風呂に入ってそれを待つこととした。


 今日も憲兵が犯罪者を追い掛け回す音が聞こえてくる、地下ダンジョンに居た連中は全滅させたというのに、今現在暴れているのはどこに隠れていたというのだ?



 しばらくすると、厨房の窓から顔を出したアイリスが手を振ってよこす、食事の準備が出来たようだな、すぐに食べて戻るとしよう。



「こっちがお夕食で、こっちがお夜食です、がんばってくださいね~」


「おう、地下に避難しているとはいえ気を付けろよ、ヤバそうだと感じたら脱出するのもひとつの手だからな」



 手渡されたサンドウィッチを齧りながら、地下へ戻って行くアイリスを見送る。

 さて、俺達はそろそろ……兵士が庭に駆け込んで来た……



「ゆ……勇者殿! 敵に動きがありましたっ! すぐにお戻りを!」


「え……マジで?」



 予想は大ハズレ、敵は夜を待ち、王都の中に居る犯罪者が暴れ出すのを待っていたのか。

 俺とリリィ、精霊様は先行して空を、残りのメンバーは馬車で東門へと向かう。


 敵ウ○コ要塞に近づく……篝火に照らされたウ○コの股から何かが、次々と排出されているのが見える……ウ○コだ! しかも変な魔族付きの……



「おい精霊様、何だあいつらは!?」


「良く見て、アレは中級魔族の一種、『屁こき魔』よ! 屁をこいて空を飛ぶわ」


「もうちょっと名前どうにかしろや、それで、あのウ○コは何だ? どうしてあんなものを持っているんだ?」


「わからないわ、でも兵器なのは間違いないわね、もしかして町に投下するつもりかしら……」



 冗談じゃない、鳥のフンどころか人の顔よりも大きいウ○コ、まぁリアルウ○コとは限らないし、そうでないことを祈るのだが、とにかくそんなものを落とされたらお終いだ。


 奴等が城壁を越える前に、何としてでもすべてを撃墜し、恐怖の無差別ウ○コ絨毯爆撃を阻止しなくては。


 てか今回の戦い、屁とウ○コしか登場していないような気がする……



 屁こき魔だか何だかが飛び交う空域に向かい、リリィのブレスを最大威力にて、軍団の真正面から浴びせる……抱えていたウ○コが爆発している、あの中身も屁なのか?


 精霊様も水の弾丸を放ち、次々に屁こき魔を撃墜していく。

 だが巨大ウ○コ要塞からはまだ続々と奴等が排泄、いや排出されている。



『ブフォッ! このままじゃ全滅だ、進軍開始だプー!』



「あら、動き出しちゃったわよ」


「何だあの喋り方は……」



 最後まで出切るのを待たずして、城壁に向かって進み出す屁こき魔軍団。

 城壁の上に居る魔法使いも応戦を始めた、すぐにセラ達も来るはずだ。


 そして遂に屁こき魔の流出が途絶える……直後、その穴から豪華に装飾されたゴンドラがゆっくりと降りて来た……


 誰か乗っている、ドロボウ柄の服を着て、右手にはバールのようなもの、左手には火炎瓶のようなものを携え、口にはマイナスドライバーを咥えている。


 良く見たら服を着ているのは上だけ、下は穿いてない、丸出しだ……犯罪の権化みたいな奴だな。

 もう間違いない、奴こそが今回の主敵、犯罪マンその人だ。



『我が名はハーン=ザイマン、全ての犯罪者の頂点に立つ者也、ちなみにあなた方には金貨500枚が当選しております、1時間以内に金貨50枚を手数料として送金することでご対応致します、ではまた』



 そう告げただけで、ゴンドラは再びウ○コ要塞の中へと戻って行く。


 いきなりバレバレの詐欺を仕掛けてきた犯罪マン、そして空を覆う屁こき魔の集団。

 何気にピンチである、特にあの可燃性ウンコを町に投下されたら大事だ。


 まずはそれを阻止しなくてはならない、何とかここで食い止めることが出来れば良いのだが……

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