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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第三部 第一章 寒村大騒動
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309 空を覆う

「急げっ! 敵が来るぞ!」



 慌てて砦の上部に出る、そこには既に多くの兵が集まっており、森の中から姿を現しつつある敵軍の様子を眺めていた。


 巨大な魔物をかなりの数擁しているゆえか、ここからでも地響きが聞こえてくる。

 その数も相当に、というか本来よりも多く見えるな、兵士達の士気が下がらないか心配だ。


 狭い森の出口から拓けた場所へ、時計の砂粒でも落とすが如く溢れ出す敵軍、前列は魔物、中列は下級魔族とそれを指揮する中級魔族、そして上級魔族は最後列。


 そしてさらに後ろ、ピンクのパラソルが突き刺さった巨大かつ豪勢な車、アレに乗っているのがメリーさんか、パラソルの影で顔は見えないのだが、雰囲気からしてもう間違いない。



「あら、何だか真ん中を開けているわよ、指揮官クラスが誰か前に出るんじゃないかしら?」


「本当だ、てか大将のメリーさんが出て来るんじゃねぇか? 馬用意してるみたいだし」



 遥か彼方で忙しなく動く敵陣最後列、そこから白馬が1頭、海でも割ったかのように左右に分裂した兵の間を通り、こちらに向かって走って来る。


 やがてその姿がはっきりと見え出した、金髪のロングヘアーを靡かせる痩せ型の女性。

 白のワンピースを着込み、頭にはお洒落なハットを被っている、とても戦場に立つ者とは思えない出で立ちだ。


 うむ、顔も可愛らしいじゃないか、可愛らしいのだが……アレは明らかに病んでいる奴の目だ、怖い……



 そのメリーさんは敵軍の前まで進み、そこで馬を止める、『やぁやぁ我こそは』と名乗りを上げそうなポジションなのだが、その服装ゆえ紛れ込んだ貴族令嬢にしか見えないのであった。


 リアル戦場に咲く一輪の花は、不気味な笑みを浮かべてこちらを、砦の上部に居る俺を見つめる。

 降りて来いということか、だが俺は馬に乗れない、徒歩で行くのはさすがに恥ずかしいか?



「ご主人様、私がドラゴン形態に変身して乗せて行ってあげましょうか?」


「おぉっ! それは妙案だ、実に勇者っぽいな、じゃあそれでいこう」



 砦の上で変身したリリィに跨り、そこから飛翔してメリーさんの前に降り立つ。

 決まった、これでもう勝ったも同然だ、何といっても俺の方がカッコイイのだからな。


 眼前のメリーさんと目が合う、おや、この状況においてもビビッた様子はないな……



「ようやくお目通りが叶いましたね、異世界勇者さん」


「お前はメリーさんだな、パンツ見せろ」


「あら? パンツは穿いていませんよ、そういうご指示でしたから、私の軍を見事に打ち破った暁には、その証拠をお見せします、ウフフッ!」


「期待しているよ、だが今日中に決着がするとは思えないな、明日以降もノーパンで頼むぜっ!」


「それはどうでしょう? では両者が本陣に戻ったのを確認し次第、攻め手であるこちらから攻撃を開始させて頂きますね」


「おうっ! どーんと来いやっ!」



 反転し、再び宙を舞って砦へと戻った、メリーさんも馬の腹を蹴り、自陣の奥深くへと帰って行く。


 次に顔を突き合わせるときにはどうなっていることやら、俺としてはもちろん、メリーさんが縄でぐるぐる巻きにされた状態という結果を迎えて欲しいのだが……



 先に戻った俺は、砦の上部から馬を走らせるメリーさんを眺める、その馬が停止し、しばらくわちゃわちゃと動きがあった後、遂に戦闘の火蓋が切って落とされる。



『第一空挺師団、突撃!』



 おいちょっと待て、何だ空挺師団ってのは? そして何なのだあのワイバーンに乗った魔族の一団は?


 敵軍後方から舞い上がる無数のワイバーン、まさかの事態である。


 てっきり前方に居る魔物だの下級魔族だのがオラオラ言いながら突撃して来ると思っていたのだが、どうやら四天王軍クラスになると、その戦い方もかなり洗練されたものになっているようだ。



「ご主人様、あのドラゴンモドキみたいなのは何か持っていますよ」


「油壺爆弾だろ? カレン、敵がこの真上に来る前に可燃物を撤去するように行って回るんだ」


「わかりました!」


「俺とリリィはそのまま出る、精霊様は水壁で防御、セラとユリナはガンガン魔法を撃って奴等を撃墜するんだ、それ以外は可燃物撤去を手伝え!」



 一斉に動き出す砦の守備隊、それを眼下に眺めながら、またしても上空に出る。

 それにしても凄い数だ、しかもかなり距離を取り、空一面に広がっているではないか。


 いくらなんでもこれを全て撃ち落とすのは不可能だ、間違いなく、その半数以上は防御を抜き去り、砦に損害を与えるであろう。



 もしかするとセラやユリナの魔法で敵軍丸ごと吹き飛ばした方が良いのかも知れない。

 だがその場合、砦にも致命的な損害が生じるのは明らかだ。


 これで敵軍が終わりだというのならばそれでも構わないのだが、おそらく東の四天王軍には、メリーさん以外にも武将が居るはず。


 下手なことは出来ない、燃やされようが砦は砦、今は地道に戦い、ジワジワと敵の数を削っていくのが得策だ。


 幸いにもワイバーンに乗って攻撃を開始したのは全て上級魔族のようだし、ここで可能な限り数を減らし、この後の戦いを楽にすることを考えよう。



 俺とリリィは敵ワイバーン部隊のど真ん中に食い込み、全方位に攻撃を撒き散らす。

 ブレスを浴びて燃え上がり、墜落して行くワイバーン、抱えた油壺爆弾がその炎上を助長している。


 が、何かがおかしい、どうして攻撃を受けたワイバーンから搭乗者が飛び降りているのだ?

 そしてその直後に開くカラフルな布は何なのだ?



『見て下さいご主人様、負けた人が傘を使ってゆっくり降りて行きますよ』


「……野郎、落下傘まで用意していやがったか」



 ワイバーンが殺られても、搭乗者は何らかの魔法で守られているらしく、全員が無傷のまま離脱していく。


 それはリリィのブレスを浴びた場合に限ったことではない、セラとユリナの魔法が直撃した奴も、それからすれ違いざまに俺が物理攻撃を喰らわせた奴も、誰一人としてダメージを負うことがないようだ。


 しかも良く見ると、地表に辿り着いた搭乗者がそのまま敵陣の奥へと走り去って行くではないか。

 討ち捨てられた落下傘は、下に居る雑魚の下級魔族がせっせと畳み、バケツリレーの如く後方へ送っている。



『あっ! さっき走って行った人がまた来ますよ、ワイバーンを新しいのに変えたみたいです!』


「卑怯臭せぇことしやがって、これじゃキリがないぞ……」



 既に何体かのワイバーンは弾幕を通過し、砦に油壺爆弾を投下していた。

 可燃物はもうないのだが、それでも地面に飛び散った油は燃え、その周囲には空白地帯が形成される。


 と、そこへ敵軍に新たな動き、地上部隊が進軍を開始したのだ。

 このままだと拙いな、空の敵に掛かりっきりのうちに砦の壁をよじ登られてしまう……いや、それは大丈夫そうだな……



 砦の上部から何十人もの筋肉質な連中が飛び降りて行く、次いで獣人部隊も、その中には当然、小さな狼と可愛いウサギが混じっている。


 地上の敵は奴等に任せよても良さそうだ、カレン、マーサ、そして王国軍の精鋭部隊、それだけ居れば魔物や下級魔族の集団ぐらいは押し留められるはず。


 俺達はワイバーンをガンガン撃墜し、そのストックをゼロにすることを優先しよう。

 空の脅威がなくなれば、砦の上に居る一般兵達も弓などで戦闘に参加出来ることだし。


 ちなみに他のメンバー達は消火活動や、怪我人の救助に当たっている。

 さすがにマリエルが指揮所を離れるわけにはいかないがその分エリナに手伝わせて穴を埋めているようだ。



 さして混乱に陥ることもなく、抜けて行った敵が砦の上空に到達したらその周辺は警戒、攻撃を受けたら直ちに消火、という流れが確立されている。


 やはり可燃物をおおかた撤去したのは効いたな、ほぼ石で出来た砦はそう簡単に燃え上がるものではない。



『ご主人様、何だか今までのとは別のアイテムを持ったワイバーンが来ますっ!』


「燃やすのは諦めたか……拙い、今度は質量で破壊するつもりだっ! リリィ、あっちを優先的に攻撃するぞ!」


『はいは~い!』



 トゲトゲの付いた鉄球のようなものを掴んだワイバーンが上昇を始める。

 アレを砦に落とされたらひとたまりもない、きっと穴を空けられ、最終的には崩されてしまう。


 だが重さがある分その動きは遅い、俺とリリィは前方の敵を掻き分け、前進を開始しようとする質量兵器ワイバーン部隊の中へ食い込んだ。


 ブレスを浴びて堕ちて行くワイバーンの額には、『第二』と書かれた鉢金のようなものが確認出来る。

 これが『第二空挺師団』ってことか、となると第三以降はまた別の攻撃方法で来そうだな……


 戦いながら、ちらりと地上に展開する敵陣に目をやる、最後列と思われたメリーさんの車よりも後ろに、夥しい数のワイバーンが待機している。


 その一部には既に魔族が騎乗し、まさに飛び立たんとしているところであった。

 あれが『第三空挺師団』のようだ、乗っている魔族は全員魔法使いのようだ。


 1体、また1体とスパイク状の兵器を持つワイバーンを撃墜する。

 砦から魔法を放つセラとユリナも気が付いたようだ、魔法が俺達を追い越し、敵を屠っていく。



「リリィ、新しい奴等が来るぞ!」



 そこへ準備が整い、飛び上がった魔法使いの敵ワイバーン兵が空戦に参加してきた。

 風魔法が主体のようだ、刃ではなく、空気の塊が砲弾のように俺達に襲い掛かる。


 どうにか避けてもその後ろにまた風の砲弾、それを避けてもまた……数が多すぎる、敵は各部隊1,000以上、もはや攻撃は不可能、回避だけで精一杯だ。


 リリィも疲れを見せてきたことだし、一旦撤収して砦で休ませよう。


 聖棒を振り回しながら敵を掻き分け、戦闘空域を離脱する、振り返ると、まるでコウモリの大群の如く空を覆い尽くすワイバーンが目に入る。


 そのせいで、まだ午前中だというのに空は真っ暗、そして塊は俺達の後を付けるように、砦方面に向かってざわざわと移動しているのであった。


 砦からの援護射撃に助けられながら、俺達はどうにか帰還する。

 リリィはもう限界が近いという、さて、これからどう対応していくべきか……



 ※※※



「ただいま、皆大丈夫か?」


「私達は平気よ、でも砦本体がどうなるかわかったもんじゃないわ」


「うわっ、さっきのスパイクみたいな兵器か、穴空いてんじゃん……」



 砦の上部に空いた無数の穴、下の部屋が丸見えだ。

 当たり所の悪かったものなどは前面の壁を貫通してしまっている。


 マリエルの居る指揮所はどうにか無事のようだが、今の時点でも既に3体のワイバーンが砦の上空に侵入し、兵器の投下場所を探って旋回しているのだ。


 ここを守っていた仲間達や王国兵は気が気ではなかったに違いない。



「ご主人様、こうなったらもう特大の魔法で敵を吹っ飛ばすしかないですの、そうしないとジリ貧ですわ」


「だろうな、よし、セラと精霊様は二重の防御だ、人員を退避させて、ユリナの魔法で攻撃しよう」



 すぐに総員砦から退避するよう命令が出される。


 下に降りて戦っていた連中も一旦下がらせ、壁をよじ登って来る敵の魔物は、その都度セラと精霊様が叩き落した。


 もちろん登りきってしまう奴も居る、そちらはミラとジェシカが走り回って対応し、下で戦っていた仲間達は少し休ませる。



「勇者様、退避完了の報告を受けました、精鋭部隊と私達以外は全員砦の裏側に隠れたそうです」


「うむ、じゃあユリナ、出来るだけ規模を小さく、ここへの被害を最小限に留めるようにやれよ、他は皆遮蔽物の陰にしゃがんで衝撃を回避するんだぞ」


「わかりましたの」



 まずはセラが最大限の追い風を出し、その内側に精霊様が広範囲に渡る水の壁を出現させる。


 これで防御は限度一杯、なお、強い向かい風にぶつかった敵が前に進めず、堰き止められて密集する効果も果たしているようだ。


 ひと呼吸置き、水壁の向こう側、敵ワイバーン部隊が最も密集した場所の上に小さな火球が現れた。


 俺の真横には魔力を解放するユリナ、尻尾を小刻みに震わせて力を込めると、火球は勢い良く膨張し始める。


 ……炸裂、周囲のワイバーンを焼き尽くし、そして吹き飛ばしながら、凄まじい熱を放った火球は上昇し、やがて煙へと変わっていった。


 そこから放たれた衝撃派は追い風を相殺し、その内側にあった水壁も簡単に砕く。


 砦を襲う熱と衝撃波と、それからつい先程まで生きて動いていた数多の飛来物。

 いや、騎乗していた魔族はここに至ってもまだ生きているようだが……



「いてて……皆大丈夫かしら?」


「おぉセラ、吹っ飛ばされなかったようだな、安心しろ、セラが吹っ飛んでなければおっぱいが重たい他の連中は大丈夫だべほっ!」


「ふざけたこと言ってる場合じゃないでしょ!」


「味方に攻撃している場合じゃないでしょ……」



 セラの一撃から立ち直った俺は辺りを見渡す、既に砦上部に落下した敵ワイバーン騎乗兵の始末が始まっているようだ。


 いや、上部だけではないな、衝撃波によって前面に大穴が空いた砦、その内部に吹き込まれた敵も居り、生存しているに違いない。


 被害状況の確認よりもまず、それらを確実に仕留めておく必要がありそうだ……



「セラ、後衛組を連れて王国軍の連中を呼び戻しに行ってくれ、俺と前衛組で砦に侵入した馬鹿共を殺して回る」


「あの、勇者様、私は何を……」


「マリエルは指揮所に戻って涼しい顔をしておけ、これから乱戦になるのは間違いないからな、少しでも兵員の動揺を抑えるんだ」



 それぞれに役割を振り、俺は前衛組と一緒に砦の中に突入して行く、下の方まで被害が広がっているようだ、だが敵軍ワイバーンの大半と相打ちでこれなら上出来といえよう。



「ご主人様、あそこに3人固まってますよっ!」

「こっちの部屋に1人隠れてるわ!」

「死に晒せこのクソゴミがぁぁぁっ!」



 かなりの数の上級魔族が砦の中で隠れたり、徒党を組んで攻撃に移ろうと試みていた。

 やはり全員ノーダメージのようだ、防御魔法とかそういった類のものに守られていたのは間違いない。


 それを見つけては殺していく、上級魔族とはいえ俺達の相手ではない、たとえ隠れていても、俺の索敵や、カレンの嗅覚、マーサの聴覚がものを言い、討伐はスイスイと進んだ。


 しかし壁に穴の空いた部屋は滅茶苦茶だな、これは地下の拷問部屋を宿泊所としてキープしたルビアに感謝しないとならないかも知れない……



「そろそろ100体ぐらいは殺ったかしらね?」


「もっとだろ、というか今ので最後みたいだな、もう索敵に反応はないぞ」


「じゃあ上に戻りましょ、きっと王国兵の人達も待ちくたびれているわ」



 セラ達が砦の裏から呼び戻している一般の王国兵だが、そろそろ完全に集合しているであろう。


 上は精鋭部隊が守備しているはずだから、もし現時点で敵の第二波が始まっても、俺達が上に戻るぐらいまでは余裕で持ち堪えることが出来るはず。


 念のため確認作業をしながら、階段をいくつも上がって砦の上部へと戻った……



 ※※※



「おう勇者殿、下は片付いたのか?」


「ああ、中に飛び込んでいた上級魔族は殲滅した、こっちはどうだ?」


「敵は地上部隊も壊滅的な被害を受けたようだ、一時後方に退却して立て直している最中らしいな」



 メリーさんの軍が連れていた魔物はほぼ全滅、地上に居た下級、中級魔族にもかなりの死傷者が出たようだ。


 それを一旦集め、部隊を再編成してから第二波を仕掛けてくるつもりらしい。

 もしかすると上級魔族が前に出て来るかも知れないな、だとしたら危険は相当に大きい。


 ボロボロになった砦の縁から身を乗り出し、下を覗き込む……これでは簡単に登ることが出来てしまう、というか、そのまま穴から中に入り、俺達の後ろにある階段から敵が出現する可能性すらある。


 現時点で太陽は真上にある、日暮れまでの時間を考慮すれば、もう一度敵の大攻勢があってもおかしくはない。


 さて、どう出るメリーさん……



「あっ、勇者様、メリーさんから通知が来るみたいですよ」


「本当か? 今更こんなもの使いやがって、近くに居るんだから言いに来れば良かったんじゃないか?」



 ミラが持ったままになっていたメリーさんとやり取りをするための紙、真っ白なそれに文字が浮かび上がってくる……



『私、メリーさん、今日のところは両者痛み分けとしましょう、明日、朝から全軍をもって砦を叩き潰すこととします』


「今日はこれまでらしいぞ、とりあえず『やかましいわこのボケ』っと、よし、これで返信完了だ」


「明日の朝ね、夜襲を掛けてくるつもりはないのかしら?」


「わからんが、とりあえず警戒だけはしておいたほうが良さそうだな」



 一般兵の連中はどうせ夜通し砦の修復だ、夜間の哨戒任務はそこから人を出してやって貰えば良いであろう。

 俺達は地下にある控え室に戻り、普通に過ごしていても良さそうだ、敵の襲撃がなければの話だが。


 ということで後は任せ、階段を降りていく、薄暗い地下の拷問部屋では……アイリスとエリナがダラダラしていた……



「あ、おかえりなさ~い」

「今日はかなりうるさかったですね、明日はもう少し静かに戦って下さい」


「おいお前ら、俺達が必死で戦っている間、ずっとそこでサボッていたのか……」


『ええ、今日は1日寝て過ごしました』


「・・・・・・・・・・」



 ちょうど良いところにちょうど良い磔台、そこに2人をセットし、ユリナと精霊様に鞭を手渡しておいた。

 拷問部屋に小気味良い音と2つの悲鳴が響き渡る。


 しかし2人がこれだけダラけていられたということは、置いてあった荷物などにも特に被害は出ていないということだな、うむ、なかなか良い部屋だ。



 順番が回って来た風呂に入り、運ばれて来た夕食も取った、明日は敵の地上部隊との交戦になるはず。

 ゆっくり休んで体力を回復しておこう……

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