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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第三部 第一章 寒村大騒動
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305 村長候補暗殺犯の親玉

「フハハハッ! また治ったぞ、やはり我には凄まじい自然治癒……あがぁぁぁっ! 今度は腹がっ!」


「コイツ本当に幻術使いなのか? レベル低すぎだろ……」


「ちなみに私、まだ全力の5%も出していませんから、まともにやったらショック死しますね、たぶん」


「・・・・・・・・・・」



 驚愕の弱さを誇るゲキカスデス7世、本当に四天王の従兄妹なのであろうか?

 腹を押さえて悶絶するハゲを見ても、どこにも傷は負っていない、全てサリナの幻術による効果だ。


 ちなみに妹を鉄砲玉にされかけたヴァンパイアお姉さんは、その苦しむ姿を見て大笑いしている。

 喜んで頂けたようで何よりだ、この件はヴァンパイアの里でしばらく話題になるのかも知れないな。



「さてと、サリナ、そろそろ満足したか?」


「ええ、これ以上やるとこのクズの精神が崩壊してしまいますから」


「そうか、じゃあ次は物理的に痛め付けよう、カレン、コイツと戦うか?」


「いいえご主人様、こんな弱っちいのとは戦いたくありません、武器がかわいそうです」


「そうか、じゃあ俺がやろう、おいハゲッ!」



 腹が捻じ切れる幻覚から立ち直り、やはり自分は凄い力を持っている、などと調子に乗るハゲ。

 これで何度目だ? そろそろ幻術対決に敗北してそうなったことに気付くべきだと思うが……



「ワハハッ、これぞわれに秘められた本当の力……我は最強だったのだ、このまま一族の長に登り詰め……」


「聞けっつってんだろこのハゲェェェッ!」


「ぎゃぁぁぁっ! 指が、足の指がぁぁぁっ! だが治……らないだと!? いでぇぇぇっ!」



 初めて与えた物理ダメージ、聖棒で右足の親指を粉砕してやった。

 しかし凄い痛がりようだな、これから両手足の指を1本ずつ粉砕していくというのに、耐えられるのか?


 しばらくハゲが痛がる様子を眺めて悦に入る、気が付くと周りには人だかりが出来上がっていた。

 皆幻術の効果が消え、ゲリマンダー候補の異常性を訴えるためにここへ集まったのだ。


 村人達は口々に、『おかしな候補が混じっているぞ』とか、『何だあのハゲは?』とか言い合っている。


 そのハゲがこれまでおかしな候補の混入に気付かなかった元凶だ。

 そしてこれからそれを、拷問で情報を引き出したうえ始末する旨、皆に伝えた。


 その間にハゲは少しだけ落ち着いたようだ、だが地面にへたり込んだまま、ズルズルと後退しながら逃げるチャンスを覗っている。



「おい、どこ行くんだ?」


「ひぃぃぃっ! そ……そうだ、我を雇わんか? 先程の力を見ただろう、魔王軍などもう良い、絶対に役に立つから、だから我を殺さない方が良いぞっ!」


「うるせぇ、てめぇなんか雇うぐらいなら水瓶に沸いたボウフラでもスカウトするってんだ、これでも喰らえっ!」


「ぎょべぇっ! ほげっ!」



 1本、また1本と足の指を潰していく、もはや抵抗する気力もなくなってしまったようだ。

 攻撃を受ける度に悲鳴は上げるものの、逃げ出そうとはしなくなった。



「さて、ちょっとでも長生きしたいなら質問に答えるんだ」


「ひぃっ! 何でも答える、答えるから助けてくれ……」


「じゃあまずは『ゲリマンダー』とかいう奴に関してだ、奴は一体何者で、それから今どこに居るんだ?」


「い、居場所は知らない、本当だあげぇぇっ! ゲリマンダー様の正体は……なんと魔族なのだ!」


「そんなことおおよそわかってんだよ、もっと詳しい情報を出せ、それとも今すぐに死にたいのか?」


「わかった、話すから殺さないでくれ……」



 もう戸惑うこともなく、ゲリマンダー候補に関しての秘密を暴露し始めるハゲ、何かを隠している様子はない、おそらく全て真実であろう。


 で、ゲリマンダー候補は当然魔族、というか魔王軍の一員、ここまで来ればもうその点に関しては察しが付いていた。


 しかしそこからが重要であった、魔王軍といえども様々な所属があるが、ゲリマンダーはその中でも『東の四天王』の軍に所属しているのだという。


 このハゲ、ゲキカスデスは話を聞く限りそこの下っ端、無能すぎて従兄妹であるヴァンパイア四天王の軍には置いて置けなかったということであろうか?



「それで、こんな村の村長選挙なんかに四天王が介入して、何を成そうというつもりなんだ?」


「そのことに関しては我も知らぬ、敵を欺くにはまず味方からなのだ、ゆえに我にも詳細が伝えられなかった」


「てめぇが三下なだけだろぉがっ!」


「ぎぃぇぇぇっ! 手が、手の指が弾け飛んだっ! あぁぁぁっ!」



 どうしようもない奴だ、おそらくコイツからゲリマンダーのことを聞いても、たいした情報は出て来ないはずだ。


 だとすると残りは1つだ、暗殺犯の正体を聞いておこう。



「おい、もう1件質問をするぞ、お前以外にも、この村で有力候補を殺害した馬鹿が居るだろう? そいつのことを全部洗いざらい話せ」


「暗殺者……暗殺者というか、操られていた者ならば知っている」


「操られた? どういうことなのか詳しく話せ、じゃないとこの場で穴だらけにして殺す」


「わかったっ! わかったから! 操られていた、つまりゲリマンダー様に勝ちそうな候補を潰したのはその辺の下級魔族か中級魔族だ、とにかくとんでもない雑魚野朗であることは間違いない」


「お前もな、で、操っていた奴は?」


「奴の名は……()()()、かつての敵であった異世界勇者が恐れ、そう呼んだらしい」



 サナダか、これはアレだな、戦国武将とかそういう感じの強い奴なのであろう。

 それが兵、じゃなくて操った雑魚を駆り、暗殺を実行させていると……



「恐ろしい、本当に恐ろしい奴なのだよ、そのサナダという奴は、奴に取り込まれたものはすぐにサナダになってしまう、そして本来は不可能な力を振るって……」


「反動で死んでしまうと、被害者と同じような感じで、ってことだよな?」


「その通りだ、あぁ恐ろしい恐ろしい」



 取り込まれた者、つまりは憑依とか、或いは丸ごと吸収とかするタイプなのか?

 とにかくその『サナダ』のオリジナルを探しだす必要がありそうだ。



「そのサナダはどこに居るんだ? 言っておくが取り込まれた奴じゃないぞ、大元だ」


「わからないが、少なくともこの村を見張っているはずだ、あと1人、殺すべき者が居ると言っていたからな」



 殺すべき、というのはおそらくセラ達のオヤジ、または一番人気のマジメダス候補であろう。

 どちらの方が可能性が高いとは言い切れないが、どちらも守っておけば心配はないはずだ。



「うむ、わかった、とりあえずこちらも誘い出してみよう、ポスターを作って村中に貼り出すんだ」


「さ……さぁ、我は質問に答えたぞ、きちんと礼をして、そのうえで解放するのだ」


「いや何言ってんだおめぇ?」



 一旦その場を離れて公民館の女性に頼み、『おいっ、サナダ!』のポスターを300枚程度作製して貰う。

 あとは自警団の連中に配布を任せ、今集まっている村人にはその場で手渡した。


 ここから先、選挙そっちのけで『サナダ探し』が行われることであろう。


 ただし、取り込まれた奴がどのような存在であっても、人間の頭をボンッしてしまう程度の力は発揮出来るのだ、必ず複数名で行動すること、見つけても戦わず、公民館へ報告することが義務付けられた。


 もちろん奴の狙いは新村長選の候補者だ、暗殺を是としているわけだし、こちらから攻撃を仕掛けない限りは、下手に死人を増やして目立ってしまうようなことはしないはず。



「とりあえず大規模な山狩りとかは王国軍が来てからにしましょう、追い詰めてしまうのではなく、バレていると知らしめて、向こうから来させるんです」


「わかりました、では自警団が各戸を回って注意喚起を致します」


「お願いします、それから警護対象のお2人、それからセラとミラのお母さんは、しばらく公民館で待機としましょう、ここの方が周りも拓けていて迎え撃ち易い」



 ここに泊る3人、そして俺達の荷物は、セラとミラ、それにジェシカとアイリスが手伝い、馬車で運ばれて来た。


 ここから村長選当日までは、有力候補がどちらもこの公民館で合宿するかたちになる。

 それまでには間違いなく、最低でも1度は敵が姿を現すに違いない。


 もちろんこの期に及んで鉄砲玉を差し向けてくる可能性もあるが、もしそうだとしてもこちらの勝ちだ。

 サナダ本人については、東の四天王を追い詰める過程で始末してしまえば良い。



『お~い、このハゲの処刑はまだなのか~っ?』

『そうだ! そんな一大イベント、絶対に見逃したくないぞっ!』



 色々と準備を終えると、既に夕方であったのだが、外が実にやかましい。


 普段からその辺のひったくり犯や万引き犯などが公開処刑されている王都とは違い、究極的に平和なこの村ではそのようなイベントなどまず起こり得ないのだ。


 外に出ると、公民館の前の広場には多数の村人が集合していた。

 ゲリマンダー候補の異常性に気付いた者、処刑の噂を聞きつけてやって来た者など様々ではあるが。


 その中央には、監視として残しておいたリリィに突っつかれているハゲ、ゲキカスデス。

 そろそろ頃合か、最大の被害者であるヴァンパイア娘も帰らないとだし、馬鹿の処刑を始めよう……



「では死刑執行人はヴァンパイアお姉さん、それで良いですね?」


「ええ、大変に名誉なことです、ですが見届け人の立場でそのようなことをしても良いのですか?」


「大丈夫です、おいエリナ、お前が見届けてヴァンパイアの里に報告しろ」


「わかりました、元魔王軍序列三位事務官、悪魔のエリナちゃんがこの処刑を見届けましょう」



 事務方とはいえ元魔王軍の幹部、序列三位の事務官というのはおそらく、一位が副魔王の下、二位が四天王の下、そしてエリナが大魔将の下であったことを意味するのであろう。


 これだけの社会的地位(魔族領域における)を持つエリナが見届け人であれば安心だ。

 ヴァンパイアお姉さんが逆恨みでこのハゲを殺した、などという疑いは掛けられる余地がない。



「じゃあエリナ、あとは全部任せたから」


「はい、処刑場はこの場で良いですね、では始めましょう」


「あぁぁぁっ! 待ってくれ、助けてくれ、まだ、まだ死にたくないぃぃぃっ!」


「うっせぇハゲ、エリナ、処刑に際してはまず、コイツの残り少ない髪を全部毟り取るところから始めるんだ」



 それだけ言い残して公民館の中に入る、中で茶を出して貰い、ゲキカスデスの断末魔をBGMに、夕食前のひと時を優雅に過ごした。


 夜も警戒を怠らないようにしないとなのだ、風呂と夕食が終わったら少し休んでおこう……



 ※※※



 完全に日が落ち、夜になった頃、公民館の前で行われていた処刑は無事完了したようだ。

 黒コゲの死体を粗末な袋に収納し、ヴァンパイア姉妹と共に転移アイテムで消えていくエリナ。


 しばらくすると、今度はゲキカスデスが持って来たものを使ったのであろう、公民館の屋根の上に、光と共に現れた。


 そこでちょうど夕食の準備が終わったとの報せ、エリナも一緒に、建物の中央部にある会議室めいた部屋で食事を取る。



「それで勇者様、これからどうするの?」


「まず護衛対象はなるべく窓の無い部屋に隠そう、もちろん隣り合った2部屋に分けてだ、その部屋の前と、それから外を一晩中監視する、もちろん交代でな」


「わかったわ、じゃあミラはお父さんとお母さんに割り当てられた部屋で寝てね」


「ええ、そうするつもりよ」



 最も安全といえそうな地下室を2部屋借り、そこを警護対象の宿泊室とする。

 俺達は1階の広い部屋に泊まり、交代で夜間の哨戒に当たった。


 結局その日の夜も敵は現れず、翌朝を迎える……



 ※※※



『お~い! 王国軍が来たぞ~っ!』



 外から声が響く、派遣要請をしていた王国軍の連中が到着したようだ。

 人数は100といったところか、スピード重視ゆえか、軽装備の騎馬兵ばかりである。


 その軍団の隊長と話をし、今日から夜間の哨戒、そして山狩りをお願いすることとした。

 これで少しは楽になる、あとは敵が現れるのを待ち、ぶっ殺すだけだ。



 その日の夕方、早速王国軍から敵らしき魔族に関しての報告が来る。

 公民館から程近い山の中で、中級魔族と思しき何者かが目撃されたのだという。


 当然追いかけたらしいが、そいつは戦おうとせずに逃げ出したらしい。

 一般の兵士程度なら、束になっても中級魔族には敵わないと思うのだが、どうして逃げた?


 まぁ良い、とにかく目撃地点はここのすぐ近くなのだ。

 そこから監視をしていたならば、今夜のうちに襲撃を仕掛けて来てもおかしくはない。



「今日はちょっと踏ん張る必要がありそうね」


「ああ、もしかしたら徹夜も覚悟しないとならんかもだ、特に起きていられるメンバーはな」



 王国軍の助けがあるとはいえ、さすがに俺達も起きていないと拙い。

 敵が現れ、兵士が全滅してから戦いに参加しても遅いのだ。


 とにかく、いつも夜更かししているメンバーに関しては、寝ずの番になる可能性があることだけ伝えておいた、ちなみに賢いのか馬鹿なのか、ルビアはガッツリ昼寝を済ませてある。



 夕食が運ばれ、それを食べたら風呂にも入る、一応布団だけは敷いておこう。



「こらジェシカ、寝転がるんじゃない」


「むぅ~、寝ているのではない、ちょっと休憩しているだけだ」


「そういう奴は絶対に寝るからな……」



 ミラは地下で両親と寝ているし、リリィもさすがに寝かせてやらないと拙い。

 カレンも限界みたいだし、戦闘に参加出来そうなのは残りのメンバーか……


 酒もないのに起きているとはどういうことだと怒る精霊様にチョップを喰らわせ、眠気覚ましとして交代で外の見張りに参加する。


 村の明かりが完全に消え、周囲が真っ暗になった頃、索敵に反応……かなりの数だ、『サナダ』に取り込まれてしまった魔族が大半なのであろう。


 だがその中に本体が居ないとも限らない、未だ敵の接近に気付いていない様子の兵士達に警戒するよう伝える。


 松明に火が灯され、周囲が明るくなった。

 同時に、少しずつ接近していた敵の姿も見え始める……


 見た目は普通の人型をした魔族、30体程度でこの公民館を取り囲んでいるようだ。

 しかしこれのどこが『サナダ』なのであろうか? 確かに強くはあるが、その辺の上級魔族レベルじゃないか。


 もちろん迫って来ている敵が下級、中級魔族ばかりの構成であることを考えれば、何らかの方法で強化されているのは疑いようがない。


 まぁ良い、すぐに戦いが始まり、その仕掛けが判明することであろう。



『サナダ軍、戦闘準備! 目標、ターゲットを守る護衛共!』



 頭1つ抜けて強い、リーダーと思しき1体がそう叫ぶ、リーダーとはいってもこの軍団のだ、おそらくサナダ本体ではない。


 そしてその指令に呼応し、他の魔族共は中腰になり、気合を入れ始めた……



『うぅぅぅっ……はぁぁぁっ!』



「あ……主殿、何か……尻から何か白いものを出したぞっ!」


「げぇぇぇっ! 『サナダ』ってそのサナダかよっ!」



 ケツから白い帯状の何かを出す『サナダ軍』、いや何かではない、サナダムシが出ているのはもう明らかなことだ。


 サナダに取り込まれたものはサナダになってしまう、そういう触れ込みであったのだが、これは逆だ。


 サナダを取り込んだものはサナダになってしまう、もちろん口から取り込み、ケツから出てくるのだが。

 完全に寄生されるとその魔族の強さがますようだな、そしてその分体に異常な負担が掛かると……



『きぃぇぇぇっ! サナダ流寄生術を喰らえぇぇぇっ!』


「うわっ! 何か飛ばしてきたっ、主殿、どう対処する?」


「マーサとジェシカは下がれ、あと口を開くな、サナダの幼生体を入れられても知らんぞ」



 前衛は下がり、俺とマリエルも後衛にピッタリ張り付く、ついでに王国軍の兵士達にも下がるように告げた。


 おそらく焼き尽くすしかないであろう、ユリナを前に出し、魔法を発動させる、ちなみにリリィは寝ているため不参加だ。


 もちろん公民館の建物延焼しないよう、精霊様が水の壁を張って防御している。

 放たれた通常の火魔法が、まずは俺達の前に立ちはだかるサナダ軍を炎上させた。



「良いぞ、効果は抜群だ! このままどんどん燃やしていくぞ」


「ご主人様、最初に攻撃してきた奴は魔法を喰らう前に倒れましたの」


「きっとそれが攻撃の反動って奴だろう、サナダに寄生されて無理をしている状態なんだ」



 建物の周りをグルッと移動しながら、雑魚のサナダ軍共を焼き払っていく。

 最後の1体、先程号令を掛けたサナダを焼き殺し、公民館に襲撃を掛けたサナダ軍を全滅させた。


 それとほぼ同時に、すぐ近くの山中に索敵の反応が現れる……今度は強い、おそらく奴がサナダ本体だ。


 ゆっくりと歩き、近付いて来る敵、松明と、それから今しがた全滅したサナダ軍の残り火に照らされ、その姿が見える。


 ……これも外見的には単なる中級魔族だ、もちろん人型の。



『やれやれ、やはり雑魚共では敵わない相手であったか』


「てめぇがサナダだな? お仲間と同じ目に遭わせてやるから、とりあえずその宿主から出て来やがれ」


『おっと、さすがに本体がどちらなのか気付いているようだな、だが、ここから出るということは、別の宿主を探すということだ、さて、誰にしようかな……』


「その辺のモグラかネズミにでも寄生しておけ、虫けらでも良いと思うぞ、カマキリさんには先客が居るとだろうがな」


『フハハッ! ではこのまま戦うこととしよう、力を解放してなっ!』



 宿主となっている中級魔族の体が、メコメコと形を変え、所々から血が噴出し始める。

 恐ろしい負荷が掛かっているようだ、もう破裂寸前じゃないか……



「皆、引き続き寄生だけはされないように気を付けろ、それと、わかっているとは思うがちょっと強いからな」


「じゃあ私とセラちゃんは防御で、攻撃はまたユリナちゃんね、他は護衛に回って」



 またしてもケツから白い帯びのようなものが現れる、今度は図太く、長さもかなりのものだ。

 ついに姿を現したサナダ本体、聞き出したいことは山ほどあるが、かなり危険な存在である。


 ここは無理をして捕らえようとせず、全力をもって叩き潰すこととしよう……

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