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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十四章 瘴気集めの魔族
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280 討伐部隊

 多くの死者を出した収集大会の翌日、王都周辺の森で冒険者や旅人が多数死亡しているという報せを受けた俺は、会議に参加するために王宮を訪れていた。


 勇者パーティーからの参加者はいつも通り俺とセラ、マリエルも来てはいるが、王族専用の偉そうな席に座らされているため、俺達との相談は出来ない。


 ちなみに、今日の会議には冒険者ギルド、運送業ギルド、そして王国軍の幹部以外にも、様々な組織の面々が集っている、貴族、平民、さらには人ならざる者までだ。



「……うむ、全員揃ったようじゃな、会議を始める前に今回の件で何か聞きたいことが……何じゃ勇者よ?」


「すみません、俺の横にオランウータンが座っているのですが?」


「森で起こった事件に関してじゃからの、ゴリラやオランウータンの代表者が居てもおかしくはないじゃろうて」


「だからって何で俺の隣なんだ? 臭っせぇんだよマジで! ほら、手でウ○チをコネコネしてるじゃないか、これはいつ投げ付けてきてもおかしくないぞ!」


「我慢するが良い、では会議を始める」



 俺の方を見てニヤニヤしながらウ○チを捏ねるオランウータン、だいぶ粘りが出てきたようだ、貴様はそれをどうするつもりだと言うのだ……



「ほら勇者様、今日は真面目な会議なのよ、ちゃんと集中しなさい」


「だってセラ、俺の横にウータンが……あっ! へぶぽっ……ちょっと顔を洗って来る……」



 顔面にウ○チを押し付けられてしまったではないか、ウータンは横でケタケタと笑っている、本当に賢く、しかも表情豊かな霊長類だな。


 不自然なレベルで豪華さを醸し出した王侯貴族用の便所で顔を洗い、王の間へ戻る。

 会議は俺を無視して進んでいるようだ、何やら盛り上がっているようにも見えるのだが……



「セラ、今どんな感じの話になっているんだ?」


「精鋭による漆黒のバケモノ討伐隊を結成することが全会一致で可決したわ」


「アレが大魔将の分体だってこと、伝えた?」


「……言ってないわ」


「ダメじゃん……ちょっとまったぁぁぁっ!」



 拍手喝采の会議場に慌ててストップを掛ける、昨日元大魔将の3人に調査させた内容を伝え、討伐隊の結成を見送らせた。


 危うく死ななくても良い優秀な王国兵を死地へ追いやるところであったな、セラには後でたっぷりお仕置きだ、あ、マリエルもだな。



「では勇者よ、どうすべきだと言うのじゃ?」


「少なくともあのバケモノに敵う連中だけで森へ入りたい、討伐が終わるまでは何人も森へ立ち入らぬよう調整してくれ」


「時間が掛りそうじゃの、じゃがむざむざ死にに行かせるよりはマシか、あいわかった、では討伐へ向かうのは勇者パーティーと筋肉団、それから最強クラスの部隊のみとする」



 俺達と筋肉団以外に選ばれたのは、森での動きに慣れた王都獣人部隊、それから全員が訓練を積んだ弓兵で構成されたレンジャー部隊である。


 それ以外は臨戦態勢のまま王都内で待機、また、トンビーオ村から王都周辺までの街道は完全に封鎖し、各町村へも住民が森へ立ち入らないようにとの通達が出された。


 おそらく伝書鳩がそれぞれの居住地域に到達するまでに1日、それを乗り切ればもう無用な死者は出なくて済むはずだ。



「それじゃ、明日には討伐隊のメンバーがここへ集れるようにしてくれ、ちょっと会議をしたらすぐに出発可能な準備を整えさせてな」


「うむ、本日はこれにて散会とする、森から避難して来た人々には野営地を用意するゆえ、担当の者の指示に従うように」



 森から避難して来たのはゴリラ、チンパンジー、オランウータンでほぼ全てだと思うのだが、どこに人々が居るというのだ?


 まぁ良い、とにかく作戦開始は明日だ、俺達も帰ったらすぐに準備をしておこう……



 ※※※



「ただいまぁ~っ、全員しゅうごぉ~」


「何ですかご主人様? 先にお昼ご飯にしましょうよ」


「じゃあ昼食を取りながら話そう、とにかく全員集めてくれ」



 簡単な食事を口にしながら、王宮における会議で決まった討伐部隊に関する事項を皆に伝えた。


 食後は早速準備を始めるカレン、リリィ、マーサは携帯食の準備、つまみ食いは禁止だ。

 ミラはアイリスと一緒に夕飯の下拵え、ユリナ、サリナ、ジェシカはその他の準備である。


 使えそうもない、というか邪魔しか出来ないであろうルビアは部屋で正座、会議で重要な事項を切り出さなかったセラとマリエルは角部屋でお仕置きとした。


 精霊様はどこをほっつき歩いて居いるのだ?



 とりあえずセラとマリエルの手を引っ張り、角部屋に連行してお尻ペンペンの刑とお説教をスタートする……



「いでっ! きゃいんっ!」

「あへっ! ふぎゃっ!」


「全くお前らは、どうしてあそこで止めに入らなかったんだ? 危うく死人を増やすところだったぞ」


「だって、良い出せる雰囲気じゃなかったもの、きゃっ!」

「左に同じです、痛いっ!」


「雰囲気とかに呑まれてんじゃねぇよっ!」


『いったぁぁぁいっ!』



 セラとマリエルの尻を交互に引っ叩いていると、窓から精霊様が入って来る。

 食後すぐに姿が見えなくなっていたのだが、ようやくのご帰還らしい。



「精霊様、どこへ行っていたんだ?」


「王都の周りをグルッと回って来たのよ」


「ほう、それでそれで?」


「敵の数は確認出来ただけで60体以上、木の影に隠れて見えなかったのも含めると100以上、王都周辺以外も考慮すればもっと居るはずよ」


「いや、思ったより少ないな、この世界のことだからどうせまた1,000体とか1億体とか言い出すんじゃないかと予想していたんだがな」



 精霊様は特に手を出すことなく、敵の姿の確認だけして戻って来たのだという。


 やっつければ良かったのに、とも思ったが、昨日1体討伐したところで他のバケモノがどこかへ消え失せてしまったことを考えれば、ここで1体2体倒しても余計に手間が増えるだけだと判断したとのこと。



「それと、明日から討伐のために森へ入るのよね、だとしたら討伐隊は全員固まって動いた方が無難だわ」


「どうしてだ?」


「なかなか厄介だもの、さっきしばらく見ていたんだけど、集団よりもはぐれた獲物、あと集団の中にあっても仲間から見えない所に居る獲物を狙う習性があるみたいなのよ」



 なるほど、俺達は良いにしても、他の組織からの参加者にとってそれは大変に危険なことかも知れない。

 個別にはあのバケモノに敵わないような奴も多いであろうし、背後から狙われたらひとたまりもないからな。


 そういえば最初も気付かないうちに接近され、皆の目が行き届かない位置に居たサリナを狙ったのだ。

 個別に動いていたらこちらが各個撃破されてしまう可能性は十分にあるといえよう。



「わかった、じゃあちょっと効率は悪くなるかも知れないが、なるべく全員で固まって動くこととしようか」


「ええ、それじゃ私は休憩するわ、夕飯の準備が出来たら教えてちょうだい」



 そう言って社へ戻って行く精霊様、準備を手伝うつもりはさらさらないらしい。


 夕方には荷物の馬車への積み込みも終わり、夕食を取って風呂にも入った。

 明日は朝早くに王宮に集合だ、さっさと寝ることとしよう……



 ※※※



「おう勇者殿、今日はよろしく頼むぞ、いや今日から、と言うべきか? まぁどうでも良い、はっはっは!」


「うむ、朝っぱらからテンションが高いようで何よりだな、他の参加者は……」



 もっふもふの獣人軍団、さらには帽子に鳥の羽根を付けたスタイルの狩人、いやレンジャー部隊はもう集合していた。


 どいつもこいつも王国兵としては最強クラスの連中ばかりだ、それぞれ10名が参加するらしい。

 特に俺達や筋肉団には一切居ない弓の使い手が何人も付いて来るのはありがたいことだ。


 筋肉団からもゴンザレスを含めて10名の参加、そこに俺達を加えると40名を超える大所帯である。

 とりあえず、『漆黒のバケモノ討伐小隊』という一切捻りのない名前が付いているらしい。



「あ、そうだ勇者殿、このお方が今回の案内役を務めて下さるウータン老師だ」


「よろしく……って昨日のオランウータンじゃねぇか!? またウ○チコネコネしてんぞコイツッ!」



 なるべくウータンに近付かないよう気を付けながら、昨日精霊様が偵察して来た際に見た森の様子、そしてなるべく集団で行動すべきであることを伝える。


 特に今日は初日なわけだし、部隊全員が一団となって森を行くこととなった。


 ちなみにゴンザレス他数名が篭を背負っている、どうやら収集大会があんな結果に終わってしまった分、俺達の依頼した植物の採取をここでやってしまおうということらしい。


 まぁ、その人数で必要な量が揃うとは思わないのだが、少しでも後々の負担を軽減することが出来るはずだ。



「ウホォ~ッ! ホッホッ! ウホッ!」


「ええ、わかりました、勇者殿、ウータン老師がそろそろ出発しようと仰っているのだが」


「うむ、じゃあ行こうか、まずは王都北の森だな、手前に拠点を張ってそこから森に入ることとしよう」



 討伐隊は北を目指す、全ての城門にはあらかじめ俺達が出る可能性があることを伝えてあるとのことなので、特に問題になるようなことはないはずだ。



 北門に到着する、門自体は閉ざされているものの、その前で荷馬車を牽いた商人風の男が数人、大騒ぎをしているではないか。


 門兵はそれに対応するので手一杯のようだ、商人達はどうやら、門を開けろと喚き散らしているらしい……



「外出禁止など知ったことかっ! わしらは商売が命、ここで仕入れた商品を早く運びたいのだっ!」


「ですから、今王都の外は危険が危ない状態でして、しばらくの間ここから出ることはちょっと……」


「そんなことをしていたら他の商人に先を越されてしまう、大赤字だっ! あぁ……胃痛が痛い……」



 馬鹿な商人だ、商売が命なのはわかるが、リアル命を失ってしまったらもうその商売も出来なくなるというのに。


 とにかくあんな連中に構っている暇ではない、俺達は門兵に言って外に出して貰うこととしよう。



「おはようございま~っす! 漆黒のバケモノ討伐隊で~っす!」


「あ、お待ちしておりました勇者殿、ではすぐに門を開けますので」



「おいこら貴様等ちょっと待てぇぇぇぃっ! 何でそいつらは王都から出られるのだ? わしらも一緒に出させて頂くぞ!」


「あの、いえ……この方々は国の要請で動いていてですね、ほら異世界勇者パーティーとかも……」


「だから何だ? わしらは自己の責任に基づいて商いを行う者だ、それは国の要請なんぞよりも遥かに重いものだぞ!」


「・・・・・・・・・・」



 滅茶苦茶も良いところである、俺達が去った後、おそらくこの商人達は1日中ここで喚き散らすに違いない。


 近所迷惑にもなるし、ここは自殺志願者とみなして通してやるのが得策ではないか?



 と、そこでサリナが近付いて来て、俺の袖を引っ張る……



「どうしたサリナ?」


「ご主人様、あの人達を行かせてあげるべきだと思いますよ」


「どうして? 奴等間違いなく死ぬぞ」


「それが狙いです、あの人達を追跡して行けば必ず漆黒のバケモノが寄って来るはずです、そこを叩くのが得策かと」


「なるほど、それは良い案だ、しかしサリナ、お前悪い奴だな」


「悪魔ですから」



 偉そうに胸を張るサリナ、調子に乗ってはいるが、良い案を出してくれたのも事実だ。

 どうせ死にたいようだし、今回はあの商人達を活き餌にさせて貰おう。



 門兵に頼み、俺達だけでなく商人の集団も通させる、俺のお陰で王都の外へ行くことが出来たというのに、それが当たり前という顔で礼も言わずに去って行く商人達。


 ぶっ殺してやりたいところだし、普段ならとっくにぶっ殺しているのだが、今日はそういうわけにはいかない。


 餌は活き餌であってこそ意味があるのだ、死に餌ならサンマの切り身でもぶら下げて歩いていた方がまだマシだからな。



「よし、あの連中とは少し距離を取って進むぞ、どうせ街道沿いに森に入るのだろうし、バケモノの襲撃を受けたときがチャンスだ」


「うむ、では何かが起こったらすぐに戦えるよう、態勢を整えた状態で進むとしようではないか」



 しばらく待ってから馬車を出す、筋肉団と獣人部隊、それからレンジャー部隊の半分は徒歩で、俺達は馬車の中、そしてもう半分のレンジャーを馬車の屋根に乗せて森を目指す。


 あとなぜかオランウータンが俺達の馬車に同乗している、案内役としてまるで意味を成していないじゃないか、しかもまだウ○チコネコネしてるし。



「主殿、商人達が森へ入るぞ、窓を開けて飛び出せるようにしておくんだ」


「わかった、ジェシカも気を付けるんだぞ」



 俺達もそのまま進み、森へと突入する。

 商人達は談笑しながら森を行く、漆黒のバケモノが潜み、命を狙っているなどとは知らずに……



「来たぞ、森の中からこっちを狙っているみたいだ……あれ? 居なくなっちゃった……」


「どういうこと? 怖気づいて逃げ出したのかしら?」


「わからんが、この間も1体倒したら残りは消えたもんな、俺達のことを覚えていたとかか?」



 5分も経たないところで早速敵の反応を捉えたのであったが、それらはすぐに消失してしまった。

 しかし俺達のところからは消えた敵が、今度は前方を行く商人達を取り囲むようにして再出現する。



『ぎぃぇぇぇっ! なんじゃこいつらはぁぁぁっ!』

『助けてっ! 誰か助けてくれぇぇぇっ!』

『あぁぁぁっ! こっちへ来るなっ! わしよりもそっちの奴の方が美味いぞっ!』



 もう襲われているようだ、というか最後に叫んだ奴、最低野朗の鏡みたいな輩だな。

 そのまま近付いて行くと、商人達は7体のバケモノに襲われ、生き残っているのは既に1人であった。


 その1人も漆黒のバケモノに足先から呑み込まれつつある、必死で自分の乗って来た荷馬車を掴んでいるものの、完全にヘビに呑まれつつあるかえるの様相を呈している、あれは時間の問題だな。



「ご主人様、見て下さい、あの人を呑み込んでいるのは最初に会ったのと同じです、あっちは爪の奴、こっちに居るのはキバが凄いです」


「うむ、同じ漆黒のバケモノでも色々とタイプがあるようだな、まぁ良いや、とりあえずやっつけようぜ」



 馬車の窓から飛び降り、7体のバケモノに向かって行く、バケモノ共は人を丸呑みしようとしている1体を除き、全て死体から瘴気を吸収するのに夢中なようだ、こちらには全く気付いていない。


 俺達が馬車から飛び降りるとほぼ同時に、他の討伐部隊メンバーも一斉に攻撃を始める。

 数の暴力で圧倒だ、一瞬のうちに7体のバケモノのうち6体を始末することに成功した。


 残っているのは商人のおっさんを飲み込みつつあるノーマルタイプのバケモノのみ。


 しかしこのバケモノ、どうやらお食事中は身動きが取れないようだ、仲間が殺られた事には気づいているようだが、その場から逃げ出したり攻撃を仕掛けてきたりといった様子はない。



「お……お前ら、城門に居た何とか部隊じゃないか、ここで会ったのも何かの縁、わしを助けろ」


「嫌なこった、俺は今このバケモノがどうやって人を呑み込むのか観察しているんだ、他のと違って生きたまま丸呑みにするみたいだからな、貴重なサンプルだぜ」


「そんなっ!? お前にはわしを助ける義務がある! 間違いなくあるんだっ!」


「うるせぇから黙っとけよ、観察に集中出来ないだろ、ほら、何だか徐々に呑み込まれてきたじゃないか、どうだ楽しいか?」


「ひぎぃぃぃっ! 助けてくれぇぇぇっ!」



 やはり馬鹿は無様に死ぬのが一番見栄えするな、ざまぁ見やがれってんだこのクソ商人めが。


 ジワジワと漆黒のバケモノの腹に収まっていく商人、先程から熱い熱いと叫んでいる辺り足先から少しずつ消化され始めているようだ。


 その叫びは次第に弱まっていき、10分程度が経過したところで完全に声を発するのをやめてしまった。

 既に絶命しているようだ、もう少し苦しんでから死ねばよかったものを……



「ミラ、このバケモノも片付けるんだ」


「わかりました、えいっ! やぁっ!」



 縦真っ二つに裂け、さらに横も切断されたバケモノ、当然呑まれかけの商人も……とんでもない光景だ、見なければ良かったぜ。


 と、俺達がそんな観察ごっこをしている間、他の討伐隊参加者は森へ分け入り、瘴気避けの魔法薬に使う植物を採集していたようだ。


 なかなかの量が集っている、筋肉団よりもむしろ、森での行動を得意とする獣人部隊とレンジャー部隊の方が採集能力は高いようだな。



「おう勇者殿、今まで森の奥へ入っていたのだが、どうやら警戒を怠らなければあのバケモノは襲ってこないようだぞ」


「……なるほど、だから最初に接近して来た連中も退いて行ったのか、俺達はずっと臨戦態勢だったからな」



 そういえば伝説の薬草採取の折、俺達は完全に緩み切った、とまではいかないが、ほぼリラックスした状態であった。


 そこではサリナを狙ったバケモノが現れ、一昨日1体を討伐した際、さらにはつい先程出現しかけた敵は、攻撃を仕掛けてくることなくすぐに逃げて行ったのである。


 ゴンザレスの言うことは正解である可能性が非常に高い。

 となるとこのまま森に居ても俺達の前には敵が現れない、そういうことにならないか?



「主殿、その警戒していれば敵が現れないというのが確かだとすると、もしかしたらこの作戦はとてつもなく非効率、いやもう無駄なのでは?」


「だな、ちょっと考え直さないといけないぞ」



 その場で座り込み、全員で会議を始める。

 街道を占拠してしまっている状態だが、今に関しては誰も来ないはずなので問題はない。


 協議の結果、このまま森を探索し続け、もし本当に敵が現れないようであれば、バケモノ討伐よりもむしろ魔法薬に必要な植物の採取にリソースを割こうということに決まった。


 大魔将の分体である漆黒のバケモノを倒すことが出来ないというのであれば、俺達が敵の城に攻め込んで本体を叩くしか解決の道はないという点を考慮した判断である。



「よし、じゃあ一度森の外の拠点に戻ろう、馬車だの何だのを置いて必要最低限の装備で再突入するんだ」



 おそらく作戦は変更、精鋭を集めた討伐部隊だけでの収集大会の幕開けである……

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