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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十二章 熱血
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266 決して消えない炎

「では参るっ!」


「参ってどうぞ」



 熱血大魔将エルニーとの戦いが始まった、まず仕掛けてきたのは敵、両腕を顔の前でクロスさせ、こちらへ向かって突進する構えだ。


 狙いは間違いなく俺、最初に組織のリーダーを戦闘不能にし、全体をガタガタにしてしまおうという意図が感じられる。


 熱い漢の分際でやっていることは非常にセコいのであった……



 迫り来るエルニー、それを最前列に居たミラとジェシカが剣で受け止める。

 同時にリリィが足を出し、ズルズルと後退させられつつあった2人をサポートした。



「ほう、ナヨナヨした小娘ばかりかと思って居たのだが、案外やるようだね、ではこれならどうだっ!」



 気合を入れるエルニー、それに伴って全身に纏う炎の勢いが格段に増す。

 とっさに動いたカレンとマーサがミラとジェシカをそれぞれ抱えて避難させる。


 リリィは羽を広げ俺とマリエル、そしてその後ろに熱波が届かないよう庇う。

 それでも凄まじい熱だ、まるで炭火の上に顔を近づけたような、そういう感じの熱さだ。



「おい皆、大丈夫か? 特にミラとジェシカ」


「平気です」

「主殿、小娘と言われてしまったぞ、私はそう見えるほどに若々しいという認識で良いのだな?」


「……うん、主にジェシカは大丈夫そうだな」



 仁王立ちしていたリリィが羽を閉じる、今の攻撃で熱を放ち切ったに見えたエルニーであったが、その炎は未だ健在、一体どこからそのようなエネルギーを抽出しているというのだ?



「ダメージなしか、狼殿とウサギ殿はかなり素早いようだね」


「おい、お前腕から血が出てるぞ、勝手に攻撃してきて負傷したのはそっちだけだったみたいだな」


「なぁに、このぐらい舐めておけば治るさ」



 エルニーはそう言いながら、ミラかジェシカの剣によって負ったと思しき腕の傷をペロペロと舐め始める。

 たちまち癒えていく傷、完全に止血され、すぐにもとの肌に戻ってしまった。



「おいおい、それを黒コゲのエリナにやってやれば良かったんじゃないのか? それとも卑怯者だから技を隠してたってのか?」


「はっはっは、女性である事務官殿にこの治療を施してみろ、セクハラで懲戒処分は免れ得ぬぞ、あと民事、刑事両方で訴えられそうだ」


「……確かに」



 大魔将エルニーが、傷を負ったエリナの全身をペロペロして癒している光景を想像してしまった。

 それはさすがにエリナがかわいそうだ、訴えられるのもやむなしの行為である。



 いや待てよ……ちょっと羨ましくなってきたな、全ての大魔将の討伐を終え、エリナをとっ捕まえたらやってやろう。


 散々鞭で打ち据えてからその傷跡をペロペロして癒してやるのだ、最高じゃないか!



「勇者様、何を1人でニヤニヤしているんですか? もしかして良い作戦でも思いついたとか?」


「いや、エッチな妄想をしていただけだ、戦闘とは一切関係ない」


「・・・・・・・・・・」



 横に居たマリエルには呆れられてしまったようだが、とにかく夢は膨らむばかりだ。

 その夢に実現のため、まずは今目の前に居るこの暑苦しい馬鹿を始末する必要がある。



 再び顔の前で腕をクロスさせるエルニー、リリィが受け止める態勢に入るが、それを精霊様が制止し、後方から素早い水の弾丸を放つ。


 本来であれば水など近付いただけで蒸発し、弾丸は霧散してしまう。

 だが精霊様の放ったそれは、消滅するよりも遥かに早くエルニーの元へ到達した。


 水の弾丸がエルニーに直撃する。


 ダンッと、まるで硬度の高い何かがぶつかったような音。

 水とはいえ速度を持たせれば十分の衝撃を与えることが可能になるのだ。


 一瞬にして、エルニーの上半身から纏っていた炎が消し飛ばされる。

 だが、炎はその体の中から沸き起こるが如く再びエルニーを包む。



「あら、これでも消えないのね、体の芯から燃えているってことかしら?」


「つまりいくら外側から攻撃したところで消火することは出来ないってのか」


「そうね、エネルギーが尽きて勝手に消えるのを待つか、お腹を掻っ捌いて水をぶち込むしかないわ」



 後者はグロテスクだから却下しよう、周りで見ているドラゴンの観客達は喜ぶであろうが、さすがに気持ち悪すぎる、想像しただけで吐きそうだ。


 となると前者のエネルギー切れを待つ戦法になるのだが……それはいつになるのだ? もしかして無限じゃないのかとも思えるぞ。


 エルニーの纏い、そして周囲に放っている熱は信じられないぐらい膨大なカロリーを消費するもののはず。


 それを普段の食事から摂取して1日維持させるなど、どれだけ変換効率が良かったとしても不可能に違いない。

 となるとどこか別の場所から何らかの力を得ていることになるのだが……



「精霊様、アイツさ、空気中の成分を取り込んでエネルギーに変換していたりしないよな?」


「……その可能性はあるわね、私もあの力がどこから沸いてくるのか気になってはいるのよ」



 もしエルニーが空気中の酸素や窒素なんかを取り入れ、それを熱に変換しているとしたら、現状取り得るベストな作戦であると目されるエネルギー切れ待ち戦法は無効ということだ。


 もちろん他の何かをエネルギー源としている可能性はあるのだから、その作戦を試してみないということはないのだが……



「はっはっは、何を話しているのかね? そちらが仕掛けてこないならまたこちらからいくぞっ!」


「うわっ、あっついな!」



 両手を広げ、周囲に熱を放つエルニー、そのまま飛び上がり、今度は空中から俺を狙って突っ込んで来るようだ。


 とっさに聖棒を上に構え、可能な限り高く突き出す。

 なるべく上で受け止めないと俺が焼かれてしまう。



 聖棒の先と握り締めた敵の拳がぶつかり、周囲に火の粉を撒き散らした。

 顔や手などに火傷を負い、さらに服の袖も半分近くまで燃えてしまったようだ。


 だが敵の拳は、魔族に対して効果の大きい聖棒に触れたことによって骨が折れ、歪み、全体から炎よりも赤い血をドクドクと流している。


 着地したエルニーもその拳を見て驚いた様子、しかしそれに気を取られている隙に、マリエルの放った突きが鳩尾に、後ろから斬り掛った前衛の4人が背中に打撃を加える。


 同時に俺の横を掠めたセラの魔法、直後に精霊様が放った水の弾丸。

 いずれもエルニーの顔面に命中し、頬を切り裂いて鼻を潰した。



「なんと、隙を突いて同時に攻撃とは、君達はなかなか場数を踏んでいるようだね」


「当たり前だ、お仲間の大魔将が次々に敗北したのを忘れたか、それよりもその傷、また舐めときゃ治るとか言うんじゃ……」


「ああ、もちろんそうだ、鼻とかかなり舐め辛いがね」



 舌を出し、ぺちゃんこになった自分の鼻をペロペロするエルニー、見た目がバーニングゴンザレスだけあって限りなく気持ち悪い。



「あのね、あんた背中はどうすんの?」


「む? あ……しまったぁぁぁっ! 自らの背中など舐めることが出来ないではないかぁぁぁっ!」


「……案外馬鹿なようね」


「クッ、もっと舌が長ければ……まぁ良い、この程度の引っ掻き傷、風呂でしみる程度だ」



 燃えているのに風呂はちゃんと入るのか、しかし背中を攻撃すれば回復されないということはわかったな。

 このまま敵の攻撃に合わせた前衛によるカウンターで戦っていくのがベストなようだ。



 一旦後ろに下がってルビアに火傷の治療をさせ、再びマリエルの横に戻った。

 背中の傷を気にしていたかに見えたエルニーだが、今はどう考えてもルビアの方を見ている。


 回復魔法を使ったところを見られたか、だがそれで良い。

 ルビアは回復魔法を使うタイミング以外、借りパクした箱舟に入っているのだ。


 つまり攻撃を受け付けない、そしてそのルビアを狙って俺達の位置を越えたときが、もう一度背中にダメージを入れるチャンスとなる。


 そんなことには気付くまい、眺めてないで早くルビアに攻撃をしやがれってんだ。



「……う、美しい、良く見たらその回復魔法使い、実に美しい顔立ちをしているではないか、はっきり言ってタイプだ」


「攻撃しないのかよ!? 戦闘中に敵の姿に見とれてんじゃねぇ!」


「おっとすまんすまん、では異世界勇者君、次の一撃を喰らいたまえっ!」


「あぁぁぁっ! こっち来んな、しかも何が一撃だ、超連激じゃないか!」



 エルニーは俺の方に飛び掛り、どこかの百列拳並みの連続パンチを繰り出す。

 一撃ごとに炎が飛んで来る、聖棒1本ではとても捌き切れない……


 危うく直撃するところだった一撃をマリエルが槍で受け止める。

 エルニーの腕は槍の効果によって破裂し、血が噴出した。



「今ですっ! 一斉攻撃を!」


「死にやがれぇぇぇっ!」



 目立つように一番大きな声で叫んだ俺、当然こちらを向くエルニー。

 そこへまた4人の前衛組による、今度は先程よりも余裕のある連携攻撃が背中に突き刺さる。


 腹の辺りに貫通してきたのはミラの剣であろう、カレンとジェシカの斬撃も肉を切り裂き、火傷を負いながら放ったマーサのパンチも背骨を一部砕いたようだ。



「がぁぁぁっ! クッ、息が出来ないではないか、凄まじい攻撃であったな」


「それだけ喋れるなら平気だろうよ、皆、もっとやってやれ!」



 斬り付け、突き、魔法、さらにはリリィの踏み潰しなど、後ろに居るルビア、ユリナ、サリナの3人を除くメンバーの攻撃がエルニーを襲う。



「か……ぺ……うぐぅぅぅっ!」



「勇者様、凄くダメージを受けているみたいよ」


「ああ、だがエネルギーが減った様子はないな、炎の勢いは弱まっていないぞ」



 前衛の息が上がるまで攻撃を続け、それを終えたところでエルニーの様子を確認する。

 全身ズタボロの幽鬼のような姿が炎の下にある、それでも火勢は弱まらない。



「グギギッ、この傷はもう舐めただけでは治りそうにないな、そもそも足の裏とか舐めたくないし」


「誰だよ足の裏なんか攻撃したの?」


「あ、私です、隙だらけだったんでつい……」


「カレン、後で武器をちゃんと洗うんだぞ、水虫とか持って帰らないようにな」


「は~い」



 俺とカレンがどうでも良い話をしている間、全身に深い傷を負ったエルニーは腕を組んで棒立ちになり、何やら瞑想のようなことをしていた。


 ブツブツと呪文のようなものを唱えている、もしかして闇の力とかそういった類のものを引っ張ってきて回復するつもりなのか?



「おいお前、何やってんだよ?」


「……少し静かにして頂けないかな、今集中しているのだよ」


「な~にやってんだ~っ! わぁ~っ! わぁ~っ!」


「ふむ、断固邪魔するというのだな、では教えてやろう、これは体内の炎を呼び起こし、傷を癒しているのだ、かなりのエネルギーを失ってしまうがやむを得まい」



 エルニーの口からエネルギーを失うという言葉が飛び出したではないか。


 奴の体内にあるエネルギーは無限ではないということがこれでわかった、あとはそれをどこから供給しているのかを突き止め、その元を断てばこちらの勝ちだ。


 というか調べるのは面倒だな、本人に直接聞いてみよう……



「大魔将エルニー、その力はどこから来てどこに蓄えられているんだ? 教えないなら回復の隙を与えずに攻撃し続けるぞ」


「……エネルギーは日々の食事から来ている、当たり前だろう? それを10年間、毎日ほんの少しずつコツコツと肝の臓に蓄え続けたのだよ、そして最近、君との戦いに向けて解放したということだ」



 教えてくれちゃったよ、馬鹿じゃないのか本当に? しかし食事から摂取したエネルギーをそんなにも溜め込んでおくことが出来るとは、それにどれだけ食べたら燃える程の力を出せるのだ?


 コイツは俺やこの世界の一般的な人間とはエネルギーの変換効率が違うということはわかる。

 だが今この一瞬だけでも何万キロカロリーと消費しているはずだ、普通に考えて有り得ようはずもない。


 となると、本人も気が付いていないどこかから膨大なエネルギーの補給を受けているはずだ。

 やはり空気中か、それとも太陽光などといった別の何かか……



 考えている間にエルニーの回復が終わったようだ、見た目はすっかり元通り、だが少し痩せたように見えなくもない、炎の勢いが弱まったのか?



「さて……どうやらこのままでは君達に勝つことが出来ないようだな……であれば本気を出すか、相打ちであれば魔王様も文句は言うまい」


「相打ちだと? 何をするつもりだ?」


「全てを燃やし尽くす灼熱の炎、それを纏うのだよ、君達は燃え尽きる、だが自分も全てのエネルギーを使い果たして倒れる、それで相打ちであろう」


「やべぇこと考えてんじゃねぇよ、死ぬなら1人で死にやがれ」


「もう遅いっ! 既に力を解放する段階に入っているのだよ!」



 炎の色が赤から青へと変化していく、同時に感じる耐え難い熱さ。


 大魔将エルニーは全ての力を解放し、俺達を、というよりもこのコロシアム全体を焼き払ってしまおうというのであろう。


 堪らず距離を取る前衛、俺とマリエルもジワジワと後ろに下がる以外の選択肢がない。

 唯一平気な顔をしているのは箱舟に入っているルビアだけである、余裕かましやがって。



「拙いですのっ! このままだと島ごと吹き飛ばされますわよ!」


「マジか、どうにかしないと海でひと泳ぎする羽目になるな」


「……たぶんそれどころじゃないですのよ」



 しかし困った、炎を纏うだけでなく、呼吸の度に口からも、そして鼻からも火を吹きながらこちらへ近付いてくるエルニー、正気を失っているように見えなくもない。


 外野からアイスブレスを吹き掛け続けていたドラゴン達ももう限界のようだ。

 徐々に会場の気温が上昇し、巨大なオーブンの中に入れられたような熱さになってきた。



「おいどうするよ? これじゃ近付けもしないぞ」


「……勇者様、私に、いや私と杖の中のハンナちゃんに任せてちょうだい」


「セラ、何をするつもりだ?」


「相手が全放出するならこっちもそうするだけよ、竜巻でアイツを空高く吹き飛ばしてあげるわ」


「わかった、だが無理のないようにやるんだぞ」


「ええ、でもたぶん気を失うから、あとは任せたわ」



 セラの持った杖がこれまでにない光を帯び始める。


 良く見るとルビア用の魔力回復薬を3本も口に咥えているセラ、魔法を発動させながらそれを口の中に流し込み、それで得た魔力をさらに杖へと流し込む。



 風が動いた、これまでの竜巻魔法とは違う……雷を帯び、その所々には風の刃が混入している。

 次第に渦を巻いていくその刃の竜巻は、こちらへ歩み続けるエルニーの足元を捉えた。



「いっけぇぇぇっ!」



 一定の流れを見せていた魔力が、突如堰を切ったかのように溢れ出す。

 竜巻は勢いを増し、エルニーの体を宙に舞い上げる、炎も一緒にだ。


 杖の頭に亀裂が入り、そのまま砕け散ってしまった。

 強大な魔力の放出には伝説の杖も耐え切れなかったということか……



「これで空っぽ……あとは魔法に頑張って貰うしかないわ……」



 風の刃と雷を伴った火災旋風、そう表現するのが最もしっくりくるセラの攻撃、これまでのように右往左往せず、ひたすら一点の空気を空高く押し上げている。


 エルニーは……遥か上空だ、燃え盛る炎の柱の中で、一部だけ青い炎で燃えている所、それがエルニーの現在位置のようだ。


 もう米粒程度にしか見えない、おそらく数千mの高さまで到達しているはずである。



「ご主人様、敵がお星様になってしまいましたよ」


「うん、このまま一生空で輝いていて貰えると助かるんだがな」



 その米粒が突如膨らむ、炎の色はオレンジがかった赤へ、そしてその赤が熱波となって地表に到達する。

 爆発しやがったか、これで奴の蓄えていたエネルギーは全て霧散したはずだ。



「ちょっとセラちゃん、大丈夫なのあんた?」


「だい……じょ……う……」


「気を失ったわね、ハンナちゃんも出て来て倒れているわね」


「ルビア、ハンナには魔力回復薬を飲ませておけ、セラはもう3本も飲んでるからな、腹を壊すと困るしこのまま連れて帰ろう」


「わかりました、ではセラさんにはこっちの巨大極太座薬タイプを」


「……余計なことしなくて良いからな」



 ルビアがハンナに魔力回復薬を飲ませている最中、カレンとリリィ、それにマーサまでもが空を見上げ、何かを指差している。


 空に何があるというのか? その答えは数秒後にわかった。


 大魔将エルニーが降って来たのである、全身に纏っていた炎は完全に鎮火し、もはやゴンザレスと見分けが付かない状態になっているではないか。


 それが地面に激突し、轟音と共に大穴を空ける。

 呑気な観客達は盛り上がっているようだが、危うく直撃するところであった俺達にとっては冷や汗ものだ。



「……生きてるんじゃね、ミラ、ちょっと剣でツンツンしてみろ」


「え、何かちょっとキモいんでイヤなんですけど」



 ヘタレめ、だが僅かに索敵の反応が残っているところを見るに、生きているのは確かなようだ。


 どうしようか、このまま放っておいてもそのうちに死ぬとは思うのだが、念のため止めを刺しておくべきか……



「お~う、勇者殿! ちょっとストップだ!」



『こら~っ! そこの人族、決闘に乱入してはいけません! というか大魔将とそっくりですね……』



 観客席に居たゴンザレスが俺達のところへ向かって走って来る。

 大魔将エルニーが本当に自分の弟、エルニダトスなのかどうかをここで暴こうというのか。



「勇者殿、戦ったばかりで悪いが少しスタッフを止めておいてくれないか、調べたいことがある」


「わかった、だがそんなに時間は稼げないぞ、そのせいで観客が冷めたら俺達が怒られそうだからな」


「ああ、すぐにわかることだ」



 そう言って倒れたエルニーの下へ駆け寄るゴンザレス、どうして燃えなかったのか理由すらわからないその服の胸元から何かを取り出す。


 ペンダントのようなものだ、煤けてはいるが破損してはいない。



「……やはりそうか、勇者殿これを見てくれ」



 ゴンザレスが表面の煤を払い、俺に向かって突き出したそのペンダントには、擦れてはいるがはっきりと書かれていた、『エルニダトス』と。


 これで熱血大魔将エルニーがゴンザレスの弟で会ったことが確定した。


 一応人族らしいゴンザレスと上級魔族のエルニー、いやエルニダトス、なぜそのようなことになってしまったのか、これから解明していくことになりそうだ……

次の話でこの章を終え、新章に突入します。

第二部もそろそろ終盤ですので、この先も引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。

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