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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第九章 残党とすら呼べない
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233 発破解体

「勇者様、例の屋敷は敵のアジトで間違いなさそうですよ」


「そうなのか? 証拠が挙がったんだな」


「ええ、もう1体のデブ魔族も目撃されましたし、姿こそ見せませんがここのところあの屋敷から異臭がするとの通報が相次いでいたそうです、それに……」



 敵の姿が確認されていること、異臭騒ぎ、さらに最後にマリエルが告げたのは、最近土地建物の登記名義人が『ゴーレムハウス』なる法人に変わっていたとのことであった。


 異臭騒ぎで死体があるのかもと駆けつけた憲兵に対しては、ハゲかデブのどちらかが対応し、庭で大々的に肥やしから肥料を作っているところを見せ付けていたらしい。


 そもそも所有者の時点で確定なのだが、それでも憲兵が聞き込みと張り込みをし、明らかな証拠と共にその屋敷に敵が居る時間帯をザックリ割り当てたのだという。



 毎週1回、定期的に夕方から大勢がその屋敷に集まって何か怪しげな儀式をしている、それが調査担当の憲兵による報告だ。



「次にその怪しげな儀式が行われるのは明々後日だそうです、そこを逃すと襲撃は翌週になってしまいますね」


「う~む、そこまでにジェシカの作戦が準備完了に至るかどうか……またラフィーを鞭で脅して働かせるしかないか……」



 そういえば今日は朝からその自爆ゴーレムの実験を行っているとのことであった。


 ジェシカがラフィーを連れ、ついでに面白がったセラと精霊様が付いて行ったのだ。

 おそらく領地の方でやっているはず、ちょっと様子を見に行ってみよう。



 マリエルは面倒だというので、俺1人で屋敷から出て、城壁に設置した小さな扉を潜る。

 遠くの草原からセラの楽しそうな声が聞こえている、当然そちらを目指した……



「あら勇者様、ようやく来たわね、ねぇ、面白いからちょっと見てよコレ!」


「コレって、ただの残骸じゃないか?」


「あ、それは使用済みね、こっちよこっち!」



 セラが指差したのは先日の祭会場で自爆したのとそう変わらないサイズのゴーレム。

 横に居たラフィーが指示すると、どこか明後日の方角を向いて走り去って行った。



 ……そして破裂するゴーレム、何やら破片のようなものを撒き散らしているようだ。



「ね、面白いでしょ、破裂すると中には入っている鉄くずが散乱して敵に大ダメージを与えるのよ」


「何てモノ創りやがるっ!? とんでもない殺傷能力じゃないか!」


「そこはラフィーちゃんの力の見せ所よ、ほどほどに殺すように上手く調整して貰うわ」



 ほどほどに殺すとはどういう状況を指し示すのであろうか? まぁ、敵のアジトを襲撃する際には適当な理由を付して付近の住民を避難させるはずだし、二次被害に関しては問題なさそうだが。


 それにしても凶悪な兵器を作成したものである……



「でだ主殿、今はこの破裂時に散乱する鉄くずを魔力を奪う金属で出来た玉に置き換えようと試行錯誤をしているのだが、何か良い案はないか?」


「魔力を奪う金属? それでどうするつもりだ?」


「周囲の安全に配慮して破裂の威力を抑えた場合だと、その攻撃でターゲットが死滅しない可能性が高い」


「うんうん、確かにそうだな、で?」


「そこで魔力を奪う金属だ、それが建物内部に飛び散り、敵の体、それからそこにある敵性ゴーレムにも食い込む、そうすれば死なずとももう何も出来まい、あとは斬り捨てるだけだ」


「ほう、なかなか面白いじゃないか……」



 あわよくば殺す、死ななかったとしても完全に動きを封じ、無力な状態へと追い込む。

 この二段構えであれば、おそらく打ち漏らしもかなり少なく出来ることであろう。



 そして問題はその仕組みか……


 魔力を奪う金属を飛散させて攻撃したいのであるが、その金属自体がゴーレムに触れていた場合には自らの魔力を奪われ、単なる土くれに戻ってしまうのである。


 それゆえ、先程の実験のようにゴーレムの中に玉を内蔵して、というのは出来かねる、どうにかしてゴーレムに触れない状態で魔力を奪う金属を破裂と同時に飛散させることが……



 そうだ、リュックサックを背負わせれば良いのだ、ゴーレムに!



「セラ、もうボロボロになって使えない布リュックとかないか?」


「ないわよそんなの、全部ミラが雑巾にしてしまうもの」


「主婦かよ! まぁ良い、こうなったら雑巾をつぎはぎにして自爆ゴーレム用布リュックを作成するんだ」



「なるほど、それならゴーレム本体には触れずに魔力を奪う金属の玉を保持出来るな、主殿すぐに試してみよう」



 これは上手くいくかも知れない、俺達は意気揚々と屋敷に戻った……



 ※※※



「ダメですよ、そんな意味不明な実験で大切なお雑巾を消費しないで下さい」


『・・・・・・・・・・』



 ミラに雑巾の提供を拒否されてしまったではないか、何だお雑巾って、それは敵を討伐するための実験よりも大切なものなのか? 雑巾ですよ雑巾!



「主殿、この計画は残念ながら頓挫してしまったようだ、別の方法を探ろう」


「え? ちょっと待てよ、このぐらいのことで諦めるんじゃない!」



 とはいえ新しいリュックを購入して実験に使用したらミラがキレそうだ。

 どうにかして金も雑巾も消費しない方法でそれを獲得せねばならないな。



「じゃあ勇者様、草原の草でも摘んで来て、それを編んで作ったらどうかしら?」


「原始人ですか? もっとまともでスタイリッシュなリュックにしようぜ」


「実験で破裂させるのにスタイリッシュも何もないと思うのよね……」



 セラはそう言っているが俺は男として、いや漢として納得がいかない。

 こうなったらもうアレだ、ゴミ置き場を漁るしかない、スタイリッシュにな。



 そのまま町へと繰り出し、5ヶ所のゴミ置き場を回ったところで手提げカバンが1つ、そして本命のリュックサックが1つ見つかったのである。


 何か臭いし汚いが、俺のセンス的にはどちらも十分スタイリッシュなアイテムだ。

 さて、これらを使って実験の続きをするとしよう。



 まずはゴーレムにリュックを背負わせ、中に魔力を奪う腕輪を3つ入れてみる……形が崩れたりしない、第一段階は実験成功のようだ。



 続いて腕輪を取り出したところに砂利を詰める、ゴーレムは……力なく後ろにひっくり返ってしまったではないか、パワーが足りない、いや、本体が小さすぎてリュックの中の砂利とバランスが取れていない。



「おいラフィー、お前こんな不良品を掴ませやがって、ただじゃおかねぇぞ!」


「そんなこと言われましても……そうだ、前で抱えさせれば問題なく立てるッスよ、重心的に」



 ラフィーに言われた通り、今度は前リュックでゴーレムにそれを持たせる。

 ダサい、全くもってスタイリッシュではなくなってしまったではないか。


 だが小さなボディの自爆ゴーレム、歩くのは遅いもののバランスだけはしっかり保てているようだ。


 そもそも敵に向けて散弾の如く金属の玉を飛ばすのだ、背中より腹にその装置が付いていた方が効果は高いはず。

 まぁ、背に腹は変えられないということだ、これでいくこととしよう……



 次は実際にゴーレムを自爆させてみる、ラフィーに指示を出させ、かなり遠く離れた場所で破裂するようにしておいた。


 ドンッという音が響き渡り、土煙を上げながら周囲の草花を吹き飛ばした自爆ゴーレム。

 自らもその役目を終えて土くれに戻っていった。



「うむ、主殿、この威力であれば数体居れば一箇所に集まった敵を殲滅することが出来そうだぞ」


「だな、じゃあこの仕組みのを5体、それから建物の柱を破壊する通常ゴーレムを5体、計10体でいこう」



 爆散リュックサックに関してはゴーレムではないし、研究所の方に製作を依頼することとしよう。

 ブツは王宮で軍用のものを5つ分けて貰えば良い、というかもうゴミを漁りたくない。



 とりあえず行動開始だ、ラフィーには研究所に渡すサンプル分も含めた11体の自爆ゴーレム作成を、セラには設計図、というか企画書を書かせ、それを持ってまずは王宮を目指した……



 ※※※



「で、おぬしらはこの作戦のために貴重な軍用リュックを欲しておるということじゃな?」


「ああそうだ、5つあれば良い、いや、リハーサル分も含めて6つだな」



 何か嫌な予感がする、このババァ、どう考えてもミラと同じタイプだ。

 というかミラが年老いてしわくちゃになったらこういう感じになるのかも知れない……



「よかろう、じゃが少し条件がある」


「条件? どうせろくでもないことだと思うが一応聞いてやる、言ってみろ」


「祭で大量に売れ残り、そして通常販売に移行したこの『王都Tシャツ』を着て宣伝するのじゃ」


「……思っていたより遥かにろくでもないな」



 前面にデカデカと『王都』の文字が入ったTシャツ、赤と白があるらしい。

 どこのおのぼりさんだよ、こんなものが売れるわけがなかろうに……



 しかしこれが条件だというのであれば着てやろう、早速王都Tに着替え、軍用リュックを7つ受け取る、7つ?



「おい、頼んだのは6つだぞ、1つはサービスか?」


「いや、そのTシャツには軍用リュックが合いそうじゃ、おぬしはそれを背負って帰れ」


「えぇ……」


「あと王都Tを着るときにはちゃんとシャツインせんとダメじゃぞ!」


「・・・・・・・・・・」



 どこかのオタクみたいにされてしまった、だが作戦のためだ、恥を忍んでこの格好で町を練り歩こうではないか。



 王宮から出ると、セラとジェシカが心なしか俺と距離を取って歩いているように感じた。

 気のせいだ、きっとそうであるに違いない、いや、そう思っておかねば俺のメンタルが崩壊してしまう。


 そのまま歩いて研究所へ向かう、リュック式殺傷装置の設計図を渡して作成を依頼した際に噴き出し、笑い転げるマトン、何が面白いというのだ?


 帰りにお願いした馬車タクシーのおっちゃんにも笑われてしまった……もちろん屋敷にに帰った後も、全員から……



 たかが軍用リュックサックと引き換えに俺の尊厳は踏み躙られたのである、というか誰だ、この王都TシャツにGOサインを出した担当者は。



「プププッ、ご主人様、その格好はあまりにもアレです」


「おいルビア、笑ってんじゃねぇよ!」


「ちなみにこのチェックのシャツを上から羽織っていれば……ブプーッ!」


「・・・・・・・・・・」



 まさかここまでイジられるとは思わなかったぜ、しかしこれで作戦の準備はほぼ整った、あとは筋肉団に教えを請うて効率の良い建物の発破解体方法を覚え、実戦に役立てるだけだ。


 ルビアから受け取ったチェックシャツを王都Tの上から羽織った俺は、今一度シャツインを確認しながらリュックサックを背負い、筋肉団の詰所へと向かった……



 ※※※



「やぁゴンザレス、ちょっと良いか? 俺達の作戦に協力して貰いたいんだ」


「おう、勇者殿か……いや、その格好をしている場合には語尾はござる、一人称は小生か某、基本だぞ!」


「し……小生達の計画に協力して欲しいでござるよ……」


「うむ、時折ヂュフッとか変な音が漏れていると尚良いぞ、ところで今日は……なるほど、建物の構造に関してか、破壊したいのであれば任せておけ、効率の良い方法を教えようではないか」



 察しが良いのは大変有り難いのであるが、最初の意味不明なレクチャーはぜひ省略して欲しかった。

 というかこの格好のイメージは酷いものだな……



 とにかくゴンザレスに敵のアジトである屋敷の見取り図を見せる、これは先程王宮で貰って来たものだが、かなり正確性の高いものだとの触れ込みだ。


 その見取り図を隅から隅まで舐めるようにして見るゴンザレス、動きがキモい。



「う~む、こことここの柱、それからこれが大黒柱か……うむ、全部で5ケ所、その全ての柱を折ってしまえばこの屋敷は倒壊するであろうな」


「5ヶ所か、ちょうど良い、その柱に印をつけておいてくれ、そこに自爆ゴーレムを突撃させるんだ」


「そうか、では万が一自爆に失敗したときのために俺達も何人かでフォローに入っておこうではないか」


「フォロー? 自力で柱を倒しに行くのか?」


「いや、俺達も普通に自爆すれば良いではないか」


「……それじゃ死ぬだろ」


「はっはっは、この鍛え上げた筋肉はその程度で活動を停止するものではないのだよ!」



 想像してみると異様に気持ち悪い、自爆し、飛び散ったゴンザレスの肉片が意思を持って活動を続けている光景である、それはちょっと見たくないな……


 まぁ、ゴーレムを使った自爆作戦に失敗しなければ良い話だ、ラフィーには確実に作戦を完遂出来る、強くて賢い自爆ゴーレムを創らせよう。



 ゴンザレスには作戦開始が明々後日の夕方であることを伝え、とりあえず現地集合ということで話を付けた。


 この連中であればあの臭っせぇ紫の気体を出されたところで何のダメージも負わずに戦闘を続けることが出来るはずだ、イレギュラー発生時のフォローに期待しておこう。



 筋肉団の詰所を出て屋敷へと戻る、門の前に荷馬車が停まっている、どうやら研究所から来たようだ。

 今日頼んだばかりのリュックサック装置がもう完成したというのか。


 ……良く考えたらリュックサックに魔力を奪う金属で出来た小さな玉を詰め込むだけだったな、研究所にお願いするまでもなかったかも知れない、まぁ良い、費用はどうせ国持ちだからな。



 装置を受け取り、リハーサル用の1つを持って実験に向かう。


 ラフィーの創った少し大きめの自爆ゴーレムにそれを抱えさせ、走らせてみる。

 良い感じだ、次は自爆、これもなかなか威力があると見える。


 うむ、この様子であれば想像したとおりの結果が得られそうだな。



 そこからはメンバー全員で計画を詰め、残りの2日間を過ごした。

 もう全員が全てを把握しているはずだ、あとは作戦決行を待つのみである……



 ※※※



 迎えた作戦当日、ゴーレムはあまりにも重たいため、幌付きの荷馬車を王宮から借りてそれに乗せた。

 俺達は自前の馬車に乗り込み、ターゲット近くの公園で一時待機する。



「あの屋敷が敵のアジトか……何だか俺達の勇者ハウスと立地条件が似ているな」


「そうでもありませんよ、ここは城門から遠いので地価は激安なんです」


「へぇ~、まぁそれは確かに不便だからな」



 などとくだらない話をマリエルとしていると、シュシュッと現れた人影、イレーヌだ。


 マリエルに偵察して来た敵状を報告するイレーヌ、どうやらメインターゲットであるハゲ、デブ、不潔の3馬鹿は既にあの屋敷の中に居るようだ。


 そして、つい10分程前辺りから続々と魔物なのか魔族なのかわからないような醜悪な見た目の連中が集まり始めているという。


 その全てがマントや仮面などを使って人族を装っているとのことであるが、その程度ではイレーヌの目を誤魔化すことは出来ない、そして、これから自分達がどうなるのかを察することも出来ないであろう。



 筋肉団も公園に現れ、まずは10体の自爆ゴーレムを引き連れた俺達だけでその屋敷の方へと向かう。


 少し離れた所にある茂みに隠れ、様子を覗った。

 中で索敵の反応があるのは一番広い部屋のみのようだ。


 既に参加者の流入も途絶え、その部屋で気味の悪い謎の儀式を行っているに違いない。

 今が作戦決行のときだな……



 再度見取り図を確認し、ラフィーが指定のスポットにゴーレムを誘導する。

 最初は屋敷の外側4ヶ所にリュック無しゴーレムを貼り付かせ、自爆の準備を整えた。


 次は中へ突入するリュック有りが5体、それから屋敷中央の大黒柱を破壊するための、他よりも一回り大きいゴーレムの移動を開始する……



「ラフィー、玄関から一気に中へ突入させろ、デカいのはここ、他のはこの部屋まで行ってまとめて自爆するように仕向けるんだ」


「わかったッス、じゃあここに発破器を設置して……」


「……え? 何それ、俺もやりたいんだが?」


「ダメッス、これは私にしか使えない装置ッスから」


「チッ、死ぬまでにやってみたいことランキングの上位に食い込む程の行為なのに……」



 ラフィーがどこからともなく取り出したのは、一辺が30cm程度の箱。

 側面にはドクロのマーク、そして上にはT字型の金属製レバーが付いている。


 これはアレだ、ダイナマイトとかに点火する際に使っているのかいないのか、とにかく一般的なイメージではこのレバーをグッと押し込んで点火する装置だ。


 作戦が終わった後で良いから記念に使わせて貰おう……



「勇者様、遊んでないで、そろそろ突入してもいい頃合よ」


「おお、すまんすまん、外側のゴーレムは配置に着いたな……よしっ、突入だ!」



 後ろからラフィーが魔力を放出しているのを感じた、次の瞬間、屋敷の目の前で停止していたゴーレム達が走り出し、普通にドアを開けて突入する。


 数秒の後、屋敷の中から叫び声が聞こえてきた……



『うわっ!? 何だ貴様等はっ!』


『こいつらしかも土足……って全身土じゃねぇか!』


『ゴーレムだ、しかもカラクリ女王様の香りがするぞっ!』


『何だって!? もしや我らのためにご本人様がサプライズをっ!』



 そう、サプライズプレゼントだ、ラフィーだけでなく俺達の気持ちも篭った……



「ラフィー、殺れ」


「はいッス!」



 ラフィーが発破器のレバーを力強く押し下げる、次の瞬間、轟音が響き渡った。


 屋敷の外のゴーレムの破裂によって土埃が舞い上がり、一瞬にして建物全体を覆い隠す。

 次に訪れたのは静寂、そしてそこから1秒も経たないうちに、ガラガラという崩壊の音。



 固唾を呑んで土埃の先を見守る、次第にクリアになってくるその視線の先には、屋根が地面に接した状態で崩れ去った屋敷、いや、先程まで屋敷であったものが存在していた。


 作戦は成功だ、瓦礫の中の索敵反応は……2つか、今ので大半が死亡したようだな……



「よっしゃ、生き残りを始末しに行くぞっ!」



 俺は茂みから飛び出し、崩れ去った屋敷の残骸を目指す。

 だが誰も付いて来ないではないか、一体どうしたというのだ?



「ご主人様、もう絶対に臭いのでこれ以上近づきたくありません」


「……うむ、そのことを忘れていたな」



 生きているか死んでいるかは不明だが、あの中には間違いなく激クサの不潔系ゴーレム使いが居る。

 その臭いにどう対処するのかを考えていなかったではないか。



 だがここで止まるのはダサい、飛び出してしまった以上、俺1人でも近くに行ってみるしかなさそうだ……

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