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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第九章 残党とすら呼べない
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230 祭会場に現れたのは

「……つまり、おぬしらがこの間捕らえた大魔将を奪還しようという勢力があるのじゃな?」


「そう、ついでにラフィーが王都に居ることを知っているようなんだ、だから襲ってくるはずだぜ」


「うむ、だからと言ってそのような連中の好きにはさせぬ、断固反撃じゃ、祭に関しても予定通り開催する」



 エリナから手紙で警告を受けた翌日、会議の日ではなかったが王宮へ向かった俺は、ことの詳細をババァに伝えておく。


 もちろんこのババァ、数十年も戦場を駆け巡ってきただけあってここで退くという選択にはならない。

 絶対に屈せず、むしろ返り討ちにしてやろうとの意気込みだ。


 俺もそのつもりであったが、やはり敵の狙いは来週開催される祭であろう、その準備のみならず、防衛策に関しても急ピッチで構築しなくてはならなくなってしまった。


 実に面倒である、敵さん、ちょっと待ってくれないかな……



 しかし敵とコンタクトを取るわけにもいかないのだし、ここはラフィーから色々と話を聞いて、どのような奴が現れそうかということだけでもはっきりしておこう。


 この件で明日の会議は俺もセラも欠席する可能性が高いということを告げ、王宮を後にした。



 屋敷に帰ると、既に精霊様がラフィーを質問責め……だけでなく水責めにしている。

 テラスがビッタビタなのですが?



「精霊様、今回はラフィーが悪事を働いたわけじゃないんだ、勘弁してやれ」


「……確かにそうね、じゃあ水責めはやめて石抱き責めにしようかしら」


「ひぃぃぃっ! 理不尽ッス」



「精霊様、今の話聞いてた?」



 拷問だけして聞くことは聞かない精霊様、今のところまだラフィーからはスリーサイズ以外の情報は出ていないようだ。


 しかしスリーサイズも気になるな、後でこっそり聞いておこう。



「さてラフィー、昨日の件なんだが」


「あの……すみません、まだ設計図は出来ていないッス」


「そっちじゃなくてエリナからの警告に関してだ、城の設計図は後回し、襲撃して来そうな奴を教えるんだ」


「良かった、で、心当たりがあるのは……」



 どうやらストーカーじみた輩がかなりの数居るようだ。


 今挙がっただけでも毒ゴーレム使い、マイクロゴーレムマニア、他人の作ったゴーレムを塗装するだけの変な人、さらには不潔系ゴーレムマスターなどという意味不明な称号が目白押しである。


 そして、その中でも一番危険なのが最後に挙がった不潔系ゴーレムマスターだという。

 ラフィーファンクラブの中心で指揮を取るヤバい奴だそうな。



「んで、それはどういう敵なんだ? やっぱ臭いとか?」


「昔は臭かったッス、今は魔王軍軍法会議で私の500m以内には接近出来ない決まりなんでアレなんスが、たぶんもっと臭いッスね」


「またそっち系の奴かよ……」



 当該不潔系ゴーレム使い、齢700にして生まれてから一度も手を洗ったことがない猛者だという。


 そしてその手を使ってこねくり回した土くれで作成したゴーレムは強烈な異臭を放ち、目の痛み、嘔吐、食欲減退などを引き起こす代物らしい。


 ちなみに以前はそのゴーレムが毎日のようにプレゼントラッピングされてラフィーの家に配達されていたという、それはヤバい、3日も持たずに気が狂いそうだ。



「100年ちょっと前に友達の魔弁護士が訴えてくれたッス、それで直接的には何もしてこなくなったんスが……」


「変なファンクラブを創って暴走気味だと?」


「みたいッス、何だか私にあのゴーレムを認めて欲しかったらしいんスが、ちょっと臭すぎて……何だかちょっと悪いことしたかもッスね、後で謝っておくッス」


「・・・・・・・・・・」



 おそらく他のストーカー紛い連中にも似たような対応をしていたのであろう。

 あの自称弟子の雑魚といい、きっぱりと拒絶の意思表示が出来ないからああいうのが付け上がるのだ。



「それで、不潔野朗の他にアブなそうな奴は?」


「きっとマイクロゴーレムマニアの人も何かしてくると思うッス、米粒ぐらいのゴーレムを使ってウチのお風呂を覗いてたことがあるッスから」


「そうか、そいつとは良い友達になれそうだな、敵としてではなく仲間として出会いたかったぜ」


「お願いだからエッチな悪戯に利用しないで欲しいッス……」



 というのは半分、いや3分の1ぐらい冗談で、最も危険な2人の馬鹿が判明した以上、それらには確実に対抗出来るようにしておかなくてはならない。


 特に不潔系ゴーレム使いの方だ、大量の飲食店が露店を出す祭会場にそんなのが出現したらと思うとぞっとしない。


 それが姿を現すだけで、祭会場は阿鼻叫喚の嘔吐地獄と成り果てるであろう、王都だけに嘔吐ってか?



「さて、今日は風呂で作戦会議をしよう、とりあえずは不潔野朗対策に関して協議しようか」



 夕方になり、その日は食事の前に風呂に入ることとした。

 ラフィーも含めた屋敷に居る全員で話し合い、策を練る……



 だがあまり良い案は出て来ないようだ、多くの人でごった返す祭会場で、臭いの届かない遠くからそいつを探すのは大変だし、かといって検問を設けていたらキリがない。


 そもそも臭いとはいえ王都に侵入する際には何らかのかたちで臭いを誤魔化してくるはずだ。

 たとえば元々臭い堆肥の中にゴーレムを忍ばせられたら発見するのは困難であろう。



「う~ん、困ったな……お、珍しくコリン達がこっちへ来ているぞ、どうしたんだ?」



 ドライブスルー専門店の営業を終えたコリンとその他の3人が屋敷の庭に入り、ウロウロしながら何かを探している、いや、俺達の誰かを見つけようとしているのか……



「あら、居たわよ、お風呂に入っていたわ」


「どうしたんだ? 小遣いなら一切やらんぞ」


「そうじゃなくて、商品を触る前に使う手の毒消し酒が切れちゃったのよ、新しいのを出しなさい」


「……うむ、その手があったか」


「何を言っているの? 帰りたいから早くしなさい」



 消毒用に使えるアルコール、というか強い酒なら倉庫に沢山入っている、安物の、ただひたすらキツいだけの酒だ。


 とりあえずコリン達には必要な分を持って行くように伝え、ついでに1ボトル俺達のは言っている風呂に持って来させる。



 これを祭り会場の入口だけでなく、王都に入るための城門にも設置し、入場者は必ず手をアルコール消毒することとしよう、これは義務だ。


 そうすれば生まれてこの方手を洗ったこともなく、むしろそれをゴーレム作成に生かしているという不潔野朗はそれを忌避するはず。


 手の消毒を拒否したらそいつが敵だ、その場でぶっ殺してしまえば良い。



 その翌日には、会議にて王宮にアルコール消毒の件を伝え、すぐに大量の強い安酒を発注して貰う。

 祭当日にはどうにか間に合うようだ、これで一安心である。


 あとは自分達の出店準備を進め、というかシルビアさんと交渉し、1週間後に開催される祭を楽しみにしておくだけだ、どこからでも掛かって来やがれ不潔クズ野郎めが!



 ※※※



 そして迎えた祭当日、俺達は露天の準備をするため朝早くから王宮前の広場に集合していた。


 今日は人の往来がかなり多いはず、ドライブスルー店の本店を疎かにするわけには行かないため、コリン以外の3人はそちらへ、プラス臨時のバイトも3人、シルビアさんに手配して貰った。


 そしてこちら、広場の仮設店舗はコリンを中心に俺達が交代で手伝うことにより人件費の削減を狙う。

 もちろん当番時間でないメンバーも全員が遊んでいるわけにはいかない。


 敵である不潔系ゴーレム使いがいつどこから王都侵入を試みるかわからないのだ、こちらも当番制にして警戒を怠らないようにしなくてはならない。




「あの……私はいつまでこんな狭い檻に入っていれば良いんスか?」


「ラフィー、お前は今回のターゲットなんだぞ、今日1日そこで大人しくしていろ」


「そんなぁ~、屋台の串焼き食べに行きたいッス!」


「後で買ってきてやるから我慢しなさい」



 ラフィーは屋敷の地下牢に収監しておくことも考えたが、屋敷自体が手薄になってしまう以上ここへ連れて来た方が安全だと判断した。


 まるで犬でも入れるかのような狭い檻に押し込み、1日中その中で体育座りさせておく予定だ。

 ちょっとかわいそうにも思うがこればかりは仕方が無い。


 念のため外から見えないように布を掛けておこう、ラフィーの姿が隠れる瞬間の、それだけはやめてくれ感溢れる悲しげな顔が印象的であった。



 しばらく営業の準備を進めていると、王宮の兵士がやって来て提示報告をする。


 今のところ手の消毒を拒否する客は居ないようだ、もっともそれは王都の城門においてだけの話、祭会場にはまだ一般客が入ってはいない。


 つまり、既に敵が王都内に紛れ込んでいた場合にはこの現時点では引っかかることがないということだ。


 もちろん俺も索敵を使っているし、カレンやマーサも嫌な臭いが漂ってこないかの警戒を怠っていない。

 それでも人が多いため、どちらの手法でも見つかるより見逃す可能性の方が遥かに高い。


 何としてでもアルコール消毒を用いた手の不潔な奴狩りを成功させなくてはならないのだ……



「さて、そろそろ人が入って来る頃だろうな、午後になったらレーコ達が店を手伝ってくれるらしい、それまでは半々で巡回と店番をするぞ」


「じゃあ勇者様、私達は南側の巡回に行きましょ」


「セラ、別に良いけど遊びじゃないからな」


「わかってるわよ、早く早くっ!」



 出店マップを片手にそんなことを言われても信用ならない、だがその方が不自然にならなくて逆に良いのかもな……



 俺とセラは南へ、ミラとリリィが北、カレンとジェシカが東、そしてユリナとサリナが西を巡回し、ずっとここに残るコリンに加えてルビアとマーサが店番をする。


 ちなみにマリエルは貴賓席、精霊様はとっくにどこかへ遊びに行ってしまった。

 まぁ、精霊様は午後の処刑イベで仕事があるんだし、午前中は好きに遊ばせておこう。



 セラと2人、広場を出て王都南門に向けて歩き出す。

 徐々に人通りが増えてきたようだ、これはしっかり警戒しないと……おや?



「おいセラ、何を見ているんだ?」


「う~ん、ついさっきすぐ横を何かが通った気がするのよね……」


「気のせいだろ、それか小人さんとかだな」


「そうね、きっと小人だわ、祭を見に森からやって来たのね」



 この世界で小人などというものは見たことも聞いたこともない、だが何でもアリの異世界だ、きっとそういう不思議生物も存在するのであろう。


 そして今は敵を探すのが先決だ、そのような些細なことに構ってはいられない。



 途中でベビーカステラ的な何かを買い食いしたりしつつも、そのまま南門へ向かって歩く。

 その間に2回、セラが小人らしき影を目撃したと言うのだが、俺には一切見えなかった。



「でも変ね、小人なんて見るの初めてよ、そんなの実在したのかしらね?」


「いやいや、最初の素振りから見て居るのが当たり前みたいな感じだったろうに……」


「あれは適当よ、噂によると王都周辺の森に居るらしいってだけなの」


「へぇ~、危うく当然に存在するものとして生きていくところだったぜ」


「それは恥ずかしいわね、今のは教えなければ良かったわ、ププッ」


「ふざけやがって、お仕置きのカンチョーを喰らえっ!」


「はうぅっ! 町中でカンチョーしないでっ!」



 などとどうでも良い話をしていると、いつの間にか南門に到着していた。


 城門の内側にズラッと並んだ消毒コーナー。

 王都の外から来る祭参加者は、特に疑問を抱くことなくその制度に従っているようだ。



 今のところ特にトラブルが発生している様子はないな、このままUターンして祭会場へ戻ろう。

 他のメンバー達もきっとそうしているはずだからな。


 反転し、今度は北に向けて歩き出す、念のため先程とは違う道を通って行こう……



 またしばらく歩き、そろそろ広場に着くかという頃、セラが暗くジメジメした裏路地を指差す……どうやらそこに小人が2体入って行ったらしい、今度はその姿をはっきり見たそうだ。


 ちなみに紫色であったらしい、何というか、噛まれたらヤバいことになりそうな生物だな。



 裏路地に入ってすぐ、セラがおれの腕をがしっと掴み引き寄せてくる。

 顔と顔が近い、背伸びしたセラ、その唇が俺の頬に……



『勇者様、見つけたわよ、1体どころじゃないわね』


『お……おう、どうすれば良い?』



 内緒話であった、期待した俺が馬鹿だったぜ。



『とにかく、このままイチャイチャしているフリをしながら近付くわよ』


『ひゃっほい……じゃなかった、了解した』



 セラの腰に手を回し、その誘導する方向へと歩く……小人はどうやら建物の陰に隠れたようだ、今のところ索敵に反応はない。


 と、建物と建物の隙間にその姿を確認した。

 確かに紫色の生物、20cm程の大きさで、数は30体近く居る。



 集まって一体何をやっているのだ? というか生物にしては顔の造形が雑だ、へのへのもへじみたいな目や鼻が描いてある、いや彫ってあるようにも見えるな……



『勇者様、あれってさ、ゴーレムじゃないかしら?』


『そんな気がするな、でもあのサイズで祭り会場を襲撃してもどうにもならないぞ、一般市民だって余裕で勝てそうだ』



 今のところ索敵に反応する様子もない、かといってあれがゴーレムだというのであれば敵であることは明らかだ。


 ここは一旦スルーして皆の下へ戻り、状況を報告すべきなのか、それとも今この時点で攻撃を仕掛け、あの一団を殲滅するための行動を取るべきなのか……



『一度広場に戻るべきじゃないかしら』


『どうしてそう思う?』


『今ね、見てる限りで集団から5体抜けてどこかへ行ったわ、代わりに合流したのが3体居るの』


『つまりあれか、他にもまだ同じのがわんさか居る可能性が高いってことか……』


『そういうことね、さ、行きましょう』



 ということであれば戻るべきなのは確かだ、もしここに居るのが敵のゴーレムだとして、それを全て葬り去ったところで他にも仲間が居るのであれば意味がない、それどころか警戒される分逆効果だ。


 裏路地を抜け、そのまま広い通りを使って広場へと戻る、こちらは特に変わった様子はない、他の方面を巡回していた仲間も全員戻って来ているようだ。



「おそかったじゃないですか勇者様とお姉ちゃんは、またどこかでイチャイチャしてたんじゃ……」


「その様子だと南側以外に異常は無かったみたいだな」



 プリプリと怒った表情から一転し、あからさまに驚いた顔になるミラ。

 こちらで何かが起こったことは今の一言でわかったはずだ。



「紫色の小人だかゴーレムだかわからないのがそこらじゅうに居たわ、路地裏に集合しているグループもあったのよ」


「まぁ、本当に単なる伝説の小人さんなだけかも知れんがな」



「ご主人様、紫の小人さんは居ませんよ、全員緑か白です」


「何だ、リリィは知っているのか?」


「間違いないです、良く捕まえて食べてましたから」


「そんなもん喰うんじゃねぇよ……」



 しかしこれで小人説は棄却されたようだ、となるとあの紫色のはゴーレム8割、違ったとしても謎の危険生物である可能性が非常に高い。


 何らかの対策が必要になってくることは間違いないな。



「とりあえず今はここを守ろう、ラフィーはそこで大人しくして……何だ!?」



 そのとき、突如としてすぐ近くに敵の反応が生じたのである。

 ラフィーが入った檻のすぐ近くに複数、しかしパッと見た感じでは何も居ない。



「変だな、また地中とかそういうアレなのか?」


「いえ、ご主人様……アリみたいなゴーレムが無数に……」


「マジか!? ルビア、全部踏み潰すんだ!」



 近付いてみる……確かにアリの様な黒い小さな物体が蠢いている。

 しかし良く見るとアリではない、極小のゴーレムじゃないか!


 ミニミニゴーレムは踏み潰すまでもなく、その全身に宿った魔力を全て発散して形を崩していく。

 敵意は感じるが今のが攻撃とは思えない、明らかに他の目的があると見える。


 おそらくラフィーの位置を他の仲間に知らせるための合図を送ったのであろう……



「勇者様、上ですっ!」


「上がどうした? うおっ!? さっきの紫小人ゴーレムだ!」



 建物の上からダイブして来たのは先程裏路地で見たのと同じ、小人のようなゴーレムのような、とにかくそんな感じの何か、それが50体かそこらであった。


 そしてその全てが空中で破裂し、紫の気体を撒き散らす。

 気体は大気よりも重く俺達の構えた露店の上に降り注ぐ……



「くっさ~っ! 超くせぇぇぇっ!」


「数百年はお風呂には入っていない人の臭いがするわね……というか……もう……きゅ~」


「おいっ! 大丈夫かマーサ? カレンも倒れているじゃないか!?」



 これは地獄だ、臭い地獄そのものである。

 しかも強烈すぎて目がショボショボするではないか、前が見えない……



 その後も次々と現れては破裂する紫の何か、いや、もうゴーレムということで良いであろう。

 紫の気体は濃度を増し、もはやこの場で立っているのが精一杯である。


 駆け付けた王国軍の兵士、それに憲兵も次々とダウンしていく、完全にやられた、しかしどうなったとしてもラフィーの入った檻だけは死守しなくては。


 手探りで檻の方に向かう、未だ布が掛かったままだ。

 手を突っ込むと柔らかい感触と、キャッという悲鳴、ちゃんと中に居る。



「勇者様、気を付けて! そっちに勇者様みたいなのが2体行ったわよ!」



 俺みたいなの? どうにか目を開けて辺りを見渡す……ゴーレムだ、長い棒を持った人間と同じぐらいの大きさをしたゴーレムが2体、こちらに向かって走っているではないか。


 俺の存在を完全に無視し、その棒を檻の隙間から平行に2本通すゴーレム、これで担ぎ上げて魔力を奪う金属に触れないように檻を運ぶつもりのようだ。


 だがそうはさせない、後ろ側のゴーレムをさらにその後ろから蹴飛ばし、檻と俺の脚でサンドする。

 しばらくそのままキープすると、魔力を奪われたそのゴーレムはボロボロと崩れ去った。


 続いてもう一体、どうにかしてコイツを破壊してしまえばこちらの勝ちだ。

 檻の柵に体を押し付け、同じように崩壊させる。



「よっしゃ、ラフィー、大丈夫か?」


「……臭いッス、もう許して欲しいッスよ」



 今回はどうにかなったようだが、それでも紫の気体は晴れない、そしてその向こうにぼんやりと見える影、あれが敵の司令官か。



『ぶぉっふぉっふぉ、全くしぶといようですね、だがもう君達に勝ち目はありませんよ』



 喋ったのはその影のようだ、次は何をするつもりだというのだ……

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