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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第八章 ゴーレムの城
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225 ゴーレム製造工場

 剣を掲げたゴーレムに近付くと、その瞳に光が宿り、砂埃のようなものをさらさらと落としながら動き出す。


 すかさず精霊様が水の壁を張り、行動可能範囲を俺達に伝える。

 ここから出なければ他のゴーレムが反応することはない、この中であれば思い切り戦えるということだ。


 かなり余裕を持って張ったと思しき水の壁、四方を囲い、俺達はおろか敵のゴーレムすらそこから出ることは容易ではないはずである。



「あ、良いこと思い付いたっ! 喰らえ、水斬りっ!」



 水の壁にバシャッと爪武器を潜らせ、その水飛沫と共に攻撃するカレン。

 だがな、爪の先端は水壁から大きくはみ出しているのですよ、先程までの話、聞いていましたか?



 余計な混乱を招きかねないカレンの新必殺技は禁止し、一言も声を掛けることなく襲い掛かってきたマッチョゴーレムに対応する。


 下の階で戦ったマッチョゴーレムリーダー同様、魔力を奪う金属製アタッチメントの付いた聖棒を関節部分に押し当てて3秒以上長押ししないと部位破壊することが出来ないタイプのようだ。


 しかし今回は苦戦することもない、何といっても攻撃役の俺を含めた前衛と中衛の6人に加え、精霊様も参加した合計7人で1体を相手にするのだから。


 巨大なドラゴンに変身してしまうリリィはスペース上戦闘に参加することが出来ないのだが、それでも敵を押さえ込み、俺が攻撃するチャンスを作るのには十分である。


 しかも俺とマリエルで見つけた細い関節を狙いましょう作戦は今回も有効。


 誰かがゴーレムの攻撃を受け止め、周りがそれを動かないように良い位置で固定する。

 あとは聖棒で足先か拳を突けばゴーレムは大幅にその力を失うのだ。



「勇者様、右から蹴りが来ますよっ!」


「よっしゃ! ガッチリ止めてくれよな」



 この攻撃を待っていた、足を使った攻撃を受けさえすればその指を落としてしまうことが可能となり、討伐完了に大きく近付く。


 この石造りのゴーレム、いくら手の指を左右全て破壊しようとも、ラリアットなどの腕全体を使った脅威になり得る攻撃を放ってくる可能性はある。


 戦闘不能に追い込み、最終的に完全な機能停止を得るためには、バランスを保つための足の指を破壊することがどうしても必要となるのだ。



 ミラが盾を使って蹴り攻撃を受け、比較的体の大きいマーサとジェシカがその脚をガッチリ掴んで固定する。


 俺はその指先を狙って聖棒を押し当てるだけの簡単なお仕事だ、この程度であれば時給100円でもやる価値があるといえよう。



「倒れるぞ! 下敷きになるなよっ!」



 右足の指を破壊されたことによってバランスを保てなくなったマッチョゴーレム。

 2階のリーダーと同じく、前向きにバタンと倒れて起き上がれなくなった。



「今のはちょっと危なかったわね、一瞬後ろに倒れそうだったわ」


「ああ、確かに今ので後ろへ行かれたら拙かったな、次からはさらに慎重にいこう、最悪倒れる瞬間に誰かが安全な方向へ押すんだ」



 今回はきっちり水壁の範囲内で倒れてくれたマッチョゴーレム。


 しかしこれが変な方向へ行ってしまった場合、他のゴーレムを反応させるどころかドミノ倒しを引き起こしかねない、そうなってしまったらもうわざわざルートを選んで進む意味がない。


 可能な限り枠内のスペースのみを使って討伐出来るように心がけなくてはならないな……



「次はちょっとだけ左に行くわよ、今私の正面にある石像から数えて4つ目が動き出すわ」


「わかった、全員が行動可能範囲に入ったらまた水壁を張ってくれ」



 2体目のマッチョゴーレムはあっさり撃破することが出来た、コツさえ掴んでしまえばそこまで強敵とはいえない、むしろ弱いぐらいである。


 そのままの勢いで3体目、4体目と討伐していく、常に部屋の右端をキープしながら、奥行き的には半ば程まで到達したようだ、この分ならあと10分もせずにここを抜けられそうだな……




 そう思ったのも束の間、というかそう思ってしまったことが招いた結果なのかも知れないが、ここで当然トラブルに見舞われる。



「おいっ、何だか下でガタガタ言い出したぞ!」


「……あっ! 床のパネルごと移動するつもりだわ、全員集まらないとはぐれるわよっ!」



 床に切れ目が入り、石像1つを中心にした1枚のパネルとして分離する。

 また、ゴーレムを倒した部分のパネルはそのまま崩壊し、地面に穴が開いたようだ。


 これでいくらかの隙間が生じ、そのおかげである程度自由に床パネルを動かすことが出来る仕組みになっているらしい。


 おそらくゴーレムを一定数討伐した後に発動するようになっていたのであろう。



 その移動が始まった段階では縦1列に並んでいた俺達、一番後ろのルビアが危うくはぐれてしまうところであったが、どうにかジャンプして事なきを得た。



「うむ、全員居るな……あれ、そういえばエリナは?」


「上よ、この階に来てからずっとあんな感じで見ているのよ」


「ん? あぁ、あれか……」



 高層ビルの窓でも掃除するかのようなゴンドラが天井からぶら下がっている。

 そしてそこから身を乗り出したエリナがシャッフルされつつある床パネルを眺めていた。


 しかも良く見たらスナック菓子の袋に手を突っ込んでいるではないか、舐めやがって、こっちは必死で戦っているんだぞ!



 そんなエリナを睨み付けている間に床パネルのシャッフルは終わった。

 どうやらこの移動によってゴーレムが反応してしまうようなことはないように調整されているらしい。


 しかし凄い仕組みだ、これを1人で構築したとすればカラクリ女王という奴は本当に高い知能を持っているに違いない、もちろん、その分年齢もアレなのだろうが……



「う~ん、かなり真ん中の方に移動させられちゃったわね」


「だが押し戻されてはいないようだな、それだけが救いだよ」



 そこから先も慎重にゴーレムを各個撃破していく、このフロアに入ってから既に1時間以上が経過したはずだ、未だにゴールは遠い。


 さらに何体か葬ったところで再び床パネルのシャッフルが始まった。

 結局また横移動のみ、だがせっかく左側に寄せつつあったのにまた真ん中に戻されてしまったようだ。


 もしかすると端の方は壁がある分ゴーレムを反応させ辛いことを理由としてわざわざ中央付近を通らなくてはならなくなるように仕組んでいるのかも知れない。


 ……だとしたらもうこのまままっすぐ気味のルートで進んでいくのが最も早くゴール出来るということになるはず。


 精霊様もそう判断したようだ、そこからはほぼ一直線に出口に向かって進む。

 途中で2体まとめて相手にしなくてはならないこともあったが、それでも時間を食うよりはよほど良い。


 さらに15分程度の時間で3階をクリアし、階段を抜けて4階へと向かった……



 ※※※



「皆さんおつかれさまです、今日はまだ先へ進むんですか?」



 3階ではゴンドラに乗って優雅に下の俺達を眺めていたエリナが、階段を上がって俺達と合流する。

 口の横に生クリームみたいなのが付いていやがる、コイツはスナック菓子だけでなくケーキも食っていたのか?



「進むに決まっているだろ、迎撃ゴーレムの製造工場を滅ぼしておきたいからな」


「あの……それをやると多額の賠償請求が……」


「うるせぇっ! これはこの城の攻略に不可欠な作戦なんだ、文句は言わせないぞ」


「・・・・・・・・・・」



 とはいえ一旦ここで休憩とした、さすがに連戦で疲れたし、かなり遅くなってしまったが昼食を取っておかないと体が持たない。


 サンドウィッチと干し肉の軽食セットに加え、ひとり2つの缶詰も配布して腹ごしらえをする。

 エリナにもそれを渡そうとしたが、今は空腹ではないなどと断られた……



「だろうな、スナックだのケーキだの、ゴンドラの上で動きもせずに頬張っていればそうなるよな」


「えっ!? 見てたんですか……」


「見てたさ、全く俺達が必死で戦っているときに余裕かましやがって、お仕置きだな」


「……だって私敵ですし」


「敵もクソもあるか! ユリナ、サリナ、エリナを押さえ付けるんだ、ルビアは何かお仕置きアイテムを貸せ」



 とっさにエリナに襲い掛かる2人、それに対応出来ずあっさり捕まってしまうエリナ。


 ルビアがバッグから取り出したのはツボ押し器であった。

 蛮族の地でゴミ箱から回収しずっと大事に持っているものだ。


 精霊様に暗器として使うために奪われたのだが、後に返却されたらしい。

 というかアレはお仕置きアイテムという位置づけであったのか……



「さて、エリナの尻尾はどこにツボがあるのかな?」


「ひぃぃ……あぎゃぁぁぁっ! お許しをぉぉぉっ!」



 尻尾の先を手に取り、ツボ押し器でグッと押してやる。

 手で抓るのとはわけが違う、エリナはその場で悶絶し、許しを乞う。



「本当に、ほんと~にごめんなさいでしたっ! だからそろそろ許して……」


「じゃあツボ押しはそろそろ許してやろう、はいルビア、コレは返すぞ」


「ええ、では次はこの革の板をどうぞ」


「うむ、じゃあエリナ、わかっているな?」


「はぁ~い……あひんっ! いたっ! きゃっ……」



 革の板を使ってお尻ペンペン100回の刑を執行し、それで許してやることとした。

 次に舐めた態度を取ったら1,000回叩くと脅しておくことも忘れない。



「勇者様、そろそろご飯を食べちゃって、先を急ぎましょ」


「ああ、エリナ、これに懲りたら大人しく言うことを聞くんだな、というかゴーレム製造工場の無料見学ツアーを開始しろ」



「あでで、わかりました~、ではこのまま渡り廊下を通って別館に向かいます」



 今は階段を上った先の広間に居る。

 目の前には扉があり、この先に4階のメインフロアがあるのは明白だ。


 だがエリナはその扉を使わず、両側に続く通路のうち右側を選択して歩き出す。



 それに続いて少し歩くと、城の本丸らしき建物から出る渡り廊下に到着する。

 渡り廊下の先にあるのはわりと高さがあるいかにも工場らしい建物だ。



「しかし広い渡り廊下だな……」


「工場で創り出されたゴーレムは全てここを通って本館に移動しますから、工場にはここ以外の出入り口が存在しないんです」


「そうか、てことはこの廊下を丸ごと落としてしまえば勝ちってことだな」


「それをやり始めたら攻撃魔法など使わずとも迎撃ゴーレムが殺到しますよ……」



 ではやめておこう、工場のクリティカルな部分を破壊した後、広いとはいえゴーレムが横に3体並べば限界であるこの廊下で300体の敵を迎え撃つ作戦とした。


 広いところで一斉に襲い掛かられてもこちらが不利になるだけだし、案外ここはちょうど良いのかも知れないな。



 渡り廊下を抜けると、そこは本丸の2階と同じ、建物全体をグルッと1周回ることが出来る通路であった。

 そしてその下にはゴーレム工場……まさかのライン作業である……



「ご主人様、何だか黒い海苔みたいなのが動いていますよ!」


「カレン、あれはベルトコンベアだ、あの上にゴーレムを乗っけて流すんだよ」


「へぇ~、じゃあそのベルト何とかの横に居る細いゴーレムは?」


「創りかけのが流れて来たらあのゴーレムが自分の担当する作業をするんだ、それでまた次へ、また次へと送られていく」


「……大変そうですね」



 そのライン作業場を見下ろすと、ちょうど俺達が3階で撃破したゴーレムを補充するために創っている最中であった。


 マッチョの五体がコンベアの上に乗せられ、最初の作業ゴーレムが頭を取り付け、次の奴が腕を、といった感じでスムーズに作業が進んで行く様子が確認出来た。



 完成したゴーレムには魔力が込められ、そのまま宙に吊り上げられて俺達が先程通って来た渡り廊下の方へと消えていく、一連の作業は10分も掛からないようだ、これはかなりの脅威だぞ……



「凄いな、材料の土くれさえあれば無限にゴーレムが生産可能ってことか」


「確かにそうなんですが、体のパーツはカラクリ女王様のお手製なんです、それが無くなるともう新たなゴーレムは創造出来ませんね」



 とはいえ工場の隅には大量の頭やその他のパーツ、そして土くれで出来た武器などのストックが大量に積み上げられているのが見える。


 おそらくだがあと3,000体分ぐらいはありそうだ、もしアレを全て製品化されたとしたら、全部倒し切る前にこちらが干上がってしまうに違いない。



 とりあえず通路を一周しながら効率の良い破壊スポットを探そう。

 可能であれば一撃喰らわせるだけで全体の稼動が出来なくなるスポットを……



「見て勇者様、あれがベルトコンベアを動かしている装置よ」


「装置って、奴隷が回していがちなあの装置か?」


「ええ、あれを壊しちゃえばラインが動かせなくなるはず」



 地面から生えた太い木の幹のような杭に、時計の針のような横棒がいくつも付いている謎の装置。

 奴隷よろしく、複数体のマッチョゴーレムがそれを回しているではないか。



 この城の主はカラクリ女王などと呼ばれているだけあり、あの下には歯車とか何とか、様々な仕掛けで工場全体のコンベアを動かす仕組みが構築されているのであろう。


 だがその動力の大元となるあの装置を破壊し、誰も回すことが出来ないようにしてしまえば、それを完全に修理するまでの期間はゴーレムを作り出せなくなる。


 俺の予想ではここに居るゴーレムは与えられた仕事しか出来ないライン作業専用だ。

 もしその行程のどこかが破損した場合、カラクリ女王自らが出張って修理しない限り稼動再開はないはず。



 となれば速攻であの装置を破壊し、渡り廊下に戻って本館から押し寄せるゴーレムを全て討伐してしまえばこちらのものだ。



「セラ、ユリナ、ここから魔法であの装置を破壊出来るよな?」


「当たり前じゃないの」

「もちろんですの」


「わかった、じゃあ派手にやってやれ!」



 まずはセラが落雷をお見舞いする、室内でも出せるんだな……


 そしてそれをまともに喰らい、装置を回していたマッチョゴーレムが両手足をあべこべに動かし、そのうちに煙を噴いて微動だにしなくなった。


 メカゴリラと同じ理論で構築されたゴーレムだというのは暗黒博士から聞いていた、つまり雷魔法が弱点なのも同じであるということだ。



 次はユリナの攻撃、装置の真上、ごく低空に小さな火球が現れ、それが大爆発を起こす。


 その場で動かなくなっていたマッチョゴーレムは吹き飛び、壁や作業ラインにぶつかって粉々になってしまったようだ、相変わらず凄まじい破壊力である。


 で、装置の方はというと……焼けて真っ黒になってはいるものの、その形はまだ保っているではないか。

 それでも相当に脆くなっているはずだ、もう少し打撃を加えれば崩壊するであろう。



「セラ、風魔法を連発して装置を全損させるんだ」


「わかったわ、じゃあまずは5発!」



 結果、3発目に放たれた風の刃が直撃したところで装置は完全に折れ、4発目と5発目を受けてその根元も粉々になってしまった。


 これでラインは……完全に停止している、作業用ゴーレムもそれ以上の指示がないためその場に留まったままなのを確認した。



 作戦は成功である、だが本当の戦いはこれからだ、今の攻撃魔法に反応した迎撃ゴーレムが本館からこちらへ向かっているはずである。


 それが到達する前に渡り廊下の出口まで戻らないといけない、急ごう……



 ※※※



「主殿、もうゴーレム軍団が見えているぞ!」


「拙い、何としてもあの出口を制圧するんだ、そうしないと乱戦になる!」



 俺にも迫り来るゴーレムの姿が見えた、2列縦隊で駆け足をしてこちらへ向かう姿はさながら軍隊である。

 俺達も全力で走り、どうにか渡り廊下の出口付近をキープすることに成功した。


 ここからはもうどんな魔法を使っても構わない、調子に乗ってこの渡り廊下を落としてしまい、工場から出られなくなるようなことがなければの話であるが……



『セラさん、雷を横に飛ばしてみて下さい、きっと出来るはずです』


「横? こうかしら……てぇぇぇぃっ!」



 杖の中に居るハンナの指導を受けたセラが真横に雷を放つ。


 大気の抵抗によってギザギザと歪な形を取った青白い光が一直線にゴーレムの軍団に向かって伸びた。

 手前何体かのゴーレムが倒れ、その後ろでも完全に制御を失ったのが10体以上も居る。


 たった一撃でそれだけの数の敵を屠ってしまったのだ、やはり魔法が使えるのと使えないのでは討伐の効率が大きく変わってくるのだな。



 動かなくなった仲間を乗り越え、後方のゴーレムがこちらを目指す。

 それをさらに雷で破壊するセラ、徐々に軍団はこちらへ近付きつつあるが、その数は凄い勢いで減少していく。



「くっ! 魔力切れよ、後は任せたわ!」


「セラさん、魔力回復薬を飲みますか?」


「……あれ何か不味いから要らない」



 セラのターンは終了のようだ、ここからは物理で1体ずつ撃破していくしか……



「真ん中を強行突破するわよ、反対側に出るの!」


「精霊様、何か作戦があるのか?」


「ちょっとね、良いから早くっ!」



 ミラとジェシカが先頭に立ち、俺とマリエルでそれをサポートしながらゴーレムの列に突っ込む。

 後衛組を通した後はその背中をカレンとマーサ、そしてドラゴン形態に変身したリリィが守る。


 というかリリィはその巨体ゆえ通路に詰まりそうだ、後退りながら手近なゴーレムを蹴り、それを通貨済みの位置に居る個体にぶつけて弾き飛ばしている。


 わちゃわちゃと通路に殺到する迎撃ゴーレム、俺達がその列を抜ける頃には全てが渡り廊下の中に入り込んでいた。



「いくわよっ! ちょっと離れてて!」



 そう言って大量の水を渡り廊下に流しこむ精霊様、その中に居たゴーレムは工場側へ押し流される……工場を1周する通路の策をブチ破り、その全てが下に落ちていったようだ……



「成功ね、あとはここを落としてしまうだけよ、ユリナちゃん、やってしまいなさい」


「はいですの、ちょっとどこかへ隠れて下さいですの」



 柱の陰に隠れ、ユリナの火魔法が渡り廊下の中央で炸裂するのを見届ける。

 大爆発に見舞われたその廊下は、ポッキリと折れ、ガラガラと音を立てて崩壊した。


 エリナの顔がみるみるうちに青くなっていくのがわかる、きっと被害総額は凄まじいものになるであろう。



 しかしこれで攻撃魔法使い放題ゾーンに移行した、この先の探索はかなり楽になるはずだ。


 雷魔法を連発したセラが限界のため、本日はこれまで、トンビーオ村に帰って早めの夕食としよう。

 明日か明後日にはカラクリ女王の下へ到達出来るに違いない……

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