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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第七章 敵性メディア
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209 天王山

『王国軍諸君、良く聞くのじゃ! この平野を越えた先は敵地! 常にどこかから敵が狙っているものと思い、慎重に行動するように! 以上!』



「じゃあデカい声出すなって話だよな」


「静かに勇者様、聞こえてしまいますよ」


「大丈夫さ、ババァは往々にして耳が遠いんだよ」


「そうは思えませんがね……」



「ヤバい、ババァめっちゃこっち見てる、アレか、地獄耳ってやつか」


「だから言ったじゃないですか……」



 メカゴリラ討伐後、来る日も来る日も行軍を続けた俺達、というか今日であれから2日目だ。

 今夜はこの開けた地で野営することとなる。


 この先の街道は完全に敵の領域、いついかなるときに敵の襲撃を受けてもおかしくはない。

 今夜はそこに入る前日、つまり最後の心休まる時間である。


 まぁ、敵さんがここまで侵攻して来ないとも限らないんですけどね。



「ご主人様、明日は昼出発ですって? 珍しいですね」


「ああ、いつもは朝早いのにな、明日の昼出ると夕方頃に目的の崖地に到着するらしいんだ」


「じゃあ今日は沢山寝れますね、おやすみなさい」


「ルビアさんまだ夕方ですよ~、今寝ると夜中に目覚めますよ~、もしもーし……コイツはもうダメだ」



 横になって2秒でぐっすりのルビア、まだ夕飯前だというのに。

 仕方が無い、食事の時間になったら叩き起こそう。



 俺もちょっと横になって……何だか外が騒がしい……



『敵襲! 敵襲ですっ!』



「おいセラ、敵襲だってよ、誰か行った方が良いんじゃね?」


「ここはパーティーリーダーである勇者様に華を持たせてあげるわ、感謝することね」


「……じゃんけんしようぜ」


「……良いわよ、恨みっこなしの1回勝負ね」



 負けた、仕方が無いので外に出、大騒ぎの方角を目指す。

 なるべくゆっくり歩こう、こういうときこそ冷静で慎重な行動が求められるのだ。



 どうやら侵入した敵はこの間逃げたゲリラの残党らしい。


 俺達の行軍に付かず離れずといった感じで追跡し、まったりするタイミングを狙ったのであろう。


 卑怯者め、とんでもなく倫理観に欠ける連中ではないか。

 串刺しにしてモズの餌にでもしてやろう。



 と、意外と近かったようだ、すぐに交戦地域に到達してしまった。

 やはり万全を期して匍匐前進で接近すべきであったか……



 俺の到着に気が付いた一般兵士の1人が駆け寄って来る、コイツは俺に色々と報告するという体でサボるつもりのようだ。



「あ、勇者殿、おつかれさまっす」


「うむ、ご苦労、それで状況は?」


「森の中から撃ってくるっす、敵の姿は見えないっす」



 辺りは既に夕闇に包まれている、それよりもさらに暗く黒い森の中から、時折矢が飛び出していることが確認出来る。


 確かに敵は見えない、松明で森の中を照らそうにも、それで見える位置より遥かに奥に居るのであろう襲撃者。


 かなり腕の良い兵士達のようだ、いや、このような危険な攻撃を仕掛けさせられている時点で正規兵ではないはず、傭兵か、それとも自由報道教団への賛同者か……



「どうにかして1人だけでも打ち倒せないかな?」


「そうっすね、森に火を掛ければ余裕なんすが、野営地に飛び火したらヤベっすよね」


「だよなぁ……仕方が無い、俺が行くよ」


「マジっすか!? あざっ!」



 すげぇムカつく兵士であったがここは堪えよう。

 敵との戦いの前に味方の人数を減らすのは馬鹿馬鹿しい。



 さて、索敵にある反応は全部で20と少し、そのうち半分はどう考えてもここまで矢を届かせるには厳しい位置に居る。


 俺達が森に分け入ったときに奇襲するための兵力なのか、それともちょっと偉い監督的なポジションなのか、それは今から俺が突入すればわかることだ。


 で、手近なのは……左斜め前、15m程度先に居る奴が一番近いか、木に登り、太い枝の上にしゃがみ込んでこちらを狙う定番スタイルのようだ。



 先程の一般兵に縦を借り、それを前面に突き出して森に入る。

 音を立てないように、なるべく短い距離でその敵兵に接近していった……



 もちろんお約束の枝を踏む行為を忘れてはいない、パキッと良い音が響き渡ると共に、そこらじゅうから矢が雨霰の如く飛んで来る。


 しまった、盾が小さい、このまま移動していたら肩や膝に矢を受けてしまう……きっと毒が塗ってあるに違いない、一旦亀になろう。



 しばらくの間その場で固まり、完全防御の姿勢を取る。

 次第に飛んで来る矢の数は減り、やがて静かになった。


 ガサガサと枝を分ける音、どうやら死んだかどうかの確認のため、木から降りた馬鹿が居るようだ。

 次第に近付く音、盾の下に隠れた俺の前で立ち止まった……チャンスだ!



「っしゃぁぁぁっこのボケェェェッ!」


「うわっ、何だ!? ほげぽっ!」


「ちょっと来いやぁぁぁっ!」



 音を頼りに敵の体目掛けて聖棒で突きを入れる。

 どうやらヒットしたようだ、手探りでそいつを掴み、速攻でその場を離脱した。


 作戦成功だ、ターゲットは変わってしまったものの、どうにかゲリラの1人を生け捕りにすることが出来たのである。


 あとは射られる前に森を抜けるだけの簡単なお仕事だ。



「あっ、勇者殿が敵兵を引き摺って来たぞ!」


「きっと惨たらしく殺して残りの敵をビビらせるつもりだ!」


「さすが勇者殿、やることが卑劣で薄汚い!」



 何か味方からすげぇディスられているような気がするのだが、とにかく賛辞を浴びているようだ。

 俺の実力を見せ付けてやったのだ、讃えるが良い。



「さて、貴様は敵だな?」


「当たり前だろう! どうするつもりだべほっ!」


「質問だけに答えろ、で、自由報道教団の構成員なのか?」


「違う、違うが……派遣のバイトだ」



 いやいやいやいや、どうして派遣のバイトでこんな危険な任務を任されているんだ?

 というかもう確実に死ぬ役回りだろ、馬鹿じゃないのか?



「ちなみに他のゲリラはどうなんだ?」


「攻撃部隊は全てバイト、後ろで監督されているから逃げ出すことは出来ない」


「後ろの奴等は正規兵か?」


「正規兵、というよりも自由報道教団の取材部隊だ、俺達の戦いを記事にするとか言っていた」



 後ろでコソコソ隠れている連中は兵ですらないのか、そしてこのバイトの傭兵を戦わせ、それを殺した俺達王国軍を鬼か悪魔のように表現した記事を書き、それを世界中に広めるつもりなのであろう。


 だとしたら1匹も逃がすわけにはいかないな……



「ちなみに貴様等の時給、いくら?」


「1日辺り銅貨1枚、そこから食事代と野営地使用料で鉄貨9枚天引きされる」


「・・・・・・・・・・」



 ブラックとかやりがい搾取とか、そういう次元ではない。

 おそらく家畜だってもっと待遇が良いはずだ、騙されているにしても程度ってものがあると思うんだがな……



 とにかくとっ捕まえたゲリラの1人は王国軍の兵士に預ける、ここからは心理戦だ。

 まずは呼びかけを行おう、魔導拡声器を借りて。



『え~っ、ゲリラの皆さんこんにちわ、こちらは王国軍です、早速ですが投降して下さい、悪いようにはしません』



 後ろから『ぜってぇウソだよな』とか『勇者殿が敵を助けるはずがないだろ』とか、やかましい外野の話し声が聞こえてくる。


 概ね正解ではあるのだが、とにかく今は静かにして欲しい。



『皆さん聞いて下さい、ここでそんな薄給のために命を投げ打つのですか? そんな無駄なことに命を使ってはいけません、もったいないです』



 おっと、1人、いや2人出て来た、両手を挙げて投降の姿勢だ、本当に馬鹿なんだな……



『ちなみに、皆さんは後ろで見張っているクズ共に騙されています! もしその連中を捕らえて我らの前に引き出せば、尚一層良い待遇をお約束します、以上です!』



 おっと、出て来ようとしたゲリラのうち数人が森の中へ戻って行ったではないか。

 そして奥から争う音と叫び声が聞こえる、どうやら物凄く上手くいってしまったようだ。


 というか敵に騙されてありえない賃金で死地に赴かされ、さらにはここで俺に騙されてしまうゲリラ兵、どれだけ頭が悪いというのだ……



 次から次へと出て来るその低脳ゲリラ、2人1組ぐらいの割合で変なおっさんを引き摺っている。


 何人かは返り討ちに遭って死んでしまったようだが、とにかくこれで森の中に居た敵の反応は全てが消失した。


 ほぼ戦わずして勝利を得たのである、作戦勝ちだ。



「よぉし、じゃあ自由報道教団の連中は向こうに連れて行くんだ、拷問して敵の情報を吐かせよう」



「おい王国軍の兄ちゃん、俺達は投降したし、あの記者達も引き渡した、何が貰えるんでぇ?」


「うむ、このゲリラ兵共は串刺しにして処刑しろ」


「なっ!? 話が違うじゃねぇか!」


「何を言っているんだ? 貴様等は命を粗末にしようとしていたからな、こっちで有意義に使わせてやると言ったんだ、野鳥の餌としてな、どうだ、超好待遇だろう?」



「おのれぇぇぇっ! 死にやがれぇぇぇっ!」


「てめぇが死ねやゴミクズ野郎」


「ほげぽっ!」



 とりあえず飛び掛って来たゲリラ野朗をぶっ殺し、他の者は王国軍の兵士に囲ませる。

 ここで処刑すると野営地が汚れてしまう、どこか他の場所で……



「これこれ勇者よ、おぬし遅れて来て勝手に仕切るでない」


「何だよババァ、今からが面白いところなんだぞ」


「まぁ待つのじゃ、一旦この連中にも話を聞きたいと思っての、まだ石抱きセットは余っておる、そちらにお掛け頂くのじゃよ」


「そうか、じゃあ任せた、良かったな貴様等、あと数時間ぐらいは生きられそうだぞ」



 ということで俺は仲間達のところへ帰らせて貰うこととした。

 そろそろ夕食の準備が出来ている頃だ、良い腹ごなしになったな。


 ちなみに後ろの監督的ポジションの馬鹿を引き摺って来た馬鹿にはより良い待遇を約束してしまったのだ、石抱きの重石を1枚、サービスとして追加するように頼んでおいた。



 しかしちょっと寒くなってきたな……



 ※※※



「ただいまぁ~」


「おかえり勇者様、敵兵は殲滅出来たのかしら?」


「おうっ、ブリブリだぜ!」


「何を言いたいのかわからないけど、とにかく寒いわ、毛布を出して来てちょうだい」


「へいへい、他に必要な者は居るか?」



 セラだけでなくミラとマリエル、それにジェシカも毛布を所望した。

 他のメンバーが平気なのが逆に気がかりだが。


 特にルビアはどうして要らないのだ? 普通真っ先に寒いだの何だのと文句を垂れそうなのに……いや、既に2枚使ってお休み中じゃないか、しかも1枚は俺のだ……



 ルビアを叩き起こし、グータラの罰として夕食の配布を受けに行かせる。

 毛布に包まったまま行きやがった、ああいうダメな奴に人をダメにする毛布を与えたらどうなるんだろうな?



「勇者様、今日は密集して寝ましょ、馬車の中にシートを敷いて」


「そうだな、ここで体調を崩すことだけはあってはならない、風呂から出たら冷める前に寝るぞ」



 あらかじめ馬車の中にシートと布団、それからある分全ての毛布を敷いておく。

 そろそろ風呂の順番だ、全員で……精霊様の様子がおかしい。



「精霊様、おい、精霊様? どうしたんだ一体?」


「あら、勇者様、精霊様は完全に凍っていますよ、カッチカチです」


「マジか!? そのまま風呂に運ぼう、湯煎したら元に戻るだろうから」



 水の精霊様が凍るということは、すでにここの気温が零度を下回っているということだ。

 明日はここよりもさらに高地を目指すことになる、どれだけ寒いのか想像も付かないぞ……


 風呂上り、念のためリリィには防寒アーマーを着せておいた。

 人間形態用は動力源の暗黒博士が腹に抱えられ、若干不気味である。


 だが暖かいとのことなので寝るときもそのままにさせておこう。



「あう~っ、寒い寒いっ!」


「さっさと布団に入るぞ、皆毛糸のパンツは着用したか?」


「バッチリよ、ちょっと見せてあげたいけど寒いからやめとくわ」



 風呂上り、馬車の中に敷き詰められた布団に全員で潜り込む、精霊様はまた凍らないようにユリナとサリナが抱き締めて寝ることとした。


 リリィはその辺に転がっているものの、特に寒そうにはしていないので放っておこう。



 布団が徐々に温まる、気分が良くなってきた……



 ※※※



 太陽の輝きを顔に受けて目が覚める、朝方は寒すぎて1度起きてしまったが、隣のルビアを抱き枕にすることで難を逃れたのであった。



『全軍、30分後に出発とする! 支度を済ませておくようにっ!』



「ん~、勇者様、あと30分だそう……です……よ……」


「仕方が無い、起きるか……さぶっ!」



 昨日よりもさらに冷え込んでいるようだ、晴れているのが悪いな。

 本来ならここから暖かくなってくるはずだが、今から高地へと上がる俺達には関係のない話だ。



 朝食を取り、色々と準備を済ませる。

 念のため御者を務めるジェシカには毛布を3重にして巻いておいた。



『全軍前進!』



 出発のようだ、徐々に進み出す王国軍、俺達は今日も先頭付近に配置されている。



「馬車の中ですら寒いわね、どうにか温まらないかしら?」


「はいお姉ちゃん、カレンちゃんを貸してあげるわ、温かいわよ」


「ありがとうミラ」



「おいおい君達、カレンは一応俺の奴隷なんだが?」


「勇者様、マーサちゃんも普通の人間より温かいですよ、勇者様はサイズ的にそちらにすべきです」


「そうか、じゃあマーサ、ちょっと来い」


「ん? ああ、抱っこね、ついでにニンジンを食べさせてよ」



 ホットでモフモフ耳のマーサを抱え、ニンジンを手移しで食べさせる。

 だがカレンと違ってデカい分ちょっと重たいんだよな……しかも頭を撫でろだの尻尾をモフれなどとやかましい……



 しばらくそのまま進んだところで、外の様子を眺めていたリリィがあることに気付く。



「ご主人様、木が全部トゲトゲになりましたよ」


「本当だ、針葉樹林なんてこの世界に来て初めてかも知れないぞ」



「あ、私達の里からもっとずぅ~っと山奥に行くとこんな感じですよ」


「ふむ、カレンは行ったことがあるのか?」


「そこは大人用の修行場なんで、まだ子どもだった私はちょっと連れて行って貰っただけです」


「そんなとこでも修行かよ……」



 針葉樹林の森は思いの外あっさり抜けてしまった。

 日が傾きかけた頃には既に周りの風景は岩ばかり、木すら生えない高地に来てしまったということだ。


 というか馬車を牽いている馬は大丈夫なのか?



「勇者様、ちょっと地図を見て」


「見ても良いが、何を描いてあるかわからんぞ俺には」


「私が説明するわ、今はここ、で、目的地がここなのよ」


「もうすぐ着くってことだな」


「そうよ、×印が入っているのは私達攻撃部隊が目指す場所、○印はその他の部隊が待機する場所ね」



 ○印の場所はもう目と鼻の先だ、そこで待機部隊が離脱し、俺達はさらにその先の高い山を目指すことになるという。


 ちなみに○印の地点からは徒歩での行軍だそうな、トホホ……徒歩だけに。



「え~っと、私達が目指す山の名前は『天王山』ね」


「おうおう、名前からして一大決戦が行われそうな感じだな」



『全軍停止せよっ!』



 おっと、そんな話をしていたら○印の地点に到着したようだ。

 陣を張るのは待機部隊に任せ、俺達は一旦司令部に集合とのことである。


 すぐに馬車を降り、一際目立つ駄王の旗が立つ場所へと向かった……



 ※※※



「全員揃ったようじゃの、ではこれより攻撃部隊2,000で天王山の頂を目指す、途中、というか目的地も切り立った崖じゃからの、十分に注意して進むのじゃ」


『うぃ~っ』



 集まった攻撃部隊の指揮官達の前で話す総務大臣、寒すぎてプルプルしているのか、それとも歳のせいでもとからプルプルしがちなのかは判別出来ない。


 とにかく出発である、ちなみに目的地まで10km以上の登山らしい、死んでしまう!




「うっ、精霊様、抱えて飛んでくれ……」


「あんたね、まだ30分も歩いてないじゃないの」


「気持ち悪いんだ、高山病かも知れない」


「みなさ~ん、ここに居る異世界勇者様は王国軍1番のヘタレですよ~っ! 究極の足手纏い勇者ですよ~っ!」


「わかったわかった、歩くから、恥ずかしいことを言うのはやめてくれ」



 鬼畜精霊様は優しくない、自分だけはフワフワと宙に浮いているくせに、地べたを這いずり回る下々を労わるという心は持ち合わせていないらしい。


 その後も1時間、2時間と歩かされる。


 最初はちゃんとした街道であったが、途中からは完全な登山道になってしまった。

 いや、これはもう道と呼んで良いものなのかどうかすら怪しい。


 あと雪が積もっている、滑ったらその場でゲームオーバーだ……



「ほら勇者様、あの看板を見れば元気が出るわ、もう少しだけ頑張って」


「看板?」



 地面に立てられた木の看板、そこには『天王山山頂までもう少し!』と書かれている。

 うむ、これはちょっとだけやる気が出てきたぞ。



 しかしなかなか到着する気配はない、さすがにそろそろ限界だ……おや、また木の看板があるではないか。



『山頂まであと一息!』



 よしっ! それならば……まだまだ歩かせるつもりのようだ、そしてまた看板、看板、看板……



『山頂まで残りごく僅か!』

『もう着いたも同然!』

『ここで諦めるのはもったいない! さぁ頂へ!』



「ざっけんじゃねぇよ! 到着させる気あんのかこの山は?」


「勇者様、キレると余計に体力を消耗するわよ」



 おっとそうであった、この山の山頂に到達するのが目的ではない、その後に敵メカメカ部隊の殲滅作戦もこなさなくてはならないのであった。


 しかも勝てるかどうかすらわからない戦いである。

 もし負けて逃げるとしたらここをまた通るんだよな。


 しかも全力疾走が要求される、なんてハードな作戦なのだ……




『攻撃部隊、停止! これより先は敵総本山からも見える位置に出る、極力慎重に行軍するように!』



 ようやくご到着のようだ、敵の総本山から見える、ということは俺達からもその姿が丸見えということなのであろう。


 憎むべき敵である自由報道教団、その総本山の姿はどのようになっているのか、ちょっと覗いてやろう……

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