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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第七章 敵性メディア
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206 補給と敵発見

「おはようございます勇者様」


「ん? マリエルか、戻って来たんだな」


「ええ、ちなみに早く行かないと補給物資が無くなってしまいますよ」


「マジか、すぐ行く」



 王国軍がこの蛮族の地で買い上げた食糧や装備品などは、昨日食事会が開かれた公会堂、および一般兵用としてその野営地の横に山積みになっているそうだ。


 俺達が行くべきは公会堂、ちょっとだけ高級なものがそこにあるという。


 ちなみに先着順での配布ゆえ、取りに来るのが遅れた部隊にはろくでもないものしか支給されない可能性がある。


 部下の不平や不満が噴出するのを避けるため、多くの部隊長が朝早くから補給を受けに行っているはずだ。

 俺も急がないととんでもない目に遭わされるかも知れない。


 そうだ、より多くの物資を運搬するために誰か連れて行こう……いや、皆どこへ行ったんだ?



「なぁマリエル、他の連中は?」


「とっくに起きて一般兵用の物資を漁りに行きましたよ」


「そうか、じゃあ仕方が無い、あまり使えないだろうがコレを同行させよう、オラ、いつまで寝てるんだっ!」



 横の布団からルビアを発掘し、無理矢理起き上がらせる。

 ダメだ、支えていないとすぐに倒れてしまうではないか。



「やむを得ん、こいつを喰らえ!」


「ひぃやぁぁぁっ!」



 新必殺技である乳首ドリルを喰らわせ目を覚まさせる、この技は今後もガンガン使っていこう、主に見方に対して。


 とにかく完全に覚醒したルビア、その辺に投げ捨ててあった服を着させ、こちらもその辺に落ちていたヘアブラシでボサボサになった髪をどうにかした。



「ご主人様、こんなに朝早くからどこへ行くつもりなんですか?」


「物資の補給を受けに行く、だから手伝え」


「え~っ、面倒臭いです……」


「黙れ、さもないと他の部隊にお前を貸し出して食糧を分けて貰うことになるからな」


「うっ……それはもっとイヤですね、しょうがないから行きます、イヤですけど」



 どれだけ面倒臭がりなのだ、まぁ良いや、急がないと本当にゴミしかなくなってしまう。

 ルビアの手を牽き、補給会場となっている公会堂へ向かった。




「やっぱり人だかりが出来ているな」


「あれを蹴散らして物資の山に近付くのは大変ですね」


「いや、蹴散らすんじゃないよ味方なんだから……」



 いつもは偉そうにしている貴族達もこういう場面では本性が出るようだ。

 砂糖に集るアリの如き群集は、抱えられるだけの物資を掻き集め、山を離れて行く。


 だがどうやら大人気なのは一箇所だけのようだ、よほど良いアイテムが……葉巻か。


 軍隊といえばこんな感じである、映画なんかでも兵隊同士が煙草のやり取りをしているのを良く見るが、どうしてあんなに好きなんだろうな? 酒の方が価値がありそうな気がするぞ。



「ルビア、俺達には葉巻なんて要らない、まずはとにかく食糧を漁るぞ」


「わかりました、食糧は……あっちの方ですね、干し肉が積んでありますよ」



 食糧に関してはそれぞれの部隊で十分な量を持って来ているのであろう、あまり人気がないようだ。


 だが俺達にとっての十分な量というのは膨大である、狼とかドラゴンとか、凄まじい食欲を持った何かが居るためだ、ゆえにここでの補給はマジで有り難い。



 食料の山に近付き、何があるかと物色する。

 干し肉と干し野菜は確定だ、特に干し肉はありったけ持って帰ろう。



「ご主人様、私はこれが欲しいです」


「何それ気持ち悪い、というか鉢植えなんかどうするつもりだ?」


「ブツブツ草ですよ、育てると半年後にブツブツの実が収穫出来ます」


「ブツブツしてんだろうな、で、食べられるのか?」


「いいえ、というかむしろ人間が食べられてしまうことが多いようで」


「どこかに捨てて来なさい」



 何だか嫌悪感しか抱けないようなブツブツの植物を持って来たルビア、というか食べ物だと言っているだろうが……



「じゃあコレで我慢します」


「またブツブツの……もしかしてそれは金平糖か?」


「あら、知っているんですね、美味しいから大好きなんです」


「それはOKだ、糖分は大事だし、ちょっと多めに持って帰ろう」



 それ以外にも塩、酒、水などを確保し、食糧の部は終了とした。

 続いては行軍中に使える便利アイテムだ。


 葉巻に群がる指揮官達を掻き分けてアイテムの山に近付く……体力と魔力の回復薬は必須だな、毒消しはケッセがあるから良いや。



「ご主人様、この短剣なんてどうでしょう?」


「短剣か、それは欲しい……やっぱ要らない、どうしてグリップの所まで刃になっているんだ?」



「じゃあこっちの釘バットを」


「今回の敵はヤンキーじゃない、もっとまともなアイテムを探せ」



 その後もルビアはろくでもないものばかり持って来た。


 ツボ押し器、使用済みの割り箸、空き缶、ただのゴミ……というか物資の山ではなく隅にあるゴミ箱を漁っているではないか、何考えてんだコイツは……



「ルビア、お前はもう良いから荷物を持て」


「はぁ~い、私のセンスはご主人様には通じないようですね」



 ゴミを持って来る時点で壊滅的なセンスだ、そんなものどうやって戦争に役立てようというのか。

 しかもちゃっかりツボ押し器だけはキープしているようだ。



「う~ん、とりあえずこんなもんか? 他の皆も一般兵用の物資を漁っているはずだしな、馬車が一杯になってしまう」


「そしたら早く戻りましょう、こんなに沢山持っていられません」


「落とすなよ、何か1つでも落としたら正座5時間だからな」


「ひぃぃぃっ! はやくぅぅぅっ!」



 ヨタヨタと歩くルビア、荷物が多すぎて前が見えていないようだ。

 仕方が無い、ほんの少しだけ俺が持ってやろう。



「勇者よ、おぬしは女子に荷物を持たせて何をやっておるのじゃ?」


「うるせぇ、ババァが女子とか言ってんじゃないよ」



 そこへ現れた総務大臣、貴様が引き止めるとさらにルビアが苦しむことになるのだが。



「まぁ良い、午後から会議をするでの、昼食後にもう一度ここへ来るのじゃ」


「ヤダよ面倒臭い」



「ご主人様、人にはとやかく言っておいてそれはナシです」



 ニヤニヤしながら横槍を入れるルビア、それで勝ったつもりか。

 全く調子に乗りやがって、後でみっちりお仕置きしてやろう。



「わかったよ、とにかく手短に、簡潔に済ませろよ」


「うむ、会議といっても決定事項の伝達だけじゃ、異議が無ければそれで終いとなる」



 そういうのに限ってごちゃごちゃ言う奴が居るんだが……そうなったら便所に行くフリをしてとんずらしよう。


 物資を抱えたルビアの限界が近そうなため、その場はさらに文句を垂れることを諦め、宿舎へと戻った……



 ※※※



「ただいま~、何だその格好は?」


「良いだろう、物資コーナーで見つけた蛮族の女戦士セットだ」



 宿舎に帰ってまず出迎えたのはジェシカ、昨日この里の入り口に立っていたエッチな装備を着用している。

 後ろを向くとTバック、というか胸の部分以外はほぼ紐だけで構成されているではないか。



「ジェシカ、その装備は1つしかなかったのか?」


「そんなことはない、というか兵士は男ばかりだからな、あと10着貰って来てある」


「ファインプレーだ、おいルビア、早速アレに着替えろ、あとマーサもだな」



「ちょっと勇者様、私には着ろと言わないのかしら?」


「セラが着てもつまらなげぽっ!」


「見る目のなさを恥じなさい!」



 何を言っているのだセラは、セパレートの上の部分、つまりおっぱいを隠す部分が余りすぎてズレてくるのが関の山だ。


 などと考えていたらもう1発パンチが飛んできた、思考を読まれてしまったらしい。



 とにかくルビアとマーサを着替えさせ、ジェシカも一緒にして3人を並ばせる。

 うむ、なかなか良いではないか、寒い地域に突入するまではこの格好で居させよう。


 だがさすがに露出度が高い、外に出すときにはバスタオルでも巻かせておこうかな……



「ところで勇者様、お昼は何を食べますか?」


「今色々と貰って来たんだが……保存食系ばっかりだな、そっちには何かなかったか?」


「一般兵の方も同じです、おかげで缶詰は補給できましたが」


「じゃあ里の中で何か買ってきて食べようか、ちょっと金は使うがな」



「それなら私が行って来るわ、ついでにカレンちゃんとリリィちゃんも一緒に」


「任せた、適当に人数分頼む」




 しばらくして帰って来たセラ達、肉のサンドウィッチや串焼き野菜、川魚の塩焼きなど、様々なものを購入したようだ、早速頂くと……



「はい、勇者様はコレよ」


「何コレ?」


「薬用猛毒ブツブツガエルの白焼き、そのまま食べたら三日三晩苦しむそうよ」


「いらねぇよ、てか薬用なのか毒なのかはっきりしやがれ」



 セラのお勧めは拒否してやった、先程の復讐のつもりであろう、気持ち悪いものを見せやがって。

 俺はいつも通り肉を抜き取られてパンだけになったサンドウィッチでも食べておこう。


 ちなみにカエルの白焼きは干して粉にすれば相手を麻痺させる毒物になるらしい、油にでも混ぜて聖棒をディップすれば強力なソースになるに違いない。



 なんだかんだで食事を済ませ、俺とセラは会議に出席するため再び公会堂へと向かった。

 セラは別に参加する必要がないのだが、こういうときは道連れも必要なのである。


 というか長引きそうならセラを生贄にして俺は逃げよう……




「……では出立は明日の早朝とする、偵察によれば敵はここから西に部隊を派遣しているとのことじゃ、戦闘になるつもりでおるのじゃぞ」


「敵は防衛部隊か? それともこっちに攻めて来る感じ?」


「どうやら我らを迂回して王都かその近辺の都市を攻めるつもりのようじゃ、それを後ろから叩く」


「了解した、じゃあ宿舎に帰るわ」


「うむ、今日はゆっくりと休んで鋭気を養うが良い」



 思いの外あっさりと解放された、宿舎へ帰る途中、昼食後俺達よりも先に出て行ったマリエルと出会う。

 どうやら王妃の所へ行っていたらしい。



「マリエル、今日は何の話をしてきたんだ?」


「前に私が起こした事件のことでお仕置きされていました、ヘビに締め上げられる刑で良いにして貰いましたが」


「それは普通に危険だろ……」


「あ、それと王位継承権を剥奪されたならこの蛮族の地を治めないかって言われましたね」


「それも普通に危険だろ、エッチな格好で大蛇を首に巻くのはやめておくべきだ」


「そうでしょうか? でも今すぐのことではないんで、またゆっくり考えておくと言っておきました」


「なら適当に誤魔化せば良いさ」



 宿舎に帰り着き、しばらく休憩した後にミラ考案の保存食アレンジレシピで夕飯を済ませる。


 明日は朝早い、風呂に入ったらさっさと寝ることとしよう……



 ※※※



『ではこれより進軍中の敵殲滅を目的とした作戦を開始する、なお、敵を滅ぼした後にはもう一度この地に立ち寄るゆえ、より多くの兵士諸君が……』



 相変わらずババァの話が長い、太陽すら出る前から実にご苦労なことだ。

 5分以上話し続けた後、満足したのかステージを降りて行った。


 いよいよ出発である、目指すはここから西の街道を王都方面へ向かって進軍中の敵。

 今から出れば半日もしないうちに接敵することとなるらしい。



 軍が動き出す、今回俺達は隊列の中央付近、王国の主要人物を守る位置に着く。

 最前列はくじ引きの結果筋肉団が務めることに決まった。


 というかこの2チームが受け持つべきポジションはどちらかしかない。

 つまり俺達と筋肉団、つまり俺とゴンザレス2人でのくじ引きなのだ……




 行軍は進み、3時間程で山間の道を抜けて広大な草原に出る。

 もうそろそろ敵軍に追いつくことが出来るはず……いや、待ち構えているようだ。



「おいおいどういうことだよ、敵軍の後ろを叩くんじゃなかったのか?」


「敵にも偵察みたいなのが居たのかしら? 私達が来るのを知ってここで待っていたようね」


「ちょっとどうするか聞いて来る」



 馬車から飛び降り、駄王達が乗った豪華な乗り物を目指して走った。

 敵の姿に気付いた前方がすぐに軍を止めたようだ、その効果は後ろに波及し、全軍が徐々に停止し始めている。



「おぉ、ゆうしゃよ、どうやら敵に感付かれておったようじゃな」


「ああ、だがこのまま突っ込むのは危険だ、どうせトラップを仕掛けてあったりするだろうからな」



「勇者よ、ちょっとおぬしらだけで行って様子を見て来てくれぬか?」


「またそうなるのかよ、わかった、でもゴンザレス達もちょっと借りるぞ」



 馬車へ戻り、事情を説明して全員で最前列へ出る、どのように偵察しに行くかはゴンザレスと話し合って決めよう。


 と、ゴンザレスもそのつもりであったようだ、逆にこちらへ向かって走って来ていた。



「おう勇者殿、状況は見ての通りだ、どうするべきか考えようではないか」


「そうだな、ゴンザレス、あんたらは目立つから横並びでまっすぐ進んでくれ」


「おうっ、それで勇者殿はどうするんだ?」


「俺はサリナの幻術を使って姿を隠しながら裏へ回る、前後ともにいけそうなら攻撃開始、罠が多かったり伏兵が居たら戻ってもう一度作戦会議だ」



 ということで筋肉団は前進、俺とサリナは幻術で相手に認識されないようにしたうえでの前進。

 そして他のパーティーメンバーは戦闘の準備をして最前列で待機とした。



「行くぞサリナ、準備は良いか?」


「はい、とにかく見つからなければ良いんですね」


「ああ、攻撃とかはしないぞ、これはあくまで偵察だ」



 横並びになって普通に歩いて行く筋肉団員達が敵の注目を集めている隙に、俺とサリナは正面を避け、右から迂回するようにして敵の裏側を目指す。


 ここはだだっ広い平野だし、伏兵を隠すような森もない、となると敵は地面にトラップを仕掛けて待つはずだ。


 落とし穴などに気をつけて進まなくてはならないな。




 しかしその予想は大きく外れる……



「ご主人様、見てくださいアレ」


「塹壕が掘ってあるな、ちょっと近付いてみようか」



 戦場となるべき平野の脇には、王国軍と敵軍を繋ぐようにしてまっすぐに塹壕が掘られている。

 その中には……大量の弓兵が隠れていた、俺達が進軍すると同時に矢を射掛けるつもりのようだ。



「あの壷は油が入っているのかな? 火矢をつかうつもりか」


「毒かも知れませんよ、とにかくこのまま全軍で進むのは危険ですね」



 塹壕からは指揮官らしき男が顔を出し、当たり前のように歩いている筋肉団員に視線を向けていた。


 ここは攻撃を仕掛けるべきではないと判断したようだ。

 手を挙げ、本陣に向かって何かサインを送っている。


 すると本陣からも同じサイン、今度は平野の反対サイドに向けたものだ、おそらくそちらにも塹壕を掘ってあるに違いない。



「筋肉団の様子を見る限りトラップは無さそうだな、戻ってこのことを伝えよう」


「わかりました、あと幻術で騙す敵兵が多すぎてもう限界です……」


「ということは?」


「ダッシュで逃げないと見つかります」


「もっと早く言えぇぇぇっ!」



 サリナを抱えて全力疾走する、息が上がり、膝が笑ってきた頃、ようやく敵の塹壕から見えない位置まで到着した。


 とにかくさっさと戻ろう、幻術を解いたサリナを降ろし、徒歩で王国軍の中央付近を目指す。


 ちなみに筋肉団もUターンして戻って来るようだ、行動が怪しすぎる……



 ※※※



「勇者よ、どうじゃった? 敵はどんな感じじゃった? 罠は? 伏兵は? あと強そうなのおった?」


「一気に聞きすぎだぞこのクソババァ、で、結論から言うと伏兵だけだった、俺達の見た限りではな」


「おうっ、トラップなどを仕掛けた様子はありませんでしたな、それと我々が近付いても攻撃すら仕掛けてきませんでしたよ」


「ゴンザレス、横の塹壕に居た伏兵があんたらのことをガン見していたぞ」


「はっはっは、鍛え上げた我らの筋肉に見惚れたのであろうな」


「・・・・・・・・・・」



 筋肉がどうとかの話は置いておこう、とりあえずはここを乗り切るための作戦だ。

 駄王や将軍達も馬車から降りて集合し、地図を広げて会議を始める……



「ふ~む、ここからここまでが塹壕、で、勇者の見立てでは反対側にも同じものがあるということじゃな?」


「そうだ、しかも普通の弓兵じゃなかったぞ、変な壷に矢をディップしていやがった」


「ほう、それは薬用猛毒ブツブツガエルの麻痺毒じゃろうな、この辺りで取れる矢毒はそれぐらいじゃ」


「あ、それは俺も持ってるぞ、まだ白焼きの状態だがな」


「ほう、じゃが最近の研究では白焼きよりも蒲焼きにしてから干した方が効果が高いとのことじゃがの」


「へぇ~、それでどうするよ、その毒矢部隊は?」


「幸い我らの軍の後方はまだ森の中じゃ、それを二手に分け、この塹壕の背後に回らせよう」



 お馴染みの変な凸状の何かを動かして提案する総務大臣、後ろに居る偉そうな将軍達もウンウンと頷いている。


 その後の話し合いの結果、俺達はその伏兵奇襲部隊に編入されることとなった。

 向かって右の塹壕を攻めよとのことだ。


 反対側の奇襲部隊にはゴンザレス達筋肉団が編入され、残りの王国軍は正面から突撃を掛ける手はずだ。

 正直言って正面突破の部隊が一番危険なポジション、俺達はわりと危険が少ない役回りである。



 攻撃開始は午後一番、その前に腹ごしらえをしておくようにとの通達が全軍に行き渡った。

 俺達は缶詰と干し肉でも食べておけば良いか。



「では勇者よ、ゴンザレスよ、それに他の奇襲部隊の長よ、正面の軍が進みだすと同時に攻撃を仕掛けるのじゃぞ」


「へいへい」

「おうっ!」



 馬車に戻って皆に作戦を伝え、迎えに来た奇襲部隊(右側)の部隊長と合流する。


 知らないおっさんではあるが有能な将軍らしい、そして生え際は後退しつつあるが、戦闘では力強い前進に定評があるらしい。



「勇者殿、そちらには航空戦力があるはずだ、それは後ろに隠し、交戦開始の直前にテイクオフしてくれ」


「だってよ、リリィ、精霊様もそれで良いか?」



 リリィは食事に夢中、精霊様はやる気満々だ。


 食後、俺達は移動のために部隊長に付いて奇襲部隊の集結地へと向かう。

 森の中にあるちょっとした広場に集合しているのは1,000名程度、反対側にも同数の兵力を配置しているらしい。


 少ないような気もするがあまり大人数で動くと敵に見つかってしまうため、このぐらいが限界と判断したようだ。



「では出発する! 遅れないように、そして静かに付いて来るのだ!」



 いよいよこの戦争初の組織的戦闘である……

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