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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第七章 敵性メディア
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204 スナイパー捕獲作戦

「……それでは諸君、これより我がペタン王国軍は北の山岳地帯に向かい、自由報道教団を撃ち滅ぼすのじゃ!」



 決まった、という顔をしている駄王、途中で余談を挟みすぎたゆえ、もう誰も聞いていない……というかおっぱいの話はここでするべきではないと思うんだがな。


 とにかく行軍を開始するようである。

 北側に居る部隊から順に、森の方角に向かって進み出す。


 俺達は全軍のの中間程度の位置に入りまずはジェシカが御者をして馬車を進める。

 歩兵が多いゆえ進軍速度はごく遅い、これは北の山岳地帯まで時間が掛かりそうだ……



「おう勇者殿、今回は元々のメンバーだけで出撃か?」


「ゴンザレス、そっちは数が多いようだが、筋肉団てそんなに居たのか?」


「おうっ、今回は難敵だからな、2軍のほか筋肉予備団まで連れて来たのだよ」



 2軍……予備団……もう意味がわかりませんよ。



 ゴンザレス達はもう少し前に出るようだ、おそらく駄王や大臣達を護衛するつもりなのであろう。


 まだまだ接敵はしないと思うが、この間のスナイパーだか何だかがどこで狙っているかわからない、要人警護は必須だな。



 とそのとき、カレンとマーサが耳をピクリと動かす……



「ご主人様! 何だか前の方が騒がしいです、誰か殺られたって言ってます!」


「1番前ね、森に入ってすぐの所に居る人達よ、弓で狙われていたみたい」


「マジか、早速始まったようだな、俺達は前に出よう!」



 森の中に敵が隠れていたようだ、宣戦布告から既に5日、敵も黙って俺達が攻めて来るのを待っているのではない。


 当然こちらの兵力を少しでも削る策を練っていたに違いないのだ。

 初手は完全に取られたな……



 馬車のスピードを上げ、森に入る。

 5人の王国軍兵士が倒れており、その横には敵と思しき男が2人、首から上を失って転がっていた。



「ルビア、どうにかなりそうか?」


「3人はもうダメです、あとの2人は助かりますよ」


「じゃあ治療を頼む、カレン、マーサ、他にも敵が居ないか探すぞ」



 付近には索敵の反応が10以上、半分は単なる凶暴な魔物のようだが、残りの5つは明らかに人間だ。

 この先の街道沿いで、まるでこちらが来るのを待ち構えるかのように静止している。



「セラ、最も手近なのはあそこだ、狙えそうか?」


「アレね、鏃が光って見えているわ、大丈夫、魔法が届くわよ」



 馬車から降りたセラ、姿勢を低くしてゆっくりと進み、良い角度を探す。

 10歩歩いた所で立ち止まり、風の刃を放った……


 敵に直撃したようだ、というか木ごと両断してしまった。

 やることが派手すぎるんだよ、ほら、他の敵が逃げ出したじゃないか。



「どうかしら、私の強力な魔法なら敵どころか大木すらもご覧の有様よ」


「調子に乗るんじゃない、馬車の中で尻を出して待っておけ」


「あら、どうして叱られるのかしら?」



 結局、他の4人はカレンが音を頼りに追いかけ、その全てを肉塊に変えた。

 ちょうどルビアによる怪我人の治療も終わったようだ、再出発である。



 馬車に戻るとカーテンが全て閉められ、パンツを膝まで降ろしたセラが尻を突き出して待機していた。



「全く、もっと静かに敵を討てないのかお前はっ!」


「あいたっ! いてっ! 次からは気を付けるわよ、あうっ! もう少し下の方をぶってちょうだい」


「黙れっ! しばらくそのまま反省するんだな」


「はぁ~い」



 セラにお仕置きしてからもしばらくは警戒を続ける。

 今のところ索敵に反応はないが……また先頭で何かがあったようだ。



「今度はどうした? あ、落とし穴かよ」


「拙いぞ主殿、下に竹槍が埋めてある、すぐ救助しないと!」



 全員で馬車から降り、巨大な穴に落ちた兵士達の救助活動を始める。


 転落したのは50名以上、ある程度の重さがないと板が抜けない仕組みになっていたようだ、その上に居た者はごっそりやられてしまった。


 即死した兵の数だけでも30以上、生きてはいるがもはや助からないであろう者が10以上、他はどうにか引き上げられ、回復魔法による治療を受けている。



「弱ったな、落とし穴だと索敵に引っ掛からないぞ」


「私が先に行ってトラップや伏兵の確認をして来るわ」


「そうだな、ここは精霊様にお願いしよう」


「じゃあいってきます」



 そのまま街道を飛んでいく精霊様、時折何かを見つけるようで、水の弾丸を森の中に撃ち込んでいる。

 落とし穴も3つ発見したようだ、アレに引っ掛かっていたらさらに死傷者が出ていただろうな……



「しかしどこまで行くつもりなんだ精霊様は?」


「見えなくなっちゃいましたね、まぁそのうち追い付くでしょう」



 遥か彼方へ飛んで行ってしまった精霊様は放置し、落とし穴に橋を架けながら先を急いだ……



 ※※※



 御者をルビアに代わって2時間程進んだ所で、またしても最前列が騒がしくなる。

 何だろう、精霊様が見落としたトラップがあったのかな?



「勇者殿、大変ですぞ! 精霊様が倒れています!」


「マジかよ、腹でも減って動けなくなったんじゃねぇの?」


「いえ、怪我をなさっている様子で……とにかくこちらへ」



 兵士にそう伝えられ、慌てて馬車を飛び降りる。

 御者台に居たルビアもついでに抱えて行った。



「本当だ! おい精霊様、大丈夫か?」


「あ……うぅ……やられたわ、どこから狙われたかもわからない……」


「良いから喋るな、ルビア、急いで治療するんだ」


「あっ、ハイすぐに!」



「しかしどこから……え? おいっ! 伏せるんだ!」



 ルビアによる回復が終わったとほぼ同時に、俺達を呼んだ兵士がバタンと倒れる。

 頭に穴が空いている、即死のようだ、どこかから狙撃された?



 直ちに精霊様を引き摺り、姿勢を低くして木の影に入る……敵が魔法を撃ってきたのはかなり前方のようだ、しかも索敵の圏外、とんでもない奴が居るに違いない。


 あの雑誌記者を狙撃した変な名前のスナイパーであろう。



「ルビア、このまま森の中を通って馬車に戻るぞ、絶対に見通しの良い場所に出るな」


「わかりました、精霊様はどうしますか?」


「俺が抱えて行く、当分は起き上がれないだろうからな」



 既に前列の兵士達も木陰に隠れ、前方に注意を払っている。

 スナイパーを倒さないと危なっかしくて前に進めない、どうにかしなくては。



 馬車へ戻り、全員に状況を伝える。

 隊列の中央付近に居たゴンザレス以下筋肉団幹部も様子を見に来たようだ。



「おう勇者殿、狙撃されたようだな、俺達に何か出来ることはないか?」


「……的とか囮とか、とにかくヤバい系全般だが」


「おうっ! それは俺達の得意分野だ、任せておくんだな!」



 的や囮に得意分野も何もないと思うのだが、引き受けてくれるというのであればちょうど良い。

 俺達は体のデカい筋肉団員の後ろに隠れながら敵を探せば良いということだ。


 そのまま走り出すゴンザレス達の後に続き、俺と前衛組の4人でスナイパー殲滅作戦を開始した。


 しかし筋肉団は走るのが速い、途中立ち止まったため待っていてくれるのかとも思ったのだが、どうやら先程狙撃された兵士を供養しているだけのようだ。


 数秒で遺体を埋め、ついでに読経までこなしているゴンザレス。

 霊が見えるメンバー曰く、兵士の魂は無事に昇天して行ったとのこと、この度はご愁傷様でした。



「おうっ! どこかから撃たれたぞ、これは水魔法のようだな……」


「おいゴンザレス、頭に穴が空いているぞ、大丈夫なのか?」


「はっはっは、このぐらいかすり傷さ」


「いやだから貫通してんだってば!」



 ヘッドショットされたのがかすり傷なら首を落とされても同じだぞ。

 というかもう怪我が完治している、どうなっているというのだ?



 俺達はそのタフな野郎共の後ろに姿を隠しながら進む。

 途中2度にわたって筋肉団員が狙撃された、どちらも正確に頭を撃ち抜かれている、平気らしいが……



「ご主人様、相手は飛んでいる精霊様にヒットさせるぐらいの腕です、気を付けて下さい」


「だな、カレンやマーサなら避けられるかもだが俺が狙われたら正直キツいわな」



 先程はたまたま俺やルビアが狙えない位置に居たのであろう。

 その代わりあの兵士が犠牲になってしまったが……



 そのようなことを考えながら街道を進むと、ようやく敵が索敵に反応した。

 強さ自体はそこまででもないようだが、やはり狙撃の技は脅威だ、ここからはさらに慎重に行こう。


 ん? どうやら敵さんは離れていくようだ、ゴンザレス達が不死身のバケモノであることを察したのか?



「マーサ、敵の逃げる音が聞こえるか?」


「聞こえてるわよ、左側の森、木の間をジャンプしているわ」


「ちょっと反対側に回ってくれ、挟み撃ちにするんだ」


「了解よ!」



 森に入り、凄まじいスピードで移動するマーサ、あっという間に敵を追い越したようだ。

 今度は森の奥に向かって逃げようとするが、そちらにも回り込んだらしい。



「勇者様、今チラッと何かが動くのが見えました!」


「ああ、すぐ近くだ……いや、こっちに向かって来るぞ! 全員伏せるんだっ!」



 とっさに屈むと、ワンテンポ反応が遅れた筋肉団員の1人がモヒカンを持って行かれた。

 ヤケクソでこちらを狙ってきたのか? それとも正面突破出来ると踏んだのか?


 いずれにせよ街道にフード付きのマントを羽織った人間の姿が見えたのは確かだ。

 狙撃に失敗したと見るや、今度は反対側の森に突っ込んで木の上に飛び上がる。


 一瞬遅れて現れたマーサがそれを追いかける。


 敵もなかなかの素早さを持っているようだあと一歩のところでそのマントを掴み損ねたマーサが地団駄を踏んでいる、良いから早くやっつけなさいよ……



「カレン、マーサを援護するんだ、他は全員で街道に広がるぞ、走りやすい道に隙を作るな」



 カレンは森に入り、俺とミラ、ジェシカ、そして筋肉団の面々は20m程度の間隔を取って街道に広がる。

 これでどこから出て来ても斬り捨てることが出来るはずだ。



 だが少しだけ気になる点がある、このスナイパー、本当に伝説の狙撃手で何とやらであるのかどうかというところだ。


 確かにこの敵の魔法による狙撃の腕は一流どころの騒ぎではない。


 だが、どう考えても逃げ慣れていない、伝説というぐらいだから場数を踏んでいるはずだし、時には見つかってしまうようなこともあったはず。


 なのにどうしてこんなに素人じみた逃げ回り方をするのであろうか?


 ほら、今だってそうだ、カレンとマーサが挟み打ちを狙っていることには気が付いたようだが、それぞれのポジションを俯瞰的に見ることが出来るのであれば今のは逆に逃れたはず。


 全くおかしな話だ……などと考えていると、遂にその敵が街道に姿を現す、いや、逃げ場を失って押し出されるかたちだ。



「来るぞ! 一番近いのは……ジェシカだ、用心しろ!」


「あぁ! 見えたぞっ!」



 剣を構えたジェシカの横を掠めるようにして街道を横切る敵のスナイパー。

 隣の筋肉団員には手が届かないであろうが、ジェシカの両手剣のリーチであれば……



 突如剣を引っ込めて手で掴もうとするジェシカ、だが紙一重のところで体を翻し、それを逃れる敵。

 いやいや、今のでどうして斬らない?



「おい何やってんだジェシカ、ビビッてんのか?」


「違う、子どもだったんだ!」


「……そういうことね、じゃあ解散で」


「捕まえておくべきではあると思うぞ」



 間違いない、敵は伝説の何とやらとかそういった類のものではない。

 せいぜいその弟子の~とかそんな感じのガキだ。


 狙撃に関してはバッチリ仕込まれたものの、実戦経験の少なさゆえ追いかけられた際にはパニックを起こしてしまうのであろう。



「ゴンザレス、殺害から捕獲に作戦を変更しよう」


「おう、素手でも捕まえられるようにもう少し間隔を詰めるのだよ」



 全員武器を収め、ゴールキーパーの如く低姿勢で……いや、これはアレだ、何だっけ……カバディだ!

 とにかく再び敵が街道に現れるのを待ち構える。


 反対側の森に戻った敵、そしてそれを追いかけるカレンとマーサ。


 木の間を飛び回るガサガサという音だけが聞こえてくるが、徐々に、確実にその距離が縮まっているのが聞き取れる。



 どのぐらいの年齢なのかはわからないがとにかく子どもだということだ、そこまで体力があるということでもないのであろう。


 そこから5分程が経過したところで、遂に2人は敵を追い詰めたようだ、索敵の反応が1点で止まる。


 数秒の睨み合い……やはりこちらに逃げて来た、カレンもマーサも森の奥に行くという選択肢を奪うポジションをキープしていたはずだ、それにまんまと引っ掛かったかたちである。


 飛び出したのは俺とミラのちょうど中間地点、とっさに走るが俺には間に合わない。

 だが、足の速いミラはそうではなかった。


 走り込み、敵の左腕の辺りを掴むミラ、そのまま手繰り寄せ、完全に抱き抱えた。

 一瞬武器を出す素振りを見せた敵であったが、その右腕もガッチリと掴まれ、遂に身動きが出来なくなったようだ。



「捕まえましたよ! 縄を持って来て下さい、力はそんなに強くありません」



 すぐにジェシカが縄を取り出し、敵を縛り上げる、どうしてバッグにそのようなものが入っているのかは後で問い詰めよう。



「おいお前、もう降参しろ、抵抗したらマジで殺すからな」


「ひっ! あたしをどうするつもりだ!? 殺すなら殺せこのウスノロ豚野郎!」



 言葉遣いが悪すぎる、きっと狙撃以外の教育は施されていないのであろう。

 とりあえずマントを剥がして顔を見てやろう……



「やめろっ! マントを取るんじゃない! 顔を見られたらこの仕事はお終いなんだっ!」


「うるせぇな、どうせそのウスノロ豚野郎と愉快な仲間達に捕まっている時点でもうお終いだよ」


「クッ、死ねっ! お前なんか毎秒死ねっ!」



 などと威勢の良いことを仰っているようだが、もはや俺の手はマントのフードに掛けられている。

 それに力を込め、一気に取り去る……



 赤髪の少女、痩せ型でミラと同じぐらいの年齢だ。

 ちょっと良く見てみよう……16歳らしい、これはまだ暗殺者見習いといったところか?



「1つ聞きたいことがある、良いか?」


「何だ? 言っておくがエッチな質問には答えないからな!」


「お前、何とか13世の関係者か?」


「違うっ! あたしが14世だ、13世はもう死んだ」


「え? 年寄りだったのか、老衰とかで死んだんだな?」


「……掟に則ってあたしが殺した、それで伝説の狙撃手と大盗賊の座を伝承したんだ」


「やべぇじゃん!」



 思っていたよりも遥かにダークな世界であったようだ、もう世紀末じぇねぇか!

 まぁ、とにかくこの少女が現行の伝説何とかであることは良くわかった。



「とりあえずコイツはどうするよ? このまま捕虜として連れて行くか?」


「おう勇者殿、おそらく敵といっても傭兵的なポジションだ、であればこちらに引き込むことも考えて良いかもだぞ」



 確かに、子どもだからといってこのまま逃がせば危険だし、現状敵ではあるものの、それはただの契約に過ぎず、完全に敵側の構成員ということはないであろう。



「お前さ、どうして自由報道教団なんかに味方しているんだ?」


「知らない、師匠が受けた仕事を受け継いだだけだ、来月には契約切れらしいけど」


「師匠って? お前が殺した13世のことか」


「そうだ、あたし達は世代交代のときに全ての権利義務を承継するんだ、だから仕事もそのままやってる」


「となると、その契約を更新しなければ……」


「この仕事は終わる、次の仕事を探さないといけない」



 そういうことか、となればこの力、王国側に役立てることが出来るかも知れないな。

 とりあえずは処分保留だ、このまま馬車に連れ帰って床に転がしておこう。


 今日の野営地でババァ達と相談してどうするか決めるべきだ。



「じゃあとりあえず立て、このまま連れて行くから」


「うるさいっ! 触るんじゃないこの変態豚野郎!」


「何だとコラ、これでも喰らいやがれっ!」


「あぁ~っ! やめろ、乳首ドリルだけはやめてくれっ!」



 今考えた必殺技の乳首ドリルを喰らわせ、大人しくなったところを抱え上げる。

 そのまま俺達の馬車に運びドカッと床に転がした。



「この子は何なの? まさか勇者様、遂に児童略取事件を……」


「勘違いするなセラ、コイツが例のスナイパーだ、ちなみにこう見えても16歳らしいぞ」



「……どうしてあたしの年齢を知っているんだ? 鬼畜変態矮小豚野郎の分際で生意気だぞ!」


「静かにしないと尻を叩くからな」


「・・・・・・・・・・」


「あとお前が魔法で怪我をさせた精霊様に謝れ」


「ごめんなさい、何かが飛んでいたからつい撃った」



「ちょっと待ちなさい、あなたの攻撃は水魔法よね、どうして私に効果があったのかしら?」


「水魔法だけど水滴の中に鉛の玉を入れてる、だから強い! 畏れ入ったか!」



「調子に乗るな!」


「あいてっ! 豚の分際で殴るんじゃない、その汚い前足であたしに触れるな!」


「ちなみに俺は豚野郎じゃない、異世界勇者アタル様だ、偉いんだぞ」


「異世界から来た豚野郎だったのか、だからそんなに馬鹿なんだな、動きも遅いし」


「……もう何でも良いです」



 どうやら俺だけはかなり嫌われているようだ、一向に豚扱いをやめてくれない。

 まぁ、いずれこの俺様の凄さと優しさに気が付くときがくるはずだ。



「ちなみにあなたのお名前を教えてくれる? 私はペタン王国の第一王女、マリエルよ」


「王女様、あたしは()()()()だ、あと14世だ、暗殺と窃盗が得意だから雇ってくれ」


「イレーヌちゃんね、その狙撃の技術、王国のために役立てるというのであれば雇いましょう、しかも終身雇用で」


「やったっ! あたしも安定した職に就けたぞ!」



 どうでも良いがもう王国側に付いてくれることが決まってしまったようだ。

 ババァには相談ではなく報告だけしておこう、伝説のスナイパーで大盗賊なら特に差し支えはないであろうしな。



 こうして狙撃事件を切り抜けた王国軍は再び進軍を開始した。

 精霊様が回復するまでは、トラップを解除しながら亀の歩みであるが。



 と、すぐにまた数名の敵による襲撃、この先、敵との本格的な闘いになる前にどれだけ小規模な衝突があるのか、先が思いやられる……

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