191 鋼鉄の博士
扉が開く、その先にある部屋には大魔将である暗黒博士が居るはずだ。
廊下よりも遥かに明るい、研究室のような部屋。
正体不明の液体が入ったフラスコや試験管、それから机と椅子が置いてある。
本棚には難しそうな本が大量に……いや、半分以上エッチな本じゃないか。
そして暗黒博士は居なかった、机の上にあるタイムスケジュールでは確かにオフィスアワーのはずなのに、その後ろに外出中の札、いい加減な大学教授みたいだ。
「どうするよ、居ないんじゃ戦いようがないな、おいエリナ、責任取れ」
「すみません、今呼び出しボタンを押しますんで、5分程お待ち下さい」
「5分だぞ、それ以上待たされたらこの城を倒壊させるからな」
「やめて下さいっ! ここには300年分の研究データがあるんです!」
「誰の?」
「暗黒博士 スゴイモン=ツクルノ様ですよっ!」
「ふぅ~ん、はい、今ちょうど1分経ちました、あと4分でその300年は失われます」
「ひぇぇっ! 早く、早く来てよっ!」
あと3分、あと2分……ここでようやく廊下からの足音、何者かが近付いている、しかも索敵に凄まじい反応があるではないか、やはり大魔将はどんな奴でも強いのか……
ドアの向こうから姿を現した暗黒博士。
白衣、眼鏡そしてハゲチビ出っ歯猫背、顔のシミと吹き出物も凄い、とんでもなく不快なビジュアルの敵だ……
『おやおや、アポなしのお客さんですか、我が研究室へ何の御用で?』
「あ、いえいえ、ちょっと貴様をぶっ殺しに来ただけです」
『ほう、言うではないかこの小僧、しかも異世界人とな、ちょうど良い、我が実験の材料にしてくれるわっ!』
「おわっ! 何だこれは!?」
突如として始まった戦闘、本来部屋で待っているべき暗黒博士が遅れて登場してからまだ30秒も経っていない。
当然俺達の陣形はバラバラ、そして敵の真正面に居た俺が狙われ、脚に針のようなものを何本か刺されてしまった。
『それは我が研究の粋を集めて作った究極の毒針、刺された者はあっという間に……おい貴様、早く死なんか』
「残念ながら毒は無効だ、お前が死ねっ!」
右足に針が刺さったまま反対の足で踏ん張り、暗黒博士目掛けて聖棒を振り下ろす。
いつもより素早い動きなのが自分でもわかる、火事場の馬鹿力か、いや、脚に刺さった針が良い感じにツボを刺激して健康になったのかも知れない。
だが、確実に暗黒博士の右肩を捕らえたはずの攻撃は空を切る。
いや違う、確かに何かを切ったのだが、まるで残像のように霧散してしまったのだ。
それまでは確かに、そこに暗黒博士の姿をした何かがあったことは間違いない。
そして、暗黒博士そのものは、いつの間にやら部屋の奥、机がある位置の後ろまで移動していた。
俺達が入って来た入り口からは10m以上離れている、一体いつの間に移動したというのだ?
『ふんっ、そこに我本人が居たらそこそこダメージを受けていたかも知れぬな』
「どういうことだよ、今のが本人じゃなかったのか?」
『今のは我が屁で作ったいわば幻影のようなものだ』
「あっ、そういえば臭っ!」
「わぅ~っ! ご主人様、こっちに飛ばさないで下さい、臭いですご主人様」
「おいカレン、臭いのは俺じゃねぇぞ!」
『ふむ、今ので平然としているとは、本当に毒が無効のようだ、まさかケッセでも服用……いやそんなはずはない、あんな貴重なもの』
「おいハゲ、貴様が言っているのはコイツのことか?」
バッグからケッセの入った瓶を1本取り出し、暗黒博士に向けて投げ付けてやる。
本来は慎重に取り扱うべき大変希少な品なのだが、今の俺達にはたいした価値を見出せない、だって腐るほど持っているからな。
『おっ? おぉぉっ! これはまさしくケッセ、こんなものを持っているとは驚きだ」
「沢山あるし、1本金貨5枚で売ってやるぞ、どうだ?」
『実に高いではないか……これは全員殺して全て奪い取るべきかの……ふんっ! メタリックバーストモォ~ドッ!』
暗黒博士の背中、いや全身から鋼鉄と思しき長いトゲトゲが生える、ハリセンボンみたいになりやがった。
というかあの中身はどうなっているんだ?
『ぐふ~っ、我のメタリックバーストモードを間近で見て生き延びた者は居ない、実験材料よ、覚悟するが良い』
そりゃ間近で見ていればトゲトゲが生えてくるときに刺さって死ぬだろうからな、誰も生き残りはしまい。
しかもどうやらトゲの先端には毒が塗ってあるようだ、明らかに色がどす黒い。
まぁ今は毒無効だが、それでもあのトゲトゲで刺されたら大事だ。
長さ的にも1mぐらいあるし、人間の体ぐらい余裕で貫通するであろう。
『では……まずは回復魔法使いと思しき女からだっ!』
「おい、そっち行ったぞ、体当たりする気だ」
「ちょっ、勇者様、呑気なこと言ってないで下さい!」
ルビアに向かって突進した博士だかハリセンボンだかわからん物体。
マリエルがとっさに突き出した槍に起動を逸らされ、実験道具が保管してある棚に突っ込む。
『ぐぉぉっ! 熱い、熱いぞ、我がメタルが溶けていくっ!』
馬鹿な奴だ、突っ込んだ拍子に酸かアルカリか知らんが、とにかくその類のヤバい溶液を体に零したらしい。
こんな所で暴れるから悪いのだ。
「で、貴様はそのまま溶けて死ぬのか? それともまた突進して、今度は壁でも突き破って外に落ちて死ぬのか?」
『ぐぬぬ、秀才である我を小馬鹿にするとは、低脳な異世界人の分際でっ!』
今度は俺の方に突っ込んで来た、ひらりと交わしたところ、ハリセンボンは本棚に突き刺さる。
粉砕する本棚、舞い上がる大量のエッチな本と若干の専門書。
部屋の隅でエリナが泣いている、300年の研究とその成果を記したエッチな本が毀損したのだ、無理もなかろう。
そして起き上がって来た暗黒博士、ハリセンボンではなくなっている。
薬品によって溶けたトゲトゲは無残に曲がり一部は自分の体に突き刺さっているようだ。
戦闘が始まってから5分足らず、あっという間に満身創痍となってしまった。
だがその表情にはまだ余裕がある、他にも何か策を持っているに違いない……
『うむ、メタリックバーストモードは終いか、では次だ、メタリックプレートモォ~ドッ!』
「何アレ、形が変わっていくわよ、トゲトゲがなくなって平らになっているわね」
「プレートとか言っていたからな、というかどうして変身するときはそのモードの名称を叫ぶんだろうな?」
「そういうルールなんじゃないかしら、あとそれがカッコイイと思っているとか」
「何にせよきめぇな」
セラとくだらない話をしている間に暗黒博士の変身が終わったようだ。
先程までのトゲトゲとは逆に、もう全身ツルツル、すぐ近くに詰め寄っているカレンの姿が映りこむぐらいの鏡面仕上げだ。
ちなみに顔はおっさんのまま、出っ歯に青海苔が付いている。
もう気持ち悪いどころの騒ぎではない……
『ガハハッ、我がメタリック……何だっけ? まぁ良い、このモードに勝てると思うか異世界人よ』
遂に自分で考え出した形態の名称まで失念したらしい。
だがフォルムが丸くなってシュッとした分、その動きは速さを増しているようだ。
攻撃方法は相変わらず突進らしいが、当たったら弾き飛ばされるし痛いのは間違いない。
『ふむ、今度は体重の軽い者……そこの狼を狙ってやろうぞっ!』
「あ、こっち来ました、えいっ!」
ルビアからカレンに狙いを変更した暗黒博士、その肩を突き出した突進を回避しながら爪で一撃を加えるカレン。
速くなったとはいえカレンのスピードには敵わないようだ。
攻撃はあっさり避けられ、首元に大きな引っかき傷を作って壁に突っ込む暗黒博士。
どうやら全身が鋼鉄で出来ているようだ、かなり深い傷を負ったにもかかわらず、血が出るどころか肉が見えることもない。
そして、平気な顔でまたカレン目掛けて突進していくではないか、こいつはアレだな、サイボーグの類だな……
「またこっち来た、何度やっても同じですよっ!」
「今度は私も参加よ!」
肩を突き出した突進を避けたカレン、今度は左脇腹に一撃、さらにはマーサがその横に飛び出し、暗黒博士の顔面を殴打する。
軌道が変わった暗黒博士、そのまま両手剣を並行に構えたジェシカの横を通過し、右腕を切断されながら机に突き刺さる。
そこへセラとユリナが攻撃魔法を叩き込み、追撃を加えた。
それだけでは終わらない、俺とマリエルも聖棒と槍で机ごと突きまくる。
最後にミラとリリィが拾って来たヤバそうな液体をぶっ掛けておく。
これで相当なダメージを与えたはずだ……
『か……かぺぺ……』
「おい、めっちゃ溶けているじゃないか、大丈夫か?」
『おの……れ』
唇が溶けて上下がへばり付き、上手く喋ることすら出来なくなったようだ。
最後にリリィが掛けた液体が効いたようだな、というか金属に酸を掛けたりしてもこういう反応はしないはず、もっと何かの凄い液体であったに違いない。
「リリィ、さっき掛けてたのはどの液体だ?」
「わかりません、何か紫色のやつです」
「いや、紫のが多すぎてわからんわ、ちょっと適当に掛けてみよう」
とりあえず手近にあったビーカーを手に取り、ヨロヨロしている暗黒博士にその中身をぶっ掛けてみる……
『あがぁぁっ!』
「お、髪の毛が生えてきたぞ、これは毛生え薬だったんだな、じゃあ次の液体」
「ご主人様、次はこっちのピンク色を試しましょう」
ルビアが持って来たのは試験管に入ったピンク色の液体。
もはやリリィの言った紫色から逸脱しているのだが、まぁ良い、試してみよう。
『あうっ! でゅふっ、でゅふふふっ!』
「おい、何か変になったぞ、何だあの液体は?」
「アレは私が持っていたエッチな気分になるクスリを詰め替えたものです」
「そんなもの試すんじゃねぇよ! とんでもないバケモノが誕生したらどうするんだ」
「ご主人様、この賢者の素を使えば静まるはずです、机の残骸の中にありました」
サリナが持って来たのは謎のパウダー、賢者の素……なるほどそういうことか。
パウダーをおかしくなった暗黒博士の頭に振り掛ける、すぐに動きを止めて瞑想を始めた。
効果は抜群のようだ。
その後も謎の液体を見つけ次第ぶっ掛けていく、だが髪の毛が抜けたり生えたり、狂ったり冷静になったりを繰り返すのみ、一向に最初の溶ける液体には当たらない。
終いには部屋にあったあらゆるビーカー、フラスコ、試験管を使い切ってしまった……
「さて、これからどうしようか、まだトドメを刺せるほど弱ってはいないみたいだぞ」
「見かけは凄い状態なのにね、やられているのは表面だけってことかしら」
現在、最後に掛けておいた賢者の素の効果で瞑想をしている暗黒博士。
復活まではあと5分といったところ、このタイミングで俺達もケッセを使っておく。
と、そのとき……
『見えたっ! 悟りを開いたぞ!』
そう叫んでドロドロに溶け出す暗黒博士。
表面の鋼鉄は流動しながら、次第にどす黒い色に変わっていく。
しばらくすると真っ黒になって固まる鋼鉄、形状は最初に現れた暗黒博士、つまり薬品で溶ける前の状態だ。
ちなみに白衣はどっか行った、即ち全裸である。
『見るが良い、我が最後の変身形態、メタリック凶毒モードであるぞ』
「色が変わっただけじゃねぇか、言っておくがまだ毒は無効だぞ」
『ならばこの技を見よっ! ハァッ!』
「うわっ! 汚ねぇな」
手を洗った後の水を弾き飛ばすような動作で何かの液体を飛ばしてくる暗黒博士。
その液体が飛び散った床や壁はシュワシュワと音を立てて溶け始めている。
「セラ、風防を張るんだ、さすがにあの攻撃は受けたくない、前衛もちょっと下がれ」
セラの風防、そしてその後ろに精霊様の水壁を張り、部屋の中で俺達と暗黒博士を完全に隔離する。
汚らしい行為は壁の向こうでやって下さい、ということだ。
「何アイツ、笑っているわよ」
「本当だ、気持ち悪い顔だな」
風防と水壁の向こうに閉じ込められた暗黒博士、なぜか余裕の笑みである……
おや、ニタニタ笑いながら全身に汗をかき始めたではないか、その汗は先程の壁や床を溶かす毒に違いない、そしてそのまま突進の態勢に入る。
『うぉぉぉっ! 喰らうのだぁぁぁっ!』
勢い良く飛び出した暗黒博士、セラの風防でかなり減速したものの、これを耐えてさらに前に進む。
次は精霊様の張った水壁にぶつかる、水面に体を叩き付ける凄まじい音、水に溶け出していく猛毒の黒い液体。
次第に博士の体が水に埋まり出した……
「おい精霊様、大丈夫なのか?」
「無理ね、抜けてくると思うわ、セラちゃん、もう一度風防を張ってちょうだい」
「わかったわ」
「あの、ちょっと待って、私に良い考えがあるんですが……」
「サリナ、言ってみるんだ」
「ケッセをぶっ掛けてみませんか? 全身が猛毒みたいですし、効いたりするかもです」
「うん、何でも良いからやってみよう、一応効かなかったときのために突進を避ける準備もしておかないとだな」
全員で部屋の隅に避け、もし暗黒博士がそのまま突っ込んで来ても勝手に壁に刺さるようにしておく。
次いで全員が1本ずつ、合計13本のケッセを供出し、それを手近な所にあった布袋に詰め込む。
超豪華解毒薬クラスター爆弾の完成だあとはこれを投げ付けるだけである。
そうしている間にも徐々に水壁の中にめり込んでくる暗黒博士、体が半分、というか顔は完全に水の中なのであるが、呼吸をする必要がないようだ、口から泡すら出ていない。
もはや生物なのかどうかわからないな、タイプとしては一応魔族のはずなんだが……
「出て来るわよっ!」
「で、これは誰が投げる、俺はノーコンだからイヤだぞ」
「発案者はサリナちゃんだし、自分でやるのがベストじゃないかしら?」
「そうだな、ほいサリナ、失敗したらすぐに誰かが助けてくれるから安心しろ」
「わかりました、ではやりますっ!」
ケッセの詰まった布袋を持って駆け出すサリナ、どうやら自信があるようだ、何の他惑いもなく暗黒博士の方に近付いて行く。
まさに水壁から抜け出そうとしていた暗黒博士も、サリナが前に立ったのに気づいたようだ。
だが何か様子がおかしい……
『うぉぉぉっ! 貴様、貴様だけは許さんぞぉぉぉっ!』
「何ですか初対面なのに、ちょっとっ、手を伸ばさないで下さい、触らないで汚らしい!」
『ぐぐぅっ、待て、捻り潰してやるっ!』
「サリナ、何か良くわからんがチャンスだぞ、体が水壁から出来る前に攻撃するんだ!」
「わかりましたっ、これでも喰らえ~っ!」
投げ付ける、というよりは叩き付けられたケッセ入り布袋、ガシャガシャンッとガラス瓶の割れる音、そして染み出し、暗黒白書の体に付着する液体……
『ガァァァッ!? 何だこれはっ、まさかケッセか!? おのれ……貴重品を……この……ように……』
溶ける、というよりも煙となって消えていく暗黒博士の真っ黒なボディ、ケッセ爆弾作戦は成功のようだ。
「やったじゃないかサリナ、お手柄だぞ」
「うぅ~、何かキレられて怖いしキモかったです、何でしょう、最初から生理的に受け付けないというか……」
「まぁ普通に顔とかキモかったしな、苦手なこともあるだろうよ」
そんな話をしている間にも、暗黒博士の体は煙を噴き続け、どんどん小さくなっていく。
部屋に雲海が出来てしまいそうだ、ちょっと換気をしておこう……
最初に俺達が入って来た扉を開ける、室内の気圧は相当に高まっていたようで、部屋中に充満していた煙は一気に外へと排出された。
さて、煙にならずに残ったのは……変な人形である、何だこれは?
『こんにちは、こんにちは、僕はお話魔導人形だよ』
「おい、コレってさ……」
『コレではない、お話魔導人形だよ』
「うわっ、返事しやがった!」
「お話魔導人形ね、薬屋の前にも置いてあるでしょう、簡単な受け答えなら出来るわよ」
いつも王都の薬屋の前でいらっしゃいませ的なことを言ってくるのと同じタイプの人形らしい。
そして、これが暗黒博士のコアというのか芯というのか、とにかくそういった役割をしていたようだ。
だって、今現在索敵に反応しているのはこの人形だけだからな……
「とりあえずさ、お前何者だ? 名前は?」
『何者と言われても、僕はお話魔導人形、名前はスゴイモン=ツクルノだよ 暗黒博士って呼んでね』
どうやらコイツが暗黒博士 スゴイモン=ツクルノ、つまり大魔将そのものであることは間違いないようだ。
しかし一体何があったらこの無害そうな人形があそこまで変貌してしまうものなのか?
ただの人形が魔族と化していたのも理由が気になる。
で、ここで本題に入ろう、コイツがお話何とやらという人形であるのなら、当然その持ち主となる何者かが居るはずだ。
そして、そいつが今現在、俺達のことを狙っているかも知れない……
「なぁ、お前の所有者は誰なんだ?」
『僕のマスターは、僕は……僕は捨てられたんだ! 箱に入れられ、手渡された所までは良かったんだ、空けた途端に気持ち悪いって投げ捨てられた! 憎い憎い憎い憎いっ!』
「いや、そりゃお前気持ち悪いもん、しょうがないよな、で、そのマスターとかが今どこに居るのかわかるか?」
『マスターは、僕をゴミのように投げ捨てたマスターは……』
「マスターは?」
『お前の後ろだぁぁぁっ! サリナァァァッ! 許さん、許さんぞ貴様っ!』
人形の形相が変わった、というかもともと暗黒博士の顔をしていたからかなりキモかったのだが、それを上回るキモさを発揮している。
顔とか皺が寄ってくしゃくしゃだし、何か息も臭い。
で、マスターとして名指しされたサリナはというと……
「全く記憶にないのですが……どちら様ですか?」
『貴様ぁぁっ! 忘れたとは、忘れたとは言わせんぞっ!』
「そういわれましても、困りましたね」
サリナは全く覚えがないようだ、だが、その横に居るユリナがふと何かを思い出したような顔をしている……
「そういえばこのお話魔導人形、見たことがありますわね……確かサリナが5歳の誕生日の日でしたわ、プレゼントとして渡されて……」
「おいユリナ、そのプレゼントを渡したのは誰だ?」
「プレゼントを渡したのは、え~っと……あっ!」
その場に居る全員の視線が集まる中、ユリナは暗黒博士、いやお話魔導人形をサリナにプレゼントした人物を指差した……
次の話で第五章を終わります、その先もぜひお読み下さい。




