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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第四章 共和国と因縁の敵
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176 またしても奴は

「俺とリリィで出る、セラは戦闘を続けていてくれ」


「わかったわ、岩場には近付けたくないから反対に向かいつつ戦うわね」


「頼むぞ!」



 うっかり嵌ってしまった敵の包囲網から脱出した俺は、空飛ぶ絨毯を追い掛ける精霊様に加勢すべく、リリィと一緒に飛び立った。



「精霊様っ! ヘルプに来たぞ!」


「遅かったわね、もう先に帰っちゃったかと思ったわ」


「アイツを見逃して帰るわけがなかろう……」



 ちょこまかと逃げ回る魔法の絨毯、精霊様は手を妬いているようだ。


 インフリーもまっすぐ飛べばスピード差で逃げ切れないことを悟っているのであろう。

 交戦地域の周囲を旋回しながら、アクロバット飛行で精霊様の攻撃を回避している。


 時折逆さになって飛んでいたりするのだが、どういう原理で落っこちないのであろうか?



「リリィ、あの絨毯を焼き払うんだ、なるべく広範囲を攻撃するように心がけてな」


『は~い! ではいきますよぉ~』



 精霊様の水鉄砲に加え、リリィのブレスも飛び回る絨毯を狙い始めた。

 それでも軽く回避してくるインフリー、あの絨毯は操作性が非常に高いようだな。



「やいっ! お前がインフリーだろ、降りて戦いやがれこの卑怯者めっ!」



「おやおや、あなたは実に頭が悪そうですね、もしかして異世界勇者とか呼ばれているお方ですか?」


「そうだよ、馬鹿で悪かったな、で、降りるのか降りないのか、はっきりしやがれ!」


「全く、この状況で誰が降りるというのですか? もしかしてあなた、チンパンジーの世界から来たチンパン人ですか? なら馬鹿なのも納得いきますね」


「舐めやがって、ぶっ殺してやる!」



 ふざけた態度を取るインフリー、顔にはデフラの面影があるが、中身はどうしようもない悪辣クズ野郎らしい。


 これは惨たらしく死んでいただかないといけませんね……



 再び空中追いかけっこを開始した。


 インフリー自身はまるで強くないものの、絨毯の機動力には精霊様でも勝てない、体の大きなリリィは言わずもがなである、



「はははっ! あなたも異世界から来たというのに、この異世界絨毯には遠く及ばないようですね」


「異世界絨毯?」


「そう、この絨毯は20年以上前に異世界から転移してきたものなのです」



 女神の奴ま、馬鹿なことをしやがる。

 コレさえなければインフリーは今頃消し炭であったろうに……



「で、どこで拾ったんだそんなの?」


「共和国の博物館にあったんですよ、それを収用しましてね、海軍の零式艦上戦闘絨毯として採用しました」



 機動力だけでなく航続力も高そうな名前である。

 だが一撃喰らったら落ちるに違いない、装甲が薄そうな名前でもあるからな。



 その後も何とか捕まえてやろうと様々な策を講じるものの、徐々に疲れてくる精霊様とリリィに対し、絨毯のスピードは全く衰えない。


 このままだと逃げられてしまう、何か策を……そうだ、ユリナがそろそろ回復していそうだ。



 一旦その空域を離脱し、岩場に隠れているユリナの下へと向かう。



「リリィ、ユリナも乗せて飛べそうか?」


『ちょっと遅くなりますけど、それでも良いですか?』


「大丈夫だ、で、ユリナはどうだ? レーザー火魔法ぐらいは使えそうか?」



「良くて3発、といったところですわね、少しずつ回復していますの」


「わかった、乗れっ!」




 ユリナを乗せ、もう一度先程の場所へと戻った。


 精霊様はかなり疲れているようだ、もはやスピードは絨毯の方が上回っているようにも見える。



「ユリナ、とにかく当たればそれで良い、しっかり狙うんだぞ」


「はいですの! ていっ!」



 レーザーを放つユリナ、突如襲ったその攻撃に対し、インフリーは少し焦った様子で回避行動を取る。



「あらっ! どうして避けることが出来たんですの?」


「今のアイツの動き、普通だったら間に合ってなかったよな……」



 ギリギリでユリナの攻撃をかわしたインフリー、空中に停止し汗を拭う……



「ふぅっ、危ない所でしたね、何ですかその攻撃は?」


「喰らってみればわかるさ、てかどうやって避けたんだよ?」


「緊急衝突回避システムが作動したんですよ、おっと、あなたのような低脳な方にはわかりそうもないですね」


「ざけんじゃねぇ! そのぐらいわかるわ、アレだろ、ガーッといったときにギーッとなるやつだろ?」


「その表現からも頭の悪さが滲み出ていますね……」



 敵とくだらない話をしてしまったが、実はコレ、罠なんです。


 ゆっくりと尻尾の先をインフリーに向けたユリナが2度目、3度目の攻撃を連続で放つ……



 2発目はまたしても緊急衝突何とかで避けられてしまう、しかし、3発目は違った。


 インフリーの左肩に軽く当たったレーザー火魔法、周囲の肉も、それから骨までもを焼き尽くされ、インフリーの左腕はだらんと垂れ下がった。



「ぐぅっ! よくも……あっ!」



 自らの負傷に気を取られていたインフリーの後ろから、残る力を振り絞った精霊様が絨毯を掴みにかかる。


 両手でがっしりとその端を掴まれ、完全に動きを封じられた絨毯。

 インフリーはとっさに右手を胸ポケットに突っ込む、何かを取り出すようだ。



 そうはさせまいと、リリィも絨毯、いやインフリー本体に襲い掛かる。

 その足を前面に出し、勢い良く交錯したリリィと絨毯……



「殺ったか!? おい、どうなんだ?」


『……消えちゃいました』


「どうやら転移したようね、胸ポケットに入っていたアイテムを使ったんだわ」



 リリィが掴んでいたのは空飛ぶ絨毯のみであった。

 それは精霊様も同じこと、またしても逃げられてしまったようだ。



「クソめ、絨毯を捨てて逃げるなんて、よっぽど焦ったんだろうな」


「とりあえずコレは貰っておきましょうか、何かに使えるかも知れないわ」



 絨毯をクルクルと巻き取る精霊様、主の居なくなったそれは、丸くなると同時に飛行能力を失った。

 広げればまた飛べるようになるのであろう。



「そういえば下のセラ達は……また囲まれているのか、随分苦戦しているようだし、助太刀してやろう」



 およそ1万VS8人の戦闘である、いくらなんでも分が悪すぎだ。

 すぐにリリィを下降させ、ブレスを浴びせて敵陣を崩した。



 これで少しは余裕が出るであろう、そのまま皆の固まっている所に着陸する。



「おかえり、また逃げられたみたいね」


「ああ、前にエリナが使っていたみたいな転移アイテムをポケットに忍ばせていやがったんだ」


「残念だったわね、でも今はここを切り抜けることを考えましょ」



 セラの言う通りである、未だ敵の数は多く、このままではいつになっても戦いが終わらない。


 だが、精霊様が抱えているインフリーの空飛ぶ絨毯、それを目にした敵兵はどことなく及び腰になった。


 おそらくだが、自分達の総大将がさっさと逃げてしまったのを理解しているのであろう。



「精霊様、その絨毯をもっと見せびらかすんだ!」


「コレ? 別に良いわよ」



 そう言って絨毯を広げる精霊様、やはり広げると飛べるようになるらしい、その上に乗り、何やら叫び出した……



『さぁさぁ共和国軍の皆さん! ここな絨毯はそちら方の総大将、インフリーの持ち物であることはよぉ~くお分かりでしょう!』



 何やってんだマジで、そんな目立つことして恥ずかしいとは思わないのか?


 しかし敵兵の注目は十分に集めているようだ、別に恥を晒すのは俺ではないし、まぁ良いとしよう。


 それにどうせ今ここに居る連中は皆殺しにするのだ、勇者パーティーの恥ずかしい誰かさんを目撃した者は1人も存在しなくなる……



『さて、皆さんお察しかとは思いますが、この絨毯の主、つまりインフリーは負傷し、泣きべそをかき、おもらししながらどこかへと逃げて行きました、そう、皆さんを置き去りにしてです!』



 だいぶ内容を盛っているようだが、敵軍は普通にざわざわしてきた、良い感じである。

 おっと、武器を捨てて逃げ出す奴も現れたようだ、このままその流れになって欲しい。



「逃げ出したのも居るけど、まだ戦おうって意気込みの奴も多いみたいだな」


「勇者様、どこの国でも精鋭はこんな感じだと思いますよ」


「訓練されすぎて戦うことしか頭にないのか……そういえば王国の貴族もそんな感じのが多いな」



 精霊様が調子に乗っている間、俺達は攻撃を中断していた。

 敵に今の話を良く聞かせてやるためだ。


 だがそろそろ再開のときが来たようだ、精霊様の演説も終わり、ざわつく敵兵も一部は落ち着きを取り戻し、武器を構え始めた。



「よし、じゃあ一気に攻めるぞ……と、北の方から何か来ていないか?」


「ご主人様、あれは王都の兵隊ですよ! 皆馬に乗っています!」


「おうっ、ここで増援とは有り難い」



 グッとモチベーションが上がった、味方の増援は2,000弱のようだが、それでもここを勝ち抜くには十分だ。


 全員武器を構え直し、各々やる気のありそうな敵目掛けて突っ込んだ。

 動揺している奴はもう知らない、特に脅威ではないからな。



「味方の騎馬兵が突撃して来るぞ! 巻き添えを喰らわないように気を付けるんだ!」



 しばらく戦ったところで、ようやく王国軍の増援が到着する。

 俺達を包囲していた敵軍に突き刺さる騎馬兵、現場は大混乱に陥った。


 そんな中、俺を見つけた指揮官らしき男が近付いて来る……というかガンゼメドじゃないか。



「いやぁ~、遅れてしまって申し訳ありません、伝令兵が来てすぐに出たんですが、まさかここまで戻っておられるとは」


「いえ、来て頂けただけでも良かったですよ、ところでここ、一旦任せても良いですか?」


「ええ、問題ありません、敵も疲弊しているようですしな」



「じゃあ勇者様、私達は馬車のところに戻りましょう」


「そうだな、残している皆が心配だ、ではしばらくお願いします!」



 逃げ出した敵を遠くからでも討てるセラと、その護衛をするミラの2人だけを残し、俺達は馬車を隠した岩場を目指す。


 俺はリリィに乗り、もう1人の鈍足キャラであるルビアを先程入手した絨毯に乗せた。

 コレは以外と便利なアイテムかも知れないな……



 岩場に辿り着く、皆無事のようだ、まぁ当たり前か。



「すまんなデフラ、また奴を取り逃がしてしまったよ」


「仕方が無いですよ、兄はそういう人間なんです、いざとなったら全てを捨てて逃げ出しますからね」


「そんな感じだな、毎度毎度イリュージョンみたいに消えやがる、でも今回はこの絨毯を貰ったからな、実質勝ちだ」


「次こそは命も貰わないとですね……」



 ちょっと妹の発言とは思えないのであるが、利用されて経済崩壊の片棒を担がされていたのだ、このぐらいの嫌悪はあって当然なのかも知れない。



「さて、ちょっと移動するから馬車に乗るんだ、矢が飛んで来るかもだから窓は閉めておけ」


「主殿、私は馬車に残っていざというときに備えるぞ」


「うむ、それが良いな、じゃあ残りのメンバーで戦いに戻ろう」



 全員を馬車に乗せて岩陰から出る、いつでも走り出せるようにジェシカだけを御者台に残し、再び敵軍との戦闘に戻った。


 ガンゼメド率いる騎馬兵団が来たことにより、敵軍はもはや総崩れ、あとは1人ずつ地道に殺していくだけの簡単なお仕事だ。



 日が暮れる頃には敵の組織的な攻撃は無くなり、ほとんどの兵は戦って死ぬか逃げ出してセラに討たれるか、はたまた降参してそのまま切り捨てられるかという最後を迎えた。


 生き残りは100人程、固まって剣を構えているものの、もはや向こうから攻撃を仕掛けてくる様子はない。


 もちろん降参した連中の末路を知っているため、白旗を揚げるような奴は誰一人として居ないが……



「あれだけ居た軍勢がもうこのザマか、共和国の人間は本当に腰抜けだな!」


「黙れっ! 貴様等いつか後悔することになるぞ、覚えておけ!」


「もう忘れました~、雑兵の言葉をいちいち覚えておくとでも思ったのか? だとしたら相当に馬鹿なんだな」


「おのれぇぇっ!」



 およそ100人の中で最も階級が上であると見える兵士を挑発してみたところ、簡単に乗ってきた。


 捨て身攻撃を仕掛けるその男に続き、敵兵全員がこちらへ向かって来る。

 で、それをリリィのブレスで丸焦げにしてやった、実に気分が良い。



「勇者様、一番後ろの奴等がちょっと生きているわよ」


「そうか、でも大やけどしてんじゃん、すぐに死ぬだろう」


「ならとどめは刺さないわよ、苦しんで死ぬと良いわ」


「だな、じゃあ王都へ帰るか? それともこのまま帝国の砦とやらへ行く?」


「う~ん、ガンゼメドさん達はどうするのかしらね?」



 ということでガンゼメドに聞いてみた、どうやらここからそのまま帝国の砦に向かうらしい。

 道程的に王都へ一時帰還するのは時間の無駄になってしまうそうだ。



 仕方が無い、俺達もこのまま向かうこととしよう。

 非戦闘員も連れているが、砦ということなら大丈夫であろう、負けなければな……



 ガンゼメド率いる2,000の部隊に合流し、帝国の砦を目指す。

 今のペースで行けば翌々日の朝には到着出来るらしい……



 ※※※



「頭と背中が痒くなってきたな、ルビア、掻いてくれ」


「イヤですよ、もう3日もお風呂に入っていないじゃないですか、不潔です」



 仕方が無い、自分で掻くこととしよう。

 頭をボリボリやりながら、全身を使って椅子の背もたれで背中を掻く……



「ご主人様、臭いんですからあまりダイナミックな動きをしないで下さい」


「すんまそん」



 一番の風呂好きであるルビアの機嫌が悪い、砦に着くまでは静かにしておこう。



 馬車を走らせて2日目の夜、ようやくその砦が見えてきた。

 いや、見えたのは砦ではなく野営している敵軍の明かりであるが……



「おいおい、このまま突っ込んで大丈夫なのか?」


「大丈夫だ主殿、この道は敵の居ない砦の裏側に続いている、反対側とは完全に隔離されているみたいだ」


「なら良いが、それにしても敵の数が凄いな……」



 などと話しているうちに、馬車は砦の北口から中へ入った。

 石造りでかなり丈夫そうだ、これなら火を吹く筒でどうにかされてしまうこともあるまい。



 馬車を降り、階段を上がって司令室へと向かう。

 総務大臣の奴がここに居るはずだ……居眠りしていやがる。



「おいババァ! 生きているのか死んでいるのかはっきりしろ!」


「なんじゃ、おぉ勇者か、無事で何よりじゃ、早速じゃが作戦の方を……」



「そんなことはどうでも良い、まずは風呂だ!」


「なぬ、もしかしてわしと一緒に入りたいというのか?」


「なわけあるかっ! シミとかシワとかが伝染したらどうするつもりだ!」




 直ちに風呂を用意させ、全員で浸かる。

 ようやく血や汗のベタベタとオサラバ出来た。



「ご主人様、お背中を流してあげますよ」


「おう、ありがとうルビア、お礼代わりにおっぱいを揉み洗いしてやろうか?」


「あら、エッチですね」



 何よりも、ここ3日ずっと離れがちであったルビアが再び接近してくれたことが嬉しい。

 そんなに臭かったのかな?



「うぅ~っ、お風呂も良いけどお腹が空きました、早く上がって何か食べましょう」


「あ、私もです、ずっと干し肉と缶詰ばっかりだったし、今日は生ハムが食べたいです!」



 カレンとリリィが騒ぎ出したため、風呂を出て再び司令室へと向かう。



「ふむ、風呂には入ったようじゃの、では作戦の……」


「そんなことより食事だ、生ハムを出せ」


「全く、食事ぐらいは少し我慢せぬか」


「狼とドラゴンが暴れ出しても責任は取らんぞ」


「誰かっ! 誰か居らぬかっ! 直ちに生ハムを用意せい!」



 腹が満たされたら今度は眠たいとか言い出す奴が出そうだ。

 総務大臣やその他の指揮官にも会食に参加して貰い、そこで作戦の話をすることとなった。


 直ちに豪華な食事が用意され、俺達と上級将校は食堂のテーブルに着く……



「でじゃ、現状この砦の兵器は投石器のみ、あとは弓兵が必死で戦っておる状態なのじゃよ」


「よくそれで今まで持ち堪えたな、敵は弩と火を吹く筒だろ?」



「おう勇者殿、俺達があらかじめ砦の門を岩で埋めておいたんだ、火を吹く筒で燃やせるものは残っていないのだよ」


「そうか、壁もかなり高いみたいだし、アレはここの脅威にはならないってことか」



「うむ、被害が出ているのは専ら弩による攻撃じゃ、投石器では命中率が悪くてなかなか破壊出来んのじゃよ」



 ということはそれさえどうにかしてしまえば敵は完全に攻撃手段を失うということか。


 しかし、もしそうなったとしても火を吹く筒がある限り打って出るわけにもいかないし、砦の上から攻撃するにしても弩の射程圏内に入ってしまう。


 そして、おそらくこの近さで防御するとしたら、精霊様の水壁かシールドの防御魔法を使うことになる。

 が、それではこちらも攻撃が難しくなるのは明らかだ。


 ここは敵が諦めて帰るか、食糧を失って餓死するまで待つ以外の選択肢は無いようだな……



 敵軍を殲滅する、ということを考えた場合、やはりどうにかして兵糧攻めにするのが得策であろう。




「ちなみにさ、敵はかなり数が多いみたいだけど、どこから食料を調達しているんだ?」


「昨日1回、半島の方から補給部隊が来ていたようじゃ、食糧と、それから兵器の燃料じゃろうな」


「その補給部隊は武装していたのか?」


「そこまでは見えんかったが、おそらくある程度の護衛は付いておるじゃろう」


「でもせいぜい弓とか槍とかその辺りだろ? リリィや精霊様が攻撃すれば届くようなものは持っていないだろうよ」


「ふむ、では補給部隊を狙って敵を孤立させようというのじゃな」



 実際に攻撃に出ることになるリリィと精霊様に視線が集まる。

 リリィは生ハムに、精霊様は酒に夢中で話を一切聞いていない。


 それでも作戦はこれで決まりだ。

 明日からは2人が交代で飛び、敵の補給ルートを見張り続けることとなった。



「では作戦会議を終わろう、今日着いた者はゆっくり休んで明日からの戦いに備えるのじゃ」



 その場は散会し、俺達は割り当てられた部屋に入る。


 とりあえず明日からは先程決めた作戦を試し、ダメそうならまた新たに考えることとしよう。

 そう考えながら目を閉じ、眠りに就く……

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