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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第四章 共和国と因縁の敵
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174 奇襲・夜襲作戦開始

「軍の連中は行ってしまったし、次の上陸部隊が攻めて来るまで暇だな」


「ちょっと村の様子を見に行きましょう、まだ敵が残っているかも知れませんよ」


「だな、それじゃあコテージ裏の高台から確認しようか」



 王国軍が半島から上陸する敵を迎え撃つために帝国領へ向けて発った後、俺達はトンビーオ村上陸部隊の第二波が来るまで待機することとなった。


 しかし最新の情報によると、共和国軍が到来するのは今日の日暮れ時、もしかしたら戦いは明日以降になるかも知れないのである。


 つまり暇なのだ……



 せっかくなのでトンビーオ村の様子を確認しておこうということで、俺達が現地拠点として使っているコテージの裏、海と村が見渡せる高台へと移動した。




「見て下さいご勇者様、逃げて行った敵が港に集っています」


「迎えの船なんて来ないのにな、来ても敵前逃亡で処刑されるだけだぞ」


「ですね、でもその前に私達が引導を渡して差し上げましょう」


「うむ、マリエルの意見に賛成の者は……全員ですね」



 コテージの脇にある山道を通って村に出る。

 呆けた様子で海沿いに座る敵兵はまだ俺達に気が付かないようだ。



「おい貴様等っ! 地獄からお迎えが来たぞ!」



「……!? ひぃぃっ! 敵だ、敵が来たぞ! 早く逃げないと……」


「どこへ逃げるってんだ? ぶっ殺してやるからそこへ並べ」


「待ってくれ、俺達は徴兵されて無理矢理に……ホントは戦争なんてしたくなかったんだよ!」


「すみません、それは聞き飽きましたのでここでお別れです」



 ユリナの尻尾から放たれる凄まじい出力のレーザー光線が敵兵を襲う。

 体に大穴が空く者、頭を失う者、千差万別ではあるが、とにかく大半が一撃で死んだ。


 辛うじて難を逃れたのは数名、もはや逃げる気力もなくその場にへたり込んでいる。


 その連中をニヤつきながら惨殺していく精霊様、なぜか1人だけ残す……



「死にたくなかったら質問に答えなさい、あなたたちはどうして嫌々ながら共和国に従っているわけ?」


「ひぃぃっ! アイツだ、インフリーとかいう奴が現れてから変わったんだよ、国が!」


「それってほんの数ヶ月前のことじゃなくて?」


「そうだ、2ヶ月ぐらい前だった、入国してすぐに元老院議員になって、国を正しい方向に導く改革とか言い出して……」



 で、やたらと軍事力を強化し始めたということらしい。


 ちなみに徴兵は全国民、拒否した者は死刑またはあの詫び石とやらの発掘現場で強制労働だそうな、どういうルートで正しい方向に導いているのか全く理解出来ないのだが……



「でもさ、少しはそれに反対するやつとか居なかったのかよ?」


「いや、俺は内心おかしいと思っているのだが……」


「思っているのだが?」


「その、国全体の空気というか、何というか、とにかくそういうものがあって逆らえないんだ」


「インフリー1人の力でそうなったのか?」


「いや違う、民間の広報が奴を風雲児などと褒め称え、そして国民を煽り立てて、それで世界の覇権を握るのを是とする風潮になったんだ」



 なるほどそういう感じだったのか、いくらなんでもインフリー1人ではそこまで出来るはずがない、メディアを味方につけて世論を操作したんだ。



 ……いや待てよ、確か縦ロールは何年も前から魔族、というか魔王軍と協力関係にあったと言っていたな。


 ということは共和国上層部の間ではこの流れに持っていくのは規定路線であり、カリスマ的指導者であるインフリーの登場はきっかけに過ぎなかったのではなかろうか?


 そもそもたった2ヶ月の間に火を吹く筒や得体の知れない物質を用いた蒸気機関が完成し、それをここまで増産出来るとは思えない。


 かなり前から準備をし、直ちに増産を開始する態勢が整っていたはずだ。



 となると、やはり知らなかったのは一般国民だけで、その元老院とかいう連中はずっと人族世界の征服を狙っていたと考えても良さそうである。


 しかし、だとすると今回の件は相当に根が深そうだな……



「な、そういうことで俺は悪くないんだ、ここは見逃してくれないか?」


「何言ってんだお前?」


「へっ!? やめ……あがごげろばっ!」



 どんな理由があろうともこのトンビーオ村に上陸し、俺達の住む王都を襲撃しようと目論んでいた軍勢の一味であることは確かだ。


 そんな奴を生かしておく必要はない、というか共和国は国民皆兵みたいだし、今後こちらが攻め込んだ際には皆殺しにしても構わないであろう。


 俺達が魔王軍と戦っているというのに、邪魔するどころか利敵行為に走っているのだ、死んで当然だな……



「さて、それじゃあコテージに戻って腹ごしらえでもしようか」


「賛成ね、でもこの敵兵の死体はどうするの? ここに置いておくと敵が来たときに村に人が居ると勘違いされるわよ」


「む、そうだな……精霊様、ちょっとこの死体を徹底的に損壊しておいてくれ、人族がやったとは到底思えない程度にな」


「わかったわ、この大精霊様に任せなさい」



 これで完璧だ、敵軍が上陸して来たとき、意味不明な状態で死んでいる仲間を見てどう思うであろうか? 恐怖こそすれ、犯人探しをしようとは思わないはずだ。


 それよりもさっさとこのヤバそうなエリアを通過しようと考えるに違いない。

 村の建物等は不必要に破壊されずに済みそうだ。



 不快な作業はそういうのが大好きな精霊様に任せ、俺達は先にコテージへと向かった。



 ※※※



「はい勇者様、サンドウィッチです」


「ありがとうミラ、あれ、アイリスは?」


「今お風呂を沸かしています、私がやるから良いと言ったのに……」


「そうか、じゃあ風呂に入ったらしばらく休憩して、それからまた高台で見張りだな」



 腹を満たし、風呂にも入った。

 今回は寝る必要がないため、全員で高台へ登る。


 そろそろ日が傾いてくる時間だ。



「ご主人様、敵が見えましたよ!」


「どれだよ? う~ん、見えるような見えないような……」



 とにかくこちらへ来ている大船団があるらしい、精霊様に頼んで様子を見に行って貰う。

 高空から見張れば気付かれることもないであろうし、数も確認しておきたい。



 15分程後に戻って来る精霊様、その頃にはもう俺にも海の彼方に何かが居ることをはっきりと認識出来るまでになっていた。



「おかえり、どうだった?」


「敵は1,000隻とちょっとだったわね、かなり距離を取って並んでいるから範囲攻撃は無理よ」


「だろうな、さすがに対策を強化してくるだろうとは思っていたさ」



 前回半島に攻めて来たときも相当に船と船の間を空けていたようだが、今回はそれ以上に広く取っているらしい、ユリナの火魔法対策のようだ。


 だがセラとリリィの急角度ピンポイント攻撃はまだ有効なはず、もう少し接近したら2人に出撃して頂こう。



 次第に近付いてくる敵船団、これでもかという程に縦横へ広がり、見渡す限りにその船影を捉えることが出来る。



「じゃあそろそろね、行くわよリリィちゃん」


「セラ、敵に見られているかもだから、帰還するときはぐるっと回って後ろから戻るんだ」


「わかったわ、追跡されないようにすれば良いわね」



 飛び立って行くセラとリリィ、船団上空に到達するとすぐにターゲットを決め、攻撃を始めた。

 これで20~30程度は撃沈したな、残りは……考えたくないな。



 予定通り後方の山側から戻った2人を迎え、そのまま敵を監視する。

 港に到達した船から兵員を降ろし、降りた兵はその場に留まっているようだ。



 あの中にインフリーが居ないかデフラに確認して貰いたいところではあるが、遠いうえに既に暗くなり始めたため、良く見えないと言われてしまった。



「あいつらそのまま港で野営するつもりだぞ、惨殺死体はスルーかよ」


「海に落ちて死に掛けている仲間も助けないのね……」



 上陸した敵軍はその場で火を焚き始めた。


 沖に戻った船は、炎上して傾いた他船や溺れている兵には目もくれず、そのまま沖に停泊している。

 全く薄情な連中だ。



「リリィ、もう一度飛べるようになったら教えてくれ、夜襲を掛けるぞ」


「は~い、でもお腹が空きました」


「ほれ、この一番分厚い干し肉をやろう、とっておきだ!」


「やった! いただきま~すっ!」



 辺りは完全に真っ暗になり、敵軍の焚いている火と見張りの兵が持つ松明のみが見えている。


 干し肉を食べ終えたリリィは座っていたミラに抱っこされて休憩している。

 少し寒いし、俺もカレンを抱っこしておこう。




 そのままおよそ1時間が経過した。

 完全に上陸を終えた敵は、港だけでなく村のあちこちへ広がり、食事を始めている……



「リリィ、そろそろいけそうか?」


「う~ん、ちょっとだけなら」


「じゃあやるぞ、通過しながら一撃喰らわせて離脱だ」



 今度は俺が乗って出る、敵軍は港全体や村の広場だけでなく、接岸したままの船の中にもかなりの数が滞在しているようだ。


 村の広場は火災の原因になるし、船も攻撃して炎上させたらそうなりかねない。

 ここは港に居る兵を狙うのが得策であろう、他の所と比べて数は少ないがな。



「リリィ、攻撃しながらあの突堤を縦断するんだ、居る奴を全部焼き殺すぞ!」


『は~い!』



 上空での旋回をやめ、陸側から海側に向けて突堤を通過した。

 もちろんリリィのブレスを浴びせながらである。



 突然の攻撃に反応出来ない敵軍、港や船の中に居た敵兵達は、突堤の仲間が業火に包まれ、灰となっていくのを成す術もなく見守っていた。



 俺達はそのまま海上に離脱し、敵船から見えない位置を迂回して元の高台に戻る。

 高台からは、未だに敵の死体が燃えていることを確認出来た。



「あれだけやったのにまるで焦っている様子がないな……」


「そんなことないみたいですよ、港に居る兵士は逃げようとしていましたし」


「でも逃げたら上官に殺されるんだろうし、もう雑兵共の死は確定だぞ」



 敵軍が焦っていないように見えるのは、船に乗ったままの仕官連中が睨みを効かせているためのようだ。


 本来なら逃げ出したい気持ちで一杯であろう港の一般兵、それでも逃げたことによる確実な死よりは、黙っておいて助かる可能性に賭ける方が良いと考えているようだ。



 さて、夜の部はこのぐらいにして、明日の朝敵が移動し始めたらまた奇襲を掛けよう。

 次は街道沿いの森で攻撃だ、そして今から隠れる所を探しに行こう。



 コテージに戻って準備をし、馬車で山側の細い道を通って街道に出た……



 ※※※



「おう、ここなんてどうだ? 馬車を奥に隠せそうだし、今日はここで野営しようぜ」



 村の出口から3kmぐらいの地点で少し開けた場所を見つけた。

 そこに馬車を停め、仮眠する態勢に入る。


 3時間と少し寝たところで目を覚まし、というかセラに起こされ、朝の攻撃スポットを探しに行く。



「う~ん、ここはちょっと窪地になっているようね、前も後ろも上り坂だわ」


「じゃあさ、精霊様に頼んで一気に水を流し込んで貰うのはどうだ?」


「それは良いかもね、水で敵を足止めして、こっちに上がって来たのを叩く感じね」



 すぐに作戦は決まり、俺達は皆の所に戻ってもう一度仮眠した。



「山の中は肌寒いわね、勇者様、もうちょっとくっついてちょうだい」


「間違いねぇ、2人で毛布に包まるしかないな」



 セラと限界まで密着し、可能な限り熱を逃がさないようにする。


 少しずつ毛布の中が暖かくなる、いつの間にか寝てしまったらしい……目を開けるとミラが仁王立ちしていた。



「勇者様、お姉ちゃん、おはようございます、何をそんなにくっついているのかしら?」


「おはようミラ、ちょっと寒かっただけだからな、ちなみにこれはマジだ、異世界に来てから初めてのマジだ」


「今までどれだけふざけていたんですか……」



 とにかく、起きているメンバーだけに昨夜セラと確認して来た攻撃スポットについて伝える。

 まだ朝早いが、そこへ移動しておこうということに決まった。


 未だに眠りこけているルビア、マーサ、精霊様の3人を馬車に積み込み、街道を戻って窪地の手前に向かう。



 途中で精霊様が目を覚まし、敵軍の様子を見て来ると言って飛び立つ。

 作戦を伝えそびれたが、それは戻ってからで良いであろう。




「ここだ、最初に坂の上から精霊様に水を流して貰う」


「それで、ある程度攻撃したら馬車で逃げるのだな」


「そうだ、ジェシカには馬車に居るメンバーの護衛を頼むぞ、アイリスやデフラ、それにメイも戦えないからな」



 非戦闘員は馬車に乗せたまま御者のジェシカが守る。

 ついでにルビアも馬車だ、誰かが怪我をしてから動けば良いし、特に出番は無いであろう。



 しばらくすると精霊様が戻り、敵軍が動き出したことを告げる。

 逆にこちらの作戦を伝え、藪に隠れた、馬車は路肩に停めてカモフラージュしておく。




「来るわよ、足音が聞こえる……」


「何かを転がしている音もします」



 敵が近付いている、カレンとマーサだけでなく、俺の索敵にも反応が出た。



 火を吹く筒と弩を大量に転がした敵が姿を見せ、指定の窪地に差し掛かる……



「いくわよっ!」



 精霊様が飛び出し、上り坂の中腹に差し掛かっていた敵前列を一気に押し流す。



 突如現れた大量の水に驚いた敵兵、だがその勢いから逃れることは出来ない。

 運んでいた火を吹く筒ごと坂の一番下まで流されて行く。



 下敷きになって圧死したり、溜まった水で溺れ死んだ者も多いようだ。

 だがそこは敵も正規兵、すぐに立て直し、反撃の準備を始めた……



「まだ藪から出るな、弩で狙われているぞ!」


「火を吹く筒は使わないようね、森の中だからかしら?」


「だろうな、実に都合が良いぞ」



 敵軍後方は窪地に差し掛かる前の坂の上で停止し、攻撃を仕掛けた精霊様を探しているようだ。


 一方、攻撃を受けた最前列は破損していない弩を掻き集め、徐々に戦闘態勢を整えつつある段階である。

 さて、ここからどう動くおつもりか……



「おっ、前進し始めたな、仲間の死体を足場にして水溜りを超えていやがる」


「追撃はどうするの?」


「セラは風防を張って馬車を守ってくれ、ユリナ、ちょっと良いか?」



 敵軍が整いすぎているため、追撃はユリナのレーザー火魔法のみを用いることとした。

 全員がカモフラージュした馬車に乗り込み、ジェシカが御者台に着く。



「じゃあ窓からやりますわね、もう攻撃しても良いですの?」


「待ってくれ、セラ、防御は大丈夫か?」


「バッチリよ!」



 後ろを向いて馬車の窓から尻尾を出し、狙いを定めるユリナ。

 ちょうど水溜りを越えようとしていた動きの襲い敵前列に、強烈な火魔法が浴びせられる。



 敵兵の断末魔が響き渡る、それと同時に俺達を発見したらしき報告の声も……



「見つかった! ジェシカ、撤退だ! 矢が飛んでくるかもだから顔を出すなよ!」



 カモフラージュに使用していた枝葉を打ち払いながら走り出す馬車。

 ここまで黙っていてくれた馬には感謝しないとだな。



「ちょっとっ! 矢の勢いが強すぎて抑えきれないわ!」


「大丈夫だ、窓から顔さえ出さなきゃな……カレン、お前に言っているんだぞ」


「うっ、ごめんなさ~い」



 至近距離から弩で打ち込まれた矢は、セラの風防を突き抜けて馬車にぶつかっている。

 カレンが面白がって窓から身を乗り出していたため、念のため叱っておいた。



「お、ついに矢が届かなくなったようだな、このまま逃げて次の隠れ場所を探すんだ」



 交戦地点から10㎞程走ったところで一旦停止する、もう敵の姿は全く見えない、あんなデカい兵器ばかり持っているから遅いんだよ。



「勇者様、ちょっと地図を見てちょうだい」


「どうしたセラ、エッチな店でも見つけたか?」


「じゃなくて、ほらこの裏道、ここを通れば大幅にショートカットが出来るわ」



 セラの指差した地図上の地点では、街道がおよそ30kmの弧を描いて緩やかにカーブし、その両端を繋ぐようにして細い一本の道が書かれていた。


 何度も通っていたが気が付かなかった道だな、だがここからすぐの地点だ、ちょっと行ってみよう……


 再び馬車を走らせ、その裏道の入口を目指す。




「主殿、かなり狭い道だが通れなくはないぞ」


「そうか、じゃあこの近くに馬車を隠すんだ、一時敵をやり過ごすぞ」



 細い裏道の手前に馬車を隠し、そのまま敵の軍勢をスルーすることに決めた。


 おそらく重装備の敵は広い街道の方を行くであろう、それを後ろから攻撃してやるのだ。

 その後、俺達は裏道を通ってもう一度前に出てやれば良い。



 馬車が街道から完全に見えなくなったのを確認し、その脇の藪で敵を待つ。


 来た、息を潜め、20分以上その行軍を眺める……その途中、連れ出していたデフラが何かを見つけたような顔をする。


 敵のほぼど真ん中、豪華な人力車に乗り、赤いスーツのような服を着た若い男、メガネを掛け、髪は七三分の頭が良さそうな奴だ。



 間違いない、あの男がインフリーだ。



『ちょっと勇者様、今の見た?』


『見た、遂に現れやがったな』


『どうする? ここで殺してしまうのもアリよ』


『いや、それはやめておこう、奴だけ殺しても敵に囲まれる、正規兵だから逃げたりはしないだろうし、火を吹く筒が危険だ』


『じゃあアイツをやっつけるのは敵を十分に減らしてからってことね』


『そうなるな、とりあえず今は見逃してやろう』



 その後も敵の行列が通り過ぎるのをひたすら待った。

 さらに30分後、ようやく最後尾である……



『良いか、一番後ろが十分に離れてから出て行くぞ』



 10人が横に並んだ敵軍の最後尾を見送り、それが見えなくなったところで藪を出る。



 今回は後ろからの奇襲だし、敵も弩やなんかを反転させるのは容易でないはずだ。

 よって全員で一斉に掛かり、可能な限り多くの敵を討ってやるつもりでいる。



「じゃあいつもの陣形で、ミラとジェシカは気を付けろよ、火を吹く筒が出て来たらすぐに下がるんだ」


「わかりました」

「うむ、わかったぞ」



 最終確認を済ませ、敵が去った方向へと走った。

 ここが王都への道程で最大のチャンスになりそうだ、まさに大一番である……

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