173 分裂する共和国軍
「着きましたよご主人様、早く起きて下さい」
「……眠い、運んでくれ」
「今どきニートでもそんなこと言いませんよ、ほら早く立って」
「へいへい」
ルビアにそう言われて起き上がると、そこはトンビーオ村の拠点コテージ前であった。
メイとドレドはまだここに残っているらしい、セラと何やら話している声が聞こえる。
今回は荷物を降ろさず、そのまま歩いて村の漁港まで向かう、敵の艦影は見えないが、住民の避難が終わった村は静まり返っている、既に誰も居ないようだ。
「勇者様は寝てたから知らないでしょうけど、ついさっき避難する村の皆とすれ違ったのよ」
「そうか、で、王都に向かったんだな」
「ええ、念のためババールさんに体力の回復薬を譲っておいたわ」
「もしかして賞味期限切れてるやつ?」
「なわけないでしょ、ちゃんとしたものよ!」
とにかく避難が完了しているのであればそれは良いことだ、あとは村の建物等に対する被害を最小限に抑えながら戦うことを考えるだけだな。
とはいえ火炎放射を喰らったらこんな所あっという間に灰燼に帰してしまう、それだけはどうにかして避けたいところである。
「そういえばドレドの船はどうしたんだ? というか他の漁船なんかも見当たらないな」
「船は全部港の内側に隠しました、私の船もそこにありますが、一番手前にあるので出そうと思えば出せますよ」
敵が上陸を試みるのは以前俺達が魔将スクイードと戦った辺りに違いない。
そこは沖に面しているが、船があるのはかなり湾奥の方らしい。
ちなみに敵軍が火を拭く筒を使うという情報を受け、船だけでなくあらゆる可燃物を山の方に移動させてあるそうだ。
燃える可能性があるのは建物だけということになるが、それは移動出来ないからもう仕方が無いであろう。
「状況はわかった、とりあえずコテージに戻ろうか、今夜からは交代で海の見張りをしよう」
「そうね、ちょっとお腹も減ってきたし、お昼ご飯にしましょうか」
コテージで昼食を取り、風呂も沸かす。
敵が到来するのは早くて明日の朝であるとの情報が入っているらしい。
もちろん俺が寝ている間に、早馬で馬車に伝えられたそうだ。
「さて、風呂へ入る前にちょっと海が見える高台を探しておきたいな」
「ここでロマンチックを求めてどうするのよ?」
「違うぞセラ、安全な所から敵軍を監視するんだ」
「あ、それならちょうど良い場所がありますよ、ここから近いですし、今から見に行きますか?」
「うむ、すぐに行こうか」
メイはこの村に住み着いているため土地勘がある。
港全てを見渡せる高台を知っているらしい、早速メイに付いてコテージを出、そのポイントへと向かう。
「ここです、湾奥以外は全て見渡せる絶好のスポットなんですよ」
……すぐ裏の山を登った所であった、うん、海が良く見えて実にロマンチックだ。
「じゃあ今晩は交代でここに来る感じだな、後で見張りメンバーを決めよう」
「勇者様、ついでにリリィちゃんの発着所も探しておきましょ」
「おう、そうだな、ここは攻撃の拠点にもちょうど良さそうだ」
辺りを探し、開けた場所を見つける。
生えていた雑草などを刈り落とし、ついでに石なども除去しておいた。
随分簡単であるがこれで臨時の飛行場が完成したのである。
コテージに戻り、次は見張りの順番決めだ……
もちろん明日早くから攻撃に出る可能性があるセラとリリィ、それから確実に途中で居眠りするカレンは除いた。
アイリスやデフラなど、魔物に襲われたときに戦えない者も除外だ。
「面倒だからくじ引きにしようぜ、3人1組で3グループに分けよう」
「メイちゃんとハンナちゃん、それからドレドちゃんも入れると3人余るようだけど」
「運の良い3人は免除だ、そんなに何度も交代する必要はないだろうからな」
アツいくじ引きが執り行われた……こんなの精霊様が免除組に入ることは容易に想像出来たのに、それを考慮に入れなかったのは俺の失敗だ。
「じゃあ最初はミラ、マリエル、ユリナだな、夕食後風呂に入ったら行ってくれ」
その次はジェシカ、メイ、ハンナ、そして最後に当たってしまった俺はルビア、マーサと一緒である。
免除はサリナ、精霊様、ドレドの3人だ。
なお、サリナが幻術で不正をしていないことは確認済みである、誰もが疑っていたからな……
馬車から食材を持って来て夕食にし、その後風呂に入った。
俺達が布団の準備をしているところで最初の見張り番であるミラ達が出て行く。
まぁ、おそらく敵が来るとしたら俺が当番の時間だ。
最初の3人は特に気を張らずにやって欲しい。
俺が起こされるのは夜中か、さっさと寝よう……
※※※
「……起きて、勇者さん起きて下さい」
「何だハンナ、もう交代か?」
「ええ、3人共起きなくて困っていたんですよ」
そういえば俺と組むのはルビアとマーサであった、起きない奴らの代表格である。
馬鹿面で寝ていた2人を叩き起こし、フラフラと高台へと向かった。
「ふぁ~っ、眠いですご主人様……」
「おいお前ら、居眠りしやがったら尻を抓るからな、覚悟しておけ」
「じゃあもしあんたが寝たら捻り潰してやるわ」
「怖いこというなよ、起きたらプレス加工されてたなんて笑えないぞ」
「なら居眠りしないことね」
そう言っていたマーサが一番最初に脱落した。
でも寝顔が可愛らしいのでしばらくこのままにしておこう。
しばらくするとルビアも人の膝を勝手に枕にして寝息を立て始める。
結局こうなるのか、だがどうせまだ暗い、ルビアもそのまま寝かせておいた……
「ん……あら? 寝ちゃってたわね、もう明るくなってきているじゃないの」
「おはようマーサ、良く寝ていたな」
「珍しいじゃないの、抓って起こさなかったなんて」
「今から抓るんだよっ!」
「いたぁぁっ! ごめんなさぃっ!」
マーサの叫び声でルビアも目を覚ました、こっちも思い切り尻を抓って目を覚まさせる。
「いててっ、で、結局敵は来なかったんですね?」
「うむ、誰かさん達とは違ってずっと見ていたんだけどな」
そこへ朝日が昇ってきた、辺りは徐々に明るさを増していく……水平線にごく小さな黒い点がいくつも見えるのは俺だけであろうか?
「2人共、ちょっと良く見てくれ、あれって敵の船団じゃないか?」
「……そうみたいですね、もしかしたら鳥が飛んでいるだけとカかも知れませんが」
「あ、私ちょっとリリィちゃんを起こしてくるわね」
「そうだな、リリィの視力なら見えるだろうし、あとついでにセラも連れて来てくれ」
セラとリリィが居ればそのまま攻撃に移ることが可能だ。
その2人を起こして連れて来るのが正解であろう。
それに了解したマーサ、木々の隙間から僅かに見えていたコテージの屋根目掛けてジャンプする。
身体能力が高いのは良いが、着地でどこか破損させたりしないで欲しい。
何やら大きな声が聞こえ、数分後には眠そうなセラと、完全に寝ているリリィを背負ったマーサが戻って来る。
「おはよう勇者様、敵が見えたんだって?」
「おはよう、そうだと思うんだがな、ちょっとリリィに見て貰わないとわからんぞ」
なかなか起きないリリィではあるが、マーサが秘策を用意していた。
馬車から干し肉を一枚持ち出していたのである。
それをリリィの口元に近付ける……パッと目が開き、マーサの指ごと齧り付いたではないか。
本当に食欲だけは旺盛なドラゴンだ……
「リリィ、食べながらで良いからあれを見てくれないか」
「ちなみに私の指は食べないで欲しいのだけど」
「ほひっ、ふぅ~ん、ふへははふはんひはふよっ!」
「ゴメン、食べ終わってからで良いや」
リリィが分厚い干し肉を平らげるまで待つ、よく考えたら寝起きで凄いもの食べていやがる。
「うん、美味しかったです!」
「よし、じゃあもう一度あれを見てくれ」
「船が沢山、こっちに来ていますよ、あの鉄のやつですね」
セラと顔を見合わせる、敵襲ですな……
「来ているのはわかったけどあれじゃちょっと遠いわね、リリィちゃんが疲れるだけよ」
「だな、もう少し待とうか、一応皆を起こそう」
一旦コテージへ戻り、全員、いや、精霊様を除く全員を叩き起こす。
精霊様だけは恐ろしいのでそのまま高台まで運んだ。
ミラとアイリスは朝食を作って持って来てくれるとのことである。
ジワジワと大きさを増す水平線の黒い点、完全に日が昇った頃、ようやく俺にもそれが船であると認識できる距離となった。
朝食が来たのでそれを食べながらその姿を眺めておく。
早めに食べ終わった攻撃部隊であるセラとリリィが謎の準備体操を始めている。
2人共飛び跳ねているが、残念なことに揺れるようなおっぱいは持ち合わせていないようだ……
「さ~て、そろそろ行くわよ!」
『準備OKです!』
リリィがドラゴン形態に変身し、いよいよ出撃のときがきた。
もう一度、攻撃に入る角度を確認し、飛び立っていく2人、敵船団はかなり近くまで迫っている……
「攻撃が始まったみたいね」
「精霊様……いつ起きたんだ? ちなみにご飯あるよ」
「あら、じゃあ最高のショーを見ながら頂くことにするわ」
仲間が戦っているというのにショー扱いである。
今度精霊様が戦うときには酒でも飲みながら観戦してやろう。
などと考えていると、敵船団から最初の火柱が上がった。
次も、その次も同様に炎上していく。
上手くいっているみたいだな、艦橋だけでなく甲板にも火が回り、燃料に引火して爆発しているようだ。
30回程攻撃を繰り返したところでこちらへ向かって飛び始めるリリィ、高度を取っているためか敵の反撃はまるで届いていない。
ちなみに、欲張りのセラは帰りにも落雷攻撃で何隻か撃沈している。
「おかえり、実際に攻撃してみた感触はどうだった?」
「思ったより侵入角度が広くて簡単だったわ……でも凄い数の敵よ、前回よりも遥かに多いわ」
「ふむ、さすがに上陸阻止は無理そうだな」
セラ達が炎上させたのはかなり手前、既にそれが共和国の鉄船であることを確認出来る程の距離にあるものだ。
その後ろにはまだまだ大量の船、というか未だに水平線の黒い点は新たなものが出現し続けている。
一体どうやってあそこまでの数を揃えたというのだ?
とても人族のみの力で成せる業ではない。
「さて、先制攻撃はこれで終わりだ、あとは敵が上陸して来てからの戦闘になるぞ」
「村の建物はどうなるんでしょうか……」
「もうここには誰も居ないんだ、敵がそれに気付いて無駄な攻撃を避けてくれることを祈るしかないな」
「うぅ~っ、あっ! 誰も居ませんって看板を立てておきましょう!」
「どんだけ怪しいんだよ、逆に攻撃されるわ!」
「……確かに」
そのまま高台で敵の動きを監視していると、街道を抜けて何人かの兵士が現れた。
王国軍の兵士だ、馬に乗っているということは偵察か?
精霊様に頼み、俺達がいる高台へと誘導する。
やはり先回りしていた兵であった、俺達との接触が目的であったらしい。
「報告します! 王国軍1万、ここから北へ5km、街道沿いの平野にて陣を張っております!」
「了解した、じゃあ俺達はそっちへ合流しよう、ここの見張りは任せられるか?」
「ハッ! 命に代えてもこの高台を死守致す所存にございますっ!」
「うん、いや、何か違うでしょ」
兵士達には敵が上陸したら伝えるようにと告げてその場を離れる。
コテージの前に停めた馬車に乗り、王国軍の陣地を目指した……
※※※
「勇者よ、ご苦労であったの、ここからも立ち上る煙が見えておったぞ」
「だがな、前にも増して凄い数なんだよ、上陸して来るのはもう確定だろうな」
「うむ、しかしこの村から出る道はこの街道しかないでな、敵に迂回されることもない、ここで迎え撃つのじゃ」
今回の総大将はやる気満々の総務大臣である。
手違いで王都が攻められる可能性も考慮し、王族はマリエルを除いて全員残ったそうだ。
万が一があれば篭城するつもりらしい。
「ところで勇者よ、おぬしの兵が待っておるでな、今すぐ行ってやると良い」
「またあの熱血補佐官が居るのか?」
「今回はおらんので安心せい、負傷して離脱した者の分も補充しておいたでの」
「おう、助かるよ、じゃあウ○コしたらすぐに行くわ」
「本当に緊張感のない異世界人じゃの……」
今回、俺達はかなり後列に配置されているようだ。
前列には知らない貴族達の部隊が鼻息を荒くして並んでいる。
手柄に飢えた野獣のようだな。
まぁ、アツいのは構わんが、火炎放射を浴びるとリアルにアツいから注意して欲しい。
そこへ、先程高台に置いて来た兵士の1人がやって来る。
馬に乗ったまま全軍の前に立ち、叫び声を上げた……
『申し上げます! 敵軍が上陸、村を素通りしてこちらへ向かっています! その数は不明ながら10万を超える予想!』
10万とは大層な数である、あの鉄船1隻に100人乗れるとして、それでも1,000隻は必要だ。
それが全部上がって来ると考えるとかなり恐ろしい。
「敵の方が重装備だし、ここで止めるのはキツいだろうな」
「だが主殿、その分進軍が遅くなる、退きながら奇襲中心で戦っていけば王都に着く頃には半減させられそうだぞ」
「それでも半減か……出来ることなら消滅して貰いたいところなんだがな……」
そろそろ敵が来るか、と思ったがやって来たのは先程とは別の騎馬兵、何やら凄く焦っている様子だが、ウ○コでもしたくなったのであろうか?
『報告ですっ! 敵は兵員5,000程を降ろしたところで上陸を停止、東に転進しています!』
どういうことだ? まさかここって陽動ですか?
東ということはこの間の半島の方角だ、本命はそちらということか。
ちょっとババァの所へ行こう、今後について相談だ……
「おい、どうするよ? まんまんと嵌められたぜ」
「しかし5,000は上陸しておるのじゃ、それを止めんとならん」
「う~む、確かに、じゃあそれが終わったらすぐに……」
金色の鳩が飛んで来た、例の伝書鳩だ。
というか鳩ってこういう意味のわからん所にピンポイントで来てくれるものなのか?
「むっ、漁船に化けておる偵察船からじゃ、何じゃろうな?」
「海賊に襲われて負けたとかだったらウケるな」
「馬鹿を言うでない、どれどれ……ふむ、これは拙いぞ!」
「どうしたんだ?」
「敵の最後列のみが未だこちらへ向かっておるらしいのじゃ」
つまり、今から来る5,000、それから帝国側の半島へ向かった大軍、そしてさらにもう一度ここから敵が上陸して来るということか……
俺達がここに居ればおそらく帝国がやられる、そこまで軍事力が回復していないはずの帝都も落ちてしまうはずだ。
そして、半島側に移動してしまえば次の上陸部隊は王都へ一直線だ。
かなり拙い状況になってしまったといえよう。
「う~む、軍を2つに分けるか?」
「そうじゃな、じゃがまずは今から来るのと戦ってからじゃ、その後で移動組と残留組に分けようぞ」
「だな……おっと、そう言っている間に敵さんがお出ましだぞ」
現れた敵軍は雑魚の非正規兵7対正規兵3ぐらいの混成部隊である。
やはりこちらは陽動、正規兵の多くは半島側に回ったに違いない。
そして次にここへ来る上陸部隊も非正規兵が中心であろう。
そちらは第二の本命になるはずだし、噛ませ犬はこいつらだけと考えるのが妥当だ。
『攻撃開始! 敵が持つ筒の後ろにある箱を狙うのだっ!』
敵がこちらの存在を確認し、火を吹く筒の準備を始めたところで前列の兵が一斉に火矢を射掛ける。
炎上する敵軍、消火しようとせずに逃げ回っているあたり、やはり相当に練度が低いようだ。
数少ない正規兵のみがこちらに矢を放っているが、燃え盛る炎に阻まれて近付いて来ることは出来ないらしい。
「俺達も前に出よう、一気に片付けるぞ!」
パーティーメンバーを先頭に、500人の部隊を引き連れて前進する。
精霊様が水で消火しながら突破口を作り、敵陣に食い込んで正規兵のみを狙って攻撃していく。
セラの風防で矢を退け、聖棒を使って敵を薙ぎ払う。
無様に死んだ正規兵を見た非正規兵達は、我先にと武器を捨てて逃げ出している。
敵が移動式の弩を降ろしていなかったことも幸いし、5,000居た上陸兵はあっという間に片付いた。
というか逃げ出したのがほとんどであるが……
「よし、逃げ出した奴を惨たらしく殺すんだ、次に来る敵への見せしめにするぞ」
「そんなのでビビッてくれるような連中が来るようには思えないけど、まぁやるだけやっておきましょ」
戦闘があった場所から離れようと必死で走る敵兵を追い掛け、殺害しては引き摺って街道近くに戻すと、軍の連中がそれを串刺しにして恐怖のオブジェを作る。
どれだけ屈強な兵士であってもこれを見たら少しは恐れることであろう……
「勇者様、指揮官は集合だそうですよ」
「わかった、すぐに行くよ」
総務大臣の所へ行き、これからの戦いに向けた作戦会議を行う。
やはり軍を2つに分けるというのは規定路線のようだ。
今はその割り振りが話し合われている。
「ではアレじゃ、半島に向かうのは勇者パーティーを除いた全軍、とうことで良いかの?」
「もう異議しかないんだが、どうして俺達だけ置いて行かれるんだよ?」
「撤退しながら奇襲を行うのじゃ、少数精鋭が望ましい、で、おぬしらであればどうにかなるじゃろうと思っての」
「戦死したら祟ってやる……」
「おや、腕の良い拝み屋を雇っておかねばならんの」
ニヤニヤするクソババァ、別に死なないとは思うが、どれだけ上陸してくるかわからない敵を迎え撃つのはリスクが高い。
ましてや上手いこと数を減らしていかないと王都を包囲されてしまうおそれがあるため、そこまで慎重に闘うことも出来ないのである。
厄介な役回りを押し付けられてしまった……
「で、そっちはどこへ行くんだよ?」
「ふむ、半島の付け根より内陸、帝国領内の砦へと向かう、そこで篭城戦になりそうじゃ」
敵軍はあと数時間もすれば半島の先端に上陸を始めるはずだ。
港町に残っている駐留部隊だけではどうしようもない数であろうし、もう一度半島を捨て、今から行っても十分に間に合う内陸で迎撃するのが得策と判断したらしい。
「わかった、こっちが片付いたら追い掛けるから、当地の地図だけ渡してくれ」
「ほい、これじゃよ、途中で道草を食わずにまっすぐ来るんじゃぞ」
地図を受け取り、出発して行く軍を見送る。
敵の第二波は夕方以降になりそうだとの報告があったらしい。
大軍ではないことを祈っておこう……




