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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第二章 初めての大魔将戦
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159 大魔将の城へ

「おかえりなさい、というかいらっしゃい、というか、何なんでしょうね?」


「ただいま、というかいらっしゃいました、というか、何なんだろうな?」



 トンビーオ村に着いた俺達は、現地に残っていたメイ、ドレドと不思議な挨拶を交わす。


 大魔将との戦いではここが拠点だから帰って来たというのが正しいが、本来の拠点は王都である。

 こちらにやって来た、というのもまた正しい表現なのだ。



「で、この1週間で何か変わったことはあったか?」


「そういえばユリナちゃん達の親戚の子が一度来ましたね」


「エリナか、何をしに来たんだ?」


「忘れ物を届けに、えっと……あった、これです」



 ボロボロの布、広げてみると見覚えのある、使い古されたローブであった。



「おいルビア、そういえばお前ダンジョンのボス部屋で新しいローブに着替えたよな」


「ええ、着替えましたね、素っ裸になって」


「で、脱いだものはどうした?」


「……そこに置いたままでした」


「このっ、大馬鹿者がぁぁっ!」


「ひぃ~っ」



 大馬鹿ルビアをデコピン200回の刑に処した後、コテージに荷物を置き、しばらくまったりしておく。



 およそ1時間後、アイリスが立ち上がって夕食の準備をメイが制止し、準備に取り掛かる。



 今日はなんとシーズンオフ直前の牡蠣を食べさせてくれるらしい。

 パンッと殻の爆発する音が響き渡る、磯の良い香りが漂ってきた。



「なぁメイ、せっかくだから生牡蠣も食べたいんだが……」


「あ、ごめんなさい、この牡蠣は村のすぐ近くで取れたものなので加熱用です、生食すると呪われてしまいますよ」


「そうか、それは仕方が無いことだ、ま、焼き牡蠣も十分に美味いさ」



「ご主人様、この貝に呪われるとどうなるんですか?」


「良いかリリィ、牡蠣に呪われるとな、それはもう気持ち悪くなって腹が痛くなって上から下から……(お伝え出来ない内容です)……ってことになるんだ」


「怖いですね」


「ちなみにこの呪いはすぐ人に伝染る、1人喰らったらパーティー全滅もあり得るんだよ」


「ひぇぇっ」


「まぁ、しっかり火を通せば大丈夫だ」



 というか異世界でも呪い、じゃなかったノロウイルスは健在なんだな……



 焼き上がった牡蠣をつまみに酒を飲む。

 甘い酒も良いがビールらしき酒も飲みたくなる味だ。



「勇者さん、まだ大魔将様の城には入れないんですよね?」


「そうだ、野郎ビビッて防御魔法のすげぇのを張りやがってな、まだ3日後まではダメなんだ」


「では明日は生で食べられる牡蠣を仕入れておきますね、安全確認済みのやつ」



 実に有り難い話だ、明日の夕飯には期待しておこう。

 でもな、植物しか食べないマーサがちょっとかわいそうだ。



「メイ、マーサ用にも何か美味しく食べられそうなものがないか?」


「そうですね……海苔に小麦粉の衣を付けて揚げてみましょうか」


「おう、それは良さそうだ、ぜひやってくれ、マーサも食べたいよな」


「ちょっと美味しそうね、あとこのめかぶってのもそうして欲しいわ」



 何というか天ぷらのようなものである。

 これならマーサも食事を楽しむことが出来るであろう。



「あ、ついでにこんなのはどうですか? 昆布とお酢で大根を浸けてみました」


「漬物ね、こっちは俺達も頂きたい、多めに作ってくれると助かる」



 トンビーオ村は小さな村だが、王都に引けを取らない程に食材が充実している。

 特にここでしか手に入らない貝や魚、そして海藻などは絶品だ。



 長くなるであろう大魔将との戦いを支える食事については、きっちり考えて力とやる気の出るものをチョイスしていこう。




 翌日は生牡蠣と海苔やめかぶの天ぷら、そしてその翌日は刺身などを堪能し、あっという間に3日が経過した……



 ※※※



「さて、今日はいよいよ大魔将アクドスの城に突入するぞ!」


「武器良し、防具良し、消耗アイテムも持ったわ、今日は魔物捕獲用の檻は持って行かなくても良いかしら?」


「うむ、それは大魔将討伐後にしよう、別に城主を倒したからといって城や洞窟がどうにかなるわけではないだろうしな」



 ということで、今回は戦うための装備のみを持ってドレドの船に乗り込んだ。

 島に着くと怖がりのハンナを残し、10日ぶりのインターフォンを押す。



『はぁ~い、今行きますねっ!』



「お待たせしましたっ! おはようございます、勇者パーティーの皆さん」


「おはようエリナ、早速城の入口まで転移してくれ」


「はい、先程防御魔法の効果が切れているのは確認しましたから、着いたらすぐに突入出来るはずですよ」



 全員でエリナの周りを囲み、転移の光に包まれる。

 視力が戻るとそこはダンジョンの出口、全く便利なものだ。


 さて、前回はここで見えない壁に弾かれ、前に進むことが出来なかったわけだが、今回はどうであろうか?


 ゆっくりと右足を前に差し出す。

 俺の足はダンジョンを抜け、土の地面に着地する。



 これが大魔将の城への第一歩。

 小さな一歩だが、アクドスにとっては死へのカウントダウンの始まりとなる大きな一歩だ。



「ちょっと勇者様、そんな所で感傷に浸っていないで早く進んでちょうだい、邪魔よ」


「へいすんません」



 入口を塞いでいた俺はセラに怒られてしまった。

 小さな第二歩、第三歩を踏み出し、城の建物へと向かう。


 ちなみにエリナは既に居なくなっている。

 大魔将の所へ行って侵入者アリの報告をしなくてはならないらしい。



「城の扉は鍵が掛かっていないようだな、半開きだぞ」


「本当に無用心ね、お宝が無いってことかしら?」


「お姉ちゃん、それなら私は帰るわよ」



 ミラは何をしに来たつもりなのであろうか。

 俺達は勇者パーティーであって盗賊ではないのだよ。



 半開きの扉を全開にして中へ入る。


 薄暗いもののしっかりと明かりは点いているようだ。

 中には甲冑や壷など、典型的な城の装飾品が飾られている、あまり価値は無さそうだがな。



「おいおい、いきなり階段が6つもあるぞ」



 縦2列、横3列に並んだ上り階段、このうちどれかが正解で、それを選べば先に進むことが出来るのであろう。

 他はヤバいトラップに違いない。



「ご主人様、右奥が正解ですよ」


「ちなみにルビアさん、根拠の方は?」


「なんとなくです」


「役立たずめ」



 とはいえ最初は全く手掛かりがない状態である、カレンやマーサも臭いで敵の通った道を追跡することは出来ないそうだ。

 だろうな、至る所に便所の芳香剤が置いてあるからな。



 ここはルビアのインスピレーションを参照して進むしかなさそうだ……



 意を決して、右奥の階段を上る、ちょうど真ん中辺りまで登ったところで異変……何か地響きがしませんか?



「あっ! 危ないわよっ!」


 当然、かどうかは知らないが、とにかく巨大な丸い岩が階段の上から転がって来た。

 これはもうお約束ですね。


 セラの風防と精霊様の水壁で岩の勢いを殺し、ミラとマーサが受け止める。

 カレンとジェシカが反対に回り込み、徐々に岩を砕いて小さくしていく。


 最終的には粉々になった大岩、こんなものを上から転がすなんて、怪我をしたらどう責任を取るつもりなのだ大魔将め……



「ルビアの勘はハズレだったな」


「あぁ~、残念でした、じゃあ次はセラさんが予想して下さい」



 リレー方式なのか? そしてまた外しそうな奴を選んだものだな。



「う~ん、なら私は左の手前ね、ここが正解のはずよ」


「根拠は?」


「無いわよそんなもの」


「開き直るんじゃないよ」



 セラの尻をビシッと1発叩き、左手前の階段を進む。

 ……魔物が雪崩の如く襲い掛かって来たではないか、言わんこっちゃない。



 魔物はおっぱ犬やパンツオフスライムなど、洞窟ダンジョンと似たような連中のようだ。

 しかしどうやらここのは一回り大きいようだな、そしてその分強いらしい。



「しょうがないな、とりあえず全部倒すぞ」


「勇者様はこういうエッチな魔物には狙われないからお得よね」


「バレたか、でもちゃんと戦うから勘弁して……痛い、おい、攻撃されたぞ!」



 何だか知らんが空を飛ぶ虫のような魔物に頭を攻撃された。

 小さすぎて気が付かなかったが、結構な数が居て、しかもそいつらはすべて俺を狙っているようだ。



「それはウスラハゲロウね、ターゲットの髪の毛を全部抜いてハゲにするまで攻撃を続けるわよ」


「ヤバすぎるだろぉぉっ! 誰か助けてくれぇぇっ!」



 ウスラハゲロウは30体近く居るようだ、俺だけ追い掛け回されている。

 聖棒を振り回して応戦するものの、小さいためなかなか撃墜出来ないではないか。



 そのうち他のメンバーは自分の周りに居た魔物を倒し終え、逃げ惑いながら懸命に応戦する俺を指差して笑っている。

 助けてくれても良いと思うのだが?



 5分程走り回ったところで、ようやく最後の1体が聖棒の餌食となる。

 俺の髪の毛は50本ぐらい抜かれてしまったようだ、あと何本残っているのであろうか……



「全く、どうしてあんな恐ろしい魔物がこの序盤に配置されているんだよ」


「主殿、他の敵も大概恐ろしいと思うぞ」


「うむ、違いねぇ」




「さて、じゃあ次はリリィちゃんが階段を選ぶのよ」


「え~っと、真ん中の奥が良いです!」



 根拠は、と聞こうとも思ったが、リリィの楽しそうな表情からはそんなものは覗えない。

 指定の階段は半分程進んだ所で、バタンと倒れスロープになってしまった。



 これもお約束ですね、滑り落ちる俺達、下はいつの間にかダメージ床に変わってるではないか。



「あぎゃぁぁっ! あだっ! ぎゃん! ちょっとっ、あっ、もうっ、いったいわねぇっ!」



 ここで犠牲になったのは一番後ろに居た精霊様である。

 1人だけダメージ床に墜落し、他のメンバーはその体の上に着地して難を逃れた。


 誠に尊い犠牲であったな、当然怒り狂う精霊様であったが、後で良い酒を買ってやると言ったらすぐに機嫌を直す。

 どれだけチョロいというのだこの精霊は……



 次の階段はミラが選び、矢の雨に襲われる。


 その次、最後の2択となったところをきっちり外すマーサ、階段ごと爆発した。



「結局全員外してんじゃねぇかっ!」


「ご主人様、動かないで下さい、回復魔法が無駄になります」


「おっと、すまんすまん、しかし最後は当然当たりだよな、もう階段は1つだけだもんな」



 全員の治療を終えたところで最後の階段を進む……罠は発動しなかった、やはりここが正解か。


 上り切ったところで2階の真っ暗な部屋に出る。

 武器を構え、慎重に前進して行く……



「ご主人様、壁に張り紙がしてありますよ」


「そうなのか、暗くて良く見えないぞ、リリィは読めるのか?」


「え~、は・ず・れ、だそうです」


「へっ?」



 その瞬間、地面が崩落した。


 まっさかさまに落ちて行く俺達、なんと元の6階段フロアに戻されてしまったではないか。

 しかも治したばかりだというのに全員漏れなく大怪我をしている。



 再びルビアの治療が始まった、もうね、ウンザリですよ……



「しかし6つの階段が全部ハズレなんて、これじゃ前に進めないぞ」


「でもご主人様、あっちに小さなドアがありますよ」


「マジかよっ! 本当だ、もしかしてあの地味なのが正解ルートなのか?」



 先に治療を終えていたミラがドアの所まで行き、開けてみる。

 突き当たりの壁に『おめでとう』と書いてあった。


 ふざけんじゃねぇよっ!



「やれやれ、とりあえず先へ進もうか」


「そうね、次のエリアもトラップに注意しないとだわ」



 ドアを潜って通路に出る。

『当たり』の張り紙に蹴りを入れて先へ進んだ。



 しばらくするとかなり広い部屋に出る。

 そして部屋の中には3mはあろうかという巨大な甲冑が5つ飾ってあった。




「勇者様、これってやっぱり……」


「まぁ、襲って来るパターンだよな、ほら、動き出したぞ」



 まるで油を差していない機械のようにギリギリと音を立てて動き出す甲冑。

 槍だか斧だか良くわからん武器を構え、こちらへ向けてくる。


 ちなみに、索敵には反応していないものの、この5体が上級魔族であるということは確認出来た。


 うち1体が先頭に立ち、残りの4対が後ろに控え、2体ずつ並んでいる。

 武器は俺の聖棒やマリエルの槍よりも遥かに長い・



「セラ、ユリナ、ちょっと魔法で攻撃してみてくれ」



 パパッと風魔法、それから威力を抑えた火魔法を放つ2人。

 それぞれ一番手前とその左に居る甲冑に直撃した。



 まるで効いていないようだ、どうやら魔法が効き辛いタイプの敵のようだな……



「じゃあマリエル、俺達で鎧の隙間を狙って攻撃するぞ」


「わかりました、ではっ!」



 2人で同時に飛び出す。

 狙ったのは最後列右の甲冑、その首辺りを狙って突きを加える。



 それと同じタイミングで敵も攻撃を始めた。

 手前の奴の攻撃をミラが受け止め、その脇腹にジェシカが剣を叩き付ける。



 俺とマリエルが攻撃した1体はその場に倒れ付すも、ミラとジェシカが相手をした奴はまだ余裕で立っているようだ。

 甲冑自体はかなり凹んでいるのにな……


 だが、それに皆で追撃を加えている余裕は無い。

 残りの3体が一斉に後衛を狙って動き出したのである。



 カレン、マーサがそれぞれ1体引き受けるものの、敵の大きさゆえかそれで手一杯。

 最後の1体がそのまま俺達の陣へ食い込む。



「ちょっとっ、こっちへ来ないでよ、そこで死んでなさいっ!」



 精霊様の放った水鉄砲が甲冑の腹に直撃する。

 吹き飛ばされる甲冑、あっという間に元の位置よりも後ろへ下がり、地面に墜落した。



「カレン、マーサ、お前らは1人で倒せそうか?」



「う~ん、ちょっと硬すぎです……」

「私も無理よ、見て、鎧はこんなにボコボコにしたのに、中身はケロッとしているわ」



 敵ののろまな攻撃をひょいひょい避けながらそう言う2人、確かに正確に鎧の隙間を付いた1体以外はまだ動いている。


 ジェシカが剣で薙ぎ払った奴も、精霊様が水で弾き飛ばした奴も、もう完全に復活したようだ。



「ミラとジェシカは突きで攻撃するんだ、カレンとマーサはその2体を引き受けていてくれ!」



 俺とマリエルは先程精霊様が弾き飛ばした1体に狙いを絞り、もう一度首の隙間を狙った攻撃を仕掛ける。



 ガツンっと入った聖棒と槍、1体目のときには気が付かなかったが、甲冑の中はブヨブヨとした手応えだ。

 何らかの生物が入っているのは確かであろう。



 そしてもう1体、今度は一番先頭であった奴の両肩に、ミラとジェシカの剣が突き刺さる。

 ビクンっとなって動きを止める甲冑、そのまま蹲った。


 ようやく生物らしい反応が出てきたな……



「あっ、ご主人様、急に敵の動きが遅くなりましたよ!」


「こっちもよ、まぁ元々かなり遅かったのだけど」



「そうか……てことはこの先頭の奴が親玉で、あとの4体はその支配下ってことか?」



 敵の動きが遅くなったというのはミラとジェシカが攻撃した直後であった。


 俺とマリエルが倒した2体の時にはそういった変化が無かったことを考えると、おそらく何かが繋がっているのはコイツだ。



「マリエル、ちょっと両脚の付け根を狙ってみよう!」


「わかりました、ていやっ!」



 2人同時に左右の脚の付け根、その甲冑の隙間を狙って武器を刺し込む。

 蹲っていた敵はもがき苦しみ、仰向けに倒れてしまった。



 それとタイミングを同じくして、後ろで先頭不能に陥っていた2体がガクンと反応する。

 やはりか、何かコイツと関連があるようだな。


 そしてその関連は残りの4対がそれぞれ両腕と両脚だ……



 ミラとジェシカもそれに気付いたらしい、倒れてもがく敵を狙い、執拗に肩、そして肘や籠手と、腕を中心に何度も攻撃を繰り返す。


 やがて、カレンとマーサが相手をしていた2体の甲冑はその場に倒れ込み、動かなくなった。



「さて、コイツももう起き上がれはしないだろうな、ちょっと顔を見てやろうぜ」


「じゃあこの兜を外しますね、こんなの売れそうにないので要りませんが、一応貰っておきましょう」


「ミラ、荷物が増えるから捨てておけ、そんなのゴミの日には出せんぞ」



 何でもゲットしておこうとするミラを制止し、とりあえず兜を外させた。

 中は人間タイプの魔族……しかも結構可愛い女の子ではないか!


 髪は黒で長く、肌の色は俺と同じぐらいだ。

 西洋風の甲冑から出てきたにしては和風すぎる風貌である。



「あの、もう降参です、殺さないで下さい!」


「というかたぶんお前は死なないタイプだと思うぞ、で、他の甲冑も女の子が入っているのか?」


「いえ、残りはその辺にあった魔物の死体とかを合成して、それを私が操っていただけです、中はキモいので見ない方が良いですよ」



 とは言うものの、一応精霊様が倒れていた1体の兜を外す。


 ……ニヤニヤしているということは相当グロテスクな何かが入っていたのであろう。

 俺は見ないでおいた方が得策のようだ。



「さて、お前はもう戦う意思がないんだな、だったらその甲冑を全部脱がすぞ」


「ええ、構いません、だからもう攻撃しないで下さい」



 攻撃は加えないと約束し、全てのパーツを外す。

 中は薄着のようだ、聖棒や伝説の武器で攻撃したせいか、腕や脚はもうグチャグチャである。



 ルビアに頼んで治療だけ済ませた後、魔力を奪う腕輪を嵌めさせ、そのまま縛り上げた。



「さて、この子はどうしようかしらね?」


「連れて行くわけにもいかないからな、一旦はここに放置しよう、どこかのタイミングで回収するんだ」



「それじゃ、この柱に繋いでおきましょう、ちなみにあなた、逃げたらどうなるかわかっているわよね?」


 必死で頷く魔族の和風美人、どうやら俺達に敵わないことはもう承知のようだ。



 この先で大魔将を討伐し、その帰りにここへ寄って連れ帰ることに決め、本人にもそのように伝えた。

 納得してくれたようなのでそうしよう。


 で、ついでにこの先の情報も聞き出しておかないとな……



「おい、ここから大魔将の所まではあとどのぐらいあるんだ?」


「はい、ここがフロア2、大魔将様が居られるのはフロア6になりますから、あと3つこういうのをクリアすれば到着です」


「わかった、では俺達が戻るまで大人しくしておけよ」


「畏まりました」



 甲冑魔族の女の子をその場に置き、俺達は先へ進んだ。


 こんなのがあと3フロアも続くなんて面倒だ、どこかにショートカットの道はないものであろうか、いや、無いよな絶対。



 さて、続いてはフロア3である、ここには一体どんな仕掛けがあるのやら……

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