147 最後の魔将
「40万以上の大軍か、敵将が雑魚とはいえ骨が折れそうだな」
「主殿、骨の前に私の剣が折れそうだ」
「そんなとこで遊んでないで早く研いで貰って来いよ」
「うむ、そうしよう」
敵がここへ来るのは明朝ぐらいになるそうだ。
それまでは休憩な分けだが、ノーマンとの戦いのせいで装備品の損耗が激しい。
今は王都から呼び出された武器職人に俺達の装備を預け、応急的な修理をして貰っている。
これであと1回だけであれば戦い抜けるであろう。
「ねぇ勇者様、今日はどうせ暇だし、私とリリィちゃんで先行して敵を叩いて来ても良いかしら?」
「う~ん、俺は全然構わんが、一応駄王か総務大臣にも許可を取ってから行ってくれ」
そう告げて1人テントに戻る最中、リリィが飛び立っていくのが見えた。
ちゃんと許可が貰えたのか、それともセラが押し切ったのかはわからない。
テントではカレンがお昼寝していたため、適当に弄り回す。
しばらくそうしていると、セラとリリィが帰って来た……
「ただいまぁ~っ」
「おう、おかえり、どうだった?」
「イマイチだったわね、凄い大軍の前の方をちょろっと殺せただけよ」
「何だ、珍しく奇襲失敗か」
「ええ、軍勢の真ん中辺りに人質が多くて、とてもじゃないけど攻撃出来なかったわ」
なんと、ウラギールの城に立て篭もっている間だけでなく、こちらへ攻めて来るのにも人質ごと移動しているのだ。
どんだけビビりなのだイエスマンという奴は……
「それで、敵軍の構成なんかはどうだった?」
「え? 軍隊だったわよ、普通に」
「セラに期待した俺が馬鹿だったわ」
「馬鹿な異世界人ねぇ……」
まぁ良い、どうせ敵にはもう雑魚しか居ないのだ。
あとはどうやって人質を避けながら戦うかだな……
「ただいま、応急処置に出していた武器を回収して来ました」
「おう、ありがとう」
皆の武器や防具を持ったミラとジェシカも戻って来る。
特にこの2人のものが使用限界をとっくに超えていると診断されたらしい。
本人の強さと武器のグレードが合っていないとも言われたそうだが、それはそうでしょうね、としか言えない。
「じゃあ明日もし武器を失った者は一旦後方に退くことだな、最悪王国軍の予備を貸して貰おう」
「私はヒキタが使っていた剣も出しておいて良いか?」
「ああ、あれは上等な奴だったし、使っても構わんだろ、俺達が貰ったみたいな感じになっているしな」
「うむ、ではすぐ取りに来れるようにここへ置いておこう」
念のため馬車に積んであったヒキタの剣を取り出し、油を落としてテントの壁に立て掛けた。
今ジェシカが使っている両手剣よりもかなりグレードが高い品だ。
あんな奴にはもったいない剣であった、その一言に尽きる。
そこで食事が運ばれて来た。
食べる前に風呂を沸かし、布団も敷いておく。
明日は朝早くなりそうだし、早めに寝ることを心がけなくてはならない。
「今日はサンドウィッチだけじゃなくてスープも付いているのか」
「デスジャンヌ達がまだここに居る証拠ですわね」
「いや、実にありがてぇ、戦場でまともな食事が提供されるなんて夢のようだな」
ちなみに、王都に戻って買い食いするという発想は俺達には無い。
無駄に金がかかるからな。
食事を終え、風呂にも入り、体が温かいうちに布団に入る。
すぐに意識がどこかへ行った……
※※※
どこからかラッパの音が聞こえる。
目を開けるとまだ真っ暗だ、もうちょっと寝かせてくれよな。
「ご主人様、うるさいですよ」
「おいルビア、これは俺が屁をこいているんじゃないぞ、軍のラッパだ」
「あら、そうなんですか、ご主人様の寝屁の音とそっくりなのでてっきり……」
「どんな屁だよっ!」
どんどん大きくなるラッパの音。
いや、大きくなったというか他の奴も吹き出したようだ。
外に出てみると見える範囲で2人の兵士が金のラッパを口に添えているのが確認出来た。
「あいつだ、ぶっ殺そうぜ!」
「でもご主人様、敵軍も来ているみたいですよ、ぶっ殺すのはまずそちらを……」
「え? あ、本当だ、あれは起床ラッパじゃなくて戦闘準備だったのか」
紛らわしい、危うく真面目にやっているラッパの兵隊さんを殺害してしまうところだったぞ。
「ルビア、とりあえずテントに戻って全員叩き起こそう」
「……精霊様もですか?」
「う~む、それは危険だからやめておこう、機嫌が悪くなったら大変……」
そう言いかけたところで俺達の居たテントが爆発する。
まるで水道管が破裂したときのような光景だ。
やかましいラッパで強制的に起こされた精霊様がキレたらしい。
「あ~っ! もううるさいわねっ!」
「いやいや、水浸しなんですが、とにかく敵が来たみたいだ、全員起きろ」
さすがにこの状況である、図太いマーサ以外は全員既に目を覚ましていた。
「ミラ、カレン、2人でマーサを運ぶんだ、軍の前列に出るぞ」
俺が運んでやりたいところだ。
だが残念ながことに、俺と身長がマッチするのは今ここで眠りこけているマーサだけなのである。
ミラが頭、カレンが足を持ってマーサを運び、王国軍の最前列、敵と対峙している面に寝かせておいた。
何だか生贄みたいになってしまったな……
「おぉ、ゆうしゃよ、おぬしらはいつも一番最後じゃの、テントも爆発しておったし」
「しょうがないだろ、朝弱なメンバーが多いんだ、勇者パーティーは、で、状況は?」
「うむ、今敵の代表が前に出て何か話すじゃろうと思って待っておるのじゃが、一向に出て来んの……」
「そうなのか、スピーチ本番用のカンペでも失くしたんじゃないのか?」
「おぉ、ゆうしゃよ、その可能性は非常に高いといえようぞ」
「あの、ご主人様、それから人族の王様、勝手に納得しているところを申し訳ないですが、たぶんイエスマンは出て来ませんわよ」
「どういうことだユリナ?」
「アイツは人質から距離を取ったりしないんですの、絶対に密着していますわよ」
「……ヘタレじゃねぇか」
「おぉ、ゆうしゃよ、それでは明るくなるまで待とうぞ、今始めては人質の身が危険じゃしの」
「そうだな、誤爆は避けたいところだし、ちょっとこのまま待とうか」
まだあと2時間ぐらいは夜が明けないはずだ。
地べたに座り込み、セラやルビアと談笑しながら時間を潰した。
……ようやく空が白み始めてくる。
敵の姿も徐々に輪郭がはっきりし、どれが魔族で、どれが人質なのか判別が出来るようになってきた。
敵最前列は全て魔族のようだ。
そして、その後ろには2列に並ばされた人質の壁。
さらに後ろには人質をまばらに入れた魔族の部隊、これでは迂闊に攻撃出来ない。
「勇者様、一番奥に人質の塊があるわよ、というか昨日空から移動中を見たときもあんな感じだったわ」
「ああ、うっすらとだが見えるぞ、玉座に屋根付けてその上にも人質を乗せてやがるな」
俺から見えるのは巨大な玉座、その上にはかなりの数の人質。
どこかで見た物置のコマーシャルみたいになっている。
手前に人質、軍勢の中にも人質、そして大将を囲むようにして人質。
これはどうやって攻撃したら良いのかわからないぞ……
「おう勇者殿、ちょっと良いか?」
「ゴンザレスか、どうしたんだこんなに指揮官を集めて?」
「いやな、今決定があって、王国軍の方では飛び道具の使用を控えることになったのだ、それを伝えに来た」
「そうか、確かにそうしないと拙そうな状況だな、わかった、他のメンバーにも伝えておくよ」
「おうっ! 今回は完全な肉弾戦だ、見よっ、俺の筋肉が喜びに震えているのだよ!」
大胸筋がピクピクしている。
気持ち悪いものを見せないで欲しい……
メンバーの所へ戻り、攻撃魔法使用禁止の旨を伝える。
セラとユリナは不満そうであったが、ここは我慢して頂きたい。
「もうすぐに仕掛けるみたいだから配置に着こうぜ」
全員立ち上がり、武器を抜いて戦闘態勢を取った。
ここに至ってようやく目を覚ましたマーサ、状況が飲み込めないままフラフラとカレンの横に並ぶ。
あとは戦闘開始の合図を待つだけだ……
『攻撃開始~っ!』
「お、始まるみたいだぞ、じゃあセラ、ルビアの護衛を頼んだぞ」
「任せておきなさい」
今回はこちらが敵陣に向かって行く戦いだ、しかも攻撃魔法が使えない。
ゆえにルビアの護衛を後衛組に任せ、前衛と中衛は気にせず突っ込んでいくこととした。
ちなみに、サリナの幻術ぐらいは使っても良いかと思ったのだが、どうやらそこまで指向性が高くないらしく、人質までどうかなってしまうかも、とのことだったのでやめておいた。
「ご主人様っ! 前の方の敵には人質が混じってませんよ、どんどんやっつけましょう!」
「カレン、あまり前に出すぎるなよ、この魔族の列を抜けた先は人間の壁だからな」
「わかりました!」
しかし普通なら最前列にも人質を入れてくると思うのだが、どうしてここは魔族だけなのであろうか?
見た感じ後方に居る連中と変わった所はないのに……
「あっ! 今殺したの、前に私の軍に居た奴だわ、こっちはユリナの部下ね……」
「つまりマーサ、この最前列は他の魔将軍からの寄せ集めってことだよな」
「ええ、死なずに残っていた奴を掻き集めたみたいな感じね」
で、人質による防御が無い所に配置され、かつ戦闘開始と同時に戦わなくてはならないと。
どんだけ冷遇されているというのだこの連中は……
そしてそれゆえか、前列の敵には全くと言って良い程にやる気が感じられない。
「主殿、こいつら全然戦う気がないようだぞ、すでに顔が諦めている」
「というか反転して自軍に突撃している兵も居るみたいですよ」
「よほど不満が蓄積していたんだろうな、人質に危害を加えないと良いが……ちなみにお前らは大丈夫だよな?」
「ええ、勇者様が寝ている間にストレス発散していますので」
何をしているというのだ俺に……
とにかくこの前列のやる気の無さと離反により、その後ろにあった人間の壁にもうすぐ手が届く。
注意しないとここで人質を処刑して脅してきたり……しないようだ。
なんと、壁のすぐ後ろに居る連中も逃げ出したではないか。
そこへまばらに配置されていた人質もそのまま残して後退して行く。
「きっと前の連中ほど扱いが悪くてやる気が無いんだな、このまま進もう、人質の救出は軍に任せるんだ!」
人間の壁を越え、一気に敵陣中央に入り込む。
王国軍も、それから待機していたセラ達も前に出始めたようだ、ルビアの回復魔法がすぐ後ろを飛んでいるのが見えた。
敵軍はかなりの混乱だ、前に出ようとする後列と、逃げようと後退する前列がぶつかってもみくちゃになり、同士討ちまで発生している。
対する俺達は余裕を持ち、ターゲットが人質でないことを指差し確認して正確に敵のみを殺し続ける。
そこまでやりながらも、既に敵軍の半分より後ろに差し掛かっているようだ。
「見ろ主殿、アレは面白いぞ!」
「どうしたジェシカ、変な顔の奴でも居たか?」
「そうじゃない、敵の同士討ちを見ていたんだ、必ず前列から逃げ出した奴が勝っている、しかも圧勝だ」
「つまり、優遇されて後ろで人質に囲まれている奴は……」
「無能雑魚、ということだな」
おそらくイエスマンは自分がのし上がってきたのと同様に、上の言うことに盲目的に従う考えなしの馬鹿のみを優遇しているのであろう。
そしてこうなるともう楽勝だ、無能魔族のうち気合の入った者は同士討ちで殺され、ヘタレはそのまま人質を置いて逃げて行く。
俺達はほとんど戦うことなく敵の軍勢を盾に貫通することが出来てしまった。
『ひぇぇっ! 助けてくれ、イエスマン様には撤退するように進言しておくからさ!』
「ダメだ、死ね」
腰が抜けて逃げ遅れた敵は、上位指揮官クラスすらも戦意を喪失し命乞いをしてくる。
もちろんその場でぶっ殺しているが……
「あ、やっと追いついたわ、勇者様、総務大臣から伝言よっ!」
「おう、来たかセラ、で、伝言って何だ、耳が遠いから面倒な話は聞こえないぞ」
「何だかよくわからないけど敵の降伏を認めろってさ」
「こんなに楽しく殺しているのにか?」
そう言いながら地べたで土下座して命乞いをしていた雑魚魔族の背中を突き刺す。
聖棒の効果で全ての臓物が挽肉になってしまったようだ、即死した。
「う~む、まぁ良いや、どうせ後で処刑するんだし、この場は降伏を認めてしまおう」
それ以降、もう戦わない意思表示をしたり、武器を捨てた魔族は見逃して先へ進んだ。
というか大半の敵がその類の行動を取る、全然戦わせて頂けないのですが……
ちなみに、俺達は指示どおり動いていても、前列に居て離反した敵がそれにしたがってくれるはずがない。
両手を挙げて降参した魔族達は、次から次へと元味方に惨殺されてゆく、相当扱き使っていたのであろう、そして、相当に恨まれていたのであろう。
「……結局難を逃れて降伏出来ているのは10分の1以下か」
「総務大臣はこれを読んでいたんでしょうね、きっと」
「ずる賢いババァだな、昔から戦ばっかりしていたんだろうな」
ともかく、おかげさまで人質だらけの敵本陣にたどり着くことが出来た。
イエスマンが座っていると思しき玉座を囲んでいた中級魔族が狼狽している。
『お願いだ、助けてくれぇっ!』
「うむ、全ての人質を返したら助命してやると約束しよう、あと魔将イエスマンも突き出せ」
『それならお安い御用だ、ホラ人質共、帰って良いぞ、おいっ! ちょっと待てこの魔将野郎、逃げるんじゃない!』
その場に居た10体の中級魔族が人質を掻き分け、玉座の上で逃げる態勢に入っていた男を引き摺り出す。
茶髪をツンツンに固めた髪形に伊達眼鏡、ピシッとしたスーツを着込んだ割には顔が残念だ。
コイツが魔将のイエスマンか、既に漏らしまくっていて汚らしい。
人質達は遅れて駆け付けた王国軍に救助され、やれやれといった感じで俺達の陣の方へ去って行った。
「さてイエスマンよ」
「はひぃぃっ!」
「お前が無能で卑怯で顔も気持ち悪いのはわかっているよな」
「はひぃぃっ!」
「じゃあもう降参しろ、後で惨たらしく処刑してやる」
「いやぁだぁぁぁっ!」
這い蹲って逃げ出そうとするイエスマン、ミラが前に立ちはだかり、行く手を阻む。
その背後から、ジェシカが剣の腹で後頭部を打ち付け、気絶させた……
ここで、遂にジェシカの剣は折れてしまった、何とかここまで持ち堪えたな。
「さて、残党の始末は王国軍に任せて、俺達はコイツを持って帰還しよう」
振り返って自陣を見る。
もうほとんど敵は残っていないようだ。
イエスマンの襟首を掴み、そのまま引き摺って戻る。
最後の魔将なのに締まらない奴だったな……
※※※
「おぉ、ゆうしゃよ、わが軍の勝利であるな」
「それと、魔将との戦いもこれで終わりだ」
「次は大魔将とやらじゃったか?」
「そうだ、だが敵は海上に城を構えているらしいからな、しばらくは王都も平和だろうよ」
「うむ、それは良いことじゃ、帰ったら祭じゃの」
「おう、そうだな! 聖国の件もあるし、パーッといこうぜ!」
俺達が持ち帰ったイエスマンの身柄は既に王国軍の手に渡り、魔力を奪う檻の中にある。
王都に帰ったら補佐と一緒に死刑を執行する手はずだ。
ちなみに、先程助命を約束した中級魔族も当然に処刑する。
助命の条件は『人質を全て返した場合』であった。
既にウラギールの城で一部を殺してしまったようだからな、現時点では全部の返還が不可能なわけだ。
そうとは知らない中級魔族共、王国兵の指示に従って移送用の馬車に乗り込んでいった。
後で殺されると知ったときの表情を見てみたいものだ。
王国軍による戦闘の後始末が終わるまで、俺達は精霊様に破壊されて水浸しになったテントで待たされた。
座れない、荷物もビチャビチャである……
『それでは全軍、王都に凱旋する! 整列せよっ!』
「凱旋って、もう中に入るだけじゃないか」
「ご主人様、こういうのは形式が大事ですの、すぐ近くでも凱旋はするものですのよ」
「そうなんだ、まぁ良いや、帰れるんだし」
何の前触れも無く突然南門をくぐって凱旋したというのに、沿道では既に何人かが紙吹雪を撒いていた。
絶対にサクラだろこいつらは……
「じゃあ俺達はこのまま屋敷に帰るから、また明日」
「うむ、明日は特に何もないが、戦勝記念祭のこともあるし、迎えの馬車を出そうぞ」
「おう、助かるよ、駄王にもよろしく言っておいてくれっ!」
総務大臣に帰る旨を伝え、俺達の乗った馬車は北へ向かった……
※※※
「ただいまぁ~っ!」
「あらおかえり、魔将軍に勝ったんですってね、さっき号外が配られていたわよ」
「本当だ、仕事が早いな……待てよ、号外なら沢山貰っておこう、燃料にするんだ」
「そう言うと思ってありったけ貰っておいたわ」
「あ、これはこれは、ありがとうございます」
今日は戦勝記念祭の前祝ということで、屋敷に住む全員で飲み会をすることとなった。
準備は全て居残り組がやってくれるとのこと。
早速アイリスが号外を使って種火を作り、バーベキューの準備を始める。
その間に俺達は風呂に入り、あとは大部屋でまったりと過ごすだけだ。
「さて、魔将を倒し終えたし、この後のことを考えないといけないな」
「ご主人様、そんなの明日にしましょうよ、今日は全部忘れてありったけ飲むべきです」
「よし、じゃあルビアの意見を採用する、今日はもう飲んで食って、それからゆっくり寝るぞ!」
「みなさ~ん、バーベキューの準備が出来ましたよ~」
アイリスがテラスから顔を出して呼んでいる。
酒の準備もバッチリのようだ。
突如王都を襲撃したマーサから始まり、合計で16体と、復活したのも2体居た魔将。
今日その全ての討伐を終え、ここからは大魔将との戦いが始まる。
その前にちょっとだけゆっくりしておこう……
「そういえば勇者さん、私の兄も討ち果たしたんですか?」
「あっ! 完全に忘れてたぞ!」
「というか敵軍の中に人族なんて……あ、もしかして人質の中に紛れていたんじゃないかしら」
本当にもしかするとだが、何かと敵対してくるデフラの兄が救出された人質の中に紛れ込んでいたかも知れない。
これは明日王宮で報告しておくべきだな。
また厄介な事件を起こされる前に……
ここ前読んでくださった方、ありがとうございます。
これで第二十四章を終え、次からは第一部の最後、第二十五章に移ります。
以降もよろしくお願い致します。




