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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第二十四章 最後の魔将
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143 魔将軍襲来

「おらおら貴様等っ! 弛んでるとシバき倒すぞっ!」


『イエス・マム!』



 訓練2日目、筋肉団の面々が参加したことにより、内容がさらに激化してしまった。


 今は40kgの何かを背負いながら、投げられた鉄のバーベル(100kg)を一子相伝の拳法で粉砕する練習をしている。

 なお、失敗した者は谷底に突き落とされる定めだ。



「おう勇者殿、これだけハードな訓練を毎日受けられるとは、勇者パーティーが羨ましい限りだぞ」


「じゃあ勇者を代わってくれ!」



 全員ドMであるゴンザレス達筋肉団員は、この意味不明なシゴキを受けて大変喜んでいるようだ。

 だが、俺はもう反乱を起こしたい……



「おいっ! 何くっちゃべってんだそこのフニャ○ン共がっ! もぎ取られたくなかったら真面目にやりやがれっ!」


『イエス・マム!』


 武装蜂起したところで勝つ見込みは無さそうだ……



 訓練は続く、夜になると筋肉団は帰って行くものの、俺達は常に精霊様によって監視されている。


 3日目の夜、遂に耐えかねたルビアが脱走した。

 すぐに連れ戻され、見たこともない巨大な鞭で打ちのめされてしまう。


 もう誰も逃げ出そうなどとは思わなくなったようだ、俺もが……



「ねぇ勇者様、こんなことしていて本当に強くなれるのかしら?」


「シッ! 滅多なことを言うんじゃない、どこで監督の耳に入るかわからんぞ!」


「それもそうね、気を付けるわ」



 漫画などの物語を参照すれば、こういう一見意味の無さげな修行を終えた後は自分でも驚くほどにパワーアップしているもの。


 というか実際、全員のステータスはたった3日でかなり上昇しているのだ。

 特に元々運動嫌いな俺とルビア、そして戦闘中にもあまり動かないサリナの伸びは異様である。


 これは意外といけるのかも知れない、このまま続けることが出来れば、だがな……



「おい次走り込み行くぞぉぉっ!」


『イエス・マム!』


「掛け声ぇぇっ!」


『いっちにっ! いっちにっ! いっちね! えっちね! えっちね!』



「なぁ主殿、走り込みのときに掛け声が『えっちね』に変わるのはどうしてなんだろうな?」


「・・・・・・・・・・」


「なぜ答えないのだ?」


「……後ろ」



 監督様は、無駄口を叩きながら走るジェシカの後ろにぴったり付いている。

 振り返り、気が付いたときにはもう遅い、ジェシカは上空に連れ去られた。


 そしてそのまま高く放り投げられ、落下して地面に激突。

 グシャッと嫌な音が響き渡る……辛うじて生きているようだ。



 その後、訓練中に『イエス・マム!』以外の言葉を発する者は居なくなった。




「よぉしっ! 今日の訓練は終わり、おつかれっしたぁぁっ!」


『イエス・マム!』




「今日はゴンザレス達も一緒に夕飯をどうだ? 庭で食べればこの人数でも狭くはないぞ」


「おう勇者殿、ご相伴にあずかろうではないか」



 訓練中の夕飯はかなりの量が出る。

 俺達だけだと食べ切れないため、筋肉団にも同席して貰うことにした。



 監督様、というか精霊様だけが玉座に腰掛け、それ以外は全員地べたに正座する。

 ちなみにテーブルもみかん箱だし、食器はその辺の葉っぱや枝、人権侵害の極みだ。


 同じように食事をしている訓練不参加組がテラスから哀れな俺達を見下ろしているのが気に食わない……



「おう、このダークマターふりかけというのはかなり栄養がありそうだな……うむ、味もなかなかだ!」


「それ、魔族用」



 というかそんなの美味いわけがないだろう、現に魔族の3人はこっそり何も掛かっていないまま食べようとしているしな。

 筋肉団は舌まで筋肉、いや、舌は元々筋肉なのか?




 食後、帰って行く筋肉団のメンバーを見送ってから風呂に入る。

 この疲れたときの温泉ってのが最高なんだよな……



「さて、今日の夕飯で指定のふりかけを使わなかった子は誰かしらね?」


 マーサ、ユリナ、サリナが3人揃って手を挙げた。

 訓練に参加していない他の魔族達は哀れみの目で3人を見ている。


「だって精霊様、不味いんですのよ、アレは……」


「問答無用! 3人共後でお仕置きね、ついでにふりかけも今日の分を食べさせてあげるわ、単品でね」


「げぇぇ~っ、ですの」



 風呂上り、上を向いた状態で頭を固定され、口からダークマターを流し込まれる3人。

 見ていたらかわいそうになってきた……



「もうゲロマズ、これは食べ物なんかじゃないわ」


「というかマーサ、お前髪の毛とかちょっと黒くなっているぞ」


「マジッ!? どこどこ?」


 元々真っ白だったマーサの髪だが、今はまばらに黒い毛が見えている。

 尻尾の毛も同様だ。



 そして、マーサ、いやそれだけでなくユリナとサリナまでもが、ステータスのうち魔力関連の部分が爆発的に上がっている。

 これはダークマターふりかけの効果のであろう。



「慣れてくればダークモードと通常モードを切り替えることが出来るようになるわ、今はまだ安定しないだけよ」


「そうなのね、ごめんなさいそんな大事なものを嫌ったりして、お尻叩いて良いわよ」



「わかればよろしい、ユリナちゃんとサリナちゃんもお尻を出して待っていなさい」



「……はいですの」

「は~い」


 お尻ペンペンで良いにしてやるのかと思いきや、トゲトゲの付いた長い鞭で打ち据えられる3人。

 全員おもらししながら気絶してしまったではないか……ここ、室内なのですが。



「今日はこのぐらいで勘弁してあげるわ、次にこういうことがあったらもう一段階厳しい罰を与えるわよ!」


 ここから一段階上げるとしたらそれはもう死刑でしかない。

 ぜひ今後はこういうことがないようにして頂きたいものだ。



「さて、明日も早いしさっさと寝るわよ、誰か転がっている3人を片付けなさい」



 マーサ達を治療し、もう一度風呂で洗ってから布団に入る。

 その日からさらに1週間、地獄の修行は休みなく続いたのであった……



 ※※※



「しゃぁぁっ! 今日も修行だぜぇっ!」


 かなりこの生活に慣れてきてしまった。

 もう筋トレや走り込みをしていない時間がもったいないと感じるぐらいだ。



 どういう原理かはわからないものの、ステータスもありえないぐらいに上昇しているし、ダークモード移行の指標となるマーサの髪も半分程黒くなった。



 この調子なら企業魔将軍、というかノーマンが来ても勝利を収めることが出来るようになるかも知れない。

 いや、現時点で既に勝てる可能性があるはずだ。



 あ、もちろんこんなに簡単に強くなるなんて、都合が良すぎると俺でも思う。

 だがな、ここは異世界なのだ、もう何でもアリなんですよ、実際。



「おい貴様っ! 今修行して俺TUEEEになったと思っただろう! ノーマンぐらい余裕だぜとか思っただろう!」


「イエス・マム!」


「ってんじゃねぇよゴラァっ!」


 監督にぶっ飛ばされてしまった、まだまだ調子に乗るには早いようだ……




「よぉし貴様等、午後からは実戦訓練に移る、3秒で飯食って準備しろっ!」


『イエス・マム!』




 正座にみかん箱で昼食を取り、午後の訓練に移行した。


 ちなみに今日は筋肉団が仕事のため午前のみの参加、ここからは久々に俺達だけでの修行となる。




「じゃあ、全員この棒っ切れを持ってタイマンしなさい、私の相手はリリィちゃんね」


『イエス・マム!』


 2人1組でペアを作り、木の棒を使って相手を滅多打ちにした方の勝ちだ。

 降参は認められない、どちらかが意識を失うまで戦うことを要求される闇の決闘である。


 俺は中衛同士、マリエルとペアを組むこととなった……



「オラァ! 往生せいやマリエルっ!」


「勇者様こそ身罷りなさいっ!」



 とはいえ短い棒切れでの戦いであれば力に勝る俺の方が優勢だ。

 本当に死ぬんじゃないかと思われるレベルでボコボコにしてやった。



「あ、ちょっとセラちゃん、ルビアちゃんは気絶させないでちょうだい、回復に必要だわ」



 セラとペアを組んでいたルビアはギリギリのところで許される。

 振り上げた棒切れを降ろすセラ、これで全ての決着が着いたようだ。



 マリエルとルビア以外に、地面にはリリィ、マーサ、サリナ、ジェシカが転がっている。

 敗者の回復を済ませ意識を取り戻すまで一旦休憩となった。



「無様な負け組を2階の大部屋に運びましょうか、アイリスちゃんにお茶でも入れて貰いましょ」


「じゃあ勝者が敗者を運ぶ感じでいこう、迷惑掛けた分キツめに処罰してやろうぜ」



 元々意識があるルビアを正座させ、アイリスが持って来た茶を啜る。

 負け組の雑魚共は次第に目を覚まし、順番に正座していった。



「あ、ようやくジェシカちゃんが目を覚ましたようです、これで全員復活しましたね」


 手加減を一切知らないカレンにより、敗北後もしばらくの間殴られ続けたジェシカが最後に目を覚ます。



「じゃあ勝者がそれぞれ敗者に好きなお仕置きをするわよ、全員こっちへ来なさい」



「私は勇者様にお仕置きされれば良いんですね」


「そうだマリエル、早く来い、お尻ペンペンの刑だぞ」


「まぁ嬉しい!」


 自分で討ち果たしたマリエルを抱え尻をペチペチ叩いてやる。

 全く罰になっていないものの、どうせお遊びだから良いであろう。



「そういえばマリエル、最近王宮へ行っていないようだが、敵に関する新たな情報はどうなんだろうな?」


「いたっ! そうですね、一応何かあったら伝令兵を、あひっ! と言ってはあるのですが……いったぁぁいっ!」


「そうか、じゃあそれを待って……噂をすれば影だぞ」



「本当ですね、でも今はお仕置きが優先ですから、ちょっと待って貰いましょうか」


「馬鹿なこと言ってないですぐに話を聞いてやれっ!」


「あいたっ! ではまた後程」



 尻を擦りながら門の所で待っている伝令兵の方へと向かったマリエル。

 話をしながら頷いているのが見える……戻って来るようだ。



「どうだった? 敵に関する情報か?」


「ええ、遂にウラギールの城に居た敵が動き出したそうです、こちらに向かっているとか」


「全軍がか?」


「いえ、2万程だと言っていました、ほとんど下級魔族、中級魔族はそんなに多くないとのことです」


「そうか、戦いは明日か明後日だな、準備をしておこうか」



 敗者の処罰は一時中断、最近は修行ばかりであったため、使っていなかった武器を倉庫から出して油を落とす。


 ついでに保存食も出して一部を馬車に積んでおいた。


 敵は南でここは王都の北側、長期間戦うことに備えて食糧ぐらいは持っておいた方が良い。

 出来れば軍の方で提供して欲しいがな。



「シルビアさん、俺達がここを離れる間、屋敷と居残り組をよろしくお願いします」


「ええ、ビシバシしごいておくわ」


 そうじゃないのだが、まぁ良いか。



 全ての準備が整った頃、もう一度伝令兵が姿を現す。

 明日の午後には王都南門付近に集合して欲しいと伝えに来たようだ。



「じゃあ今日はもうゆっくりして明日に備えよう、精霊様もそれで良いな?」


「ええ、ただし戦闘が終わって帰って来たら修行再開よ」



 そろそろ夕方だし、ちょうど良いからアイリスに夕飯の準備を頼んでおこう。

 少し早くなってしまうが、早寝することを考えれば妥当なはずだ。



 もう仕込みはしてあったようで、頼むとすぐに良い匂いが漂ってくる……


「えぇっとぉ、今日は皆さん出陣前とのことなので、ちょっと頑張ってしまいました」



 なんと、高級な部位のステーキ、野菜炒めもシャキシャキで美味い。

 デスジャンヌも手伝ってスープを作ってくれたようだ。



「本当に美味しいわこのお野菜、高級品ね!」


「マーサちゃん、何かを忘れていないかしら?」


「どうしたの精霊様? 何を忘れて……あぁーっ!」


 マーサ、ユリナ、サリナの食事にはダークマターふりかけが大量に掛けられてしまった。

 こうなったらもう高級料理も残飯も変わらないであろう、誠に哀れだ。


 3人には後でこっそりおかわりが支給されたという……



「よし、腹も一杯になったし、そろそろ風呂に入って寝ようぜ」



 しばらくはこの温泉にも入れないかも知れない。

 今日はゆっくり浸かって、ここまでの疲れをリセットしておこう。



「しかし敵軍は2万か、もっと大軍で来ると思ったんだがな」


「イエスマンはヘタレなんですのよ、自分の周りに兵を残したいだけですわ」


「そうよね、そもそもアイツは人質が居る城から出ないだろうし、ちょくちょく攻めて来るつもりじゃないかしら」


「面倒だな~、一気にガツンと来て欲しいものだ、その方が早く終わるし」



 しかも細かく攻めて来る敵のどこにノーマンが潜んでいるかわからない。

 毎回それを警戒しなくてはならないのは骨が折れそうだ……



 十分に温まったため、風呂から上がってすぐに布団へ入る。

 ちなみに、マリエルの尻をもう一度引っ叩いておくのは忘れなかった。



 ※※※



「おはよう勇者様、髪の毛が爆発しているからお風呂に入って来たらどうかしら?」


「おはようセラ、そうだな、昨日は髪も乾かさずに寝たし」



 風呂には朝の一仕事を終えたデフラ達が浸かっていた。

 お邪魔する、というかおっぱいに手を伸ばす……後頭部に強い衝撃!


 遅れて入って来たマーサに殴られたようだ。

 今日か明日から戦争だというのに、早速ダメージを負ってしまったではないか。



「主殿、マーサ殿、まだ準備を済ませていないのは2人だけだぞ、早くするんだ」


「うぃ~」

「ほ~い」


 まさかのグータラ王ルビアよりも遅くなってしまったようだ。

 すぐに風呂から上がり、急いで着替える、パンツを後ろ前に穿いてしまった。



 穿き直す暇もなく馬車に連行され、そのまま出発となった。

 まだパンツしか穿いていないのだが? これじゃ駄王とキャラ被りするぞ!



 走り出してすぐ、着替えを後ろの荷台に乗せてしまっていたのを思い出した。

 結局後ろ前に穿いたパンツ一丁のまま南門へ到着してしまう……



「おぉ、ゆうしゃよ、来て早々前後不覚とはなさけない」


「前後ってパンツのことかよ、今着替えるからちょっと待っとけ」



 1人で馬車に戻り、中でしっかりと服を着て再び降り立つ。



「ところで駄王、俺達は誰の指揮下に入ることになるんだ?」


「ああ、向こうでくじを引いて決めておる、すぐに行くが良い」


 そんな大事な決め事でくじ引きかよ、しかも良く見たらあみだくじじゃねぇか!

 全くガキのおままごとじゃないんだよ。



「あ、こんにちは勇者殿、どうでしょうか私の作ったあみだくじは?」


「……王子が作ったのかよ」


 リアルガキのおままごとであった。

 とにかく俺達が最後のようだ筋肉団の横をチョイスして名前を書き、いざくじ引きのスタートである。



 駄王の指揮下に入ることが決定してしまった、もうダメかもな……



「おぉ、ゆうしゃよ、では早速この国王直属軍指定パンツを穿くが良い」


「誰が穿くかそんなもん、柄もジジ臭いし」


「そうか、誠に残念である、自信作なんじゃがな」


「どうでも良いから早く作戦とか現時点での敵の所在とか、洗いざらい喋るんだ」


「おぉ、そうじゃったな……」



 駄王曰く、朝の確認時点で敵はこの南門から30kmの地点を行軍していたそうだ。


 ということは今日の夕方ぐらいにはここへ到達するんだろうな、夜を待たずに始めるか、明日の朝からの戦いになるのかは微妙なところだな。



 と、そこへ新たな報告……


「申し上げます! 敵軍、さらに3万が拠点を出たとのことです!」



「拙いぞ、他の場所も攻めるつもりだ!」


「いえ、何か余裕でこっち来ているそうです」


「馬鹿なんじゃないのか!?」


 もしかして最初の2万じゃすぐにやられそうだから追加で、とか思ったんじゃないだろうな?


 いや、様々な情報から企業魔将が無能だということは知っていたが、さすがにここまで馬鹿ではないはずだ。

 何か裏があるのかも知れない……



「まぁ、後ろの軍勢については一時忘れて、今は最初に到達する2万のことを考えようぜ」


「そうじゃな、ではちょっと先にウ○コして来るのでな、待っておるのじゃ」


「締まらない王だな、本当に」



 ウ○コしに行ってしまった駄王の帰りを待ち、全軍で決起集会を開始する。

 盛り上がる兵士達、士気は高いようだ。



『では皆の者! これより魔族軍2万を迎え撃つ……なんじゃ? ふむふむ……』


 南門付近の住民から苦情が来てしまったようだ、もう少し静かにやろう。



 決起集会の後、軽食として配られたサンドウィッチを頬張りながら敵の到来を待つ。

 しばらくすると平野の先に土埃が舞っているのを確認した。



「ようやくお出ましのようだ、戦闘態勢に移行しよう」


「次が居るからこれを片付けても帰れないのよね、やる気無くなっちゃうわ」


 セラの言う通りだ、本当に細かく刻んでくるのはやめて欲しい。

 というか連続で来るにしてもせめて一回帰るだけの時間を空けてだな……



 そこから30分か1時間程待つと、敵軍の姿が見え始める。

 気持ちの悪い顔をした下級魔族ばかりだ。



「じゃあリリィ、最初の一撃を頼むぞ、もうドラゴン形態になるんだ」


「は~い!」


 変身したリリィを最前列に立たせ、いよいよ接敵する。

 何か指揮官みたいな中級魔族が前に出て来た。


『グヘヘ、我こそは貴様等人族を滅ぼす者だ、名前はまだない、ちなみに降参しても皆殺しだから覚悟しておくんだな、グヘヘ』



「もう良いぞリリィ、殺れ」


『はいは~いっ!』


 大きく息を吸い込んでから放ったリリィのブレス。

 喋っていた名無し魔族を中心に、周囲の敵も巻き込んで200体前後を灰にした。


 火が付いて暴れ回っている奴も多い、それがさらに被害を拡大させているようだ。



「おい駄王、何ボーっとしてるんだ? 今日の総指揮官はお前だぞ!」


「あ、そうじゃったわい、よっこらせ……ウ○コしたくなってきたのう」


「どんだけ快腸なんだ貴様はっ!? 良いから早く号令を!」




『王国軍、全軍突撃じゃ!』


 そう言い残して1人だけ便所に突撃していく駄王、開始早々グダグダである。




「勇者様もそんなところに居ないで、早く戦うわよっ!」


「おうっ、すまんすまん!」


 気が付くと乱戦が始まっていた。

 とにかく次の一団が到着する前にはこれを片付けたいところだ……

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