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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第二十三章 正体不明の敵
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138 大休息タイムと家事用新奴隷

「ただいまぁ~っ」


「あらおかえり勇者様、敵を撃退することが出来たようで何よりだわ」


「ええ、何とかって感じでしたがね、でもここからしばらくはゆっくり出来そうです」



 2億というわけのわからない大軍勢に判定勝ちで勝利を収め、王都へと戻った俺達は、今後の聖国と企業魔将軍との戦いに備え、少し休息をとることにした。


「やれやれ、とりあえず敵は退いたが、まだ聖都には凄い数が居るんだろな」


「どうかしら、トリマキが操っていた魔物は野生に戻ったんじゃないかしら?」



「おいマーサ、魔物は全部アイツが操っていたのか?」


「おそらく、何か報酬をやってね、私のような力は無いはずだわ」


 そうなんだな、確かにあの魔物の数じゃ聖都に入り切らないし、逃げ込んだのは生き残った魔族だけなのであろう。


 ちなみに気絶していて話をしたことも無い魔将補佐のトリマキは、魔力を奪う腕輪をダチョウの首に嵌め、王宮の方で絶賛拷問中である。

 何か良い情報を吐いてから処刑されて欲しい。




「あ、そういえばここで預かっていた元聖国人の6人はどうしたんだろう」


「地下牢には居なかったわね、せっかく畑で扱き使おうと思ったのに、牢屋敷に返しちゃったのかしら?」


「だろうな、でも一応シルビアさんに聞いてみよう」




 地下の執務室に戻っていたシルビアさんに尋ねる。



「ああ、あの子達なら私が格安で買い取ったのよ、今はお店で働いているわ」


「そうでしたか、で、ちゃんと言うこと聞くんですか? あの感じで」


「ウフフツ、じゃあちょっと見に行ってみる?」



 シルビアさんにそう言われ、地下から店へと向かう。


 店の中では……7人があくせくと働いているではないか。

 7人? あ、ルビアが混じっているのか、かえって早々何をやらされているんだ一体。



「言いつけた仕事はしっかり終わっているようね、ご褒美をあげるわ」


 その声に反応したルビアを含む7人。

 すぐにシルビアさんの前に整列し、後ろを向く。


 シルビアさんは手に取った鞭で7人を順番に打ち始めたではないか。


 鞭で打たれて喜ぶ元聖国人達……とルビア。

 最初からこういう感じだったのは6人のうち1人だったはず。

 この短期間で調教が完了しているとは恐ろしい。


「ほら、いい感じでしょ?」


「は……はぁ」


 今度奴隷をゲットしたら一時シルビアさんに預けることとしよう……



 マーサと2人、今度は畑の様子を見に行く。

 入り口の近くでデフラが働いていた。


「あ、おかえりなさい勇者さん、私の兄は敵の中に居ましたか?」


「そういえば見かけなかったな、というか新生大聖国の連中はほとんど姿を見せずに逃亡したからな」


「あら~っ、出来ればこれ以上暴走する前に食い止めて欲しいですね」


「うむ、ぶっ殺してでも止めてやろう、危険そうな奴だしな」


「早めにお願いしますね」



 デフラには任せろとだけ言っておき、畑で良さげな野菜を収穫して屋敷の方へと戻る。

 空襲も無いことだし、今日は皆でバーベキューだと伝えておいた。



 ちょうど王宮へ帰還の報告に行っていたマリエルも帰って来たようだ。

 まとまって移動すればこんな面倒な報告は必要ないのにな。



「ただいまっ、勇者様、王宮から今回の迎撃戦に関して参加賞とMVP賞が貰えるそうですよ」


「参加賞って何だよ? MVPはユリナかな」


「参加賞は……この汚い肖像画です、MVPはユリナちゃんに個別と、勇者パーティーにもあるそうですよ」


 駄王の全裸ブロマイドを貰った、後で薪の代わりにしてしまおう。


 遊んでいたカレンとリリィにそれを渡すと、早速顔部分に落書きをしている。

 なかなかセンスがあるようだ。



「で、ユリナちゃんにはこの純金のトロフィーが贈られました」


「そんなの絶対に要らないだろうアイツは、で、俺達には何が?」


「元聖国人の奴隷を1人くれるそうです、タダで、後で引き取りに来いとのことですよ」


「お、それは激アツだな、どんな子が良いか今から皆で相談しよう」




 その辺に散らばっていた主要メンバーを大部屋に集める。

 まずはユリナへのトロフィー授与だ。



「……凄く要りませんの、鋳潰して売り払うべきですわ」


 不満げなユリナ、だろうな、こんなの貰っても邪魔なだけである。

 かわいそうなので特別に俺から『お仕置き1回免除券』を進呈しておいた。

 こっちの方が嬉しそうだ。



「でだ、奴隷を1人くれるらしいんだ、皆の共用になるからどんな子が欲しいか意見を言ってくれ」


 すかさずミラが手を挙げる。


「最低でもお掃除とお洗濯、可能であれば料理もできる子が良いです」


「うむ、その条件は決まりだな、他は?」



 今度は精霊様が手を挙げた。


「いじめ甲斐のあるドMキャラが良いわね」


「うむ、でもどんなのが来てもシルビアさんが居るから大丈夫だろ、すぐに調教出来る」


「あ、それもそうね、じゃあ今のはナシで」



 その他、畑で働かせたいとか居酒屋でとか、色々な意見が出てくる。

 だが最も重要なのは最初にミラが言った『家事が出来る子』という点であろう。



「じゃあそんな感じで、今から引き取りに行ってくるから、セラとマリエルは一緒に行こう、ジェシカは馬車を頼む」




 4人で馬車の方へ行く……また外壁が崩れている、馬車もボディー後方に巨大な擦り傷、しかもへこんでいるじゃないか!



「すまん主殿、さっき帰って来たときにまたやってしまったんだ、尻を叩いてくれ」


「いや、後にしよう、新しく来る奴隷ちゃんにお仕置きを見せ付けるんだ」


「わかった、では行こう」



 馬車に乗り込み、牢屋敷を目指す。

 途中、外れかかっていたバンパーが完全に脱落してしまった……



 ※※※



「やれやれ、何とか着いたな、バンパーを車輪に巻き込んだときはどうなるかと思ったぜ」


「これは修理費用が高そうね、ジェシカちゃんは相当キツいお仕置きを覚悟しておくべきかもよ」


「とりあえず帰ったらシルビアさんに見て貰おう、今は奴隷の選別だ」


 うきうき気分で牢屋敷へと入る。

 ちなみに俺の希望はおっぱいを触らせてくれる子だ。

 皆にそのことは言っていないがな。



 牢役人に頼み、家事が出来るという奴隷を連れて来させる。

 30人程居るようだ……



「あ、勇者様、脱走事件のときに話をした子が居るわよ」


「そういえばあのおっとり系の子だったな、ちょっと個別に呼んで面接しようぜ」


 テーブルのある狭い部屋に移動し、4体1で面接を開始する。

 ちなみに奴隷とはいえ圧迫面接は禁止だそうな。



「で、名前は? 得意料理は? おっぱいのサイズは?」


「勇者様、最後のはNGな質問です、訴えられますよ」


 マリエルに怒られてしまった……



「え~っと、名前は()()()()と言います、得意料理は肉野菜炒めで、おっぱいはそこそこです」


「なるほど、では実際におっぱいをぶへぽっ!」


 セラに殴られてしまった……



「いてて、で、どうする、他の子も呼んでみるか?」


「良いんじゃないかしらこの子で、勇者様も気に入ったんでしょ?」


「まぁな、じゃあアイリス、お前を連れて帰るからな」


「はぁ、よろしくお願いします」


 何とも覇気の無い返事であるが、特にイヤとかそういうわけではないようだ。


 役人に頼んで所有権を勇者パーティー名義にして貰う。

 そのまま鎖でぐるぐる巻きにして牢から連れ出した。



「ありゃ~、凄く傷だらけの馬車ですね、皆さんはこれに乗って戦っているんですか?」


「おう、ちょくちょく戦っているぞ、屋敷の壁とな」


「ほぉ~、それで、私はどこに座れば良いんですか?」


「どこでも良いぞ、適当に座るんだ」


「う~ん……ではこの辺りに」


 なぜか荷台の方に座ってしまった。

 ボケとかではなく真面目にそこを選択したようだ。


 すぐに違うと伝え、人間用の座席に座らせる。

 かなりボーっとしているようだが、これまでどうやって生きてきたのであろうか?


 まぁ良い、とりあえず屋敷に連れ帰って皆にアイリスを紹介しよう……



 ※※※



「ただいまぁ~っ、新しい奴隷を連れて来たぞ、デフラ達も含めて全員集めるんだ」



 大部屋にわらわらと集まり、その前にアイリスを立たせて自己紹介させる。


「え~っと、アイリスです、おっぱいはそこそこです、よろしくお願いします」


 今回は聞いていないのにおっぱいのサイズに言及してきた。

 全員で拍手して歓迎しておく。



「じゃあアイリスは一旦ミラに預ける、仕事を教えてやってくれ」


「わかりました、ちょうど良いので夕飯の準備を一緒にしましょう」



「それとシルビアさん、また馬車がアレなんでちょっと見て貰えませんか?」


「良いわよ、でもバンパーが外れていたし、修理には金貨が要るかもよ」


「だってよジェシカ、覚悟しておけ」


「へへぇ~っ!」



 デフラ達を畑に戻しに行くついでに、俺も馬車の検査を眺めておく。

 既にシルビアさんが破損箇所をチェックし、見積りを出していた。



「金貨1枚と銀貨6枚ね、かなり派手にいっているわよ」


「ジェシカの奴は鞭打ちの刑だな、シルビアさんに処刑をお願いしても良いですか?」


「じゃあお風呂上りに、アイリスちゃんにも見せ付けるのよね」


「その通りです、ここでやらかすとどうなるか見せてやろうと思って」



 屋敷の厨房でバーベキュー用の食材を切っているアイリスが見える。

 なかなか手際が良いようだし、実際に鞭で打たれることは無いかも知れないな。


 だが戦闘能力が皆無のアイリス。

 高速移動してつまみ食いするカレンやリリィには対応出来ていないようだ。

 まだまだだな……



 カレンとリリィはミラに捕らえられ、窓から俺に引き渡された。

 正座させておこう。


「勇者様、アイリスちゃんはなかなか使えますよ、当たりですね」


「そうか、それは良かった、で、そろそろ準備が出来そうか?」


「ええ、もうすぐ終わりですから、そしたら先にお風呂ですね」



 2階に戻り、しばらくするとミラとアイリスが準備を終えて入ってくる。

 シルビアさんも店を奴隷に任せてこちらに合流した。


「じゃあ風呂だな、マーサ、デフラ達を頼む」



「あのぉ~、私もお風呂に入るんでしょうか?」


「入りたくない……ってことは無いよな、さすがに」


「はぁ、入りたいですが、あんな大きなお風呂には浸かったことが無いもので」


「何でも一緒だ、とりあえず素っ裸になって入れば良いんだよ」


「ほぉ~」


 そう言うと突然全裸になるアイリス。

 最初は恥ずかしがるものじゃないのか?


 まぁ良い、尻を触っておこう……10人ぐらいに殴られた、下手人が誰かもわからない。



「アイリスちゃん、あそこの脱衣所で脱ぐのよ、そうしないと変態異世界人の餌食になるわよ」


「なるほどぉ~、セラさんは頭が良いんですね」


「ふふんっ! わからないことは全て私に聞きなさい!」


「はぁ、あ、そしたらXの2乗+4X+4がゼロのときのXの値を教えて下さい」


「・・・・・・・・・・」



「ごめんなアイリス、セラの奴、本当はすげぇ馬鹿なんだ」


「はぁ、そうなんですか、何かごめんなさい」



 ちなみに俺も答えがわからない、-2とかか?

 結局適当に誤魔化しておいた。



 ※※※



 風呂に入った後はバーベキューである。

 アイリスが鉄板の上で肉炒めと野菜炒めを作ってくれるらしい。


 肉食動物と草食動物はそのまま、他のメンバーは混ぜて食べる仕組みだ。


 ……とその前に、ジェシカを室内に連行する。

 部屋では鞭を持ったシルビアさんが待機しているのだ。


「じゃあジェシカちゃん、今日は200叩きの刑よ、アイリスちゃんも良く見ておきなさい」


「へへぇ~っ! おねげぇしますだ!」


「あのぉ~、どうしてジェシカさんは鞭で叩かれるんですか?」


「さっきの馬車はジェシカがぶつけたんだ、アイリスもやらかすとああなるからな」


「ありゃ~、気を付けますね」


 鞭でボロボロにされるジェシカをボーっと眺めるアイリス。

 ほとんど恐怖を感じていないようだ。



「ハイ終わりっ、ルビア、治療してあげなさい」


「あう~、痛かった、というか背中が裂けて臓物が飛び出しそうだ」


「食事の前に滅多なこと言うんじゃないよっ!」


 正座していたため無事だったジェシカの尻をビシッと叩いておく。

 その間にミラとアイリスは焼き物の準備を始めていた。




「勇者様、そろそろ焼き始めますよ」


 思ったよりも早く鉄板が良い感じになってきたようだ。

 駄王の全裸ブロマイドを燃料にしたのが良かったのかもな。


 全員で食事をし、酒も飲む。

 アイリスもそこそこ飲めるようで安心した。


 今日は彼女の歓迎会も兼ねているつもりだし、皆と飲んで早く馴染んで貰いたい。



「いやはや、敵の攻撃が無いと楽で良いな」


「でもまたすぐに動き出すんでしょ、新生大聖国の奴等」


「とはいえメルシーもこっちで押さえているし、偶像が居ないせいで案外まとまらなかったりしてな」



「妾を聖女にしたハゲ共は全然人望が無かったのじゃ、ゴミばっかりだったのじゃ」


「だろうな、あれだけの大軍で攻め込んでおきながらすぐにビビッて逃げ出すような連中だもんな」


「魔王軍にも愛想を尽かされると面白いんですけどね」


「そうだな、そしたらすぐに潰して、メルシーを戻して再建しようぜ、俺達の都合が良いようにな」


「では王宮にもそう伝えておきましょう、ハゲを皆殺し、そして聖国を傀儡として再建ですね」


 ついでにデフラの兄も始末しておかなくてはならない。

 そしてその後は企業魔将軍、特にノーマンという奴との戦いだ。



 良い時間になり、リリィも寝てしまったため、バーベキュー大会はお開きとした。


 アイリスは片付けもちゃんと出来るようだ。

 爪の垢を酒で割ってルビアに飲ませてやろう。



「じゃあご主人様、この残りと、それからお酒を持って角部屋で飲み直しましょう」


「うむ、じゃあマーサはデフラ達を、あと誰かコハル達の布団をここへ持って来てくれ」


 ついでにアイリスの布団も用意してやった。

 お猿の尻尾が気に入ったようで、今日からはカポネの隣で寝るという。



 俺達は角部屋に移動して夜更かしタイムだ……



 ※※※



「はぁ~っ、早く聖都を攻めたいわね」


「どうしたセラ? いつになくやる気じゃないか」


「私の魔法はどんどん強くなっていくのよ、一度人が住んでいるところで実験したいのよ」


「……セラはやべぇ奴だったんだな」


「良いじゃない、聖都なんてどうせカッパハゲ聖職者ばかりなんだし」


「確かに、その場で殺すのも後で処刑するのも変わらないだろうな」


 次の戦闘はこちらが聖都に攻め込む番である。

 派手な魔法で一気に壊滅させてしまうのも手だ。



「でも主殿、聖都だけでなくウラギールの城にもまだ敵が居るんだろう?」


「ああ、だがあそこにはノーマンという奴も居るらしいからな、まだ手を出すべきじゃないだろうよ」


「そうか、厄介な敵だな……」



 その日は明け方まで語らい、知らぬ間に眠っていた。


 目を覚ますとそこには、マリエルのパンツ。

 どうやら俺の枕元に立っているようだ。



「おはようございます勇者様、今王宮から報告が入りました」


「おはようマリエル、で、何だって?」


「大量の魔族が聖都を出たそうです、南へ向かっているとか」


「ウラギールの城に合流する気だな……」


「ちなみにそのウラギール城でも動きがあったようです、魔族がハゲを処刑しているとか」


 ふむ、つまり新生大聖国と企業魔将軍が仲違いした可能性が高いということか。


 聖都は完全に見捨て、ウラギールの城に兵を集めたのが企業魔将軍。

 そして戦力をほぼ完全に喪失したのが聖都に居る新生大聖国と……



 そこへ、おなじみの伝令兵が姿を見せる。

 今日はそのままテラスの階段を上がって来た。



「報告がありますっ! 先程この文書が王宮のポストに入っていたそうです」


 それを見せて貰うと、どうやら魔王軍から送られてきた手紙のようだ。

 しかし汚い字だな、これは魔王が書いたものではなさそうだ。



 内容は……


『同盟解消のお知らせ、我ら企業魔将軍と新生大聖国の同盟は解消する運びとなりました。原因と致しましては、新生大聖国側の度重なる協定違反、および先日の合戦における逃亡により、弊社に多大なる損害を生じさせたことに関して一切の謝罪等も無く……』



「よくわからんが新生大聖国が見捨てられたのは確定のようだな」


「私達はどうしましょうか? 聖都を攻めるか、ここに攻めて来るであろう企業魔将軍を迎え撃つか」


「聖都はもう戦争遂行能力を喪失しているはずだ、王国軍だけでも十分に潰せるはず、だからここに残ろう」



「イヤよ勇者様、私が攻撃したいのっ!」


「う~ん、じゃあ俺とセラだけ王国軍に参加しよう、一発かましたらあとは王国軍に任せるんだぞ」


「そしたらリリィちゃんと一緒に行きましょ、空から一方的に蹂躙してやるわ!」



「そういうことだマリエル、軍を出すときには俺達にも連絡を入れるよう頼んでおいてくれ」


「わかりました、では伝令兵さん、このことをよろしくお伝え下さい」


「御意っ!」



 無駄にやる気満々のセラを止めることは叶わなかった。

 まぁ、リリィが居ればすぐに戻ってこられるだろうし、王都の防衛も心配しなくて良いか。



 その日の昼、早速3,000の精鋭を掻き集めた王国軍が出立するとの報せを受ける。

 リリィが飛ぶと疲れると言い出したので、俺達はインテリノの馬車に同乗させて貰うことに決まった。


 しばらくすると迎えがやって来る。


「勇者殿、今回の聖都攻撃に戦力を出していただけるということで、実に助かります」


「いやぁ、セラがどうしても行きたいって言うもんだからな、最初の一撃だけこちらに欲しい」


「わかりました、ではすぐに出発しましょう」


「おう、南へ向かった魔将の軍勢が攻めて来る前に戻りたいしな」



 セラ、リリィと3人で馬車に乗り込み、屋敷を出る。


 別の馬車では新聖女様たるメルシーも連れて行くそうだ。

 完全にこちら側に付いたことをアピールし、敵の心を折る作戦だそうな。


 セラだけでなく、リリィの横に座って旅が出来るインテリノもウッキウキである。

 そしてリリィはいつものことでテンションが高い。


 俺だけ素面の状態で、アツい飲み会に途中参加したみたいになってしまった。


 とにかく、新生大聖国の最後を見届けよう……

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