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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第二十三章 正体不明の敵
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135 大軍勢現る

「勇者様、敵が飛び立つわよ!」


「わかった、リリィ、俺達は広い所に出ようか」


「は~い」


 奪い取られた元ウラギール城から飛び立とうとしている1,000体の空爆魔族。

 その迎撃のため、俺とリリィはすぐに対応可能な位置へと移動した。



「ご主人様、1,000も居ると全部は撃ち落せませんよ」


「大丈夫だ、セラが固定砲台になるし、本人はバレていないつもりらしいが、杖の中にハンナを仕込んでいるしな」


「馬車の中で寝ぼけて足を出していましたけどね……」


 ハンナは本来地下牢に居るべきなのだが、付いて来てしまったものはもう仕方が無い。

 魔法を使える仲間が多くて困るようなこともないしな。



「お、来るみたいだぞっ!」


 先程まで居た場所でジェシカが大きく手を振っている、出撃の合図だ。



『じゃ~んっ! じゃあ行きましょう!』


 ドラゴン形態に変身したリリィに乗り、地面を離れる。

 敵は……イナゴの群れみたいだ……



「リリィ、奴等より高く飛ぶんだ、上から一気に焼き払うぞ!」


『わかりました、ご主人様が苦しくならないぐらいまで上がります!』


「待って、ちょっと速いぞ、落ちる、落ちるってば!」



 ここのところ、戦闘時は騎乗が上手いセラを乗せることが多かったリリィ。

 ちょっと感覚がどうかしてしまっているようだ、飛び方に優しさが感じられない。


 だがこれで敵の大編隊を下に捉えるかたちとなった。

 しかもどうやら気付かれていないようだ、チャンスである。


「行くぞ、リリィ! 急降下しながらブレスを浴びせるんだ!」


 だから速いってば、このままだと気が付いたら居なくなってますよ、俺。


 振り落とされないように必死で鞍を掴みながら、効率の良さそうな角度へと誘導してやる。

 斜め30度ぐらいに敵の塊に入り、そこから下に抜けてやるつもりだ。



『いきますよっ!』


 凄まじいブレスにより、5層になって飛んでいた1,000体の敵のうち、およそ50体程度を完全に撃ち落した。

 火が付いて時間の問題という感じの奴も多い。



「よぉし! このままもう一度敵の上に戻るんだ、ちなみにゆっくりで良いぞ」


 一瞬パニックに陥った敵編隊であったが、すぐに落ち着きを取り戻し、下に抜けていた俺達に向けて火炎瓶を投下してきた。


 それは再び上に抜けてからも同様、怒り心頭のご様子で俺達に向けて火の付いた瓶を投げ付ける。


 当然届きはしない、しかもそのまま落ちて来る火炎瓶。

 自分や周りを飛んでいる他の仲間に直撃し、炎上する奴が居るではないか。


 すげぇ馬鹿なんじゃないのか、マジで……



『ご主人様、あそこに敵が固まっていますよ』


「うむ、良く見つけたな、では上からそのままブレスを浴びせてやるんだ」


『は~い!』


 狙われていることに気が付いたはずなのに、敵はその位置から散るどころかさらに集まり出した。

 つまり、あの塊の中に指揮官が居るということであろう。



 ブレスを浴びせる。


 敵の塊はまるでおが屑に火を付けたかのごとく燃え上がり、次々に落ちて行く。

 敵将の姿が見えた……


「あの篭に入って運ばれているのが指揮官のようだな、ただのハゲじゃないか」


『どうします? 殺すのは簡単ですけど』


「いや、一旦他を撃ち落そう、奴だけは生かして降伏させるんだ」


 その後、3回にわたって上昇と下降を繰り返し、およそ300の敵を撃墜した。

 そろそろセラの魔法が射程圏内になるはずだ。


 と思ったら早速風の刃が横を通過。

 攻撃範囲は狭いものの、敵が密集している分一度に3体か4体は落とせている。


 いや、それよりもちょっと集団からはぐれた奴を狙って欲しいのだがな……


 セラは気が付かない、というか派手に敵を撃墜するのが楽しいだけなのかも知れないが、このままだと撃ち損じが出る。



『あ、ご主人様、たぶんハンナちゃんが周りを攻撃し出しましたよ』


「本当だ、普通の雷魔法だがあの威力はハンナだろうな」


 まだ雷魔法を覚えたてのセラには到底不可能な電撃。

 それが次々に敵を貫き、真っ黒焦げにしている。


 と同時に、セラにも集団から離れた敵を狙うように指示を出したようだ。

 風魔法も外側を狙って飛び始めた。



「おい、城の方からも攻撃が出ているぞ!」


『逃げ出した魔族を撃ち落しているみたいですね、どうして味方にそんなことするんですかね?』


「世の中の悪い奴はおおよそそういう考え方なんだ、逃げ出したら殺すってな」


『悪い奴は皆お馬鹿なんですね……』


 しかしこのお陰で敵はさらに混乱した。


 進んでも戻っても死が待っている。

 前の俺達と、後ろの殺意を持った味方、その間を右往左往するしかない。


 ちなみに横へ逃げればセラの風魔法、ハンナの雷魔法が飛んで来る。

 四方を囲まれた飛行魔族、ここに来て急速にその数を減らし始めた。



「あと100体を切ったな、このまま一気に押し切るぞ!」


 敵が薄くなりリリィのブレスで一度に落とせる数も2体か3体になってきた。

 セラとハンナの魔法はもう1体ずつしか当てられない。



『ご主人様、もう疲れてきましたぁ~っ』


「もうちょっと頑張るんだ、足で敵を蹴落としても構わんぞ」


『噛み付きでも良いですか? その方が確実に殺せますよ』


「ばっちいからダメだ、ジェシカの方に蹴り飛ばせば生きていても処理してくれるはずだ」


 リリィが敵の中を飛び回って蹴りを入れる作戦に変更した。

 俺も届きさえすれば聖棒を使って叩き落していく。


 もはやこっちの方が効率が良いぐらいに敵が減っているのだ。

 地上のジェシカも少し戦えて満足そうだしな。



 空に浮かぶ魔族の数は50体、30体と徐々に少なくなる。



 そして、最後にハゲの入った篭をぶら下げた6体のみが残る。

 セラの風魔法がそのうち1体を、ハンナの雷がもう1体を落とし、残りは4体……



「まだ十分飛べているみたいだな、逃げようとしていやがる、アイツは逃げても殺されないのか」


『もう1体落としてみますか?』


「そうだな、右後ろの奴を殺ろうか」


 リリィが4体のうちの1体を蹴り落とす。

 バランスを崩したハゲ入りの篭は斜めになり、高度を下げ始めた。


 そこへ、セラの風魔法が飛ぶ。

 反対側の後ろに居る奴の羽を片方だけ傷つけたのだ。


 正確な射撃である。

 篭の降下スピードはさらに高まった。

 もう城の方角に進むことも出来ないようだな。


「墜落予想地点には既にジェシカが向かっているようだな、俺達も追いかけるぞ」


 降りて行った先では、既にジェシカが残りの魔族をなで斬りにしている最中であった。

 ハゲはおもらししている。



「おいハゲ、貴様は新生大聖国の関係者だな?」


「そ……そ……そう」


「何だ、言葉も喋れない程に馬鹿なのか?」


「あ……う……」


 ダメそうだ、とりあえず鳩尾に蹴りをお見舞いして気絶させておく。

 王都に持ち帰って拷問してもらうこととしよう。



「主殿、そんな汚いハゲを馬車に乗せるのか? 漏らしているじゃないか」


「うむ、それはちょっと、というか凄まじくイヤだな、何か良い方法が無いか……」


 結局、目を覚ますまで待ったうえで紐で括り、歩かせることとなった。

 しばらく馬車の横で待機だ、ハゲを引き摺って戻る。



 ※※※



「あら勇者様、このセラ様の活躍ぶりをちゃんと見たかしら?」


「ああ、こっそりハンナを連れ出して戦わせていたところもな」



「ハンナちゃん、さすがにもう隠しても無駄みたいよ、出て来ても良いんじゃないかしら?」


「は、はぁ、叱られますよね、絶対に」


 杖の中からにゅるっと姿を現すハンナ。

 ランプから出て来た方がサマになるぞ。


「で、セラとハンナ、2人で計画したのか?」


「主殿、私も加担した、というかハンナ殿を連れ出そうと言い出したのは私だ」


「じゃあ3人共馬車に入るんだ、リリィはハゲを見張っていてくれ」


 セラ、ジェシカ、ハンナの3人を連れて馬車に入る。

 全員お尻ペンペンの刑だ。



「いったぁぁぃ! 痛いですっ! だからやめようって言ったんですよぉ~」


「主殿、ハンナ殿はそろそろ許してやってくれ」


「そうね、私達が無理矢理連れ出したんだから」


「わかった、じゃあハンナ、帰りは縛り上げるからな、反省しろよ」


「はぁ~い……」



 そこでリリィがやって来て、ハゲが目を覚ましたと告げる。

 セラとジェシカは帰ってからまたお仕置きということで今は良いにしてやった。


 ハゲを馬車の後方に繋ぎ、王都へと向かう。


 本来は城を攻め落としたかったのだが、この人数ではちょっと大変そうだ。

 南からの空爆を受ける回数をかなり減らすことが出来たはずだし、今回はこの辺りが潮時であろう。



「ジェシカ、このまま停まらずに王都まで行けそうか?」


「このペースでは到底無理だ、途中で宿を取らなくてはならない」


 困ったな、今回はマリエルも居ないし、そもそも宿がどこにあるのかなんてわからない。

 汚い捕虜を連れて野宿はイヤだなぁ……


 というかハゲの歩みが遅いのがいけないんだ。

 ムカついたので窓から聖棒を出し、顔面を突きまわしておく。


 余計に遅くなってしまった……



「もうダメだ主殿、このままでは事故を起こしてしまうぞ」


 夕暮れ時、遂にジェシカがへばってしまった。

 しまったな、ルビアを連れて来れば交代出来たのに。



「うむ、じゃあここで一旦停まって休憩としよう」


 疲れ切ったジェシカを寝させ、俺とセラで外に出て捕虜の見張りをする。

 ちなみにリリィはとっくに寝ていた、ハンナもだ。



「ねぇ勇者様、今のうちにこのハゲから情報を引き出しておかない?」


「そうだな、おい貴様、楽しい拷問の時間だぞ!」



「ひぎぃぃっ! そんなことをしてカミナシ様が黙っているとでも思うのかっ! やめろっ、やめるんだぁぁっ!」


「……まだ何もしていないのだが、とにかく質問だ、あの城にはあとどのぐらい魔族が居るんだ?」


「そんなの教える訳がなかろう!」


「セラ、耳たぶを切り落とせ」


「お安い御用ね」



「ひぃぃっ! ひぇぇっ! わかった、答えるから待ってくれ、あぎゃぁぁっ!」


「おいおい、馬車の中で人が寝てるんだ、カッパは静かにしやがれ」


 右の耳たぶを切り落とされたハゲが情報を吐く。


 どうやら元ウラギール城にはあと、地上軍の魔族200体、それから聖職者が50人以上居るそうだ。

 そして、魔族の中にはかなり強力な上級魔族が含まれているという。


 さらには空爆部隊もそこだけではなく、まだ別の拠点で待機しているのが5,000体以上も居るとのことだ。

 もしかしたら今頃そいつらが王都に空襲を仕掛けているかも知れない。



「とにかく早めに王都へ帰りたいな、ジェシカが起きたらすぐに出発だ」



 3時間か4時間、そのまま待機した。

 ようやく目を覚ましたジェシカが寝ぼけ眼で御者台に座り、馬車を出す。


「おい大丈夫かジェシカ? フラフラしているぞ」


「ほぇ~」


「無理をするな、ちょっと停まれ」


「ほぇ~」



「拳骨を喰らえっ!」


「ほえっ!? 何だ、痛いじゃないか主殿」


「しっかりしなさいということだ、大丈夫なら馬車を走らせるんだ」



 その後も幾度となく居眠り運転を繰り返すジェシカであったが、翌日の昼過ぎにはようやく王都へ辿り着いた。


 どうやら大規模空襲は受けていないようだ。

 町は平静を保っている。



 とりあえず一旦屋敷に戻ろう……



 ※※※



「ただいまぁ~っ」


「おかえりなさい勇者様、後ろの臭そうなのは捕虜ですか?」


「ああ、というか実際に激クサだ、マリエルに言って兵士を呼んで貰ってくれ」


 すぐにマリエルが伝令兵を使い、憲兵を呼びに行かせる。

 これでこの汚いカッパともオサラバできるな。


「俺達は風呂に入ってちょっと寝ようか、ところでミラ、あれから攻撃はあったのか?」


「いいえ、ぱったりと来なくなりましたね、全部やっつけたんですか?」


「南のはな、だがあのハゲが言うにはあと5,000ぐらい同じタイプの魔族が残っているらしいぞ」


「……厄介ですね」



 出撃していた4人で風呂に入っていると、庭に憲兵が入って来るのが見えた。

 これからあのカッパハゲを連れ帰って拷問するのであろう。


「ハンナも今日は特別に2回で寝て良いぞ、しばらくは平和そうだし、他の皆も地下に居なくて大丈夫だろう」


「ええ、では杖に入らせて頂きます、落ち着くんですよね」


 そうなのか……まぁどうでも良いや。



 風呂から上がり、待望の布団に入って足を伸ばす。


 セラとジェシカがハンナを連れ出したことはシルビアさんも把握済みであった。

 ゆえに、2人の処分は任せておく、だが人が寝ている横で鞭打つのはやめて欲しい。



「はぁ~っ、痛かったわ、シルビアさんの鞭は効くわね」

「肌が擦り切れて血が出るかと思ったぞ」


 しばらくするとようやく静かになった。

 2人も布団に入ったようなので、俺も目を閉じる。




 いい匂いに目を覚ますと、既に外は薄暗くなっていた。

 この匂いは夕飯だな……



「あ、勇者様も起きたみたいですね、もうご飯の準備が出来ていますよ」


「おう、腹も減ったしな……おや、このスープはデスジャンヌのじゃないか?」


「ええ、さっき帰って来て手伝ってくれました、そこに居ますよ」


 デスジャンヌは『報国乙女隊』と書かれた襷とハチマキをしていた。

 何が乙女隊だ、デスジャンヌとジゼンミ以外はババァばかりだったじゃないか。



 ちなみにこの2人は既に正式入隊済みだそうだ。

 魔族とはいえ戦闘要員扱いなので地下牢には入らず、翌日も朝から炊き出しや被災地域の片付けに向かうという。


 ご苦労様です。



 食事をしていると、窓の外に伝令兵が見えた。

 今日は走っていないな、カッパを拷問した結果でも伝えに来たのであろう。



 マリエルが出て行って話を聞いてくる。



「勇者様、あの臭そうなハゲからわかったことはあまり無いようです、トップ連中の名前ぐらいですかね」


「誰か俺達が知らない奴が居たか?」


「え~と、リストによると……カミナシはわかりますよね?」


「うむ、知っているハゲだな」


「あ、この()()()()()という男はどうでしょう? かなり上位の協力者みたいです、前のリストにはありませんでしたが」


「それは知らんな、というかどうしてデフラの顔が青くなっているんだ?」



「……私の兄かも知れません」


 とりあえず漫画のごとくひっくり返っておいた。


 デフラの兄は禁酒魔将、というかその黒幕の協力者であったはずだ。

 それが今度は新生大聖国に関与しているというのか。


「とりあえずそれは要調査だな、他には?」


「あとは……ウラギールの城に居る強力な魔族の名前は()()()()というそうです」


 今度は魔族全員がスープを吹いた。

 マーサとかもう鼻から出ているレベルだ、汚い。



「ちょっと、どうしてノーマンがでて来るのよっ!?」


「もう企業魔将軍が関与しているのは確定ですわね」


「待て待て、そのノーマンというのは何者なんだ?」



「大魔将様達よりも強いんじゃないかと言われている男よ、というか実際に恐ろしく強いわ」


「そいつが企業魔将なのか?」


「いいえ、ノーマンは下っ端よ」


「はぁっ!? 強いのに? じゃあ魔将はどれだけ強いというんだ?」


「いいえ、魔将はクソ雑魚、超無能、でも人事評価だけはすこぶる良いの、そしてノーマンはその逆ね」


「魔将の名前は?」


()()()()()よ」



 ……やはりそうきたか!



 謎が多かった新生大聖国、そこに関与している魔王軍が、最後に残った企業魔将の手の者だということがわかった。


 ここから先、おそらくはそのノーマンという魔族を中心に俺達と敵対していくことであろう。

 というか新生大聖国なんざオマケみたいなものなのかも知れない。



「あらマリエルちゃん、また伝令兵が来たわよ、今度は全力で走っているわね」


「どうやら厄介事のようですね、私が出迎えに……」


「いや待て、勝手に上がってくるようだぞ」


 これは緊急事態レベルが最も高いときに取られがちな措置である。

 伝令兵はお邪魔しますとも何とも言わず、テラスから2階へ上がって来た。



「報告しますっ! 西側に展開していた王国軍と援軍1万、間もなく接敵するとのことです!」


「場所はどの辺りなんだ?」


「以前アケチミ男爵が納めていた今は公領となっている町付近が有力かと」


「有力? 他にも戦闘になりそうな地域があるのか?」


「いえ、こちらの兵は全てそこにおりますが、敵は数が多いようで、もし分離されるとそのまま王都に……」



「ちなみにあまり聞きたくはないのだが、敵の数は?」


「……2億だそうです、なおさらに合流を重ね、その数を増やしているとか」


「2億!?」


 いやいや、いつも極端すぎるんだよ、この世界はっ!



 2億って、もう普通に大国の人口レベルだぞ、俺が元居た世界ならブラジルとかパキスタンとかそのぐらいの規模だ。

(参考:外務省ホームページ「世界いろいろ雑学ランキング 人口の多い国」)



「とにかく、敵はそれで全軍とみて間違いないであろう、数の力で王都を押し潰すつもりだ」


 きっと先程話に出たノーマンとやらもそこに合流するに違いない。

 そうなったら大事だ……



「勇者様、私達も急いで向かいましょう!」


「ああ、出来る限り王都から遠いところで迎え撃つべきだしな、すぐに出よう!」


 今回は全員参加である、ぎゅうぎゅうになった超満員馬車を出し、王都の西門へ向かう。



「おう勇者殿、そっちも今から出るのか?」


「筋肉団もか、とにかく大変なことになったようだな、今回の総指揮官は誰だ?」


「王が自らなされるとのことだ」


「……大丈夫かよアイツで」


「インテリノ王子殿下も居られるし、総務大臣殿も出るようだ、何とかなるだろうよ」


 実際のブレインはインテリノか総務大臣のどちらかだろうな。


 まぁ、ウォール家、即ちマトンも出て来るはずだし、こちらはビーチャも連れている。

 頭が良い奴は間に合っていると考えて良いであろう。


 しかし問題は敵の数だ。

 ようやくその実態が見えてきた新生大聖国、そして企業魔将軍。


 ここからは完全な総力戦の始まりである……

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