134 大戦争が始まる
「何とか火は消し止めたわよ」
『飛んでいた敵も全部やっつけました』
「とにかく今回は良かった、だがこれからもこういうことがあるかも知れないな……」
新生大聖国との緒戦、敵方は一方的に王都を狙って焼夷弾、というか火炎瓶のようなものを投下してきた。
他の町もこれで狙われているようだが、火薬のないこの世界で爆撃するといったらこの方法が最強なのであろう。
前回は岩だったのに、魔王軍め、進化していやがる。
「マリエル、伝令兵はまだ屋敷に居たよな? ちょっと頼みたいことがあるんだ」
屋敷の裏の方で無駄にパニックに陥っていた伝令兵を呼ぶ。
もし今後敵による空襲があった場合、すぐに王都民を退避させる命令を出して貰うよう王宮に伝えるためだ。
「では空からの襲来を監視し、それがあった際には鐘を鳴らすなどして王都民に伝えるようにとの要請、伝えておきます!」
伝令兵はまた走り去って行った、今度はコケないよう、注意して欲しい。
「さて、ここからどうするかだな、敵はもう動き出しているのにこっちはまだ準備を始めたところだぞ」
「私達がここを動くわけにもいきませんし、とりあえず王国軍の準備が整うまで待つしかないでしょうね」
王国軍が王都の兵と、それから他の貴族領から応援に来る兵をまとめるまで時間が掛かりそうだ。
その間にどれだけ攻撃されてしまうやら……
その日の夜、早速警戒の鐘が鳴り響いた。
夜間空襲である、敵は飛行魔族20体、すぐにリリィが迎撃に向かう。
「ただいま、何とか被害を出さずに敵を殲滅したわ、でもちょっと眠いかも」
『本当です、夜はやめるように敵の人にも言っておいて下さい』
「ご苦労だった2人共、セラ、もし次があったら俺が出るから安心して寝るんだ」
「ありがと、でもリリィちゃんは……」
『もう行きたくありません、寝させて欲しいです』
そう、敵を迎撃するにしても戦場は空、飛べるのはリリィと精霊様だけだし、効率よく撃墜することが出来るのはリリィだけだ。
昼も夜も、いつ攻撃が来て、いつ出撃となるかわからない。
ドラゴンとはいえ子どもにやらせるような任務ではないよな……
「勇者様、敵が落としてくるのはあのちょっと燃える瓶だけでしょ? 好きにさせておいて王都民総出で消火活動をするべきよ」
「それが良さそうなんだが、そうすると士気がな……いや、大事なリリィに無理はさせられない、そうしよう!」
その日から、王都防衛のための戦いが始まった、一般市民を巻き込んで……
※※※
『く~しゅ~けいほ~、はつれぇ~っ!』
「またかよ、今日何度目だ?」
「朝から1回、昼に3回、それで夕方の今よ」
「たまんねぇな全く……」
新生大聖国との戦争を始めてからまだ3日、最初の日以来もう1日に何度も空爆を受けるという流れになってしまったようだ。
しかも敵がどこから出撃しているのかすら定かでない。
最初に発見するのは城壁に設置されている物見櫓に居る兵士である。
『敵数は15ないし20、王都民は全員地下または強固な建物に避難すべしっ!』
「なぁマリエル、ここって強固な建物?」
「いえ、比較的やんわりしていますね」
「じゃあ地下にお邪魔しようか、精霊様、消火を頼むぞ」
「お酒」
「ハイどうぞ、戦闘中に飲むなよっ!」
精霊様だけ残し、皆で屋敷の地下へと移動する。
屋敷の地下には牢、そして居酒屋とシルビアさんの2号店に繋がる通路、そして拷問部屋兼シルビアさんの執務室がある。
「ね、ちょっとうるさい、寝ているから静かにして」
「おいコハル、お前またダラダラしているのか? ちょっとは働け」
「……ダルい」
「シルビアさん、お仕置きしてやって下さい」
「お尻ペンペンね!」
「今から真面目に働くから許して欲しい」
コハルは近隣の消火活動に行かせた。
動きは遅いが少しは役に立つであろう。
地上からはカランカランと、ガラス瓶の割れる音がする。
今日も火炎瓶攻撃か、消火班は大変だろうな……
「ところでユリナはどうしてそんなにビビッているんだ? 火魔法が得意なのに火事が怖いのか?」
「ええ、これは前に魔王様が言っていた絨毯爆撃というやつですの、町が全部燃えますの、怖いですわ」
「まだそれほどのものじゃないと思うけどな、あと魔王が言っていたであろう火事はここでは起こりにくいぞ」
「そうなんですの?」
「うん、そういう感じになってまるごと燃えてしまうってのは、家が木で出来ていることが多い場所だ、ここは石造りが中心だからな」
「なら良かったですの」
「だがそれでも木を使っていないわけじゃない、大火事になる危険はあるからな、心しておけ!」
「ひぃぃぃっ!」
ユリナだけでなく、サリナも完全に怯え切っている。
きっと魔王から民間人を狙った恐ろしい空爆の話を聞かされていたのであろう。
しかし魔王め、それを自分がやるとは情けない。
恥ずかしいと思わないのかこんなことをして……
「どうやらもう収まったようだな、外に出て状況を確認するぞ」
外に出る、1人で消火活動に励んでいた精霊様が出迎えてくれた。
「ついでに敵を撃墜しておいたわよ、町の火も大方消したし、今日の私は大活躍ね」
「ああ、賽銭が増えると良いな」
王都の所々から煙が上がっているのが見える。
燃えカスが燻っているのであろうが、あのぐらいなら一般人でも消火出来るであろう。
「しかしこれじゃやられる一方だな、敵の所在がわからないんじゃどうしようもない」
「いいえ、さっき敵を1体見逃しておいたわ、あえてね」
「ほうほう、で?」
「南に帰って行ったの、まっすぐにね、おそらくその方向に敵の陣があるはずだわ」
そうか、来るときはバレないように侵入方向をバラバラにしているようだが、焦って帰るときはまっすぐ自陣に向かったのであろう。
つまり王都から南側を探せば敵が飛び立っている基地が明らかになるわけだ。
このことは早速王宮へ報告だな。
「あ、そういえばコハルちゃんはどうしたの? 途中で出て来たみたいだけど」
「コハルなら消火活動をさせるために出したんだが、ちゃんとやっていたか?」
「いいえ、屋敷を出てまっすぐ自分の家に向かって行ったわよ」
「・・・・・・・・・・」
速攻で連れ戻し、縛り上げて地下室の天井から吊るしてやった。
「おいコハル、許して欲しかったら次からはちゃんと働くと約束するんだな」
「別にこのままで良い、縛られていれば動かなくて済むし」
どうしようもない奴だ、降ろしてそのままシルビアさんに引き渡す。
執務室から鞭の音が聞こえてくる……
「しかし今外に出たら良く見えたが、完全に燃えてしまった家もあるみたいだな」
「そうね、さすがに全部初期消火は無理だったわ、やりすぎると今度は水圧でダメになるし」
厄介な敵だ、だが南に居るというところまではわかったんだ、さっさと見つけ出して本拠地を叩こう。
その後、マリエルが伝令兵に敵の戻って行った方角を伝えた。
あとは近所のばあさん達が炊き出し部隊の協力要請に来たぐらいである。
意外と皆落ち着いて行動しているようだ。
ちなみに炊き出し部隊にはデスジャンヌとジゼンミを出しておいた。
※※※
翌日……
「勇者様、王宮の方で南に偵察兵を派遣したそうです」
「わかった、すぐに見つかると良いんだがな、昨夜も来やがったし、このままじゃ堪らんぞ」
「それとようやく他領に要請していた援軍が到着するそうです」
「数は?」
「合計で2万程とのことです」
援軍は全て王都から見て東側、未だ敵の攻撃に晒されていない地域、それから一部は帝国の貴族軍だそうな。
どうやらジェシカ兄も向かっているらしい。
「マリエル殿、私の兄が来るのは当然だが、どうしてキャリルが来ないのだ?」
「ああ、あの子は今ちょっと……」
「ジェシカ、キャリルにだって自分の家があるんだ、来られないこともあるだろうよ」
「うむ、まぁ良く考えればそうかも知れないな」
危ない、元同僚でバトラーと結婚したキャリルが2人に分裂する寸前であることはジェシカには伏せてある。
後れを取ったのを知って暴走しかねないからな……
「とにかく、援軍のうち1万は王都へ、残りの1万は西側の戦闘地域に加勢します、私達は引き続き王都の防衛ですね」
「攻められているのに打って出られないのはキツいな、とはいえ敵の所在も良くわからんのだし、どうしようもないか」
現時点で敵が本拠地としているのは旧聖都自治区、そして空爆部隊が南に居る可能性が高い。
あとは王国の西側から攻めて来ている魔族の部隊がある。
敵について把握出来ているのはこれだけだ。
下手に出て行って裏をかかれても馬鹿みたいだし、今は飛んで来る敵を潰しながら待つ他ない。
「勇者様~っ、筋肉団の人が来たわよ~っ!」
「すぐ行く~っ!」
「おう勇者殿、ここはあまり被害が出ていないようだな、ちなみに地下に空けられた穴を塞ぎに来た」
「ありがとう、で、他の所は酷いのか?」
「なぁに、俺達の事務所が爆発、炎上して倒壊したぐらいのものだ、もう建て直したがな」
「……凄いなあんたら」
屋敷の地下もあっという間に元通りになってしまった。
というか材料はどこから持って来たのだ? 工具も持っていないようだが?
「あ、そうだ勇者殿、王宮からの通達でな、戦闘に参加しない魔族は全員地下牢に入れておけとのことだ」
「空襲時の混乱に乗じた脱走防止ということか、わかった今2人出ているが、そいつらも帰ったら閉じ込めておくよ」
「まぁ適当で良いだろう、そんなに危険があるようには思えんしな、では、俺達はまだ復興作業がある、また王宮会議で会おう!」
ゴンザレス達は帰って行った。
しかし魔族の脱走防止か、戦局が悪化して危険だからということで毒餌を……
さすがにそれは大丈夫か、『かわいそうな魔族』状態にはならないであろう。
とりあえずマーサ、ユリナ、サリナの3人を残し、レーコ以降にここへ来た魔族は2人部屋で地下牢に入って貰った。
「こうするとカポネだけ1人部屋になってしまうな」
「ちょっと寂しいですよこれは、せめて話し相手だけでも貸して下さい」
「そうだな、じゃああの辛うじて生きているモグラを……」
「モグラは不要です」
「勇者様、それなら大丈夫だと思いますよ、先程伝書が届いて、トンビーオ村も巻き込まれないようにメイちゃんがこちらへの移送を申し出たそうです」
「あっ! メイちゃんなら友達です、上司キモい同盟の」
うむ、確かにウワバミもハゲだし、スクイードの奴も変態ロリコンぺろぺろおじさんだったからな。
苦労した同士気が合うのであろう。
「メイは明日にはここへ着くんだな? ではそれまでカポネの部屋にはモグラを……」
「……もう勇者さんがモグラと住むべきです」
「それはイヤです」
居場所が無くなったモグラは憲兵に引き渡しておいた。
後でじっくり処刑するらしい。
「じゃあ皆ここが安全になるまで我慢してくれ、面倒はシルビアさんが見てくれるそうだ」
シルビアさんがちゃんと世話をしてくれるのかは怪しいが、最悪ミラが何とかしてくれるであろう……
※※※
翌日にはメイを乗せた馬車が到着した、トンビーオ村の漁師総代であるボルテスと一緒だ。
「久しぶりですね、勇者殿とそのお仲間も」
「お久しぶりですボルテスさん、メイも手紙以外では久しぶりだな、屋敷は初めてだし」
「ええ、ところで私はどこへ行けば?」
「あ、セラに案内して貰ってくれ、地下牢だけどカポネと同室だから安心しろ」
「わかりました、では」
「うむ……ところでボルテスさんはどうして一緒に?」
「雷魔法を使えるので戦えると判断されましてね、最低でも村から1人は王国の加勢に行くべきだということで……」
どうやら王国との友好維持のために援軍として来たようだ。
トンビーオ村は王都民も良く訪れる観光地だし、ここで何もしないわけにはいかないのであろう。
「そういえばボルテスさん、ここへ来る途中に敵らしきものは見ませんでしたか? 羽の生えたデビルとか」
「さぁ? 少なくとも街道沿いには居ませんでしたね」
敵の空爆部隊は街道から見えない位置に陣を張っているということか。
これは偵察部隊も苦労するかもな……
その後、ボルテスは援軍登録のために王宮へ向かった。
これにより、代表を送ったトンビーオ村は完全にこちらの味方であると証明出来る。
『は~い、王都の皆さ~ん、空襲ですよ~っ』
またか、1日3回以上来るようになってしまった。
空襲警報のおっさんも次第になげやりになってきたようだ。
「じゃあ精霊様、また頼むぞ」
「……たまには誰か代わってよね」
「そんなに水が出せませ~ん、いやはや残念なことだ」
「後で殴るわよ」
ヤバい、これ以上怒らせると王都が無限の荒野になってしまう。
しかしそうなったら敵はどうするんだろうな?
いや、くだらないことを考えていないで地下に避難しよう……
「どうだメイ、スウィートルームの居心地は?」
「薄暗くてジメジメしていますが、皆が居るので平気です」
「なら良かった、再び平和が訪れるまではそこで辛抱するんだな」
ちなみにそのうちドレドとその船をトンビーオ村へ運ぶことも伝えておいた。
海に居るという大魔将と戦うフェーズになったらそこが拠点になるだろうということも。
「やれやれ終わったわ、皆もう出て来て良いわよっ!」
「ありがとう精霊様、で、今回も敵は南に戻ったのか?」
「それがね、1体見逃そうと思ったら自爆しちゃったのよ、どうしても帰れない事情があったみたい」
「何だそれ? 帰り道がわからない程に馬鹿だっただけじゃないのか?」
「そんなくだらない予想をする程に馬鹿な異世界人と話しても無駄のようね」
ディスられてしまった……
しかしどうして帰還するのをためらったんだろうな、その魔族は?
もしかすると生きて帰るのは恥みたいな根性論が魔王軍にも蔓延しているのであろうか。
「まぁ、とにかく次がいつ来るかわからない、今のうちに少しでも休んでおこう」
全員で地下に布団を運び込み、横になる。
これであれば夜中に叩き起こされて避難などということも無くて済むからな。
などと考えていると、休息に意識が遠のいてゆく……疲れた……
※※※
「起きて下さい勇者様っ! 緊急の要件ですっ!」
「どうしたマリエル? そんなに慌てて……いつものことだが」
「とにかく王宮へ行きますよ、かなりの事態だそうで」
何だろう、駄王や総務大臣が心労でひっくり返ったか?
とりあえず迎えの馬車に乗り、王宮へ行ってみる……
※※※
「おぉ、ゆうしゃ……よ……」
「何も伝えないうちに寝落ちするな」
「すまんの勇者よ、王は……」
「何日寝ていないんだ?」
「よくわからんがもうダメそうなのじゃ、それでの……」
今回は駄王がもうヨレヨレだとの報告ではないようだ。
南に送った偵察兵が帰還したのと、それからもう1件お知らせがあるらしい。
「……というわけで南方の山中には放棄された陣地、それから昨日占領していたウラギールめの城が陥落したのじゃ」
「つまり敵は奴の城を新たな陣に使い始めた可能性が高いと?」
「そういうことになる」
「で、城を攻め落としに来た敵の数は?」
「正確な数はわからんが、空を覆い尽くしていた、とだけ報告を受けておる」
「マジか、やべぇな……」
敗走した王国軍の兵士の報告により、敵はどこかの町や村から攫ったと思しき人質を大量に連れていたという。
それで攻撃することも出来ず、致し方なく城を放棄して逃げて来たとのことだ。
しかしそうなるとユリナの火魔法とかで一気に、という訳にもいかんな。
結局こちらは迎撃するだけになってしまいそうだ。
……いや待てよ、場所がわかったのであれば、敵の出陣直後を狙えば被害無くして撃墜出来そうだ。
「総務大臣、俺達勇者パーティーは二手に分かれるよ、一部のメンバーでウラギール城の近くに張り込む」
「うむ、じゃが精霊様だけはどうにか王都に残してくれぬか、現時点での防衛の要じゃしな」
「わかった、では精霊様には王都の防衛を頼んでおく、マリエルも残すから、また何かあったら伝えておいてくれ!」
再び馬車に乗って屋敷へと戻る。
ここを出るのは少数精鋭でいこう……
俺とセラ、それからリリィの3人だ。
あとリリィを疲れさせないために馬車で行こう、ジェシカも御者として付いて来ることになった。
「じゃあ私達はあの城の近くまで行って、飛び立ったばかりの敵を討つのね」
「そういうことだ、すぐに警戒されるとは思うが、牽制ぐらいにはなるであろう、リリィもわかったな?」
「は~い、でもお肉は沢山持って行かないとですよ」
「良いだろう、人数も少ないし、出来るだけ馬車に積み込むんだ」
人よりも肉を多く乗せた馬車で街道を南へ下る。
ウラギールの城周辺に着いたのは翌日。
それまでに2度、敵の編隊と遭遇したものの、全てセラの魔法で撃墜しておいた。
ここなら地面が燃えてもどうということはない。
好き勝手魔法を撃ちまくって敵に当てる簡単なお仕事だ。
「リリィ、城から敵が飛び出したのを見たらこっちも飛ぶんだ、ブレスでまとめて撃ち落すぞ」
「は~い」
「セラは地上から撃ち漏らしの援護を頼む」
「わかったわ」
「主殿、出来れば私も何か手伝いたいのだが」
「腕立て伏せでもしておくと良い」
「……悔しい」
大変残念なことだが、遠距離攻撃手段を持たないジェシカは今回の戦闘に参加出来そうもない。
行きと帰りの操車だけで十分活躍したと思い込んで頂きたいところだ。
「あ、そうだジェシカ、城から敵が出るまでの監視を任せてやろう」
「おぉっ! それなら私にも出来そうだ、では早速城の監視を……」
「どうした? 急に固まって」
「……ありえないぐらいの数が出撃準備をしているのだが」
「そうなのか? クソッ! 俺の目じゃ見えない、セラ、リリィ、ちょっと見てくれ!」
視力の悪い俺に代わり、3人が城の様子を観察する。
女神の奴、転移するときにコンタクトレンズまで没収しやがったからな、完全にあいつのせいだ。
「ご主人様、敵の数は多すぎてわかりません、真ん中で人族のハゲが何か喋ってます」
「大体の数とかも無理か?」
「待て主殿、整列し出した……縦が25……横が……40だ、1,000体居るぞ!」
セラとリリィが不思議そうな顔をしている。
そうか、こいつらは掛け算が出来ないのだ、ジェシカを連れて来て正解だったな。
目的地に着いて早々、総攻撃の準備をしていると思しき敵を確認してしまった。
王国と新生大聖国・魔王連合軍の大規模戦闘が始まる予感だ……




