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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 島国
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1240 追加的に

「う~ん、なるほどなるほど、この祭壇はこういうことだったのですか……かなり複雑な構造で、カギとなる『生モノ』を集めないとならない仕組みですね」


「むっ? ようやくその謎の祭壇の仕組みがわかったのか、それで何だって? ここに言う『生モノ』ってのはアレだろう? どうせ適切な尻だのおっぱいだのってことなんだろう?」


「しかしその『生モノ』なんですが、神々や天使のものじゃなくて、ランダムに選ばれているのかなにか決まりがあるのかはわかりませんが、神界人間のものになる可能性が高いんじゃないかと、そんなところです」


「……つまりだ、この施設に収容されているあの何というか、グラウンドのような場所に居る連中の中から適合者を……みたいな感じだってのか?」


「おそらくそうです、そして適合者としてある程度のスペックを持っていれば良いのか、それとも完全に決まった者を連れてこないとならないのかという点がまだ不明です、というか調べようがありません」


「なるほど、確かにほら、ここを見て下さい、『生おっぱい』を当て嵌める形なんでしょうけど……それぞれサイズがまるで異なっているんです」


「本当ですね、これに関してはかなりの巨乳を、こっちにはそこそこのものを、それでこっちは……男性の大胸筋でしょうか?」


「いやそんな気持ちの悪いもんを当て嵌めることはないだろう、きっととんでもねぇ貧乳の奴を連れて来るようにしないとダメなんだよ」


「下の祭壇もそれと同じですね、大きいお尻、良い感じのお尻、そして小さいお尻です」


「しかも全部神界人間っと……どうしようかこれ? あの大量に居る中から探すのは困難だし、もしそれっぽいのを見つけたとしても、テストしているうちにこっちの計画が露見してしまうぞ間違いなく……」



 ロボテック女神の調査によって徐々にその実体がわかってきた、装置に隠されていた謎の祭壇であったが、その『適合者』に関しての情報はまるでない。


 もしサイズ感がピッタリ、完全にフィットする者を探してそれを当て嵌めれば良い、捧げてやれば良いというのであればまだわかるのだが、そうではないパターンが考えられるのが困ったところだ。


 もしもこのマゾ狩り収容施設の中に入れられている多くの神界人間の中で、決められた3人と3人、つまり固有の尻とおっぱいが選ばれており、確実にそれを連れて来なくてはならないとなるとややこしい。


 もちろんこちらが隠密行動で、まさかこの装置を破壊しようと考えているなどとは思っていないはずの団体上層部に、その動きがバレてしまうようなことは慎まなくてはならないし、そうなると大々的に『適合者』を捜すことは困難なのである。


 ということでこれに関してはさらに調査を進めなくてはならないのだが、やはりこの場でロボテック女神が確認をして、それでわからないことがこの後の調査でわかってくる可能性は極めて低いであろう。


 ならばこの祭壇自体を調査するのではなく、マゾ狩り団体内部の文書などを漁って、そこから情報を得て……ということをするためにはやはり、まだ団体の構成員である金髪天使の力に頼らざるを得ない。


 他の者がそのような文書に触れることは万にひとつも叶わないであろうし、隠れてコソコソやっていても、きっと非効率で時間を要する調査となってしまうことであろう。


 ドMに関する論文でも執筆するつもりならそれでも良いし、より一層味がある、良い文章に繋がるのかも知れないが、今回はそのようなことを目的としているわけではないのだ。


 可及的速やかにこの祭壇の謎を解き明かし、敵のマゾ狩り団体幹部、であってかつドM収容者でもある女神とやらを叩くことにつなげなくてはならないのだから……



「……ということだ金髪天使、お前なら出来る、この施設内の文書保管庫で古い記録でも漁って、この装置と祭壇に関する情報を集めるんだ、良いな?」


「それには私が適任だということはわかりますが……ちょっと怪しすぎるというか、そのようなことをしていたらすぐに理由を尋ねられるのではないかと思うのです……そしたらどのような説明をしたら……」


「そうだな……ふむ、じゃあこの下の祭壇、ひとつだけ残してあとはキッチリ、元通りに閉じてしまおう、本来は全部閉じるべきところだがな」


「開けたままにしてどうしようというのですか? 私の看破の力もこの怪しい祭壇には通じないようですし、特にメリットはないように思えますが?」


「開けておくことで直接的なメリットを得ようってわけじゃない、だがな、ここは偶然に、ロボテック女神がこの装置を調べる中で発見されたものであって、監視をしていてそれに興味を持った金髪天使が詳細の探求をし始めた、みたいなストーリーでやっていったら良いと思うんだよ、それなら何かツッコミが入った際の説明も付く」


「ちょっとそれ、相当に無理矢理なこじ付けストーリーじゃないですかっ、そんなものを発見したのに上位者に対する報告もせず、勝手に調べ始めるなんてヤバい天使がやることですよ」


「大丈夫だ、こんな腐った神界の連中など、そういった社会常識を持ち合わせているとは思えないからな、腐った連中ばかりだよどうせ」


「この非常識極まりない勇者にそのようなことを言われるマゾ狩り団体の幹部もかわいそうになってきますね、いえ、ちょっとした冗談です、冗談なのであまりハードな鞭はっ! ひぎぃぃぃっ!」


「ということでだ、金髪天使にはこの祭壇に関する文献調査をして貰う、この最後の開いておく祭壇は……まぁ、閉じたけど何かちょっと感じが変わったぐらいにしておくか、見つけたけどそのまま適当に戻しておきました的な、他はキッチリ閉じろよっ」


『うぇ~いっ』



 ということでその作業をさせ、ひとつを、最初にルビアが非適合者として跳ね除けられ、カンチョーされてしまったものを除いた全ての祭壇を閉鎖しておいた。


 これでおそらく俺達が……というか本来はメインで作業をしているはずのロボテック女神がそれを発見したのはたまたま偶然であって、興味を持って調べ始めたのは監視役をしていた金髪天使のみであるということを偽装することが可能だ。


 もしこの発見が露見したとしても、特に何か悪いことを考えているわけではないと、マゾ狩り団体に対してそのように伝われば幸いである。


 先日における少しばかりの装置の破壊の件に関しても、この金髪天使が現れるまでは見当違いの所を捜索していたりといったことがあったわけだから、常時俺達の動きを監視していると言うことは考えにくい。


 そしてどうせ馬鹿なので、あのようなことがあったため業務を改善するとして、凄まじい『M』の力を抽出することが可能な俺や、抽出される側として非常に優秀なるビアを、新たに24時間体制での監視対象にするということもあり得ないのだ。


 というか、もしそのようなことがあればだ、そもそも金髪天使が送り込まれて、それで勝手に居付いて監視している感を出してそれでOKということにはならないはずなのである。


 つまりこれはこのマゾ狩り収監施設の上層部は馬鹿で、監視体制が極めてザルであるということを意味している……まぁ、この施設は強固な結界に守られているのだから、その効果の前に胡坐をかいてしまうのも仕方のないことなのかも知れないな……



「ご主人様、他のところは完璧に閉じたそうです、あと、ちょっと見つけた感を出すところもこんな感じで良いですか?」


「こんな感じってルビアお前、ただ元々の板を張り直して……養生テープで貼ってんじゃねぇよ、雑すぎるにもほどがあるぞこんなもん」


「じゃあ布ガムテープにしますか? こっちのテープの方が工業感があって良いなと思ったのですが」


「剣と魔法のファンタジー世界の住人が工業感出してんじゃねぇぞ……でもまぁ良いか、どうせ敵の馬鹿共も適当なんだ、最悪ここが一度開かれたことにさえ気付かないかも知れないし、気付いてもそれがどういうことなのか認識出来ない可能性さえある」


「神界の存在がどれだけ無能だと思っているのですか勇者よ、少なくとも低能勇者のあなたよりは……あっ、ひぎぃぃぃっ! 痛いっ! 痛いぃぃぃっ! どうかお許しをぉぉぉっ!」


「全く、ちょっと目を離せば不適切発言が飛んでくるからな、油断も隙もないとはこのことだよ、神界の低能さを舐めちゃいけないってことなんだろうがな……で、そういうことで今日はこのぐらいにしておこう、俺達はとっとと帰って、金髪天使は調査探求の方を頼んだぞ」


「わかりました、では一応毎日そちらへ行く中で、その都度進捗の方を報告したいと思います」


「あぁ、そういうことにでもしておいてくれ、行くぞお前等、じゃないこの雌豚共がっ!」


『ぶっひぃぃぃっ!』



 一応のところ今日の作業は終わりということで、そこで全てを切上げて独房、というか接続した広い牢屋があるフロアへと戻った。


 そこへちょうど昼食が運ばれて来たため、俺だけはハゲのおっさんクリーチャーのフリをして、係員が完全に立ち去ってしまうのを待つ。


 配膳するためのカートがガラガラと音を立てて廊下の向こうへと消え、天使の力も感じなくなったところで、俺達は改めてこれからどうするべきなのか、もちろん仕事が決まっている金髪天使を除いた状態で話し合うこととした。


 といっても何をしたら良いのやら、特にやることもないのではというような意見ばかりが目立って……もはやここで待機し続けるしかないのであろうか。


 きっと調査にはそれなりの時間を要し、俺達はそれが終わるのを待つしかない、手伝うようなことは出来ない。

 そして絶対に何かがわかるとは思えないし、最初のうちはそんなに進捗を得ることがないから、報告を受けてもどうしようもないはず。


 ならばこちらで独自に動くようなことを……と思ったのだが、そもそも捕まって収容されている連中と、その監視役として、正体を隠してまで潜入している俺の行動には限界があるのだ。


 どうにかして外のグラウンドのような場所へ出て、必要となるのであろう『適合者』の神界人間を探すことが出来ればと思うのだが、果たしてそこまでフリーダムな行動が俺のようなハゲに許されるのかどうかといったところである……



「う~む、ハゲのおっさんクリーチャーが、勝手に外の神界人間に『担当変え』していたとなったらアレだよな……」


「そんなことをしたら、いくらこれまでの成績が良かったといってもアウトでしょうね、もう壊れてしまったとして『処理』されてしまうことになります」


「それで、そんなことされても俺は俺で、あんなに脆弱なハゲとは違うからな、全然処理出来なくて何だコイツはとなって……」


「正体がバレますよね、というか普通にアウトですそんなの、私達のお世話はどうするんですか?」


「お世話ってお前、この尻もおっぱいも適合さえしていないどうしようもないドMの世話かっ」


「あててててっ、おっぱいが千切れてしまいますっ! ひぃぃぃっ!」


「フンッ、しょうもないおっぱいなどさらにこうだっ! オラッ!」


「おっぱいビンタが効くっ! あぁぁぁっ!」


「勇者よ、遊んでいる場合ではありませんよ、しっかり考えて下さい、ここの担当ハゲを続けながら、さらに情報収集をするための方法を」


「ここの担当を続けながらな……かといって仲間に引き込めそうなのは神々ばかりだし、さすがに他のフロア、天使とか神界人間の所をウロウロするのは目立つし……」


「ならご主人様、また外で『ハンティング』をする感じで動いて、そこでほら、皆を連れて来て神界人間の中に……どうです?」


「なるほど、元々俺は外をウロついていて、そこで神としてのルビアを捕縛した感じになっていて、つまりはこの結界の外へ出る分には普通のことで……いけるかも知れないがどう思う?」


「そうですね、ハゲの担当などはそこまで厳密に決まっていませんから、この施設の中で変な動きをしない限り、あぁ外へ行ったのだな、ぐらいの話で済むものかと、もちろん出て行ってすぐに神々を捕まえて来るなんてことがあればそれはちょっとアレですけど」


「だよな、そこまですると疑われかねない、だがこの施設は強固な結界に守られてそれに頼り切っている分、何かの出入、特に『入る方』に関して実にザルなはずだ」


「収容されている神や天使、神界人間が『出る』ことをしなければそれでOKだと思っているようですからね、ここの上層部は」


「そういうことだ、俺のようなハゲが内部で派手に動くと目立つが、外へ出る分には特に何もないし、その辺の神界人間を拉致って来る分にも特に問題はない、ヘンに目立つ神とかじゃなければな」


「そのことを利用して仲間を引き込むというのですね、しかし仲間とはいえ、こんな場所に放り込まれることを、しかも神界人間のフロアでしょう? そんな屈辱に耐えられる方が居るのかと……」


「看破の女神なんだよなお前は? 俺の目を良く見て話をしろ、すぐにわかるはずだ」


「……なるほど、このルビアさん以外のお仲間もドMだらけで……しかもそのドMさを利用してここの幹部を倒してもいるとっ!?」


「そういうことなんだ、だから『ドMの調達』に関しては俺に任せてくれ、あとはその内偵のために放り込んでしまったドMが、キモいおっさんクリーチャーに触れられたりしないようにしておく必要はあるがな」


「では後輩に、金髪の天使にも確認を取って、大丈夫そうならそれでいくことにしましょう、どのみち今日の夕方ぐらいまでは待機ですね」


『うぇ~いっ』



 ここからどうするのかの方向性は見えてきたのだが、それでも何の確認もないままに動き出してしまうのは良くないように思える、


 なので念のため金髪天使の了承も得て、むしろその命令によって俺が一旦このマゾ狩り収監施設を出て、外で『マゾ狩り』をして来るというスタイルでいこうということになったのだ。


 目的としては特に何かをする、町を襲撃してドMの神界人間をどうこうするというわけではなく、普通に近くで待機している仲間達とコンタクトを取ることだけ。


 そしてその仲間達の中から、適切なドMを新たな収容者として連れて来て、安全に配慮しつつ外の神界人間の中に紛れ込ませるという方法を取るのだ。


 で、そんな方向性で固まったということで、あとはもういつも通りここの連中を責めるフリ……ではなくリアルに鞭や縄を使って責めつつ金髪天使の帰還を待つ。


 夕食の時間になり、配膳係の天使達と一緒になってやって来た金髪天使にこのことを、いやその前に今日の調査に関しての報告を受けておくべきか……



「……行ったか、夕食の配膳はこれでタイムアップのようだな、もう秘密の相談をしても構わない時間だろう」


「そのようですね、それで私、どうにか文書保管庫に入って調査を始めてみたのですが……やはりかなりの機密情報のようで、許可申請を繰り返さないとおそらく……といった感じの機密レベルでした」


「そうかやはりか、ちなみに閲覧の許可申請の方は通りそうなのか?」


「してはありますが、どうしても理由が必要なようでして、私がその理由欄に記入した『増幅装置のさらなる改善のため』という当たり障りのない文言で物言いが入らないかどうかが微妙ですね」


「大丈夫、きっとそのような許可申請は放置されて、数日経ってから誰かが気付いたら適当に通過、というようなかたちになると思いますよ、私が所属していた部署ではそうでしたから……まぁ、上位者がゴミだっただけかも知れませんが」


「なら金髪天使のところの上位者も全部どうしようもないゴミ上司であることを祈るしかないな、まぁ、そういう奴ばっかりなんだろうけどきっと」


「……えぇ、あのゴミさ加減であればそういう風になってもおかしくはありませんね、本当に無能ばかりでストレスが溜まる一方の部署ですから」


「ホントに神界ってのはどうしようもねぇな……まぁ、俺達の世界も同じようなものか……で、そういうことなら明日にでも外へ出て、仲間のうちから適材適所な感じで何人か選んで来るけど、それで良いな?」


「では1日だけ、その業務に従事するということで命令した感じにしておきますね、あ、本当は命令なんてしませんよ、あくまで形式上ですから、だから恨まないで下さいね」


「わかっている、後でこのことを取り上げて酷い目に、みたいなことはしないと約束しよう……そもそもアレだ、この施設が終わったらお前が酷い目に遭うのはもう確定なんだからな」


「そんなっ、せめてドMが喜ぶお仕置きぐらいでっ」



 などと金髪天使をからかい、そこでその日の報告や作戦会議の行程を終えて解散とした。

 明日は朝一番から俺がここを出て、拠点というかキャンプにしている山の中で仲間とコンタクトを取るのだ。


 もちろん追跡などはないはずだし、その業務の範囲内においては俺も通常の俺として活動してしまって構わないであろう。


 ここまでしばらくの間はかなり気を使って、この気持ち悪いハゲのおっさんクリーチャーの姿をキープしていたのだから、少しばかりの休憩ということにもなるはず。


 それに俺が居ない状態で放置している仲間達んことも非常に心配であって、精霊様が勝手に独裁者のような状態で君臨している可能性さえも否定出来ない。


 もしそうであったとしたら、また精霊様にはドM堕ちでもして貰って、潜入作戦に必要な人員の代わりを……とまぁ、さすがにそれは無理であろうか、人と精霊ではかなり存在の格が違うのだから仕方がないことだ。


 ともかくそんな感じで朝を待った俺は、早く起きていた俺達の世界の女神にだけ行って来る旨を伝えて出発する。


 無駄に要求してきた土産などは突っ撥ね、目的のみを達成するという心持ちで強固な結界に張られた扉を通過し、何となく久しぶりのような気がする外の世界に出たのであった……

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