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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 島国
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1225 手が回って

「あいたっ、あでっ、ごめんなさいっ、もう許して下さいっ、ひぐっ、ひゃぁぁぁっ!」


『……人間、神、喜ばせることに成功した、今回の行動は学習し、次回以降も同様の行動を取るものとした』


「ひぃっ、ひぃぃぃっ……あいだっ、やっと解放して頂けました、全く、どうして神界の女神であるこの私がかような屈辱を」


「まぁ、ちょうど良い実験体だったからな、しかも実際には喜んでいただろう? 違うのか?」


「それはもう、ハードに責められて後半はかなり嬉ション寸前の状態でしたが、それでも神にすることではないと、そう思いますよ」


「女神お前やべぇなかなり、ブッ壊れていると言っても過言ではない程度にはヤバいぞ神として」


「それを言うなら勇者よ、あなたも勇者としてなかなかヤバいと思いますよ」


「左様ですか……」


「……うん、今のでまたかなりのMがチャージされましたね、この調子でいけば、さらなる覚醒トランスフォームが可能になるかも知れません」


「もう良いんじゃねぇかこんなもんで? ちなみに今のゴーレムの力だとさ、その、何だっけ? マゾ狩りハンター神? それを相手にした場合にはどのぐらいの勝負が期待出来そうなんだ?」


「そうですね、今の状態ですと……互角といったところでしょうか、タイマンだと敗北する可能性がないとは言えませんね」


「なるほど……つまりMでない、まともに戦える俺達が加勢した場合には、まずもって負けることなどないということになるのか……」


「ですね、勝てると思って意気揚々とやって来た迷惑なマゾ狩りハンター神を、こちらの力で蹂躙して、力を失ったところで本当に不快であって気持ち悪いということを伝えることが出来るでしょう、非常に気分の良い結果になるのは間違いありません」



 覚醒トランスフォームをして、さらにそこから俺達の世界の女神の『M』を吸収して強化、というかエネルギーチャージを済ませたゴーレム(お仕置き強化版)。


 このままマゾ狩りハンター神に勝利することが可能であると言うのならば、リスクを伴わないとは言えないさらなる強化は不要ということになる。


 もっとも、戦闘のために皆の『M』をさらにチャージしたとしたら、その結果としてまた変形したり、あり得ない強化ぶりを見せたりということがないとは言えない。


 既に午後の時間であって、敵がこちらにやって来るのはもういつになるかわからない、早ければもうあと数時間で襲来するという状況であるが、果たしてここで追加のチャージをするのが正解なのか、それとももうしばらくこのままで様子を見たら良いのか。


 一応、戦闘中であったとしても追加チャージは可能であるということで、戦いの様子を見て、もちろん予めチャージの準備を済ませたうえで判断するという方法もあるにはある。


 いや、念のためもう少し、ルビアのような『上質かつ濃密なM』ではなくライトなMを、軽く注入しておくというのもまたアリかと思えるな。


 そうなるとチャージの源となるキャラが限定されてくるのだが、それはミラとユリナとサリナ……サリナは実際ドMだからやりすぎか、あとエリナと残雪DXぐらいのものであろう。


 ということで話し合いをし、一応エリナと残雪DXは戦闘中における『ゴーレムの装備j品』として温存、また一度チャージの源となったミラもパスして、ユリナを使って追加をしていくことで決定したのであった……



「ほら、そういうことだから早く準備をしろ、この手枷を嵌めるんだ」


「はいですの……で、私はどういう目に遭ってしまいますの?」


「そうだな……逆にどうして欲しいんだよ?」


「え~っと、そうですわね……適当に選んでしまって申し訳ないですが、この儀式場に最初からあったらしいこの……変な磔台みたいなのでお仕置きして下さいですわ」


「これは何だ? 単に磔にして鞭で打ったりとかそういうのじゃないように思えるんだが、あと手枷を嵌めているから手は広がらないぞ」


「あ、それなら大丈夫です、コレ、簡単に分離させることが可能ですから、こうガチャッと」


「手枷の意味な……それでロボテック女神、この磔台は何だと思う? 後ろに変な装置見たいなのがあって……手足の部分は金属製なのか……良くわからんシロモノだな」


「これはえっと、おそらく『電気拷問専用磔台』ですね、拷問器具の類でしょう、受刑者を磔にして、死なない程度にビリビリやって白状させるタイプです」


「物騒だな、だがユリナ、自分で選んだんだから覚悟しろよ、これから電気、というか雷魔法のようなものを浴びせられることになるからな」


「フンッ、そんなのはいつものお仕置きに比べたら楽勝ですことよ、尻尾に雷を落とされたら痛そうですけど、手足から何てそんな」


「良い度胸じゃねぇか、というかMだな普通に、おいルビア、準備をしてやれ」


「あ、はーい、じゃあユリナちゃん、ここにべタッと……そづえす、そんな感じです」



 電気拷問専用だという磔台に、余裕の表情でへばりついているユリナに対して、ルビアがなぜそれを知っているのか、当たり前のように後ろのボックスの中から取り出したスイッチを見せ付けて、カチッとONにしてやった。


 作動する電気拷問専用磔台、神界や魔界の存在ではない、ごく普通の人族であればもう、この時点で悲鳴を上げながら許しを請うことであろう。


 だがユリナは涼しい顔をしている、というか電撃がその高い防御力を突破していないようだから……スイッチの下にツマミが付いているな、今は最弱だがこれを回せば電流がパワーアップするに違いない。


 ということで涼しい顔で何事もないなどと言い張っているユリナの目の前で、そのツマミをグーッと回して威力を『中』にしてみる。


 ふと、何かを感じ取ったかのような表情を見せたユリナであったが、相変わらず痛みなど感じていない様子で、横に出している黒い悪魔の尻尾は暇そうに動いていた……



「じゃあ次は一気に最強だっ! これでも喰らえ悪魔めがっ!」


「ぎゃんっ……いてててっ、いえ、痛いというかむず痒いですの、拷問としては雑魚ですわよ」


「……おいロボテック女神、この拷問器具、もしかして壊れてんじゃねぇのか? 出力最大でもこの程度とか雑魚極まりないぞ」


「おかしいですね、最強にすればこの数値で……神でもそこそこ痛いと感じるぐらいのパワーなのですが、どうしたことでしょう?」


「でも見て見てっ、ゴーレムのゲージ? ちょっとずつだけど上がってきているわよ」


「……ホントだ、というか生贄なんぞ捧げているよりよほど効率良くアップしてんぞ……ということはユリナお前、もしかしてやせ我慢してんな?」


「ば……バレましたの、実はさっきからちょっと効いて、そのそろそろギブアップしても……ダメですの?」


「ダメだな、というかこのツマミの下の所がパカッと開いて……裏コマンドみたいなのが出てきたぞ、『強』じゃなくて『狂』だってよ、はいじゃあこれね」


「ひっ、ひぎぃぃぃっ! な、何か知らないけどそこそこ効いてますのぉぉぉっ! あっ、でもこれもなかなか……」


「ゲージの上昇が少し改善されましたね、これなら戦闘中に継続してゴーレムに『M』を伝達することが出来そうです」


「よかったよかった、じゃあユリナ、敵が来たらそのまま使うから、ちょっとしばらくそこで我慢しておいてくれよ、俺達は食事をしに行って来るから」


「ひぃぃぃっ! それはないですのっ! さすがにかわいそうとか思わないんですのっ?」


「だってお前、まぁ他の皆もそうだけどさ、俺が注連縄みたいになっているとき、優雅にティータイムと洒落込んでいただろう? 違うのか?」


『それに関してはすみませんでした……』


「素直に謝ることが出来て大変によろしい、じゃあ食事はここに持ってこさせるとして……それに関して俺をもてなすなどして罪を償うことだな」


『へへーっ! 畏まりましたでございますっ!』



 ふとしたことで先程の恨みを晴らすことが出来そうな予感、このまま敵であるマゾ狩りハンター神がやって来るまで、王様のような気分を味わうことが出来るのではないか。


 などと思ったのも束の間、空気の読めない馬鹿などこかの女神が、そういうことであればここに居ない仁平達ももう呼んでしまおうなどと言い出した。


 そうなると確実に精霊様が登場してしまうではないか、そして精霊様が出現した場合、このMばかりの中で王様気分になるのは俺ではなく……女神の奴め、本当にやらかしやがったな。


 しかしこの件に関してはもう否定するには遅く、女神の発言とほぼ同時にマーサがお使いや描くとして飛び出してしまっていたのだ。


 5分もしないうちに全員がゾロゾロと、やる気満々のカレンや凄まじい進化を遂げたゴーレムに興味津々のリリィなども含めて、儀式場へとやって来たのである……



「へぇ~っ、なかなか強化されちゃったじゃないのぉ~っ、これなら神々との戦いにおいても、エネルギーさえ充填してあればそこそこ頑張るでしょうねぇ~っ」


「そのエネルギー充填がこれだ、この効率的な方法をもって……スイッチON!」


「あげっ、ひぃぃぃっ、効いてますの……」


「なるほどぉ~っ、そんな装置を使って『M』を発散させてぇ~っ、そのままエネルギーとして……電力もちょっと力として取り込まれているわねぇ~っ、複合エネルギー、なかなか上質なものよぉ~っ」


「そうなのか電力も、懐かしい響きの力だな……というか『M数値』とやらがその電力や魔力、霊力だのみたいなのと同列の力であるってことに驚きだがな」


「様々な力は様々な世界においてそれぞれ使われているのよぉ~っ、だからここにはないような謎の力もぉ~っ、どこかの異世界で探せばきっと見つかるわよぉ~っ」


「そふ~ん、じゃあこの『Mの力』をメインに使っているようなドMばかりの世界に行って、俺がそこの神になってやりたいぐらいだな」


「待ちなさいっ、その世界はダメよ、私がずっと昔から、神になったらそこを統治したいと思っていた世界なんだからっ」


「精霊様……というかリアルにあるのかそんな世界が」


「あるに決まってんじゃないのそのぐらい、それで、準備の方はこれで良いわけ? チャージ専用の装置に磔にされているのはユリナちゃんだけみたいだけど」


「あぁ、一旦食事にでもして、その後最終段階を済ませて……みたいなプランだよ」


「その間に敵が来てしまいそうね、まぁ、お腹が減ったのは事実だし、持って来させるなら早くしましょ、タイミングが悪いとせっかくの食事がそれを持って来た天使ごと戦闘に巻き込まれて、汚くなって食べられなくなるわよ」


「お食事、そうなったらかわいそうです……」


「攻撃を受けてミンチになって、食事と混ざってしまう天使はかわいそうじゃないんだな……まぁ良いか、とにかくそういうことならばすぐに注文しようぜ、軽く食べられそうなものをな」


『うぇ~いっ!』



 軽くで済ませるつもりが、かなりの分量を頼んでいるように思える仲間達、注文を受けに来た天使のお姉さんもかなり驚いている様子だが、これはいつものことなので仕方がない。


 というか、今回の戦いはたとえ儀式状の中に限定されそうだとはいえ、この町というか俺達の拠点において行われるものだ。


 天使のお姉さんは可愛らしく、わかっている限りではそういう天使さんが少なくとも複数、この仁平の拠点の建物において業務を行っている。


 これはつまりこのお姉さん達が、天使程度の力では直ちに滅ぼされてしまうような強大な力のぶつかり合いに、直近で巻き込まれてしまう可能性があるということ。


 さすがに避難を促した方が良いな、間違いなく食事だけは持って来させたいのであるが、その後はもう、すぐにこの町を離れ、戦闘が止んだ頃に戻って来るようにと通告しておくこととしよう……



「……え~っと、もう一度確認しますね、骨付きステーキが10人前と、骨なしステーキが10人前、それから通常の安定感がある定食が5人前の、ベジタリアン定食ニンジン大盛りが1人前、スウィーツバイキングセットにドリンクバーに……活きの良い人間……以上でよろしかったでしょうか?」


『良いでーっす!』


「それで天使のお姉さん、その食事のサーブが終わったらすぐに、他の天使や目に付いた可愛い系神界人間なんかも連れてこの町を離れるんだ、ここは大規模戦闘に晒されかねないからな」


「あ、はいわかりました……しかしその間の通常業務の方は……どうしたら良いのでしょうか?」


「そんなもん、死んでも全く構わないようなその辺のおっさんにでもやらせておけ、もしそれがお姉さんや他の避難する者の上司であったとしても、生きる価値とか存在している意味においてはお姉さん達の方が圧倒的に上であって重要だからな」


「は、はぁ、しかし……」


「良いのですよ、だいいちその辺のハゲ散らかした天使など見ていて不快、臭いも不快、そして一挙手一投足がセクハラのような存在なのですから、むしろそれらが戦闘に巻き込まれ易くなる行動を取ることが、天使として神界に貢献していることにもなるのです、わかりますね?」


「はいっ、女神様がそう仰るのであればそのように致します、では、すぐにお食事をお持ち……10分程度お待ち下さいっ」




 すぐに、などとは言ったものの、分量の多さに改めて驚き、少しばかり時間を要する旨の発言をしつつ去っていく天使さん。


 それでも10分程度というのが異常な早さであり、この時点で何かおかしかったのであるが、神々に対してもてなしをするということは、予めその神々の行動を、要求を予測して先回りするということであるから、食事の準備も先に始められていたのであろうという考えに至った。


 で、本当に10分程度で料理が、先程の女性天使の独力によって運ばれて来たのであるが……他の天使達はもう避難を開始したのであろうか。


 まぁ、通常であれば複数で持って来るような分量の食事の準備を、あえて単独デしているような状況であるから、きっとこの天使さんは責任を持って、ここまでやり遂げてから逃げるのであろうと、そう思っておく。


 次々と並べられる料理、やはりこの10分間で用意された感じではなく、予めあったものを再温めして出してきたような印象であるが……そのことに気付いてか、精霊様の表情が険しいではないか。


 まさか『自分にレンチンの食事を提供するつもりなのか』というキレ方をするのではなかろうなと、不安ながらにその様子をみていると、皆が食事に箸を付けようとした瞬間に立ち上がった精霊様……



『いっただっきま……』


「待って! これは食べちゃダメ! ストップよ……あんたもっ!」


「ひっ、ひぃぃぃっ!?」


「どうしたんだ一体? 何が……精霊様?」


「……やっぱり、この食事をちょっとでも齧ったらアレよ、強烈な倦怠感に教われてしばらく眠ってしまう、というよりも気絶する感じね」


「血糖値が上がり易いのか? 健康に悪いのか?」


「そうじゃなくて、まぁそれみたいなものなんだけど、とにかく何か魔法……じゃないわね、凄まじい力が隠蔽されつつ付与されているの、それと、その活きの良い人間? を除いて、他の食事全部にっ! どういうことなのっ!」


「ひっ、ひぃぃぃっ! ひぃぃぃっ! どうかお許しをっ! 私は本当はそのようなことをしたくはなかったのです! 本当ですっ!」



 精霊様が行動を開始した際に、スッと逃げ出そうとしていた天使さんであったが、残念ながら水の縄のようなものでギチギチに縛られて宙吊りにされている。


 そしてこの反応を見る限りでは、間違いなくこの天使さんが食事に何かをしたということであって、何らかの派閥に属する敵であるということがわかってしまう。


 食べてはいけないと言われるとより一層食べたくなるらしいカレンが骨付き肉の方に行かないように抱き留めつつ、ジタバタと暴れ、どうにか逃げ出そうと試みるその天使さんの方を見ると……何やら腰の辺りが光っているように見えなくもないな。


 いや光っているというよりも、事態に気付いた仁平が何らかの力で光らせているという方が正解であろうか。


 敵であることがわかった以上、乱暴なことを一切しないということにはさすがに出来ないので、ひとまずその天使の衣装をガバッと捲って腰の部分を露出させて見る。


 パンツは天使らしく純白で、この天使さんが紛れ込んだ魔界の堕天使であるという可能性はこの時点で否定された。


 ならばこの腰に刻まれ、光っている紋章のようなものこそが、今回この天使さんが属している『敵チーム』が何であるのかということを確認するうえで重要だ……



「何なんだろうなこの紋章……おいっ、何だお前は? どこから来た何を目的とする敵なんだ?」


「そっ、それはそのっ、あのっ、そんなこと言ったら叱られるどころじゃ……」


「ほう、じゃあその叱られるどころじゃない悲惨な目より、さらにさらに悲惨な目に遭わせたらどうかな? 正体を吐いてくれるかな?」


「いいえ、その必要はありませんね」


「ロボテック女神、どうしてだ?」


「この紋章、マゾ狩りに遭った神や天使、神界人間などが、施設に収監される際に刻まれるものですから」


「ということはつまりこの天使さんは……マゾ狩りハンター神が送り込んだ刺客なのかっ?」


「……今回に限って、マゾ狩りハンター神が送り込んだというわけではないかも知れませんね、この天使の方、私達がここを仁平一派の拠点とした際にはもう……」


「ここで働いていたってのか、となると……もう色んな場所にこういう奴が仕込まれているってことだな」


「そうなりますね、とにかく、その仕込んであった天使に、今回の命令を伝達して私達の妨害をしようと企んだということです」


「面倒臭っせぇことになったなしかし……」



 突如発覚した敵の刺客、ではなく敵の仕込み、ひとまずはこの捕まえた天使さんから事情を聞いていくべきところか……

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