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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 島国
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1221 改良したい

「……で、テストに回したうちの全員がこのような結果、つまり『そこそこのM』か『ドM』という結果に終わってしまったのだが、これについて何か言うべきことはあるか?」


「勇者様、まだ私達はテスト、というかM数値の計測をしていないわよ?」


「お前等はもう良いだろうよ、測って見たいのはルビアぐらいのものだ、それ以上には決してなることがないであろう、そしてM性は否定されないであろうセラ、マーサ、マリエル、ジェシカの4人はやるだけ無駄だ」


「え~っ、良いじゃない面白そうだし、私やってみるわよ」


「フンッ、好きにしやがれ、どうせM数値1,000兆超えのクソドMだってことが明らかになるだけだ、数値上でな」


「どうかはわからないわよっ、え~っと、まずは胸でギューッと、次はお尻でギューッと……何も言わないじゃないの?」


「測定不能ですね、きっとこのような機械では推し量ることが出来ないほどのMなのでしょう、このウサギさんは他の雌豚の方よりもかなりM数値が低いと思ったのですが……ほら、豚じゃなくてウサギですし」


「そのていどのことでは判断出来ないんだよ俺の仲間は、ほらマーサ、とっとと退いて、向こうで正座して反省しておけこの畜生めが」


「はーい、ごめんなさーい」


「では次は私がやってみよう」


「だからジェシカも同じだって……うわ何だっ?」


「ば……爆発してしまったぞ……」



 とんでもないドMであると、既に得られている評価を追認されたにすぎなかったマーサ、そしてその次にふざけて装置に近付いたジェシカの何らかの力で、それは大爆発を起こして壊れてしまった。


 制作者であるロボテック女神によると、ジェシカのM数値は天文学的なものであったから、その通常では考えられないパワーに装置内の水晶玉のようなものが耐えられず、結果としてこのような爆発を起こしたということである。


 ジェシカは確かにドMであるのだが、ではそれを遥かに超えるトンデモ女であるルビアが装置に近付いていたらと思うと……もしかしたらそれだけで町が崩壊していたかも知れないな。


 案外危険であったM数値を計測するための装置と、その装置のお陰で『まるで使えない連中』であることが判明した仲間達。


 こんなことでは次に襲来するマゾ狩りハンター神とやらとまともに戦うことなど出来ない、単に足を引っ張るだけの連中が多すぎるということになってしまう。


 もちろん、このM判定を受けた全員をどこかに隠す、いやどうせドMなので縛り上げて監禁してやるという方法もあるが、それは逆に危険なことかも知れない。


 マゾ狩りハンター神が何らかの方法で、或いは嗅覚などの能力をもってMの居場所を割り出すことが可能であるとしたらどうか。


 当然に俺達の前に姿を現すことなく、真っ先に隠されたM達の所へ向かってそれを処理してしまうに違いない。


 そうなるとこちらの負けが確定し、俺達はあの魔界での茨の道事件とは違って、普通に白旗を挙げ、ババァ神一派に謝罪して捕まったM達を返して貰わなくてはならないこととなる。


 ここまで戦っておいてそんな終わりに帰着することだけは絶対に避けたい、避けたいのであるが……今更になってこの馬鹿共のMを修正することなど到底出来ないことだ。


 まぁ、ミラぐらいであれば気合でどうにかなるのかも知れないが、そもそも判定さえする必要のなかった雌豚5匹、これはもうどうしようもない存在でしかない。


 この雌豚共に関して何かしてやることが出来るとしたら……この神界自体から逃がしてしまうか? イヤそれでも敵は追跡してくることであろうな、それか一時的にドM堕ちの逆、ドS上がりを……などということが可能であれば苦労はしないか。


 他に何か方法がないものか、仁平に聞けば何かわかるのではないかと、そう考えて溜息だけ残し、部屋をでようとすると……どうやらロボテック女神に何か考えがあるようだ……



「あのですね、え~っと、その、この状態からですね、本当に一時的なものです、そんなものですけれども……マゾ狩りハンター神とこの方々がまともに戦うことが出来る方法があります、もちろん私も同じです」


「ほう、そんな方法があるのならば最初に言ってくれれば良かったのに、それで、どんなムチャクチャな方法なんだそれは? わけわかんねぇのはナシだぞ」


「えぇ、実はですね、かなり苦労することかと思いますが、予めこの方々のM数値を、そのMの感情を発散させることによって消滅させておくというのが作戦でして……如何でしょうか?」


「発散させておくって……どうやってだよそんなもん? 言っておくがこの、特に雌豚5人衆はやべぇぞ、もう無尽蔵のMだマジで、あとドM判定を受けてしまったサリナとか女神もおそらくな」


「それでもMの底というものがあるはずです、この私も含めたM方々に、『しばらくはボコボコに殴り倒されるのさえイヤだ』と思わせるような罰を与えてですね……」


「ボコボコに殴り倒されるのが普段はOKってだけで相当に危険だぞお前……」


「そんなことありませんよご主人様、ほら、私にやってみて下さい」


「馬鹿か、ルビアにそんなこと出来るかってんだこのっ!」


「あでっ、拳骨はアリなんですね……」



 などとくだらないやり取りをしていたのだが、ロボテック女神に関してはどうやらこの話を真剣にしている様子。


 まさかそんなことがあるかと思ってしまうようなことが、現実に起こり得るということだけは異世界転移してから十分に学習したつもりではある。


 しかしこの連中、特にそのM数値を大幅に強化したばかりのルビアなどに、そのMを発散させて一時的に『無』の状態にすることなど、到底可能ではないとしか思えない。


 とはいえロボテック女神もこの神界の神なのであって、知識や経験、そして徳の高さなどでは俺などより遥かに上の存在。


 その神がそう言うのであるから、もしかしたら間違っているのは俺の方であって、この件に関して試してみる必要があるのではないかと、そうも考えることが出来るのだ。


 しかし試すにしても、いつもの雌豚5匹に加えてミラ、ユリナにサリナにエリナ、残雪DXとさらには女神も、これらを満足させる『罰』とはどれほどのものなのであろうか。


 少なくともいつもやっているように、尻を引っ叩いてみたり頬っぺたを抓ってみたり、拳骨を喰らわせる程度ではどうしようもないはず。


 大掛かりな装置を使用して、もう勘弁して下さいと懇願されるほどにまで追い詰めてやる必要があるのだが、そんな装置など存在……していたような気がしなくもないな。


 つい先程、ほんとうにひとつ前の流れで使用した神界の巨大ゴーレムが、その力だけでルビアを、sあらにそのルビアに融合したドM雌豚尻の神を、あんなにもヒーヒー言わせていたではないか。


 その後、エネルギーを失って稼働を停止したうえに、用済みでもう邪魔なデカブツでしかなくなったゴーレムは儀式場に放置したまま。


 それを上手く使うことが出来れば、そのパワーをもってここの連中をヒーヒー言わせて、一時的にとはいえM数値を低下させることが……不可能だとは断言出来ないであろう……



「なぁロボテック女神、ちょっとさ、俺達がパーツを集めて完成させたゴーレムなんだが……それを見てくれないか?」


「ゴーレムですか? そうですね、Mの発散に使うことが出来そうで……ひとまず完成した姿を見せて下さい、どうせ私の技術供与分も含まれているシロモノでしょうから、構造等は簡単に判明するはずです」


「じゃあ、早速儀式場へ戻りましょ、エネルギーの再充填とかはどうしたら良いかわからないけど、まだ生贄の人達も残っているし、きっとどうにかなるわよね」


「うむ、ちょっと仁平達に事情を説明して来るよ、それから……ロボテック女神は捕虜だからな、ルビア、もう一度キツく縛っておけ」


「わかりました、ではちょっと大人しくして下さいね」


「あうっ、どうやらほんの少しだけ私のMが発散されたようです」


「・・・・・・・・・・」



 わけのわからないことを言っているロボテック女神はさておき、仲間達はそのままあの儀式場へと向かい、俺だけが仁平と、それからMではないと明確に判断出来る仲間達の部屋へと戻る。


 仁平は比較的面倒見が良いようで、カレンもリリィもほったらかしにして勝手に寝ている精霊様とは違い、2人に夜食を提供するなどしてくれていた。


 詳細のわからないモノ、危険極まりないモノを食べさせるのだけはやめて欲しいところだが、面倒を見て貰っている以上そのようなことを疑い、苦言を呈するわけにはいかない。


 一応、俺達がこれからやることを伝え、ついでに眠りこけている精霊様の顔にでも落書きをしておいてくれと頼み、俺も儀式場へと向かったのであった……



 ※※※



「ふ~む、これがゴーレムの完成した姿ですね、なるほど私のロボテックもふんだんに使われているようです、ふむふむ」


「どうだ? こいつをちょっと改造したりして、トンデモお仕置きマシンに仕立て上げることが出来ないか?」


「そうですね、やってみる価値はあると思いますが……ひとまずこのほら、あの~っ、私が守っていた大穴の先にあったであろうパーツですね……」


「ゴーレムのCHING-CHINGのことか、これはかなり苦労したぜゲットするのに」


「……正直これ、本気で要らないモノだと思います、まともに機能しているとは思えませんし、むしろこんなモノがない方が、ゴーレムの力をより効率良く発揮することが出来るはずです」


「俺達の苦労は何だったんだって話になってくるんだがそれ……」


「勇者よ、ロボテック女神もそう言っていることですし、こんな物騒なモノは早々に削除致しましょう、ハァッ!」


「あぁぁぁぁぁぁっ! ゴーレムのCHING-CHINGがぁぁぁっ! み……見ただけでヒュンッとなる光景だったぜ……」



 俺達の世界の女神の暴挙によって、ゴーレムはその大切なはずの、しかし本当はまるで機能していなかったらしいブツを失ってしまった。


 心なしか少し悲しげな表情に見えるゴーレムだが、実際には無機質で、しかもかどうしていない状態の顔なので俺の勘違いなのであろう。


 しかしあんなに苦労して手に入れたパーツが、しかも最重要なモノだとされていたにも拘らず、見るべき者が見れば不要であると、そう一瞬で判断出来てしまうのだから恐ろしい。


 というかまぁ、どうして俺達はこんなモノを、あのオッサァァァンッの神が自ら装備していたような薄汚いモノを、わざわざ魔界から持ち帰ったのであろうかという、根本的な部分に疑いを持つべきであったのかも知れないが。


 それで、そんな感じでスマートでかつモザイクも不要な姿になったゴーレムは、それでもまだエネルギーが一切充填されていない、このままでは動きもしない状態である。


 儀式場の横に用意された牢屋では、天使に見張られた生贄の方々が、喋ることも許されずに不安そうな表情でこちらを見ているのだが……この方々には特に食事など与えない予定なので、死んで腐ってしまう前に『使用』してやらないともったいないことになるな……



「なぁ、とりあえずちょっとだけ生贄を捧げて、起動するだけしてみようか?」


「そうですね、そうして頂けると凄く助かります、もっと効率化して、要らない機能も削除して、お仕置き能力を強化出来るようにしたいですから……というか、自分を酷い目に遭わせる装置を自分で改良するのは……」


「イヤなのか?」


「いえ、凄く興奮します、最高の気分ですよ、しかしひとつ問題がありますね」


「問題というと……技術的な面でか?」


「そうではありません、問題となるのはひとつ、お仕置き能力強化版ゴーレムが完成しとして、それをどのタイミングで使用するべきなのかということです」


「……なるほど、それがわかっていないとアレだよなちょっと」



 いくら強烈な『罰』を与え、一時的に皆のMを発散させることになるとはいえ、時間の経過とともにまたMの蓄積が起こってしまうという事実がある。


 特に俺の仲間達は信じがたいほどのMなのであるから、どれだけボロボロの状態にされようとも、あっという間にまたM欲求を溜め込んでしまうことであろう。


 それを股発散させるために、敵が実際にやって来るまで何度もゴーレムを起動させて、その度に生贄を捧げて……などということをするのは非常に効率が悪い。


 しかも中途半端な状態で敵の来襲があったとしたら、それこそかなりのダメージを被った状態で、しかもMであると判定するに足りる状態で仲間達をマゾ狩りハンター神の前に晒してしまうことになるのだ。


 そんなことになれば逆に自分達を追い込んでいるようなものではないか、ドMではあるまいし、まさか俺がそのようなことをするわけにはいかないのである。


 ということでまずは、ゴーレムの改良の前にやてとくべきこと、敵の襲来タイミングに関する調査という課題をこなしておこうということとなり、一旦儀式場から撤退したのであった……



 ※※※



「さてどうしようか……ってここでそれをとやかく考えることには一切意味はないんだけどな」


「なるほどねぇ~っ、そういうことなら調べるしかないわよねぇ~っ」


「そうなんだよ、ちょっと仁平の情報網で、というか外部協力者とかも使ってどうにかならないか? 資金が必要なら俺達の女神が払うぞきっと」


「ちょっと勇者よっ!」


「んまっ、やっておくわよぉ~っ」


「それでロボテック女神、ゴーレムをお仕置き強化版にするにはどのぐらいの時間を必要とするんだ?」


「う~ん、そうですね、分解して洗浄して、特に動力炉内の釜ですね、それを綺麗にしたうえで良く研いだパーツを入れて……あとは早炊きモードが上手く動作すればそこから50分程度でしょうか」


「……あの、今さ、ゴーレムの話なんだよなそれ? 炊飯器とかじゃなくて」


「……もしかしてですが、ゴーレムに炊飯機能が付いていない世界があるのですか?」


「ねぇよそんなもんっ!」



 わけのわからないことを言うロボテック女神に対して一同ドン引き……しているのはもしかすると俺に対してなのかも知れない。


 戦闘用としか思えない姿のゴーレムで、何が悲しくて炊飯などしなくてはならないのか、そんなことをして何の意味があるのかと思ってしまうところだが、実際にはそうではないようだ。


 後ろでボソッとジェシカが言ったのは、俺が転移して来る前に居た世界ではどうやって戦場や災害現場で大量の食事を用意していたのかということなのだが……なるほどそういうことであったか。


 普通に炊飯用の車を用意して、それで乗り付けてどうのこうのということは、便利な魔法があるお陰で逆に物理的な輸送手段が馬車ぐらいしかないような世界では出来ないのである。


 そういったことも考慮すると、やはり戦えて誰かを守れて、災害救助でも大活躍するゴーレムが、ついでに炊き出しにも役立ってくれた方が良いということなのだ。


 とまぁ、そんなことは同でも良くて、これからは仁平の力で敵の襲来タイミングに関する情報収集を、そしてロボテック女神の力でゴーレムをお仕置き強化版に改良、という感じでふたつの作業を分業にて行っていくこととなる。


 俺達の世界の女神も神であって、もうひとつぐらい何か作業を発生させ、そのメインとなって欲しいところであるが……まぁ、コイツは無能なので何もさせないほうが得策であろう。


 別にこれといってやることもないし、俺達の世界の女神には他のM連中同様、ロボテック女神の方の手伝いでもして貰うべきだ……



「ということで仁平、すまないがそっちのチームはその、今残っているメンバーだけで頼む」


「わかったわぁ~っ、まぁ、ほとんど外部協力者に任せることになるんでしょうけどぉ~っ」


「うむ、何かわかったら細かいことでもこちらに伝達してくれ、そっちの2人を使っても構わないからな」


「はいはぁ~いっ、任せておきなさぁ~いっ、チュッ!」


「キモいなしかし……で、ロボテック女神、俺達はもうとっととゴーレムの方をどうにかするぞ、あっという間に完成したと思っても、テストしてみたらイマイチだったみたいなことがないとは限らないからな」


「わかりました、ではまた儀式場へ、ゴーレムがある部屋へ連行して下さい……とちゅうでオラ早く歩けこの犯罪者がっ! などと罵りながら引っ叩いて頂けると最高です」


「黙れこの犯罪者がっ! とっとと行くぞっ! このケツ動かせっ!」


「あっひぃぃぃっ!」


「全く、どうしようもない変態ばかりだな」


「じゃあ、いってらっしゃ~いっ」



 ということで動き出した計画、仁平はもう他の神々、協力者であるその連中に連絡を取り始めているらしい。


 もちろんそちらの作戦、情報収集作戦の方が時間を要することになるはずだが、先程も指摘していたように、ゴーレムのテストもキッチリすれば、改良作戦の方もそこそこの時間を要するはず。


 そうなると結局どちらが早いかわからないのであるが、少なくとも第三の結果、マゾ狩りハンター神が何よりも早く来てしまったなどということだけは避けたいところ。


 それ以外であれば多少の無理はあったとしても、ひとまず作戦を成功に導くことが出来る可能性は極めて高いのだから。


 まぁ、いつものことながらそんなに上手くことは運ばず、トラブルが発生してしまうのは言うまでもないことであろう。


 しかしそんな中で、どういうわけか俺達にとって非常に都合の良い現象が起こったり、都合の良い登場人物がひょっこりと顔を出したりして、最終的にはどうにかなってしまうのだ。


 今回も何が起こるのかはわからないが、結局上手くことが運び、最終的な勝利を得られるに違いない。

 そう考えつつも、もし万が一失敗した場合に備えて……いや、今回に限ってはその失敗がかなり致命的なものになってしまいそうか……

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