1220 全員が
「とにかくアレですね、そういう敵となると、前衛は私とカレンちゃんだけで、中衛も勇者様だけでどうにかしないとならないということになりますね」
「というかミラ、お前は本当に大丈夫なのか?」
「私は当然ながら大丈夫……何じゃないかと思っているにはいるんですけど、実際のところどうなんでしょうか?」
「えっと、ほんの少しでもM要素があると判断された場合には、それだけでもうマゾ狩りの対象にされてしまう可能性が高いですね」
「……アウトかも知れません、というかおそらく私はアウトですこれ……ちなみにマゾ狩りの被害に合ってしまった場合にはどうなるんでしょうか?」
「あ、それは俺も詳しく知っておきたいぞ、『酷い目に遭わされる』ってだけじゃなくてだ、もっと具体的にこう、何をされるのかってことをだな」
「では僭越ながらこのロボテック女神がお答えしましょう、黙れと言われてずっと押し黙っているらしい友、ドM雌豚尻の神に代わって」
「うむ、どうでも良いから早くしてくれ」
スッと立ち上がったロボテック女神であったが、椅子に縛りつけてあったため、結局椅子ごとガタンッとなって、それで諦めてもう一度座り直した。
カッコイイムーブをしようと思ったのであろうが、逆に残念なことになってしまったのはかわいそうなことであって……まぁ、それに関しては後でイジるか、面倒ならなかったことにしてしまおう。
で、そんなロボテック女神が語り出した『マゾ狩り被害の実態』についてなのだが……どうやら通常では口に出して言えない、とてもではないが多くに伝えることの出来ない内容が多分に含まれているらしい。
それを何となくオブラートに包みながら、かつて、かなり昔に実際にマゾ狩りの被害に遭い、そのうえでどうにか脱出することが出来たどこかの女神の実体験を元に語ってくれるロボテック女神。
いくら生粋のドMであったとしても、それだけは絶対にイヤだと思うような内容であったり、おそらく誰も好まないであろうことを、ドMだからという理由で勝手に『喜んでいる』と判断してやってきたりなど、そういった内容の話が続く。
というか、この話を聞く限りではおそらく、『マゾ狩り』を厳に実行している神々、もちろん現在では引退しているような、過去のマゾ狩りに関与していた神々も同様なのだが……おそらくドMのことをまるでわかっていないのではないか。
そのせいでドMを追いつつもそのドMから圧倒的に忌避され、ドM雌豚尻の神がしたように、雲隠れされてしまったりなどしているのではないかと、そう思ってしまうような内容なのだ……
「……と、いう感じなのです、本当に恐ろしいものだということはわかって頂けましたでしょうか?」
「え~っ、つまり要約するとだ、マゾ狩りの被害に遭ってしまった場合には、無限の牢獄に閉じ込められたうえでだ、何か知らないおっさんに調教されまくってすごくキモい……ってことで良いんだな?」
「まぁ、ザックリ言うとそういう感じになりますね、とにかく『知らないおっさんだけはやめてくれ』ということを懇願しても、それが逆に喜んでいてどうのこうのと言われて、次の日から知らないおっさんの数が増えてしまうとかそういう状態らしくて」
「考えただけで恐ろしいわね、いくら何でもちょっとわかっていなさすぎるというか、わざと嫌がらせしているんじゃないのかみたいな……」
「俺もそう思うな、そのマゾ狩りをしている神の連中は相当な馬鹿のようだ、今回攻めてくる奴だけじゃなくて、1匹残らず皆殺しにする必要があるぞ間違いなく」
「そうして頂けると凄く助かりますね、私もコソコソする必要がなくなる……と、既に捕まってしまっている身で何を言っても仕方ありませんが」
「ちなみに、そのマゾ狩りをしている神のうちで、ババァ神一派に属しているのはどのぐらいの割合なんだ?」
「そうですね、最近聞いた話ですが、やはりこれから私を討ちに来るのであろうマゾ狩りハンター神の誘いがあって、関与の多少はあると思いますが、ほぼ全ての現役マゾ狩り神がオーバーバー神派に属していると……まぁ、権力に近付いた方が甘い汁を吸い易いですからね」
「そういえばどこかで……あぁそうでした、神界の何かの情報で読んだのだと思いますが、確かマゾ狩りに補助金を出して、みたいな活動もあるらしいです」
「それは相当に頭が悪いだろう……まぁ、ババァ神の奴ならやりかねないけどな、しかしほぼ全てがそっち派閥ってんならやり易いぜ、叩き潰すことがババァ神一派への攻撃にも繋がるんだからな」
これはここから先、しばらくの間そのマゾ狩りを現に行っている神と戦っていく流れになりそうな予感である。
それでババァ神を、その協力者を叩くことが出来る、それに繋がるというのであれば、当初の目的から大きく乖離してしまう行動ではないのだ。
もちろん最初の戦いは、これから攻めてくるのであろうマゾ狩りハンター神とやらを迎え撃つ形式のものになりそう。
しかしそれを乗り切った先では、こちらから攻めていく形式での戦いも進めていかなくてはならない。
だがそこで元々あった問題がかなりの位置まで浮上して……仲間にMキャラが多すぎるということだ。
元々俺の意向もあって、異世界勇者パーティーのメンバーに加入することが出来るのは女性キャラのみということになってはいる。
だがその条件で、強くてイヤな奴ではなくて、しかも色々と楽しくやっていける仲間ばかりを集めていたところ、このような構成になってしまった。
ドSキャラとして使える仲間は今のところ精霊様のみで、リリィも教育次第ではいけそうだが、まだまだ才能が開花しているとは言い難い状況。
それとカレンはそういうのに興味を示さず、言うことはキッチリ聞くものの基本的には強敵と戦うこと、そして食べること以外は頭にない。
で、それらに加えてミラとユリナ、サリナを除いた残りの5人に関しては、もう言うまでもなくゴミのような雌豚であって、完全にマゾ狩りのメインターゲット層である。
そして先程の話の中で、ミラがマゾ狩りの対象たり得るという話が出てきてしまって……そうなるともう、ユリナやサリナ、そしてこの場においてはエリナと、それから俺達の世界の女神もそうなるのではないかと、そんな予想が立ってしまう。
これは念のため確認しておく必要があるな、下手に『対象者』を前に出して、それが捕まってしまったり、最悪そのまま連れ去られてしまったりすると、前回の茨の道事件どころの騒ぎではなくなる。
今回の敵の目的となるのは、攫った仲間を晒し者にしてこちらを誘き出すとかそういったことではなく、純粋にその仲間を無限の牢獄に閉じ込め、良いように調教することとなるのだから……
「……てことだ、今のうちにマゾ狩りの被害に遭う危険性を確認しておきたい、特に可能性がない者は不要だが、一応ヤバいかもと思う者は……ミラにユリナ、サリナ、エリナ、それから女神、お前もだぞ」
「あの、私と姉様はもう普通に……それでもチェックした方が良いんですか?」
「そうだ、もしかしたら回避可能かも知れないって意味もあるからな、まぁ関係ないのは……」
『私ですね、魔界最強の武器であり、伝説であるこの私には無関係なことです』
「あの、その……きっとそうでもありません」
『へっ? 私GUNなんですけど?』
「えぇ、かつてマゾ狩り施設から脱出することに成功した古の女神の証言の中にはですね、人外の者もそこには収容されて、特に意思を持った武器の類ですね、そういったものも調教の対象になっていて……というのがありました」
「だってよ残雪DX、GUNでも後ろからGUNGUN突かれて発射してしまうことになるかもってことだ、耐えられるか?」
『ひぃぃぃっ! 本来の使用者以外にそのようなことをっ! 屈辱どころの騒ぎではありませんよそんなのっ!』
「まx、そもそもエリナが『M判定』に引っ掛かる可能性があるという時点で、同時に残雪DXも使い物にならないってことになるんだがな……で、どうやってその判定をするかなんだが……どうするんだ?」
「私の荷物の中に、ロボテックと魔術を融合して、そこに神の力をブレンドしたような判定機械がありますので、そちらを使って下さい、ちなみに『どのぐらいMなのか』を数値で判定することが可能なスグレモノです」
「それは一体何のために作成されたんだ……まぁ良い、そんな都合が良くて便利なものがあるってんなら使わない手はないぞ」
「それならぁ~っ、私達無関係チームはこの部屋で作戦会議でもしておくわぁ~、ほら、向こうの部屋を使いなさぁ~い」
「うむ、じゃあカレンとリリィ、精霊様以外は移動だ、ロボテック女神も付いて来い」
『うぇ~いっ!』
仲間達がマゾ狩りの対象となり得るのかどうか、それが簡単に判定出来るのであれば必ずやっておかなくてはならない。
すぐに隣室に移動し、まずはロボテック女神の拘束を一時的に解いてやって、その判定機械とやらを荷物の中から取り出させる。
判定機械はまるでありがちな、その上に手を乗せると魔力が計測されて、主人公の場合にはその強すぎる力で爆発を……というような感じの水晶玉? であった。
だがその水晶玉本体に手を乗せるのではなく、その玉が乗っている金属の箱の前面、何やら少し飛び出した板のようなものをグッと押し込んで、それによって何やら魔法的かつ機械的な接触が生じてどうのこうのという仕組みらしい。
早速機械が設置されると、まずは使い方の説明をしてくれるということで、ロボテック女神が前に出て……何やらコードのようなものを持って辺りを見渡している、コンセントを繋ぐ必要があるというのか……
「え~っと……あっと、ありましたありました、コンセントなんかもう10万年以上前に絶滅してしまった建物の装備ですからね、ここもやはり壁の中に塗り込まれていました」
「10万年前にコンセントって、どんだけ進歩した世界から持って来たんだよその技術は……とまぁ、神界だから何でもアリか、で、繋いだらどうすんだ?」
「まずは電源を入れます、次に魔力装置を発動させて、どちらも動き出したことが確認出来たら、神の名においてこの装置の発動を許可して……これで準備完了です」
「ほうほう、で?」
「それで、次にこの前の板にグーッと、本来は丸出しのおっぱいを押し付けてですね」
「ほうほう、丸出しのおっぱいを、で?」
「押し込んだら離れて、そうすると板は勝手に戻ってくるので、次は丸出しのお尻をグーッと」
「ほうほう、尻も丸出しでやるのか、で?」
「それで完了です、今私のM数値は……5兆3千億と少しですね、規定通り丸出しではなかったので、かなり低下した数値になりますが」
「ちょっとその数値インフレしすぎじゃね最初から?」
「まぁ良いじゃないですか、早速始めますので……勇者様に見られながらその行為をしろということなんですかね?」
「仁平に見られていないだけマシだと思え、じゃあミラから順番に、最後は女神だ、サッサとやれ」
「じゃあえっと、まずは最初におっぱいを……」
「うひょひょひょひょっ、グニュッとなったおっぱいが最高だぜっ」
「勇者様、あまりジロジロ見ていると拝見に係る料金を徴収しますよ、あっち向いていて下さい集中出来ないんでっ」
などとミラに起こられてしまったのであるが、めげずにそのおっぱいを、さらに尻を丸出しにして機械に押し付ける姿は最後まで確認させて貰った。
どちらの作業も終了すると、水晶玉のようなものの真上に浮かび上がるようにして測定されたM数値が表示されて……ミラは『1兆5千億と少し』らしい。
ちなみに、M数値が10億を超えている場合にはM、1兆を超えている場合にはかなりのM、1,000兆までいくとドMという判定がなされるようだ。
つまりミラはそこそこのM、先程のロボテック女神は本来の力を発揮したわけではないため、おそらくは普通にドMの判定を受けることであろう。
で、もちろんのこと、M数値が10億を超える『M』以上の判定となれば、当たり前のようにマゾ狩りの対象となるということが、ここでロボテック女神から告げられたのであった。
当然と言えば当然であるが、ミラはマゾ狩りの対象であるとみなされることが確定してしまったこととなる。
本人も数値の高さに驚いているようだが、普段からどちらかというとM系の行動が多かったのは言うまでもないであろう。
しかし、これで前衛の戦力がカレンだけになってしまって……やはりリリィと精霊様も前に出て貰って、強固な3枚の壁で後ろを守って貰うしか……というか、この後の結果次第ではその『後ろ』が居なくなってしまうではないか……
「クッ、私はもうダメなようですね、使い物にならないことが発覚してしまったのですから、向こうの隅っこで正座して反省しておこうと思います、丸出しのまま」
「そういうのがMだというんだが……まぁ良い、次はユリナだ、早く準備をしろ」
「はいですの、じゃあまずおっぱいを出して押し付けて……次はお尻を……尻尾が邪魔ですの、挟むとちゃんと計測出来ないかもですわね」
「サリナもそれは気を付けろよ、Mじゃない判定が出てしまって、いざ実戦で狙われて、みたいなことになったら厄介だからな」
「多分私も姉様もそんなことにはならないので大丈夫かと……あ、でも姉様の計測結果は3兆6千万弱みたいですね、単なる『そこそこのM』ということかと」
「……でも戦いでは使えませんのね、向こうで反省しておきますわ」
「うむ、わかっていたことだが仕方のないことだな……次はサリナ……はもうやっているのか、どうだ結果は?」
「ちょっと待って下さい、背が低いのでお尻を押し付けるのが難しくて……よいしょっ、これでどうでしょう? っと、凄く光っているみたいですけど」
「おう、何だかボーナス確定みたいな……あっ! 1,000兆超えのドM確定演出なのかっ!?」
「やはりそうですね、普段はあまりアピールしませんけど、私はどちらかというとその、向こう側の悪魔なので……」
「サリナちゃん、とりあえずうぇ~いっ、です」
「うぇ~いっ!」
比較的背の高いルビアと、頑張って背伸びしてはいタッチしているサリナには、そんなことで喜んでいても仕方ないので、お前こそ部屋の隅にて反省しておけと命じておく。
ついでにルビアにもサリナにも拳骨をお見舞いしておいたのだが……ルビアめ、これまではそんなに喜ばなかった拳骨だけでもかなり嬉しそうな顔をしていやがるではないか。
ドM雌豚尻の神の力が加わったことで、かなりそのM数値が上昇しているのであろうという雰囲気のルビアは、やはり後でその正確な数値を計測しておく必要がありそうだ。
「はい、じゃあ次はエリナ、早くしろ」
「え、あ、はい、え~っと……凄く恥ずかしいですねこれ……」
「文句なんぞ言ってんじゃねぇ、後が支えてんだから、このっ!」
「ひゃいんっ……というか、ここで引っ叩かれて反応してしまった時点でもう……次はその引っ叩かれたお尻ですね、よいしょっ……」
「……エリナはサリナと同じぐらいか、全くしょうがねぇな、向こうで反省しておけっ!」
「へへーっ!」
「次! 残雪DXの番だっ、人間形態になって……俺を無視して始めてんなこのっ!」
結局残雪DXはミラと同程度のM数値ということがわかったのだが、本人、というか本GUNはあまり納得していないらしい。
何が問題なのかと問うてみたところ、どうやら数値が高い方が偉いものだと勘違いをしているらしく、エリナよりも低かったりするのがおかしいのではないのかとのこと。
こんな奴に色々と説明してもどうしようもないということで、別に正座して反省などしなくても良いから、GUNの状態に戻ってその辺に鎮座していてくれと頼み、とりあえずやかましいのを回避する。
最後に残ったのは女神だが、コイツはコイツでまた面倒臭そうな感じを醸し出しているではないか……どうやら自分が管理している世界の存在の前で、Mであるという宣告を受けるのが恥ずかしいようだ。
そんなこと、もはや誰もが知っているし察していることだし、最悪俺達だけでなく、王都などの一般モブなども知っている可能性がないわけではない事実。
今更隠そうとしても隠すことなど出来ないし、むしろそのことを恥ずかしく思っていたのかと、逆に周囲に者にインパクトを与えてしまうものなのではないか……
「おい女神、恥ずかしがってないでとっととしろ、そのデカいチチが引っ掛かって服が脱げないってんなら俺が手伝ってやろう、ほらっ!」
「ひぃっ!? やめなさい勇者よっ! そのようなことをして貰わなくとも、覚悟さえ決まれば自ら行動を起こしますのでっ!」
「うるせぇなっ! その覚悟を決めるのが明らかに遅いって言ってんだよっ! ちなみにケツも丸出しにしてやるから感謝しやがれっ! ほれズリズリッと」
「ひゃぁぁぁっ! なんという乱暴を働いてっ、そのっ、別にここからは自分でやりますからっ! 後ろからそんなにグイグイ押されても何も良いことは起こりませんから、だからそのっ! あぁぁぁっ!」
「むほほほっ! やっぱりおっぱいがムギュッと」
「ひぃぃぃっ!」
「ほら次はケツだっ! サッサとしろ!」
「あぁぁぁっ!」
「ほい終了、結果の方は?」
「……あの、なぜかさっきのサリナちゃんのときみたいな演出が……5,100兆、凄まじい数値です」
「女神お前、なかなかドMらしいぞ、良かったな」
「ひぃぃぃっ、だからこんな衆目の前でこのようなことを……どうしてくれるというのですか勇者よ?」
「つっても事実だからな……」
女神が馬鹿なのはともかく、これは少しかわいそうなのかも知れないと、そう思ってしまったのもまた事実である。
しかしこの状況、まともに敵と戦えるキャラがほとんど居なくなってしまったではないか……




