1219 完了した
『ギャァァァッ! 助けてくれぇぇぇっ! まだ死にたくないぃぃぃっ!』
『おいっ、簡単なお仕事の応募じゃなかったのかっ? 誰にでも出来て高収入で、その場で金を受け取って帰りに酒買って賭場に……ギョェェェッ!』
『騙しやがったなっ! このっ、ひょげぇぇぇっ!』
「いちいち喋ってんじゃないわよ生贄の分際で、やかましいから黙って死になさい、あんた達にはもう何も期待されていないのだから」
「まぁまぁ精霊様、最後の断末魔ぐらい勘弁してやっても……っと、逃げんのはNGだっつってんだろこのハゲ!」
『ぐぇぇぇぇっ!』
「全く、油断も隙もねぇな、でもかなりほら、ゴーレムの胸部にいつの間にか表示されているゲージが……もうちょっとでMAXみたいだな」
「わかり易くて結構なことね、ちゃんと必要な生贄の数を知らせてくれる機能なんてなかなか便利なものよ」
目の前で惨殺されていく生贄共、人権など存在しないのはこの神界でも同じことなので、それについて特に思うべきところはないが、ひとまず変な汁を飛ばして俺達が汚れてしまうのは避けたいところだ。
で、そんな感じで生贄を捧げていくほどに、いつ出現したのかは定かでないが、ゴーレムの巨大なボディーに表示されたゲージのようなものが溜まっていく。
それが生贄の必要数を示すゲージでないなどということはまず考えられないし、生贄が捧げられる毎にアップしていく時点でそうなのだが、とにかく今現在、ほぼほぼ満タンに近い状態になっている。
こうなると生贄がかなり余ってしまいそうな感じではあるが、また次の機会のためにストックしておくのも良いのであろう。
また、念には念を入れて、満タンの状態よりも少しばかり多くの生贄を……ということもしておいた方が良いはずだ。
で、そんなことを考えているうちにゲージが満タンになり、今まで赤で表示されていたものが緑色になって、何となくこれでフルだということを伝えてくれた。
「よしっ、これで準備は完了したようだな、となると次は……儀式自体はもう始めてしまっても構わないのか?」
「そうですね、良い感じの月夜になってきましたので、そろそろ私達はそこに並んで、ゴーレムの力でシバき倒して貰うことになります」
「だってよルビア、魔法陣の中に移動して四つん這いにでもなっておけ、いつもの尻を叩かれるときのようにな」
「わかりましたではこの辺りで……こんな感じで良いですか? ゴーレムは……上から振り下ろしてっ、ひぎぃぃぃっ! きっくぅぅぅぅぅぅっ!」
「いきなりブッ叩かれてんな、ドM雌豚尻の神の方もか」
「あぁぁぁぁぁぁっ! あぁぁぁぁぁぁっ! もっとぉぉぉっ!」
「いずれも救いようのない変態ですね、こんな感じで融合してしまうのだとしたらどれほどの歪んだ存在になってしまうのか、神として心配でなりません」
「そうとうにやべぇ奴が誕生してしまうだろうな、特にルビアは元々神を宿していて、今回はそこに追加するかたちになるわけだし」
「強くはなりそうなのですが、それはもう存在としてかなり……まぁ、あまり触れないことにしておきましょう、もしかすると神など優に超越する存在であるという認識になってしまうかも知れませんから、あの者が」
「あんな馬鹿がそんな存在とかもう……」
「あひぃぃぃっ! あひぃぃぃっ! あっひぃぃぃぃぃぃぃっ!」
「・・・・・・・・・・」
魔法陣の中に入った瞬間、早速ゴーレムによってシバき倒され始めるルビアとドM雌豚尻の神の、どちらも大喜びなのはもうわかっていたことだ。
で、そんなことをしていると徐々に、生贄によって蓄積されたパワーがゴーレムからルビアに移行して……それが神の力と並ぶほどのものになれば、きっと吸収するかたちでの融合が可能になるのであろう。
徐々に強まっていくルビアの力、もちろんゴーレムにシバかれることによって注入された一時的なものではあるが、ドM雌豚尻の神の力を得たらそれも永続的なものとなるに違いない。
そうなると、純粋なパワーでルビアが仲間の中でもかなり上位に位置してしまうことになるのだが……まぁ、頭の働きは良くならないはずなので、結局動きが変わらない以上、純粋に強くなったからといってどうこうということはないのかも知れないといったところ。
しかしそれでも、普段から使っている回復魔法の力は極大のものとなり、もしかすると本気を出せば、これまでにある世界で死亡した全ての者を蘇生したり……と、そこまでいくとさすがにヤバすぎる。
そもそも、そのような状態で俺達が暮らす元の世界に帰還し、回復魔法ベースの魔力がダダ漏れの状態で町を歩いたりしたらどうなることか。
その辺のジジババの腰痛が不思議と治った程度であればまだ騒ぎにもならないであろうが、『墓場の横を通り掛かったらまだ新鮮な遺体が復活して……』などということになれば大惨事だ。
神の思し召しだの何だのがどうのこうので済めばまだ良い方であって、それに関して国家どころか全ての人間やその他生物を巻き込む事件に発展してしまうような気がしなくもないのである。
となると……やはりその力のコントロールが完全に出来るようになってからでないと、少なくとも神界と魔界以外の場所へは出向くことが出来なさそうだな……
「ひぎぃぃぃっ! ひぎぃぃぃっ!」
「あぁぁぁぁぁぁっ!」
「……あのさ、この光景っていつまで見せ付けられるのかしら?」
「わからんが、ルビアとドM雌豚尻の神が巨大なゴーレムに尻をシバかれて喜んでいる光景をずっと眺めているのは地味にシュールだな」
「まぁ、かなり力がアップしてきているし、そろそろ……と、何か動きがあるわね、どうするつもりなのかしら?」
「うぅっ、もうこのぐらいで良いでしょう、ゴーレム様、どうかお許しを……あ、ダメですかそうですか、もっとぶって下さいませ……ひぎぃぃぃっ!」
「私もお願いしますっ! あぁぁぁぁぁぁっ!」
「……まだやるってのか」
「もうどっちもお尻が熟れたトマトみたいになっていそうね、衣装も破けかけているし、限界が近いんじゃないかしら?」
「あれじゃね? 限界を超えることによってどうのこうの……みたいなのもあるんじゃね? 知らんけどな」
「適当すぎやしないか主殿は……と、今度こそ動くぞ、というかゴーレムが動きを止めたっ!」
ルビアとドM雌豚尻の神を蹂躙し続けていたゴーレム、そのボディーに表示されたゲージのようなものが、おそらくエンプティになったのではないかと思われるような表示を見せ始めた頃、ようやく儀式の『準備段階』が終了したらしい。
ピタッと動きを止めたと思いきや、そのまま尻をブッ叩いていた板などを放り投げてしまうゴーレム。
ようやく解放されたルビアとドM雌豚尻の神は、かなり限界に近い様子でその場にへたり込んだ。
だがまだ両者を融合させるという、儀式本来の『やるべきこと』が残っているうえに、これがそんなに簡単な、生易しいものではないということは、ここまでの経緯から明らかにそうであるとわかってしまうこと。
すぐにゴーレムの巨大な両腕が地面に向かい、へたり込んでいるその融合すべき両者をガシッと掴んで持ち上げてしまったではないか。
どちらもその巨大な掌によってかなり強く締め付けられているらしく、呻き声のようなものを上げているのだが、これが儀式だとわかっていなければ、すぐに助けに入ろうと思うような光景である。
そして両手で持ち上げられた両者を、ゴーレムはかなり接近させて……ここでドM雌豚尻の神の方が何やら輝き出した。
同時にルビアの方はその輝いている神に尻を向けさせられるようなかたちになって、そこでほぼほぼ破れていた衣装が完全に脱落し、尻丸出しの状態となってしまったのである。
そのルビアの尻に、ゴーレムは容赦なく光り輝いているドM雌豚尻の神の顔面を押し付けて……一体何をしようというのだ……
「……ちなみにさ、俺達は何を見せ付けられているんだと思う?」
「もう意味不明ね、でもほら、何となくだけどルビアちゃんのお尻に神様の顔面がめり込んでいっているような気がしないかしら?」
「ホントだ、もうケツ穴に突き刺さっているようにしか見えないんだが、サリナ、念のためモザイクを用意しろ」
「わかりました、とても口に出して言えるような光景ではないですし、モザイクも妥当ですね」
「全くとんでもねぇ儀式だなしかし……」
とんでもないのはいつものことなのであるが、今回は仲間が少しアレな状況になってしまっているのがかなりヤバい。
ということでサリナにモザイクを掛けさせ、ルビアのあり得ない状態を見ることがないように取り計らって貰ったのだが……そのモザイクの向こうで何が起こっているのか、微妙にわかってしまうのがまた最悪なことだ。
で、そんな感じでルビアに『突っ込まれた』ドM雌豚尻の神は徐々に消えていき、最終的には完全に、ゴーレムの手に掴まれたルビアだけが残った状態となったのであった。
もちろんドM雌豚尻の神の気配が消滅した様子はないのだが、それがルビアから、ルビアのオーラと共に感じ取れるのがまた不思議なことである。
ひとまず融合は完了したと見て良さそうだが、ここでゴーレムが力尽きたのか、ルビアを掴んだ状態で完全に停止してしまったではないか……
「あの~っ、そろそろ離して貰えると……ゴーレムさん? もう儀式、終わったんじゃないですか? ゴーレムさん?」
『・・・・・・・・・・』
「ちょっと、完全に止まっちゃって……誰か助けて下さいよぉ~っ」
「何か凄く強くなるような気がしたんだが、所詮ルビアはルビアのままみたいだな」
「えぇ、少しだけ安心したわ」
「とりあえず助けないと、このゴーレム、なかなかガッチリと……ふぬぬぬっ、おいルビア、大丈夫か?」
「色々と痛いけど生きてはいます、というか自然治癒の力が何かこう、すっごい感じで押し寄せてきて……」
「あら、さっきまであんなにシバかれていたのに、もう傷が消えかかっているじゃないの、凄い回復能力よ」
『スミマセンスミマセンスミマセン、それ、私の雌豚力がかなり影響してしまって、スミマセンスミマセン』
「何か気持ち悪いから喋るんじゃないよドM雌豚尻の神は、同じく内包されている、その、何だっけ? おっぱいの神みたいに大人しくしておけ」
『スミマセンスミマセンスミマセンスミマセン……』
「だから黙れと何度もっ、このっ!」
「あいたっ! 叩かれるのは私なんですね結局……まぁ、凄く嬉しいですけど」
「とにかくさ、これでルビアちゃんの力がとんでもないものになって、私達はどんな強敵との戦いでも凄い回復の恩恵を受けることが出来るようになったってことで良いのよね?」
「そういうことになる、という敵ってくれないと困るからな、ババァ神に関してはそこまででもないかと思うが、それ以外の神とか、あと魔界側のホネスケルトンとかいうまだ見たこともないホネ野郎とか、そういうのと戦うに際してはかなり重要な力になってくるものだと期待しておこう、わかったなルビア?」
「何かお腹空いちゃいました、甘いものでも食べさせて下さい」
「ホントにわかってんのかお前は……まぁ良い、一旦拠点に戻ろうぜ、この後何をどうしていくのかってことを考えないとならないからな」
『うぇ~いっ!』
こうしてルビアにドM雌豚尻の神を『追加』する作業は完了した、かなりの時間を要する寄り道であったのだが、必要なことであったのは確実だから仕方のないことだ。
で、これからはまたこの神界においてババァ神一派との戦いを再開してくことになるわけだが……それに関しては一旦停止している『鏡の強化』という作戦を再開して行かなくてはならない。
それによって真実を具現化することが出来るようになれば、裁判だの何だのでババァ神やその配下の馬鹿共を追及するのに有利である。
また鏡自体の使い道もかなりあることから、早急な強化が求められるものであって、それは最初にゲットしたものだけでなく、その鏡を『先輩』などと呼んでいた第二号、喋る方の鏡についてもだ。
だが、ひとまず次はどんな行動を取るべきか、具体的に何を目標として動き始めるべきなのかということが現時点ではわからないし決まっていない状況。
それを話し合いで解決し、皆で次の到達点を意識した行動が出来るようにしておくのが、これからすぐにでも取り掛かるべきことだ。
元々はゴッド裁判所などと呼ばれ、今は仁平一派の拠点として利用している建物に戻った俺達は、その辺に居た天使を捕まえて夕食、いやや食の準備をさせる。
そして比較的広い部屋に集まり、そこで食事などしながら予定に関して詰めていくという方法を取ろう……
※※※
「……そんで、この次はマジでどうするんだ? このまま鏡を強化する……ってのもヒントがなさすぎて辛いぞ」
「そうねぇ、何かキッカケとかがあれば良いと思うんだけど……とにかくさ、敵になりそうな神界の神様? を見つけてやっつけて、そんなことをしていたら何か起こりそうじゃない?」
「敵を積極的に探して見つけ出すってか……仁平、何かそういう感じの奴は居ないのか?」
「う~ん、なかなか情報がないけどぉ~っ、あれよねぇ~っ、もうそろそろ普通にあのババァからの襲撃がある頃合だと思うのよねぇ~っ」
「言われてみればそうだな、ゴーレムのパーツの件でも散々やったわけだし、ロボテック女神だってこっちで取り込んでウソを付かせたうえで今は監禁していて……みたいな感じだもんな」
「それならさ、あのロボテック女神に話を聞いてみるのはどうかしら? だってほら、ババァの神からの追及について誤魔化したとかそんな話もしていたわけだしさ」
「そうか、せっかく捕まえてあるんだし、少しぐらいは情報を引き出しておいても良いか……ちょっと、その辺の天使に頼んで連れて来させてくれ」
「わかりましたっ! お~いっ! 誰か~っ!」
天使を呼びに行ったリリィにそのままロボテック女神を迎えに行かせた方が早いのではないか、そんな気もしてしまったのだが、行ってしまったものはもう仕方がない。
で、リリィが戻ってしばらくすると、天使が縛り上げられたままのロボテック女神を丁重にエスコートしながら連れて来た。
ひとまずはテーブルに着かせ、ついこの間まで味方していたババァ神一派のことに関して少し話を伺いたいと申し出てみる。
反応は良好なもので、ルビアに追加されたドM雌豚尻の神のことを考え、これからはその味方であろうと思っているのだから当然のことかも知れないが……
「そんで、この後もガンガンあのババァを追い詰めていきたいんだが……そろそろ俺達があの大穴を通って魔界に行って、そこで目的物を奪取したということが発覚している頃かな?」
「そうですねぇ……まぁ、間違いなくどこかのタイミングでゴーレムが完成し、起動して儀式に使われたという情報はあちら側に届くと思います」
「その際にロボテック女神の裏切りが発覚して、そしてそれがここに捕まっていると知った敵は、どんな感じの敵を送り込んでくると思う?」
「どうでしょうか、私を討伐したいと考えているのであれば、おそらくは仲間であったにも拘らず、本来は私達を追い詰めるために存在していた神、現役のマゾ狩りハンター神がやって来るのではないかと……」
「ほう、マゾ狩りの話がまた出てきたか……でもさ、現役ってことはかなり昔、ドM雌豚尻の神が行方を眩ます前からずっとそんなことを……ってことなのかそいつは?」
「えぇ、今でこそ食い詰めた結果としてオーバーバー神一派に所属している形にはなりますが、マゾ狩り活動はずっと続けていたようで、私のことも狙っているような目をしていましたね、あまり近付きたくなかったので遠巻きに見ただけでしたけど」
「マジでどんだけ暇なんだよそいつは……」
「その神様って強いんですか? それともそんなことをしている暇な神様だから弱っちいんですか?」
「強い……には強いと思います、特にドMキャラに対してはかなりの強さを誇る存在だとか……」
「ドMキャラに対して……」
見渡してみると、そこに存在している仲間のおよそ半数がドM、そこまではいかないものの普通のMと認められる者もそこそこ。
つまりそのマゾ狩りの神は完全にその仲間達の弱点属性なのであって、ついこの間ブチ殺したマゾ狩りの創始者? なのか何なのかは知らないが、とにかくその程度の奴ではない可能性がある。
せっかくルビアをドM強化したというのに、これではまるで意味がないのではないか、むしろ敵に付け入る隙を与えてしまったのではないか。
そんなことも考えつつ、今の情報からして、そして話の流れからしてそのマゾ狩りハンター神とやらがやって来るなと予想する。
戦力になりそうな者が限定される戦い、魔界での御珍体事変のように、俺と仁平だけが限定してその力を振るえないのとはわけが違う状況。
逆に主力となるのは俺と仁平と、それから完全にドM堕ちの影響から脱却した精霊様であって、全く使えないような者も多いことであろう。
むしろせっかく強化したルビアなどは、マゾとして狩られるなどで足を引っ張ってしまう可能性がなきにしもあらず……なかなか厄介な状況だな……
「まぁ、とにかくアレだ、そのマゾ狩りハンター神とやらがここを襲撃するのを待てってことだな」
「はい、彼……いえ女神なのかも知れませんが、オーバーバー神からもかなり気に入られていたようですので、討伐することによってかなりの被害を向こうに与えられるはずです」
「男なのか女なのかもわからん見た目なのかそいつは……」
話にだけ出た次なる敵、マゾ狩りハンター神とやらがどのような奴なのか、それは出会ってみないことにはわからないし、もし出会った場合には、確実に勝利しておきたいところである……




