1201 噴いて消滅
「貴様等! そんなピンクのカーテンの向こうで何をしていたというのだっ? そして何なのだその紙の束……もしや我を誹謗中傷するためのビラを撒くつもりだなっ! 絶対に許さぬぞそのようなことはっ!」
「何を勘違いしておられるのですか神様、私達はここで、神様であるあなた様が喜ぶのではないかと、むしろ喜ばせて差し上げようと、そう思って秘密の作業をしていたのですぞ」
「秘密の作業だぁ? それが何なのか、本当に誹謗中傷のビラや偽の賞金首リストに我を追加したものなのではないと、そして我が見ていてウッキウキになるようなものだということを証明して見せよっ、というかそれ自体を見せるのだっ!」
「そうですね、私達のセンスが神様のセンスと合っていればおそらくはと……ではこちらをどうぞ、まず最初の1枚になります」
「フンッ、何を記した紙なのかといったところだが……こっ……ここここっ、これはぁぁぁっ! おっぱいではないかっ! もしや貴様、貴様おっぱいであったかっ!?」
「そうです、私がおっぱいなのです」
「ジェシカちゃん、たぶん違いますよ何かが」
「……失礼致しました、私がおっぱいなのではなく、そちら、私のおっぱいになります、顔はそんな感じで隠しておりますが、正真正銘、真実を映し出すという神話級の鏡に映し出されたおっぱいであるとおいうことだけは認めます」
「ぬっ、ぬぉぉぉっ! 鼻血ブゥゥゥッ!」
「ひゃっ!? は、鼻血など噴出して如何なされたのですか神様……というか出すぎでは?」
ジェシカも驚いてしまうような、まるで噴水をいきなり作動させたかのような噴きっぷりを見せてくれた巨乳好きでデブでハゲの神。
本当に気持ち悪いのだが、良く見ると鼻血を噴いたせいであろうか、ほんの僅かにデブの方が解消されているように見えなくもない。
というかアレか、鼻血分だけ痩せたというかやつれたというか、とにかく体積を失ったということなのであろうな。
もちろん一旦死んで再生するときのようになるわけでは、失った鼻血の分の体積がどこかから回復するわけではないらしく、噴いた分は本当に噴いたままらしい。
つまりこのままおっぱい攻撃による鼻血ブーを続けさせれば、どんどん縮小していくこのしょうもない不死の神は、そのまま全てが鼻血となってこの神界から消滅することになる……と思う。
しかし結果がどうなろうとも、現時点で攻撃が効いているのは事実であるから、ひとまずこのまま『おっぱい画像』を用いた作戦を続けて欲しいところだ……
「次は私の番ですっ! 見て下さいこのちょっと違法じみた若々しいおっぱいを!」
「ぶっひゃぁぁぁっ! こんな幼い感じなのにおっぱいは超大人級で……鼻血ブーッ!」
「良いぞっ! また小さくなりやがったじゃねぇか! このままおっぱいで押し切って消滅させてしまえこんなクソ野朗はっ!」
「ちなみに、他の皆はどうかわかりませんが、私のおっぱい画像は見るだけでも有料です、さらにこちら、交付して差し上げますから、その分の料金もちゃんと払って下さいね」
「はっ、払うぞっ! 10万神界通貨払うぞっ!」
「そうですか、その金額ですと……こちらの目線が入っていない、しかも謎の光も邪魔しないダイレクトおっぱい画像を差し上げます」
「はっ、はっ、はっ、鼻血ブゥゥゥッ!」
「汚い方ですね本当に……あ、今振込みが確認出来ましたから、こんな元手の掛からない画像ぐらい好きなだけ持って行って下さい」
「ひぃっ、ひぃっ、ひぃっ……こ、これで我がおっぱいコレクションが過去に類を見ないほど強化されて……すんげぇエッチだこれっ! 鼻血ブゥゥゥッ!」
などと鼻血の噴出を繰り返すたび、その分だけ体積を失っていく巨乳好きでデブでハゲのどうしようもない神であった。
サラッと流すよりも、何度も繰り返し画像を見せ付けて鼻血を噴かせた方が効率が良いのかも知れないな。
おっぱいの画像というリソースは無限なのだが、やはり一撃離脱では誰かのおっぱいがもったいないと、そう感じてしまうのだ。
マニア向けであって決して最大規模でないミラのおっぱいでもかなりの量の鼻血を噴かせることが出来たわけだし、ジェシカや、この後に控えるルビアなどを何度も繰り出して使えば凄く……いや、少しわからなくなってきたな。
確かに何度も鼻血を噴かせることには成功しているのだが、続いて交付したマーサとマリエルのダブルおっぱいブロマイドを見た際の神の反応……うむ、反応は凄まじいのだが、噴出する鼻血の量が少し減少してきているような気がする。
そして2人のおっぱい画像による攻撃を何度か繰り返すうちに、当然噴いた分小さくはなっているのだが、それよりも鼻血量の減少が著しい。
このサイズのときにはこのぐらい、という規定量があるわけではないが、それでも最初の頃の『ブゥゥゥッ!』という感じには到底及ばない、『ピュゥゥゥッ』という程度になってしまっているのだ。
これは一体どういうことか……ひとまずはマーサとマリエルのダブルおっぱい攻撃はこのぐらいにして、本命の一角でもあるルビアを繰り出すこととしよう……
「やってやれルビア、お前のおっぱい力を画像提示で見せてやるんだっ!」
「わかりましたっ! ではこの何も着用していないよりも逆にエッチな、赤い縄で縛られたおっぱい画像を喰らって下さいっ!」
「これはっ!? またしてもこんな……は……はなっ……鼻血……」
「ちなみに、今も私はその縄で縛られたままです、チラッ」
「鼻血ピュゥゥゥッ! クッ、またしても画像だけで鼻血を……しかしもう止まったぞ、何度も何度もおっぱい画像を見せられて、そろそろ効用が逓減してきたということであるな」
「マジかっ!? てことはそろそろおっぱい画像の攻撃がまるで効かなくなってしまうってことかっ?」
「その通り、悔しいであろう、我をどんどん小さくして、消滅させることが可能だと思っていたのであろう、だがそのようなことはさせぬわっ! まぁ、もしどうしても我に鼻血を噴かせたいと思うのであれば……」
「思うのであれば、何だ?」
「そうだな……うむ、神なる巨大おっぱいでも持って来るが良いっ! 貴様等には到底無理なことであろうがなっ! フハハハハハッ!」
「何だよその程度のことかよ……おい女神、そろそろ出番だぞ……おいっ、自分のおっぱい画像をそんな大事に握り締めて、そこまで恥ずかしいのかそれをばら撒くのが?」
「あっ、当たり前ですそんなことっ、他の異世界とかでならいざ知らず、この神界においてそのようなことをするとほら、噂とかが広まってすっごく恥ずかしかったり何だりというか……」
「大丈夫だ、そもそも俺達クーデター側だし、こんなバケモ……仁平と行動を共にしてんだぞ、もうこれで目立っていないなどということはないからな、神界中が俺達の話題で持ち切りぐらいまであるぞ普通に」
「ですから、そのような状態でおっぱいを晒すのが……」
「チッ、往生際の悪い奴だな、それで居て無能ときた、どうしようもないぞお前」
「で、でも……」
「……そうかわかった、ちょっと尻をこっちに向けろ、公衆の面前で丸出しにして引っ叩いてやるから」
「ひぃぃぃっ! わ、わかりました、おっぱい画像飛んで行けぇぇぇっ!」
「やれやれ、そんな所で仲間割れをして、しかもおっぱいを……これは貴様のおっぱい画像なのかっ!? まさかそんな、神の、しかも巨乳で、そしてこのおっぱいは……鼻血ブゥゥゥッ!」
「何だ? これまでとまた反応が異なるぞ……」
「そういえばこの神様が使っていた部屋、女神様のおっぱいの画像を引き伸ばしたものが貼られていましたよ、もちろん顔とかなかったですけど」
「そんなっ!? こんな気持ちの悪いおっさん神に私の……というか今現在目線入りとはいえ顔出しで……ひぃぃぃっ!」
ショックを受けた女神であったが、もうこの状況からはどうやってもそのおっぱい画像を『なかったこと』にしてしまうような技はない。
諦めて巨乳好きでデブでハゲで、しかも気持ちの悪い神にそれを見られ続けるしか……と、その神はまだ鼻血を噴出しているのか。
本当に最初の反応に戻ったかのような、噴水というかもはや大洪水でマンホールから汚水が噴出してしまっているような感じである。
そして当然のことながら、その本体の側が徐々に小さくなっていって……このままのペースであればあっという間に『なくなってしまう』ことであろうな。
ひとまずこのまま様子を見て……と、さすがに勢いが落ちてきたようにも見えなくない……
「ブゥゥゥッ! 鼻血ブゥゥゥッ! これぞ、これぞ我が探し求めた、一度どこかで見つけた拾い画を、いつか顔がわかる状態でと思い続けた、鼻血もののおっぱい画像ではないかぁぁぁっ! ブゥゥゥッ! ブッ……ふむ、ようやく慣れてきたようだ……」
「まだ鼻血垂れてんぞ、キモいからそろそろ一度死んでおけっ! オラッ!」
「ブッチュゥゥゥッ!」
既に元々の3分の1程度、身長にして70cm、体重はそれでも80kg程度はあるか、とにかく小さなデブに成り下がったキモいおっさんの神。
その上から見下ろしてしまうことが可能なハゲ頭に一撃を喰らわせると、元々の状態の頃よりも簡単に、あっさりと粉々に砕け散ったのであった。
ここまできてもまだあっという間に再生するのだが、やはり再生したその姿は現在の、殺される直前の体積のまま。
つまり死んで復活したからといって、決して元のサイズに戻ることはないと推定出来そうな感じであるのだが……さて、最終兵器でもあった神おっぱいに慣れてしまった以上、これからどうするべきなのかがわからないではないか。
巨乳といえばまだ……いや、仁平のはそもそもおっぱいではなく大胸筋だからな、それ以外だと貧乳な仲間達が多いし、画像を準備するだけ無駄としか思えない仲間も若干名。
こうなったらアレか、やはり画像ではなく本物の、真実のおっぱいをコイツに見せ付けて……などということをしたいと思うキャラはこの場に居ないであろうな。
だがどうしてもとこの俺が頼めば或いは……ひとまず全員に問い掛けてみることとしよう、この場でリアルおっぱいを露出して、それが目の前のクズから見えてしまっても良いと思う者を探すのだ……
「おい皆、ちょっと聞きたいことがあるんだが……」
『無理です、絶対に無理です!』
「まだ何も言っていないだろうよ、でさ……」
「ご主人様の言いたいことはもうほぼほぼわかってしまいます、不特定多数の、こちらから認識しない誰かに見られるならともかく、この神様にはちょっと無理ですよ」
「変態のルビアでさえも無理なのか……巨乳ではないが、ドM雌豚尻の神はどうだ?」
「申し訳ありませんが、この者にはその、お尻を叩かれる場面さえ見せたくはありませんので、おっぱいなど到底無理かと……本当に使えなくて申し訳ありません、後で、この者が完全に滅した後で縛り上げて吊るして鞭で打って下さい」
「ふむ、なかなかに難しいようだな、もうちょっとで、あと強烈なのを何度か喰らわせられれば消し去ることが出来そうなのに」
「フンッ! 誰が貴様等などに消されるかっ! まぁサイズはこのような残念なものになってしまったが、それでも我は、我はこのおっぱい画像大量入手イベントに参加することが出来て良かったと思う、あとはダンジョンと、ゴーレムの動力炉さえ守り抜けば我の勝ちよっ!」
「うるせぇよ、お前には話し掛けてねぇんだよ」
「臭い口を閉じていて下さい、今はあなたを殺すための作戦を立てる重要な時間なのですから、次に喋ったらそのおっぱい画像は全て没収しますよっ!」
「そうですのっ、こんなエッチなハゲは黙っていないとなりませんのよっ!」
「・・・・・・・・・・」
完全に嫌われ尽くしている巨乳好きでデブでハゲで、しかもクズ野郎の神はそれから、ジッとその場で動かないことを是としてこちらの話し合いを見守っていた。
もはや戦闘力では敵わないということをわかっているのであろうが、逃げたりすることなくその場に留まっているのは立派なのか単に馬鹿なのか。
おそらく後者なのであろうが、こちらにしてもコイツがどこかへ行ってくれるか、或いは完全に消滅してくれないと、この後ゆっくりと体を休めることも出来ない。
そろそろ俺達がキープした部屋の方の清掃は終わっている頃であろうから、なんとしてでもこの戦いを終えて、その部屋のベッドにダイブしないとならないのだ……
「なぁジェシカ、やっぱりお前……おっぱいを露出してみないか?」
「主殿、ことこの場に関してはそのようなことは出来ないと何度言ったらわかるのだ? この神におっぱいをダイレクトに見られる屈辱というのはだな、男である主殿などには到底わからない次元のものなのだぞ」
「そうか……じゃあもうアレだな、無理矢理にでもいかせるしかないようだな、さて誰にしようか……」
『ひぃぃぃっ!』
「決めたぞお前だっ!」
「あっ、そんな、女神である私のおっぱいが……おっぱいが丸出しにぃぃぃっ!」
「これはぁぁぁっ! 見てしまったぞぅt、遂に見てしまったぞっ! これが我の探し求めたおっぱいの、しかも画像などではなく実物で……大満足じゃぁぁぁっ! 鼻血ブゥゥゥゥゥゥッ!」
「飛んで……行きやがったな、すまんな女神、もうこうするしか方法はなかったんだ」
「うぅっ、あんなのにおっぱいを見られて……」
「あらぁ~っ、でもほら、遂に消滅したわよぉ~っ、確かに一瞬は見られたけどぉ~っ、もうそのおっぱいを見たゴミはこの世に居ないんだからぁ~っ、それで良いとするしかないわよぉ~っ」
「仁平の言う通りだな、で、奴が死んだ以上もうおっぱい画像は不要になったからな、拡散してしまう前に……すっげぇ強風だっ!」
「あぁっ! 皆のおっぱい画像が……風に乗って町中に……飛んで行きましたね、どうしましょう?」
「よしっ、もう諦めて帰ろうっ」
『そんなぁぁぁぁっ!』
しばらくすると町中が大騒ぎになり、おそらくダンジョン目当てでこの町に来ていたのであろう神界人間の冒険者共は、そこのお宝よりも何よりも、お宝画像の方に目を向けてしまったようだ。
きっと明日の『トレジャーハンティング』はこの町の中で、おっぱいの画像を探し当てるものへと変化と遂げることであろう。
1枚でも拾えればラッキー、そしてその1枚を取り合って、血で血を洗う抗争が巻き起こってしまうのは言うまでもないこと。
死者が何名出るのであろうかなどと考えつつ、おっぱい画像がばら撒かれて悲惨なことになってしまった仲間達を促し、清掃が終わっているホテルの部屋へと向かった……
※※※
「さてと、結局もうひと部屋空けて貰わないと、女神とドM雌豚尻の神で神用のをひと部屋だろう? それから仁平でひと部屋じゃないか」
「あ、それなら問題ないそうです、別で宿泊していた神様が、画像拾いのためにチェックアウトしてしまったとかで……もちろん私のおっぱい画像は後々すべて回収しますし、持っていた者は確実に殺して全財産を徴収しますが……とにかく部屋の方は大丈夫です」
「そうか良かったな、じゃあ俺達は下の部屋に留まることとしようか、明日は……そうだな、明日になってから考えようか」
『うぇ~いっ』
もう夜だというのに、画像騒ぎのせいで外がかなりやかましく、神も天使も人間も、こぞって巨乳の画像を探しているのだと、そしてそれが大好きなのだということがわかる。
もちろんミラだけでなく、最終的に画像を所持している、または売ったりして金を稼いだものの、一時的にその画像を所持していたり、第三者のために拾ったりということをしたと確定された者は、きっと生きてこの神界の未来を見ることは叶わないであろう。
それほどまでに悲惨な画像流出事件であったのだが、そのキッカケとなったデブでハゲの神はもう消滅してしまい、責任を問うことが出来ない状態。
場合によっては後々、被疑者死亡のまま財産の没収刑などを付加することも有り得るが、それが可能になるのは俺達が勝利した後、つまり仁平の一派が体制側になったときだ。
それまでは何をしてもクーデター側のテロということにしかならないため、ある程度以上のことは控えておかなくてはならないのである。
で、そんなこんなで夜も更け、使用人を宿泊させるためのホテルの大部屋に並んだベッドで眠っていたのであるが……なかなかに外がうるさいな。
仲間達はよほど疲れていたのか、そんな状態でも普通に眠りこけているのだが……仕方ない、仲間を起こすのもかわいそうなので、女神とドM雌豚尻の神でも襲撃しに行くとしよう……
「おいっ、起きているのなら返事をしろっ、おい女神!」
『あら? 勇者ですか、開いているので入っても構いませんよ』
「……ホントだ、無用心な奴等だな神々の癖に、で、遊びに来てやったから感謝しろよな」
「こんな夜更けにですか? ちなみに、今そこで手に取ろうとしているそのお酒のボトル、勇者としての人生を10回繰り返して、それで得た富を全て貯蓄に回したところで購入することなど出来ないであろう高級品ですので」
「マジかっ、なら1杯貰うぞ、もちろんメガジョッキでな」
「遠慮というモノがまるでない異世界人ですねあなたは……それで、明日のプランでも伝えに来たのですか?」
「まぁそんなところだ、ホントは外がうるさくて寝られないだけだがな……で、明日行くダンジョンさ、何か冒険者系の奴等がかなり多そうじゃないか?」
「そうですね、画像騒ぎで明日はかなり人出が減ると予想していますが、それでも……困りはしますよねきっと……」
神界人間の冒険者に紛れて、ダンジョンのおそらく最深部に安置されているゴーレムの動力炉を確保することが可能なのであろうか。
これまで誰にも見つけられていないのは確かなのであろうが、地味に不安でもある……




