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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第二十二章 ただそこに居るだけという攻撃
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125 磨けば光る

 温泉施設の客数が少ないのは気のせいなどではなく、紛れも無い事実であった。

 早速店員を捕まえ、事の詳細を聞き出す……



 だがそこの従業員の誰もが、まるで原因がわからないと話す。


 突然来店する客が減り始め、ついには新規の流入がゼロになり、元々滞在していた客も予定を切上げて帰ってしまうのが大半だという。

 ちなみにその兆候が現れたのは2日前だそうな。


 そんな話をしている間にも、施設の出入り口には帰宅しようとしているらしき人々が10人程集まっていた。



「これはもう何か起こっているということで間違いなさそうだ、色々と調べてみよう」


「では施設の管理者の方に許可を取って、全体を調査させて貰いましょうか」


「わかった、じゃあその間俺達は先に調べを始めておくよ」



 この温泉施設の長は王宮から派遣されている人間だ、ゆえにマリエルの要請を断るとは思えない。

 もう承諾を得る前から動き出していても構わないだろう。



 そもそも俺達だって早くここから帰りたい……おかしいな、温泉に入りたかったはずなのだが、今は無性に帰りたい、仮設待機所の方がマシに思えてきたぞ……



「とりあえずコハルの家にもある負のオーラを出す石とかそういうのが無いか確かめるのですわ」


「でもあまり近付き過ぎないようにしないとな、見つけたら精霊様に回収を任せるんだ」



「え~っ、また私なの? 汚いのだったら全力で拒否するわよ」


「その場合はここのスタッフに任せよう、俺も汚いのは勘弁だ、とにかく原因を探し出して早く始末しよう」



 とは言ったものの、なかなかその原因となっている何かを探し当てることは出来ない。

 客が立ち入れるエリアだけでなく、施設の隅から隅まで探したにも関わらずだ。


 その間にも利用客は続々と帰ってゆく、俺達も早く帰りたいんだ、これはもう諦めてこの施設を放棄するべきじゃないのか?



「おいおい、遂に客は俺達だけになったぞ、むしろ従業員も帰り始めてるじゃないか」


「併設の飲食店も閉まっていますの、このままじゃお酒も頼めませんわよ」


「マジか、じゃあ俺達も帰ろうぜ」


「ええ、そうしましょう、こんな所にはもう用がありませんわ、爆破してしまいますの」




「ハイハイ、ちょっと鎮まりなさいあんた達、これじゃ屋敷で堕落していたときと同じ状況よ、今度は帰りたい病かしら?」



「おい、精霊様が何か言ってるぞ」


「きっとこの施設からお金を貰って私達を引き止めようとしているんですの」


「なんと姑息な!」



 施設の回し者である精霊様などもはや誰も相手にしない、俺達はぞろぞろと建物から外へと出て行った……




 いやおかしい、どうして俺達は温泉から出てしまったのだ?

 特に何か不愉快なことがあった、などということはない、とにかくそこを離れたかったのである。



「見て下さいご主人様、帰ったはずだった他のお客さんも外に溜まっていますよ」


「本当だ、しかも新規客も来ているじゃないか、建物に入っていく気がしないだけみたいだな、俺達と一緒で」



 温泉施設を取り囲んだ民衆、皆ここに来るのを楽しみにしていた、または楽しんでいる最中であったのだ。

 だが不思議な力にやられ、どうしてもこの建物内に居たくないと感じてしまったのである。




「でも何がそうさせているのかしらね? 関与してそうなものなんてどこにも無かったのに」


「きっと建物自体に呪いを掛けられているとかそんな感じじゃないのか?」



 そこへ、俺達に置いて行かれた精霊様が不機嫌な表情で出て来た……


「全くあんたたちはっ! この私を置き去りにするなんて不敬の極みだわ」


「いやすまんすまん、で、何か見つかったか?」


「全然、何もないわ、一切の違和感も、それから敵の気配も無いわよ」



「そうか……サリナは何か感じたか? モノとか魔族とか、そういった何かをだ」


「いえ、私も何も感じませんでした、ここには何も無いんだと思いますよ」


「……困ったな」




 あ、今度は温泉施設側の代表者が出て来たようだ、集まった客の前で何やら話し始める……


『え~っ、お集まりの皆さん、当施設は今日以降、しばらく臨時閉館となります、返金もしないし交通費も保証しません、さっさとお帰り下さい』


 もちろん集まっていた客からは苦情が殺到しているようだ。

 だが俺達はまだ金を払う前だったからな、一旦諦めて帰ることに決めた。



 ※※※



「結局この狭くて黒焦げのお風呂なのね」


「ああ、そのようだ、酒も無いし最悪だよ」



 だがこれもあと2日かそこらの辛抱だ、魔将コハルの家にある負のオーラを出す石が効果を失いさえすれば、普通に屋敷へ帰れるようになるんだからな。


 温泉施設なんぞもうどうなろうと構わないんですよ。




「あの~、勇者さん、ちょっと良いですか?」


 風呂でカレンの尻尾を洗っていると、申し訳なさそうな表情のカポネが入って来た。

 何だろう、変態覗き魔族なのかかな?



「どうした? 用があるなら言ってみろ、たいした話じゃなかったら尻尾を引っこ抜くけどな」


「ひぃぃっ! あ、あの実は……もう1体の魔将補佐のことなんですが……」


「ほうほう、詳しく話してみなさい」


「たぶんですが3日前にここを通りました、城門から出て行ったのがそうだったと思うんです」


「顔は見たのか?」


「ええ、下を向いていましたがチラッとだけ見えました、あの暗い感じと存在感の無さはひもの魔将様の補佐の子だったはず……」



 その魔将補佐らしき人物は、王都の中から城門を出、そのまま温泉施設がある方へ歩いていったのだという。


 ちなみにカポネ以外は誰もその存在に気付かなかったらしい。

 そのぐらい存在感が薄く居るのか居ないのかわからない奴ということだ。




「となると去り際に何か仕掛けをしていった可能性があるな、もう一度温泉施設を詳しく調べておく必要がありそうだ」


「そうね、今度は王都の兵とかも集めて一斉捜索をした方が良いわ、それで見つからなきゃもう建物ごと爆破ね」



 その後の会議で作戦は決まった。



 翌日は朝からマリエルが王宮へ行って兵士を借りる。

 その兵士や施設の従業員達と一緒再び施設内の隅々まで、何か仕掛け等がないか探す。


 そして、それで何も見つからなければもう施設は放棄、建物はユリナの魔法で粉々にしてしまう。

 下手にそのままにしておくと後々何かトラブルの原因になりそうだからな。



「じゃあ明日はこんな感じで、それとカポネ、なかなか良い情報を出してくれた、何が望みだ?」


「じゃあカレンちゃんに尻尾の毛繕いをして貰いたいですね、もちろん私もやりますが」



 カレンは狼獣人、そしてカポネはお猿の尻尾を持つ魔族である。

 犬猿の仲とかそういう概念はこの世界には存在しないのであろうか?


 仲良く毛繕いをしあう2人を見ながらそんなことを思った……



 ※※※



 翌日の昼、マリエルが呼んでおいた王都の兵100名が温泉施設の前に集合した。

 施設は臨時休業、建物の中に入るのは俺達と施設従業員、それから王都軍のみとなる。



「では勇者様、早速鍵を開けてもらいましょうか、皆さんっ! この中に入ると無性に帰りたくなります、ですが勝手に帰ったりしないように願います!」


 そうは言っても、場合によってはかなり無理があるようだ。


 どうも人によってこの現象への耐性が違うようで、わりと平気な人間なら10分かそこら大丈夫。

 一方影響を受けやすい人間は建物に入ろうとした途端にゲロ吐いたり気を失ったりしている。



「お~いっ! 無理はせずに、気分が悪くなったら一度外に出るんだ、そうすれば帰りたい気分は納まるぞ~っ!」


 俺達も王都軍の兵士も、それから従業員も、息継ぎをするかのごとく何度も出たり入ったりを繰り返し、原因となる何かの捜索を続ける。


 だがやはり何も見つからない……



 バックヤードも温泉の管理室も、それから金庫の中まで見たんだ。

 もちろん客が入れるエリアには1人で来たと思しき女性が1人座っているのみである。


 そういえば昨日も居たなこの人……



「勇者様、そっちはどうだった?」


「ダメだ、ネズミ1匹とて見つからない、これはいよいよ建物ごといくしかないかもな」



 総員退避の命令が出され、兵も従業員も全てが外に出た……



「もう建物の中には誰も残っていませんわね、そろそろどっかーんしますわよ!」


「待てユリナ、今逃げ遅れが居ないか確認中なんだ、それを待って……」



 確認部隊の兵士が出て来た、リーダーの男がマリエルと何か頷き合っている。

 そしてこちらにやって来るマリエル……


「勇者様、館内にはもう誰も居ないそうです」


「そうか、ロビーに座っていた女性はどうしたんだ?」


「え? そんな方居ませんよ、幽霊でも見たのではないですか?」


「いやいや、俺が霊感ゼロなのは皆知っているだろう、そもそも幽霊ならレーコがすぐに気付くはずだ」



 これはちょっとおかしな話だ。

 確かに今日も、それから昨日客が全員建物から出た後もあの女性は同じ位置に座っていた。


 しかしマリエルはそれに気が付きもしなかったのだという。



「ちょっと待て、誰か他にロビーの女性を見た者は居るか?」


 ミラ、カレン、レーコが手を挙げた、他のメンバーは誰一人その姿を認識していないのだ。



「やっぱりもう一度確認しに行ってみよう、中に居たまま爆破しましたじゃ大事だからな」



 ということで再び、今度は勇者パーティーだけで建物の中に入ってみる。


 ……ほら居るじゃないか、ロビーにあるソファの一番隅っこに座り、寝ているのか俯いているのか、とにかくそんな姿勢でずっと居る黒髪長髪の女性。



 近付いてみると一定間隔で背中が動いている、呼吸はしているようだ。

 それとこの世界では珍しい眼鏡をしているのも確認出来た。



「本当に居たんですね……寝ているんでしょうか? というかそもそもずっとここに居たって、明らかに不自然ですよね」


「そうか? 昨日からいたが全然気にならなかったぞ、今もほら、一切気にならない、とにかく起こしてみようぜ」



「ご主人様、この人起きていますよ、さっきからずっと」



 本当だ、ちゃんと目を開けている。

 牛乳瓶の底みたいな眼鏡をしているせいでそれすら良くわからなかったのだ。



「ではとりあえずこの人の身分を……あっ……」


「どうしたの勇者様?」


「魔将補佐だったわ、コイツ……」



「まぁっ! この方が魔将補佐っ!?」



 これでようやく確認出来たこの温泉施設には何の仕掛けも無く、敵も居ないというわけではなかった。

 ずっと魔将補佐が居たのに、影が薄すぎて誰も気に留めなかったのだ。



「よし、じゃあ確認も出来たことだし、もう帰ろうか」


 この結果に満足し、ぞろぞろと建物を出る俺達。


 ……違う、そうじゃないんだよ、アイツは敵なんだから戻って始末しないといけないんだった。



 気を取り直して中に戻る……



「やいぼっち女、てめぇが魔将補佐なんだろ? 今から張り倒してやるからな、そのまま動くんじゃねぇぞ!」


『……-ナ……す』


「何だって? 聞こえないぞ、ハイもう一度っ!」



『……ッチーナです……まえ……』


「また聞こえない! もう良いよ、お前には何も期待しないから、じゃあ喰らえっ!」



 拳を握り締め、ボッチーナの眼鏡を狙って思い切り振り抜く。



 いや、全く手応えがない、俺の必殺スペシャルパンチは空を切ってしまったようだ、恥ずかしい。

 というかどこへ行ったんだ奴は?



「おいっ! 奴の姿がはっ! ぐへっ! ぼへっ!」


 観葉植物の植木鉢で殴られた、しかも3回、ちなみに正面から。


 ボッチーナは先程の必殺パンチを回避した後、すぐに植木鉢を取りに行っていたようだ。

 で、その後は俺の正面にずっと立っていたと……



 ヤバい、影が薄すぎて存在を認識出来ない!

 というか今度はどこ行った!?



「ぎゃひぃんっ!」


「ほごぉっ!」



「はっ!? どうしたサリナっ! レーコっ!」



「ダメですわっ! 2人共カンチョーされていますの、戦闘不能ですわよっ!」


 クソッ! 幻術を見破りそうな2人を狙って、しかも背後に忍び寄って一撃で倒すなんて……



「サワリンはやられていないか?」


「ええ、まだ大丈夫よ、お尻はガードしているし」


「よし、皆サワリンを守るんだ、ルビアとサワリンの2人を中央において周りを固めるんだ!」



 敵の姿はまたしても見えなくなってしまった。

 いくら探せど全く見つかる気配が無いのだ……



「ご主人様、あっちを見て下さい!」


「どうしたカレン、ボッチーナが居たか?」


「いえ、かごに入っていたパンがひとつ売れて、カウンターにお金が置いてあります」


 本当だ、ついでに紅茶も一杯買ったようだ、戦闘中にティータイムとは舐めやがって!




「勇者様、次はこっちよっ!」


「今度は何だ?」


「この雑誌、クロスワードパズルが全部解かれているわよ」


 本当だ、答えを記入してプレゼントに応募するタイプのやつだ、ハガキもきっちり切り取られている。

 戦闘中に懸賞応募とは舐めやがって!



 その後もトイレに行ったり、遊戯コーナーの魔導UFOキャッチャーで遊んだりと、挑発を繰り返してきたボッチーナ。


 だがその間にもサワリンはずっと見ていたのだ、見失わないように注意しながら冷静に行く先を見つめ、ついに奴の弱点を突き止めた……



「勇者さん、その子は眼鏡から出る魔力で自分の存在感を消したり、人を遠ざけたりしているわ、それさえ壊せば勝ちよ」


「とは言ってもな、そもそも今どこに居て何をしているのかすら把握出来ないんだ、どうやって攻撃するんだよ?」



「ええ、それなら私の幻……ぁっ……」


 サワリンもカンチョーされてしまった、しかも横に居たルビアの顔に落書きがしてあるではないか。

 これはいつでも倒せますよ、というサインなのであろう。



 しかし拙いな、幻術ガチ勢はこれで全員やられてしまった。

 カテニャも使えないことはないが、サリナ達のように強力なものではない。



「精霊様、何か策がないか? 精霊様っ?」


 既にカンチョーされていた、立ったまま気絶している……



 幻術勢に続き、精霊様までやられてしまうとは予想外であった。



 しかし、さっきから時折ボッチーナの姿を認識出来るような気がするのだが?

 ほら、今また見えましたよ。


 そうか! ああいうタイプは大人数の中では埋もれてしまうものの、周りの人間が2人や3人という状況では完全に空気になることが難しい。


 従って、こちらの人が減れば奴の存在もそれなりに浮き出してくるのだ。



 確かに昨日の捜索ではボッチーナの姿を見た者と見ていない者が居た。

 おそらくあれは大人数で行動していたグループには見えず、1人、2人ぐらいで動いていた奴には見えたということであろう。


 となればこっちは人数を減らすまでだ……



「おいっ! 後衛組はルビアを囲んだまま離れるんだ! 気絶している者はそのままにしても良いぞ!」



 前衛、中衛組も3手に分かれた。


 俺とカレン、ミラとジェシカ、マーサとマリエルのチームである。

 各チームの間で可能な限り距離を取っておこう。



「あっ……ご主人様、敵の姿が見えますよ、ちょっとだけ」


「うむ、俺にもちょっとだけ見えるぞ、一番見えているのは……マリエルのようだな」



 いつも周囲に気を配って行動するタイプのマリエル。

 他のメンバーよりも影の薄い存在を認識する力は高いようだ。

 まさに委員長キャラである、馬鹿でなかったらな。



「あの子は私が仕留めます、勇者様は眼鏡の破壊を」



 そう言って槍を逆さに持つマリエル、腰を低く構え、慎重に狙いを定め、それを勢いよく突き出す……


「はぁっぐっ! ほぉえぇぇ~っ」



「やりました! すぐに眼鏡を外して下さい!」


「任せろ!」



 槍の石突を使った強烈なカンチョーを喰らい、地面に倒れ付したボッチーナ。

 やられる瞬間に大声を出したことにより、その存在はもう俺達の誰からもはっきりと認識できる。



 あとはこの眼鏡を外して……なんて重たい眼鏡なんだ、30kgはあるぞ!


 しかも眼鏡を外すと超可愛いじゃないか。

 髪型とかのせいで若干イモ臭さはあるものの、これは磨けば光るタイプですよ。



 おっと、感動している暇ではない。

 とりあえず魔の眼鏡を粉砕しておこう。



 眼鏡を足で踏みつけ、粉々に打ち砕く。

 レンズが割れ、フレームがひしゃげ、そして黒い瘴気が立ち上った。



「これでもう大丈夫なはずだ、ボッチーナは魔力を奪って縛り上げるんだ、連れて帰るぞ」


「あら勇者様、この子は殺さないんですか? なかなか迷惑を掛けてくれたと思うんですが……」



「いやそれがさ、ほら、顔を見てみるんだ、スタイルも良いし、普通にしておけば文句ナシに可愛いぞ」



 うつ伏せに転がっているボッチーナの長い髪を掴んで引き上げ、皆にその顔を見せてやる。

 これは驚き、といった表情だ。



「あ、終わったみたいよ、勇者様、もう近付いても良いかしら?」


「良いぞ、全員来るんだ、ルビアは負傷者の回復を頼む」



 精霊様から順に回復魔法を掛け、最後にボッチーナも治療してやる。


 今回は回復処理が早いな、いつもと違って基本的にカンチョー以外の攻撃がなかったからか。

 まぁ、早く終わるのは良いことだ。




「マリエル、コイツを外に居る兵士や従業員に見せ付けて来るんだ、もう元凶は捕縛したってな」


「わかりました、では勇者様達はそのまま馬車の方へ行っていて下さい」



 マリエルが戻るのを待ち、馬車に乗って仮設待機所に戻る。


 温泉施設は明日から営業を再開するとのことだ。

 とはいえ、もうすぐに屋敷へ戻れることを考えると来る機会は無いかも知れないな……




「ただいまぁ~っ! シルビアさん、敵を捕まえて来ましたよ」


「おかえりなさい、まぁホントねっ、今日は拷問にしましょっ!」



「お母さん、そんな夕飯のメニューを決めるみたいな軽いノリで拷問しないの」



 拷問するかどうかは別として、ボッチーナには魔将コハルのことを色々と聞く必要がある。


 屋敷の周りに張られた負のオーラが晴れるのはおそらく明日か明後日。

 それまでに出来る限りの情報を集めておかなくてはならない……

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