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出遅れた勇者は聖剣を貰えなかったけれど異世界を満喫する  作者: 魔王軍幹部補佐
第十九章 新たな異世界人と敵の襲来
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109 予想外の近代的な戦い

「何だか凄い数じゃないか、全部下級魔族のようだな、リリィ、一番大きい編隊を王都上空へ入る前に全部落とせそうか?」


『やってみます!』


王都の南側、それも空から侵入し、突如として岩を投下する攻撃を始めたへいだん魔将の軍。

完全に先手を打たれてしまった俺達は、狙われている王宮付近の建物への被害を最小限に食い止めるための迎撃を始めた。


既に侵入を許してしまっている敵はどうしようもない、俺達が狙うべきは一番遅い連中。

つまりは最も大きな岩石を運んでいる編隊である。



「いくぞ! 何も気にせずどんどん落とすんだ!」


『下に人は居ないですよね、壁の外なら大丈夫ですよね』


人的被害を気にするリリィ、だがここには人が居ないのは確認済みである。

既に南門周辺には筋肉団が散らばって避難誘導を開始しているからな。


ちなみにあの連中なら少しぐらい岩石の下敷きになっても大丈夫だ。



連続でブレスを放ち、ガンガン敵を撃墜していくリリィ。

いうなれば大昔の複葉機と現代の戦闘機が格闘しているようなものだからな、岩を抱えた下級魔族ごとき圧倒出来るんですよ。



『あ、ご主人様、落ちた岩が筋肉団の人を潰してしまいました……』


「大丈夫だリリィ、よく見ろ、無傷で這い出して来たぞ、あれは人間じゃない可能性の方が高いとされているんだ」


『安心だけど寒気がしますね』


次々に空爆魔族部隊を撃ち落して行く、だがキリがない、もう少なくとも10体以上は抜かれてしまったようだ。

王宮やその周りの重要な建物がどんどんボコボコにされていくのが遠目に見える。


どうやら火事まで起こっているらしいな……




『ご主人様、アイツ! あの後ろの奴が偉そうだし岩も持っていませんよ!』


「どれだ……あ、あれかっ! 中級魔族のようだ、優先して殺すぞ!」



飛び交う雑魚魔族共を潜り抜け、指揮官と思しき中級魔族を狙う。

ブレスで灰にしてしまうのはアピール力不足だ、交錯し、聖棒でその頭を弾き飛ばす。



体だけになって墜落してゆく中級魔族。

上官の無様な最後を見た爆撃部隊は恐れおののき、持っていた岩を捨てて一目散に逃げ出した。



「待てよリリィ、一塊になるまでブレスを撃つなよ……今だっ! 一気に焼き払え!」



本拠地に戻るべく、一斉に同じ方向を目指す魔族、もちろん徐々に一箇所に固まり始める。


そしてある程度集中した時点での強力なブレス攻撃、各個撃破よりも遥かに効率良く、より多くの敵を無機物の灰に変えてやることが出来た。

ぜひ植物の繁栄に寄与して欲しいところだ。


「ここはこのぐらいで良いか、あとは地上の筋肉団に任せよう、俺達は北門で皆と合流するぞ! それと低く飛べよ、雷で狙われているかも知れない」



空爆で滅茶苦茶にされた王宮の上を通る、かろうじて残った王の間のテラスからは、駄王が笑顔で手を振っていた。

お前、そこいまに崩落するぞ……



途中の馬車道には北へ進む3つの軍勢、インテリノ、総務大臣、そして産業大臣である。


インテリノと総務大臣は馬に乗っているが、新異世界人であるヒキタの横暴によってグレてしまった産業大臣は世紀末風のバギーみたいな乗り物を使っている、髪形はモヒカンだし、得物は巨大な鉈のようだ……



そして北門では……またヒキタが暴れていた……



「おいおい、今度はどうしたってんだ?」


「まだ敵の姿も見えていないのに全軍前進とか言い出しました、私の権限で拒否しましたが」


「それで大騒ぎしているんだな、うるさいから黙らせに行くよ」



ヒキタに近付いていくと、もうそれはうるさいなんてもんじゃない、発狂して転げ回っているのだ。



「きぇぇあぇぁぁぁっ! どうして、どうして文明の程度が低い異世界人の癖にっ! どうして僕に逆らうんだっ!」



やべぇなコイツは、確かにこの世界では俺達の元居た世界のような機械文明は発達していない。

だがな、それは魔法が便利すぎてその必要が無いからなんだと思うぞ。



馬鹿が多いのは事実だが、人間の程度が低いなどということは当然に無い、というか少なくとも全員コイツよりは賢いはずだ……



聖棒でヒキタの鳩尾に一撃を加え、黙らせる。

漏らして失神したようだ、これでしばらくは静かになるな。




「ヒキタは説得して静かにして貰った、で、状況は?」


「説得したようには見えませんでしたが……とにかく敵は2時間後を目途にここにやってくるそうです、こちらは土魔法使いが塹壕を掘っています」



城壁から300m程出たところに掘られた塹壕、大人が立ち上がれば頭が出せる程度の深さだ。

横に長く掘られ、時折中で走り回って遊んでいるカレンの耳が覗いている。



「俺達も塹壕に入って戦うのか? てかこれ意味ある?」


「ええ、そのつもりです、ちなみに敵にも土魔法使いが居るとの情報がありましたので、何もしないと穴を掘られて地下から王都内に侵入されます」


「それで横に長く掘っているのか、わかった、俺達は城門の正面辺りに入ろう」



城門横の入り口から塹壕へと入って行く。


中は戦争映画にでも出て来そうな、これぞ塹壕といった感じだが、所々が深く掘られ、そこから地下を進むモグラの如き輩を発見し、始末出来るようになっている。



「これ、雨が降ったら下がぬかるみになるだろうな」


「その可能性はありますが、贅沢を言っていられる状況ではありません、最悪我慢しましょう」



雨だけは降らないで欲しい、もし下に泥水が溜まってみろ、水虫さんはニッコニコ、俺達や王都の兵はグッダグダになるぞ。




「あ、ご主人様、ちょっと静かにしていて下さい!」


「はい申し訳ありませんでしたカレン様!」



「……地響きが聞こえます、普通に歩いているのとは違う音ですね」


何だろう? 巨大生物でも居るのかな、それとも攻城兵器を運んでいるのか?



「う~ん、私にも聞こえるけど、どうも地面を掘っているみたいよ」


「マーサ、それは味方の話じゃないのか? まだ両翼は塹壕を掘り進めているぞ」



「いえ、それが正面なのよ、ここから1kmよりちょっと近いぐらいかしらね」



夜目の効く者に状況を確認させるも、その距離には敵の姿が見えないという。



だが、しばらく待つと俺の索敵にも反応が出る、居るには居るということだ……ということは地下か?



俺達の居る塹壕まで残り100mも無い辺りまで近付いて来た敵の反応、それが突然横に移動を始める。

まさか奴等も塹壕を掘っているんじゃないだろうな?



「ご主人様、あそこで地面がモコモコしています! 崩れ落ちますよ!」



ドドドッという地響きを伴い、地面が横一列に崩れる。

やはり敵さんもですか、これはもう塹壕戦ですよ、クリスマスまでには帰るとか言っておいて全然帰って来ないやつですよ!



「皆不用意に頭を出すなよ、そういう奴は狙い撃ちされて死ぬんだぞ!」


「とりあえずあのヒキタとかいう奴もここに入れておいた方が良さそうね、ちょっと兵隊さんに言ってくるわ」


外で気絶していたヒキタを回収し、セラが俺達の元に戻って来る。

その頃にはもう空が白み始めていた、朝日が出たら戦闘開始だろうな……



※※※



「さて、そろそろ始まるのだろうがちょっと困ったな、魔法使いは良いにしても前衛組と中衛組は何も出来ないぞ、これじゃあ」


「ですが敵の塹壕から槍がはみ出していますよ、あれは突撃して来るつもりでしょうから、それを迎撃する役目を私達がやりましょう」


「なるほど、敵は前進しないとだもんな、そりゃアグレッシブに攻め込んでくるよな」



「では私は一度両翼のインテリノや総務大臣達と話をして来ます、すぐに戻りますね」



そう言って持ち場を離れるマリエル、それに付いて行こうと思った護衛の兵が立ち上がってしまう。



風の刃が飛んでくる……護衛兵は兜を弾き飛ばされ、塹壕の壁に頭をぶつけて気絶してしまった。

あの一瞬でどこまで正確な狙いなのだ、この間までの雷魔法といい、何か命中精度を上げる秘策があるに違いない。



「ルビア、護衛の人を治療してやってくれ、マリエルも気を付けて行けよ、他の部隊にもそう言っておくんだ」



「しかし卑劣な敵ね、開始の号令もなしに突然撃つなんて!」


「セラ、これはそういう戦いじゃなさそうだぞ、もう各自戦闘開始みたいなノリだろうよ」


「じゃあ私もやるわ……でも顔を出さないと敵が見えないし、そもそも魔法を撃つことも出来ないわね」


「杖だけ出して適当にガンガン撃ってしまえば良いさ、疲れたら他の人に代わるんだ、で、回復したらまた攻撃と」



それに了解したセラが敵陣に魔法を撃ち込むと、相手も一斉に反撃を開始する。

そしてこちらの陣も……こうして大規模な魔法の撃ち合いが始まった。



塹壕の手前や後ろには、バシッ、バシッっと魔法が着弾し続けている。

今は正確な狙いではなく、一兵卒がデタラメに撃ち込んでいるようだ、攻撃の大半は風魔法のようだな。



「ご主人様! あっちの方で一箇所だけ敵の攻撃が止んでいますよ!」


「本当だ、何かあるのか? ちょっと様子を見に行こうか」



攻撃の来なくなったエリアに着くと、それと同時に敵兵の絶叫が聞こえ始める。

ここに突撃して来るようだ、そっと顔を出して様子を見る……槍を持ったおっさん魔族の集団、100体ぐらいだ。


「マーサ、ダッシュでセラを引っ張って来るんだ、風防を出させよう、俺達は出て戦うぞ!」



セラを抱えて戻って来るマーサ、直ちに風防を張らせ、俺とカレン、そしてマーサが塹壕から出る。


ちゃんと梯子が付いているのは非常に有難い、カレンとマーサはジャンプで上がれるものの、俺はそんなの無理だからな。



「こいつら下級魔族共ねっ! ガンガン殺るわよ!」



その言葉通り、迫り来る敵を3人で叩きのめしていく、カレンが一番前に仁王立ちし、向かって来る敵を惨殺していく。

その後ろでは俺とマーサが零れた敵を片付ける。


そして2枚体勢で殺り損なった敵は、塹壕内で待機しているミラとジェシカが次々に始末する流れだ。





これは簡単だぞ、あっという間に片付くな……と思った瞬間の閃光、カレンが倒れる!




「拙い、雷魔法で狙われているぞ! カレンを抱えて塹壕の中に戻るんだ!」



前面にだけ張った風防は、空からの雷攻撃に対しては無力だ、これは中に戻るしかない。

今ようやく撃って来たということは、おそらく塹壕の中で姿を見えなくしておけば狙われないのだろうからな。



「ルビア、カレンはすぐに良くなりそうか?」


「ええ、大したダメージは負っていませんが、やはり麻痺しているようですね、それは自然に解除するまで待たなくてはです」


「うぅ~っ、ビリビリするのです、立ち上がれません!」


「立たなくて良い、しばらくゆっくりしておくんだ、突撃して来た敵も片付いたようだしな」



「でもさ、どうしてカレンちゃんだけが狙われたのかしら? 普通は勇者様を狙うはずよね」


「うむ、そこは何かあるかもだな、単純に一番強い奴を狙っただけなのかも知れんがな」



先程の乱戦の中において、ピンポイントでカレンを狙う意味、それを考えれば雷魔法への有効な対策が見えてくるかも知れない。



とりあえず持ち場に戻ろう、ヨレヨレになっているカレンはお姫様抱っこだ。

既に口は動くようなので、荷物に入っていた干し肉を咥えさせておく。




城門正面のエリアに移動すると、目を覚ましたヒキタがまたしても暴れていた……




「この低俗な現地人共めっ! ここは騎兵突撃が有効だと何度言ったらわかるんだっ!? 指揮官である僕の命令を聞け!」


「しかし真・勇者様、馬が居ないことにはどうにも……」


「だーかーらーっ! 持って来いよお前がっ! 早くしろこのハゲッ!」



「おい、ちょっと待て、お前こんなに魔法が飛び交っている中で騎兵突撃は無いだろう、どれだけ死ぬと思っているんだ?」


「何だ、お払い箱勇者君か、君ね、愚劣な蛮族である現地人が死ぬことを恐れているなんて、異世界勇者としてどうかと思うよ」


「お前本当に気持ち悪い奴だな、転移する前も凄く嫌われていたんじゃないか?」


「黙れクソがっ! 僕が考えた最強の戦術を馬鹿にしたうえになんて無礼なことをっ! 上官に逆らう奴は死ねぇっ!」


「誰が上官だ、そんな奴どこにも見えないんだが、おっと失礼、薄汚いチビの異世界人を蹴飛ばしてしまった!」


顔面に膝蹴りを入れてやった、ヒキタは鼻血を出して悶絶している。

全く狭い塹壕で邪魔な奴だ、そもそも魔法が無効なんだから外でも良いだろう、放り出してしまおうか。



「勇者様、そんなのに構っていないでこっちに来て下さい、良い物を持って来ましたよ!」


おぉっ! なんと鏡の付いた長い棒ではないか!

この世界では鏡が貴重品なのだ、手のひらサイズの小さいものとはいえ、こんな危険な場所で使うなんて王族のマリエルだからこそ成せる業だ。



「うむ、では早速これで敵陣の様子を……何かが飛び立っていますね、渡り鳥でしょうか? いいえ、爆撃です」


「本当ね、岩を持ったのが飛び出して来ているわ、魔法で撃ち落すべきね!」



セラが号令を掛け、ユリナ、精霊様、そしてカテニャも魔法を撃ち込む。

鏡で逆さまに見ながらだと効率が悪いな、かなり撃ち損じが出るぞ……



撃ち落とせなかった爆撃部隊が次々と岩を投下してくる。


セラとカテニャが必死で魔法を放ち、その岩を砕いていくものの、一部は間に合わずにそのまま落下する、そして砕け散った破片も同時に降り注ぐ。


そこへ精霊様がとっさに水の壁を張る……何とか落下する岩の勢いを殺せたようだ。


だがな、その水はこの塹壕に落ちて来るのだよ、はい、水浸しです。



踝まで水に浸かってしまった、初日にして早速水虫の恐怖が襲い掛かる……



てかここちょっと深く掘れているみたいだな、なかなか水が捌けて行かない。

後でどこかの部隊と持ち場を代わって貰いたい所だ。




「で、精霊様、こっちだけ水浸しってのは癪だよな、向こうの塹壕も同じようにしてやれないか?」


「ええ、この鏡で確認すれば簡単よ! えぇ~っと、鏡に映っているときは左右が逆だから……ここねっ!」



はい、後ろを向いていることを忘れていたようです。

王都の城壁付近に現れた大量の水は、そのまま俺達の居る味方の塹壕に流れ込んだ。


「い……今のはちょっとしたジョークよ、次は敵の方も水浸しにしてあげるわ」


「うむ、早くやるのだぞ」



今度はしっかり敵陣に水を流し込んだ精霊様、コイツ、良く考えたら自分は濡れても何ともないんじゃないか。

つまり迷惑しているのは俺達だけということだ、マリエルもそれに気が付いたらしい。


「精霊様、後でちょっとお話があります」


「……あまり叱らないで欲しいのだけど……ダメみたいね」


「当たり前です、ここは水が溜まり易いんですから、もう脛まで水の中です、反省して貰いますからね!」


精霊様はすっと水の中に正座する、反省している感を出すアピールらしい。

そして、それとは逆に立ち上がった者が居た、ヒキタの奴だ……



「あぁぁっ! こんなに水に浸かってっ! もう限界だ、僕はここを出て行く!」


梯子を上り、勝手に塹壕を出て行ってしまった。

もちろん敵に狙われているのだが、そこは魔法無効、飛んで来る風の刃は手前で全て掻き消されている。



「おかしいな、歩いているのに雷で攻撃されないぞ」


「確かに、あれなら簡単に当てられそうなんですが、敵は魔法無効に気が付いているんでしょうか?」


そんなはずはない、だとしたら未だに風魔法で攻撃を続けているのはおかしいからな。

何か秘密があるはずだ、狙われる奴と狙われない奴の違いがどこかに……



城門の前まで辿り着き、立ち止まって扉を開けろと騒ぎ出すヒキタ。

そこへようやくの雷魔法である、直撃する前に消えてしまったものの、ヒキタを狙って放ったのは確実だ。



「なぁカレン、さっき雷を喰らったときは立ち止まっていたよな?」


「う~ん、確かにその場からは動いていませんでした、移動しなくても敵はわらわら寄って来ていましたから」


それかも知れない、俺とマーサは走り回っていたのに対し、カレンは向かって来る敵を受け止めるための仁王立ち体勢だったからな。

雷魔法は狙いを定めるのに時間がかかり、移動している敵には使えない可能性が高い。


ちょっともう一度誰かが試してみて欲しいな、手頃な的は……



「ギロティーヌ、ビーチャ、お前らあの雷を喰らっても平気だろう? 今飛んで来ている風魔法も」


『確かに平気ですが、向こうから姿が見えているとしたら攻撃されないかも知れませんよ、私達は捕まって従わされているだけだと認識されているはずですから』


「そうか……じゃあ城門の所で騒いでいるヒキタを持って来るんだ、アイツを的にしてみよう」



塹壕を出て行ったギロティーヌとビーチャ。

ヒキタを挟み込んで抱え、俺達の上を乗り越えて敵陣へと向かって行く。



「よぉし、その辺で止まってみろ、そのクズを置いて離れるんだ!」



「何だ、何なんだ君達は! おい、どういうことだ、僕をこんな所に置き去りにして!」


「黙れ、ちょっとそこで待っていないと蹴り殺すぞ!」


「ひぃぃっ! お払い箱の分際でっ! 後で絶対に処刑してやるからなっ!」



しばらくヒキタを観察する……


置き去りにしてから10秒といったところか、雷魔法の発動が確認出来た。


2発、3発と続くが、ヒキタはそれに気付いた様子がない、自分の上で消えているからな、どこかで何か光っているぐらいにしか思わないのであろう。



「おい、もう良いから戻って来い!」


そう言ってやるとすぐに歩き出したヒキタ、今まで立っていた位置に4発目の雷魔法が着弾する……



「お、慌てて逃げ出したな、やはり動き出したら撃たれないようだ、これなら俺達も打って出られるぞ!」


「勇者様、私達は反復横跳びで回避しながら進みましょう!」



あれは前に進める技ではないと思うのだが……



とにかく作戦は決まりだ、俺達は打って出る。

飛び交う風魔法ぐらいならセラの風防や精霊様の水壁でどうにか出来そうだしな。



そう思い立ったときには既に日が沈みかけていた。

攻撃開始は明日の早朝としよう……

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