白雪姫と林檎の魔女ー8
「えっ!?ちょっ!?えっ!?」
「じゃ、じゃあね、ばいばいっ!また明日っ!」
バタバタと大慌てで出ていく美姫。
そして、その場に立ち尽くすりんご。
二人は、真っ赤なりんご色に染まっていた。
幸か不幸か、この一件が原因で彼女らの関係性はほとんど変化することはなかった。
翌日こそ互いに照れてコミュニケーションを取りずらい二人であった。
しかし、そんなものもすぐに消え失せた。
ある日の放課後。
教室には二人しかいない。
そして、廊下にも人の気配はない。
運動場からは、部活動を行っている生徒達の声が聞こえる。
廊下を反射し、遠くの方から聞こえる吹奏楽部の楽器の音色。
「……おいで?」
「うん。」
両手を広げるりんご。
それに吸い寄せられるように跪き彼女の胸元へ顔を押し当てる美姫。
「この前びっくりした?」
「そりゃあ、そうだよ。」
いとおしげに美姫の髪を撫でるりんご。
右手で撫で、左手は彼女をしっかりと自身にくっつけるように、美姫の背中を支えていた。
「なんであんなことしたの?」
「あっ、え?」
「あぁ、怒ってるわけじゃないよ。」
美姫を安心させる為のりんごの言葉。
それは、嘘偽りのないものであった。
好奇心。
そこまで大層なもとではない。
しかし、なぜ美姫があのような発言をしたのかが気になったのだ。
「た、たまには……。」
もじもじ。
「私ばっかドキドキしてずるいもん。たまにはりんちゃんをドキドキさせたかったの。」
必然的に位置の関係で上目使いになる美姫。
「可愛い。」
りんごの心の声が、ノンフィルターで出てしまった。
「へ、あ、ありがと……。うぅ……またドキドキさせられた……。」
俯き呟く。
「そ、それで私ばっかドキドキしてるって……いつもドキドキしてたの?」
「……うん。」
りんごの胸に顔を埋めてりんごの視線から逃れようとする。
「それでね……。」
再び口を開く美姫。




