二人のグレーテルー10
あいは何かとんでもないことを仕出かす。
今すぐに止めないといけない。
まいは、そんな気がしていた。
しかし、頭が働かず、何をどうすべにかなどは全く出てこない。
目が覚め、少し経過した。
それにより、あいの頭が徐々にではあるが、はたらくようになってきた。
まいに何をされて気絶をした?
なぜベッドに縛り付けられている?
そもそもあいの目的はなんだ?
覚醒した頭には、それらの疑問が浮かんでいた。
「これなーんだ?」
そう言うあい。
彼女の手には、まいの学生証が持たれていた。
「私の学生証……。」
「大正解……。」
妖しく頬笑む。
まいの学生証を、机に置いた。
そして、彼女は、自身が着ていた寝巻きを脱ぎ始めた。
「あ、あい!?何してるの!?」
突然の彼女の奇行に慌てるまい。
そうこうしているうちに、あいは上裸になってしまった。
そして、一度机に置いていたまいの学生証と、自身の携帯電話を手に取る。
もう、嫌な予感ではなかった。
これは限りなく正確な予測だ。
まいには、あいが何をするのかが、分かってしまった。
「あい、止めて!お願い、止めてよっ!」
まいの動きが激しくなる。
まいの両手を縛るロープ。
その、ギシギシという軋む音が部屋に響く。
弛めたとはいえ、ほとんど自由に動かすことは出来なかった。
カシャッ。
カメラのシャッター音。
それは、あいが持っていた携帯電話から鳴った音であった。
「我ながら綺麗に撮れたよ。見て、まい。」
あいが笑みを浮かべて近づく。
そこに写るのは、学生証を見せつけるように配置したあいの姿であった。
あいの顔からへそまでが綺麗に写されていた。
そう、服や下着をつけていない姿がはっきりと写し出されていたのだ。
「でね、見てて?」
携帯電話の画面内の写真の一部をズームするように引き伸ばすあい。
そこには学生証が文字までくっきりと写されている。
まいのものだ。




