二人のグレーテルー6
「あいっ!昨日は本当にごめんなさい!無神経過ぎた、本当にごめん!」
あいとまいが登校するや否や、あいへ向けた言葉。
それは、昨日あいの目の前でまいの陰口を言っていたクラスメイトの口から出たものであった。
頭を下げ、少し大きな声で言う。
昨日彼女らの間に入り、止めていたクラスメイトも後で心配そうに見ている。
あいが昨日悩んでいたのが馬鹿みたいであった。
それほど呆気なく、彼女の修羅場は幕を閉じたのであった。
「あ、うん……。その、私も叩いちゃってごめんね。」
隣のまいは、あいを見て微笑んでいた。
「なんかよく分かんないけど仲直り出来たみたいで良かったね、あい。」
「……うん、ありがとう。」
初めはぎくしゃくしていた。
しかし、徐々にあいとそのクラスメイトは次第にいつも通りになっていった。
「ま、まい?」
「うん?」
それは、昼休みのことである。
いつもなら、二人は別々に昼食を食べているはずであった。
しかし、今日は様子が違った。
まいは、いつも通り数少ない彼女の友人と二人きりで昼食を食べようとしていた。
そこに、あいが声をかけたのだ。
「その……今日一緒にご飯食べない?」
「え、え?」
あいの言葉に戸惑うまい。
机をはさんでまいと一緒にいた彼女の友人も戸惑っている。
「だ、駄目なら……良い……けど……。」
そう言うあいの顔は、寂しそうだった。
良いわけがない。
今すぐに着いて来てほしい。
そう言わんばかりであった。
「……どうかな、今日はあいと一緒で良い?」
まいが彼女の友人へ向けて言う。
「え、あ、うん……だ、大丈夫……。」
そう言う彼女の目は泳ぎ、おろおろと落ち着かない様子であった。
きっと、大丈夫ではないのだろう。
彼女は、まいの友人ではあるが、あいの友人ではない。
そして、恐らく彼女のことが苦手だ。
どうしたものだろう。
あいをとるか、友人をとるか。
悩むまいであった。




