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甘え嬢's  作者: あさまる
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二人のグレーテルー4

「あっ、え、えっと……ご、ごめん……その……私っ……。」

声が震えている。

あいは、冷静になり、自分の仕出かしたことの重さが分かってきたのだ。


「い、いや……ごめん。その……私も言い過ぎた……。」

今にも泣きそうな声。



嫌な静けさ。

気まずさから、彼女らは解散となった。



これから立場が悪くなるな。

帰り道、一人で歩いているあい。


それでも良いかもしれない。



「ただいまー。」

無理矢理明るく振る舞うあい。


彼女を迎え入れる祖父母。

何かあったということは、彼女の顔を見て、すぐに分かった。

しかし、彼女が言うまでは何も口出ししまい。

そう思っていた。

それは、まいも同様であり、あいと目を合わせた瞬間に何かあったと分かったのだった。



夕飯をいらないと言った手前、空腹だと言えないあい。

三人で囲む食卓を、少し離れた所でテレビを見ながら横目で見ていた。


空腹時に人の食べている姿を見たくない。

そう思ったあいは、入浴しようとリビングを出ていった。


「はぁ……。」

入浴中。

浴槽に入り、天井を見つめるあい。


水滴が彼女の顔に当たる。

普段なら気にしないようなことも、敏感に反応してしまう。

そして、その都度苛立ってしまう。



分かっている。

なぜ苛ついているのか。

なぜこんなに苦しいのか。

まいを、最愛の妹を馬鹿にされたからだ。


身体が浴槽へゆっくりと沈んでいく。

顔が半分くらい湯に浸かる。

ぶくぶくぶく。

息を漏らし、泡を出す。

無意味な行動だが、今の彼女にはこんなことをしている方が幾分か楽であった。



がらがらがら。

突如開けられた浴室の扉。

そこにいるのは、まいだった。


「まっ、まいっ!?」

バシャバシャと浴槽内で暴れてしまうあい。


咄嗟に身体を両手で包み込むように隠してしまった。

一方のまいは、なにも羞恥を感じていないようで、素肌を晒していた。


本来姉妹であり、入浴しているという状況。

親子水入らず、もとい姉妹水入らず。

まいの方が正しいのだ。


間違った行動。

自身が行ったそれは、あいにも十分理解出来た。

しかし、分かっているにも関わらず、そんな行動をしてしまった。

そして、今も尚しているのだ。

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