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甘え嬢's  作者: あさまる
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白雪姫と林檎の魔女ー4

あぁ、可愛い。

りんごは、自身の中にどす黒い欲望の塊のようなものがぐるぐると渦を巻いているのが分かった。

これ以上はいけない。

後戻りできなくなる。


「うそうそ、良いよ。あとね……。」

ニヤリといやらしい笑みを浮かべるりんご。


その顔は、他者が見れば怒りを覚えるような表情であった。

しかし、美姫にとっては、天使のような微笑みであった。


スッと自身の顔を、美姫の顔へ近づける。

予想外の出来事に、美姫は困惑する。

そして、困惑しながらも目を瞑った。


鼻と鼻。

口と口。

二人のそれらが、あと少しで触れ合ってしまう。

そんな、寸でのところで、りんごは進行方向をやや変えた。


彼女の口がたどり着いたのは、美姫の耳元であった。

そして、吐息を漏らすように、美姫へ囁く。


「……今日両親帰るの遅いから二人きりだよ……。」

吐息。


それは、美姫の脳を溶かすような快感を彼女へ与えた。


「んぇえへぇ……。」

墜ちた。

美姫の顔は、快楽に溺れているように見えた。

頬を染め、目尻には悦びの涙を浮かべ、恍惚の笑みを浮かべている。


りんご以外、誰もいない教室。

とはいえ、人前でしてはいけない顔を晒す美姫。


自分だけが知っている彼女の顔。

自分にだけ向けられる彼女の感情。

りんごは、劣情を抱くのと同時に、そんな彼女のことを愛くるしく思った。


あぁ、可愛い。

食べてしまいたい。

もしも叶うのなら、自身の中で一生閉じ込め、飼ってしまいたい。



「り、りんちゃん……?」

我に戻った美姫。

急に無言になったりんごを心配そうに見つめていた。


大きく宝石のような瞳。

その輝きは、本物の光と遜色ないように思えた。


「あ、あぁ、ごめんね。何でもないよ、大丈夫。」



なにか言いたげな美姫。

何が言いたいのか、おおよそ検討がつくりんごは、そんな彼女の頭を再び撫でる。

すると、美姫は再度目を細め気持ち良さそうに黙ってしまうのであった。

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