白雪姫と林檎の魔女ー3
りんごは、始めこそ、美姫に対するいじめを、見て見ぬふりをしようとしていた。
しかし、気がつくと、彼女のことが気になる。
常に美姫のことを、視線の隅に捉えている自分に気がついた。
放っておけない。
その結果、自分も何らかの被害に遭っても良い。
「一緒に帰ろう?」
その時のことを、二人は今でも鮮明に覚えている。
いつも帰宅した後泣いているのだろう。
真っ赤な目をし、俯いていた美姫。
椅子に座る彼女が見上げた先には自分よりも小柄な少女。
りんごだ。
幸いなことに、このりんごの行動を機に、美姫に対するいじめは沈静化していった。
それどころか、次第に彼女はクラスの中心的な存在となっていった。
些細なことがきっかけで、 美姫の人生は大きく変化した。
もしも、りんごがあの時声をかけなければ彼女は未だに教室の隅で項垂れていたかもしれない。
そこから急激に仲良くなった二人。
そして、それと同時に美姫がりんごに対して本性を露にしていった。
クラスメイトとは、上辺だけ仲良くしていた。
しかし、美姫が本当に仲良くしていきたいと思っていたのは、りんごだけだった。
家族を除き、美姫が大切なだと思っていたのは、彼女一人だけだったのだのだ。
初めはりんごにのみ自身から挨拶をしていた。
そして、登下校は二人で行い、昼休みは二人だけで昼食をとっていた。
今のようにりんごに甘えるようになるのも、必然だったのかもしれない。
「り、りんちゃん。」
美姫の声。
震えるそれは、緊張しているのが分かった。
「どうしたの?」
りんごが質問する。
本当は分かっている。
しかし、りんごは美姫の口から聞きたかった。
直接彼女の気持ちを、彼女の口を通し、彼女の声で聞きたかったのだ。
そして、それに対する彼女の言葉ももう決まっていた。
「今日もりんちゃんのお家行っても良い?」
「うーん、どうしよっかなー?」
にやり。
りんごが、意地悪な笑みを見せる。
その顔を見て、不安げになる美姫であった。




