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異世界を、終わらせようか。  作者: 宗ゆさ
第一章 現実の青春
1/6

プロローグ 元 終は決意する。

元 終、異世界を終わらせに行く。


─終わらせよう。ネタ切れの小説を。


 もういまさら流行らない。というより、人々の世界観が固まってしまって、新しい世界など歓迎されることはない。いくら指を動かしたって、いくら頭を使ったって学校の小論文や作文とは訳が違う。教師を喜ばせたり、事実を主観的にみた感想で装飾してまとめるわけではない。


─そして決意した。終わらせる。


 何処にでもいる人間で、特出していい頭脳を持ち合わせてる訳でもない。一人のただの思い付きで、無限のように感じる暇な時間を有効に使おうとしただけであった。


─久しぶりに外に出よう。


 家にいても自分で造形した言葉の羅列が自分自身の身体を虚しさで包むだけだ。


─久しぶりに暇を貰った。


 まるで仕事を首になったような言いぐさだ。仕事などしてないのに。学校すらまともに通えないのに。社会から暇をもらっているのに。


 ─暑い。家を出るのがだるい。


 直射日光が俺の天敵。日光が差す位置に窓があって、光の直進を遮る建物もない。世間から見れば建物の立地的には素晴らしいのだろう。2階建の洋風建築、その家を囲むように小さな庭。しかしそんな建物の価値をすべて否定するモノ。


 ─玄関に立つ。外へ出るのはだるい。しかし、外の空気を吸わなければ。


 ろくに掃除もせず、空気の入れ替えも行わない。ほこりはたまり、カビは家中に根を張る。普通の人間が耐えられる環境ではない。


 ─久しぶりに外界へ。


 まばゆい光とともに爽やかな風が髪を撫でる。南中した太陽が頭を照り付ける。エンジンの音やら、布団をたたく音、風が植物と戯れる音、そして人々の笑い声。生活音が俺の耳を彩る。


 ─青空の下に広がる文明。


 今まで見ていたのは暗い部屋のなかで光る画面と、その中に刻まれゆく文字の羅列だけ。カタカタとキーボードをたたく以外にやることと言えば買いためた非常食を1日1回口に含むことと、乏しい人生経験をもとにする妄想だけ。


 ─体が朽ちそうだよ


 何か月も日光を浴びなかった肌は悲鳴をあげ始める。強い日差しが眼球に直進する。暗い中で必死に働いた目の疲労と相まって、地獄のような痛みを味わわせてくれた。


 俺はもう止めた。諦めた。才能がないことは最初からわかってた。


 でも、諦めきれない自分がいて、無様にも必死に足掻こうとする自分が想像できて。


 いつか日の目を見る時が来ると、根拠もなく希望を抱く。


 時間はいくらでもあった。これから先もある。しかし棒に振った時間はとても笑って終わらせることのできる量ではない。


 だから、諦めたくなかったし、続けたい。


 言ったそばから否定して、情緒不安定な俺は…


 ドアを閉じて上へあがる。書きかけの文をすべて消す。今まで書いたものもすべて削除する。


 その時俺は思った。


 「異世界を終わらせよう」と。



そしていざ決意を形に

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