異世界モノ(テンプレ)について思うこと
あの駄作『異世界転生したけど何故か状況を飲み込めている!?』を打ち切ってから2ヶ月以上が経ちました。自分の願望を抑圧してまでテンプレ(とも言えなかったが)を書いた感想を、なるべく順序立てて述べます。
私は異世界ものが嫌いだ。正確には嫌いになったのだ。
私は昔から異世界を舞台にしたり、異世界転移を扱ったりしている作品に触れてきた。アニメ映画『ブレイブ ストーリー(原作・宮部みゆき)』や特撮ドラマ『仮面ライダーディケイド』、小説『守り人シリーズ(作・上橋菜穂子)』等は私の作風に多大な影響を与えている。
「登場人物がこの世界とは全く異なる世界に行く」という内容は、スゴク胸が躍る。海外旅行の経験のない私にとって、これらの作品は冒険心を満たしてくれた。
私が「小説家になろう」に投稿を始める前、何やらライトノベルを原作としたアニメでは「異世界」を扱った作品が多いという情報を耳にした。そしてこれらの作品群にはいくつかの共通項があり「なろう系」や「テンプレもの」と呼ばれている事を知った。もちろん、これらは全てインターネットで得た情報なので信頼性はかなり低いが、この情報をもとに私は『異世界転生したけど何故か状況を飲み込めている(以下:のみこめ)』を制作・投稿した。
その結果、兄をして「産業廃棄物」とまで言わしめた駄作を晒すことになった。なろう系の共通項を盛り込もうとした結果「書きたい」という欲望が湧かず、多大な苦痛を伴い、やっつけ仕事になってしまった。テンプレなんて二度と書きたくないと思った。そして、異世界が嫌いになった。以下ではなろう系の共通項を「クールな最強モテモテ主人公」「中世ヨーロッパ風世界観」「RPG的システム」の三に分け、それらがどのように私の創作意欲を奪ったのかについて述べる。
まず、最強主人公について。なろう系の主人公たちに対する恨み辛みは様々な掲示板に書き込まれているので多くは語らない。ただ、私が『のみこめ』を書いていて最も苦痛を感じたのは、主人公の性的欲求を全面的に許容しなければいけないことである。私の考えではあるが「性」は単純で軽いものではないと思う。女の抱き方も知らない私であるが、始めから性交渉を目的に女性に接近する主人公は無粋だと思う。ヒロインの方も主人公との性交渉を拒まず、いとも容易く「大切なもの」を差し出すようでは人形のようで不気味に感じる。むしろ、主人公が尻や胸を触ろうものなら、彼を(百トンハンマーで)殴るなり叱責するなりしてくれるヒロインの方が私は好感が持てる。
少し話はそれるが、私が小説の主人公に据えるなら「憧れの人物の背中を追う少年(若者)」や「友だちや自己実現のために頑張る少女(貧乳ならなお良し)」等の努力・成長系の方が書きやすい。最強系でも「暗い過去や使命感を持った男」や「心優しい青年」、「スタイリッシュでカッコイイお姉さん」等の方が安心して物語を構築できる。私の率直な意見として、主人公の条件が厳しく定められているなろう系はやはりストレスが大きい。
次に、世界観について。私は「中世ヨーロッパ風」と言われる世界観に飽き飽きしている。中東や東アジアなど、ファンタジーのネタにできそうな文化圏はいくらでもあるのに、なろう系ではあまり取り上げられていないらしい。私はアラビアンナイトや西遊記が大好きだから、むしろそういう作風のものを作りたい。また、現代より文明が劣っている必要もないとも思う。むしろ、現代と同等、もしくはそれ以上の文明を有し、ロボットや戦闘機に乗って戦うのも悪くない。
しかし、掲示板を見る限りではなろう系の作者にはどういう訳か「中世ヨーロッパ風」にこだわっている人が多いらしい。私はこの状況に所謂「西洋崇拝」や「脱亜入欧思想」のようなものを感じ、嫌悪感を覚えてしまった。文化相対主義(多文化共生とは違う)を採る私にとって文化や民族に優劣をつける考えは許し難いものだったのだ。もちろん、そのような思想は入り込んでおらず、別の理由から中世ヨーロッパ風な世界観を設けた人もいることも理解している。だがやはり類似した文化・特色を持つ世界観が多いのは面白くない。
最後に、ゲームについて。私は親にゲームを買ってもらえなかったため、ゲームをした経験が少ない。家に呼んだ友人にやらせてもらうか、親にゲームセンターに連れていってもらって一回だけやらせてもらうくらいだった。だから、王道RPGと言われてもピンとこない。だから、当然ゲームの知識などにも詳しくはない。「のみこめ」を制作する際には、友人とプレイした『ゼルダの伝説時』を参考に世界観や設定を構築したが、この作品自体独特な作風でテンプレに当てはめることは困難だった。
私の知識の範疇では、マニアには劣るが戦闘機(特に第四世代ジェット機)や軍艦(イージス艦、原子力空母)等の方が詳しい。私の好きな『宇宙戦艦ヤマト』や『マクロスシリーズ』もこれらの要素を盛り込んだ作品群である。だからゲーム的ルールの下、剣で斬り合うよりも、飛行機や艦船を持ちだしてドンパチする方が好きである。そこに電子戦や政治劇の要素が加わればさらに楽しい。
上記の理由から私は異世界ものを書くのが嫌になった。
よく、なろう系の小説は「作者や読者の願望を充足させる」ものと言われるが、私はむしろ願望を抑圧されてしまった。その願望については別の機会で述べようと思う。
~つづく・・・かな?
私好みの主人公って、多分『ウルトラマンネクサス』の孤門くんとか『牙狼』の冴島鋼牙みたいな人なんでしょうね。最近は『仮面ライダークウガ』の五代くんも良いなぁって思ってます。全部特撮ですねw。
では、またの機会にお会いしましょう!