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暗黒の皇帝(仮題)  作者: 雅 彦
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02


 城外

 馬車に乗って城を出て行く僧侶、馬に乗った魔物の騎士や兵士も同行している。

 馬車に同乗していた人間の従者から簡単に説明を受ける。

「まず私から簡単に計画をご説明します。司教様は勇者役の少年を導く、謎の老人として活動して頂きます。我々は先代の勇者様が受けた被害同様、ご出生の村を焼き、略奪する山賊の役となります。もちろん村人には全員避難して頂きますが、それを知らないのは少年だけです」

 馬車の中で従者に簡単に説明を受ける。

「家を焼くのは仕方ないとして、遺体はどうするのかね? 私と彼は亡くなった方を丁重に葬った、その時から彼は戦いを決意し、君達の王を倒すために旅立ったのだ」

「はい、公共の施設に引き取られた身寄りの無い方から志願者を募り、死後に遺体を焼く承諾を得ております。その後は役所の規定により、さらに手厚く葬られる事になっております」

「死者を冒涜するつもりかっ、僧として、そんな計画には賛同できんっ」

「しかし、国民の全てが医療を受ける権利を持ち、路上の露と消えずに済むのも、全て陛下のおかげです。志願した者達も「陛下のためなら生きながら焼かれても構わない」と申しましたが、お優しい陛下がそのような事をお許しになるはずも御座いません。かく言う私も、陛下の温情により命を救われた一人なのですっ、成人した後ようやく公務員としてご奉公できて、本日ようやく陛下のお役に立てる日が来たのです」

 泣きながら胸の前で手を組んで、遠くを見ながら祈りを捧げる従者。僧侶はとても嫌な顔をして頭を抱えて頭痛を堪えた。


 王国発祥の地

 王様一行、馬車で「王国発祥の地」と書かれた秘密基地跡に到着。

 綺麗に整備された駐車場に馬車を止め、笑顔の駐車場係に手綱を託す。

 麓には土産物の屋台が並び、テキ屋の兄ちゃんが歌いながら「王様まんじゅう」を売っている。

 その様子を見ている王様は、粗末なローブを着ているが、絶対防御呪文のせいで内面から輝き、神々しい感じは拭い切れない。

「これがあの禍々しかった秘密基地か?」

 過去の映像を画面上から引き出す王。黒雲が辺りを包み、昼尚暗い森の中で、カラスや獣の鳴き声が聞こえ、そこをゾンビやスケルトンの兵士が巡回している。

 それに答える王国第一の剣士。猛禽類の形をした人間の数倍も有る巨大な魔物で、翼の途中にある指で剣を掴めるようになっていて、長い翼で飛ぶこともできる形態になっている。

「左様です、戦後は巡礼地として整備され、このように巡礼者が絶える事はありませんでした。陛下はこの奥の神殿に聖者として祭られています」

 勿論この剣士も、戦後の流行通り人間の奴隷の少年を買い、全身洗ってやったり、モフモフしたり、ブラッシングしてやり、猫じゃらしで闘争本能を刺激したり、ヘソ天で寝ているのを写真に撮ったりインスタしたり、奴隷数人でストー部したり、コタツ内で屯する様子も撮影、自分の膝の上や、腕に巻き付くようにして懐いて眠っているのを見ているのが生きがいの、小さい人間好きに転向していた。


 王様の近くを、五体投地しながら進んで行く、人間の巡礼の一行を見て、嫌な顔をする王様。

「もし… 貴方様はもしや、風の剣士様ではありませんか?」

 巡礼の老婆に話し掛けられ、ギクリとする鳥型の魔物。巡礼者の格好をしているが、くちばしや、ローブの下の翼や剣は隠せない。

「どなたかとお間違えのようですな? 人間から見ると鳥族は同じように見えると言いますから…」

 老婆が近くにある、建国の勇者であり導き手である王様一行の銅像を見ると、眼の前の剣士と全く同じ顔形をしている。

 既に跪いて泣いている老婆。

「この国で風の剣士様を見間違える者はおりません。そちらのお方は鋼鉄の騎士様ですね? ならばその高貴なお方こそ…」

 鉄で出来たような魔物がいて、もちろん銅像と同じ姿形をしている。

 真ん中にいる王様に視線が集まると、老婆は土下座して、その家族や周囲にいた者も老婆に習い、王様の周りにひれ伏して行く。

「陛下っ! わたくしはあの燃え盛る城塞から救い出して頂いた子供の一人でございますっ! 今ではこうして楽隠居して、孫や曾孫を連れ、お礼にお伺いする所だったのですが、まさかこうして直接お目にかかれるとは…… ここにいる者は全て、陛下の温情が無ければ、産まれて来る事すら叶わなかった子供達ですっ!」

 少年少女から、子供や赤ん坊、子供を抱いた母親も数人。合計20人以上の団体に泣かれた。

「いやいや、私は陛下ではありませんぞ。私は越後のちりめん問屋の隠居です、さあっ、助さん格さん、参りましょうか」

 苦しい言い訳も虚しく、進行方向も退路も、危ない目付きをした巡礼者に包囲されて行く。

 まものにまわりこまれた、おうさまはにげられない!

 他の巡礼者たちにも、病みきった危ない目つきで熱い視線が送られる。

「陛下っ、どうかこの子をお救い下さいっ! 心臓を悪くして、長く生きられないと言われていますっ」

「母をお助け下さいっ、足を痛めて立てなくなっているのです」

 周囲から病人を差し出され、完全包囲され立錐の余地すらなくなってきた周囲。

「こ、ここは、カルマを落とすためにも、民を救ってやるのが宜しいかと思います」

 既に巡礼者に囲まれ、手羽の羽を抜かれたり、鋼鉄の騎士の魔物は子供を抱っこさせられたり、記念写真?を撮られている魔物達。うっかり八兵衛と思われる魔物なんかもいる、らしい。

「そうか… ここに来ても、呪いからは逃げられないのか」

 そこでようやく警備員達が来るが、巡礼者を追い散らしもせず、王様に跪いて礼をしてから、信者を順番に並ばせる。

(誰か助けて~~~~っ)


 勇者の村

 僧侶の一行、勇者の村に到着し徒歩で村に入る。寄り合い所で村人や従者からも話を聞く。

「始めまして、私は先代の勇者と共に旅をしていた僧だ。事情は聞いていると思うが、勇者の孫、彼の人柄について教えてくれるかね」

「はい、あいつって甘やかされて育ったんで、何でも自分中心なんです。村の女の子は全員自分に惚れてると思ってて、特に私は狙われてました」

「は?」

「あいつ「君は僕の事が好きだ」なんて平気で言うんですよ。言葉としておかしいでしょ? 油断したらすぐ後ろから抱き付いてくるし、キスしようとするし、ああっ、思い出しただけで気持ち悪いっ、これってストーカーですよね?」

「そ、そうなのかね?」

 従者にも問いただしてみるが、もう目つきからして「その通りです」と答えていた。

「間違いありません。勇者様の娘さんが毎日のように「貴方は勇者の血を継ぐ者」と言い聞かせ、皆達からの援助により、裕福に何不自由なく過ごしたのが原因では無いかと思われます」

 現在なら、発達障害と診断が出て、アメリカなら即投薬治療が開始されて、講習漬けの生活が始まるのだが、日本ならボッチだのコミュ障だの発達とか言われて差別され、そんな馬鹿を殴り倒さないで、矯正しないで甘やかして育てると、どこかの女優さんの息子さん達のように、薬の乱用だとか「俺は国宝だぞ?」と偉そうにしたり、レイプ事件を起こしても「俺に抱かれて光栄だっただろう」と平気で言う発達障害者が完成する。

「彼も少し、そう言う傾向があったが、自己肯定と言うか何と言うか、そこまで酷い物では無かったと思うが…」

「この少年の場合、遺伝的要素も有り、腕力で適う子供もいませんでした。栄養状態も良く、平均身長を遥かに超えていますし、子供の頃から働かせもせず、剣術や格闘技を教えたのも、その辺りの性格を助長した物と思われます」

「我々の教育方針が、間違っていたと言いたいのかね?」

 厳しい修行をさせるとすぐに逃げ、心の師となる僧侶も監視から逃れるために近寄らず、神のアガペーにも明鏡止水にもフォースにも目覚めなかった勇者の孫。

「結果論としてはそうなりますが、陛下の矯正プログラムにより、真っ当な少年として育つはずです。ご安心下さい」

「あっ、その「悪の秘密結社に洗脳されて、勇者と戦う少女」って役をやったら、都の学校に行かせてもらえるって本当ですか?」

「はい、何しろ陛下直々のご命令です。望みが叶った場合、さらに成功報酬が追加されます」

「ほんと~? 嬉しい~~っ、陛下のお役に立てて、お金まで貰えるなんて~ その上、憎たらしいあいつに復讐してやれるなんて最高~~!」

 村娘の言葉を聞いて、頭を押さえて頭痛に耐えている僧侶だった。


 王国発祥の地

 夕方、巡礼者を治療して魔力が尽き、青くなって痩せ細っている王様。

 鋼鉄の魔物に背負われて歩いているが、魔物もかなり錆びていて、周囲は美しい森で小鳥がさえずり、整備された歩道の横を、綺麗な小川まで流れている。

「陛下、あれが今の秘密基地です」

 杖を使って歩き、息も絶え絶えに話す鳥型の魔物、記念に羽を抜かれて結構な禿げ鷹になっている。

 指差した先には白亜の神殿があり、花壇に囲まれて輝いていた。

「まさか? あの雑草と苔に覆われた汚らしい要塞が? 一体誰がこんな事をっ?」

 回想:岩山を繰りぬいた禍々しい要塞にツタが巻き着いて、雑草に囲まれている。

 その回想を取り上げられないよう、泣いて押さえる王様だが、無理やり上に引き上げられてしまった。

「巡礼者です。一日数百人としても、延べ人数にすれば大変な労力になります。今は土まで焼かれて浄化されて害虫も殺され、雑草はもちろんペンペン草一本すら生えて来ません」

「よくもわしの可愛い雑草と害虫を… それにこんな汚い花などで囲みおって」

 園芸用の紫とか赤、黄色く清楚な花が咲き乱れている庭園。芝生なんかも、ウィンブルドン並みの降下な芝生で埋め尽くされ、綺麗に刈り上げられていた。

「問題は中です、ご覧になって驚かれないように」

 開け放たれた小奇麗な扉から入ると、次第にパイプオルガンの音が大きくなり、賛美歌が聞こえて来る。

 ステンドグラスから入って来る光で、真っ白な部屋が七色に染まって輝き、まるで本当の天国が、この場所にだけ切り取られたように現出していた。。

「嘘だっ、ここはあの基地じゃないっ、どこか違う場所だっ」

 泣きながら回想、当時の広間が重なり、魔物達が汚い動物の死骸を奪い合い貪っている。汚い床は苔とカビに覆われ、虫が這い回っていて、それも魔獣に踏み潰される。

「間違いありません。あるがままの姿で保つよう指示しても、どこかで命令が間違って、この場所はこうなってしまうのです。これも運命とお考え下さい」

 魔物の背中で、もう啜り泣いている王様。鋼鉄の騎士の魔物も子供をあやすように揺らしてやる。

「ううっ、反逆者どもめ… 処罰してやる」

「民衆にとっての聖地とは、誰がイメージしてもこうなるのでしょう。立ち入り禁止にして産業廃棄物を撒き散らしても、彼らは自分達の忠誠と信仰が問われているのだと思い、柵を破って片付けてしまいました」

「不忠者め、わしの言葉や考え方が理解出来んのか?」

「はい、全く理解していません。ここまで来ると、誰かの作為や故意としか考えようがありませんが、ここで悪魔、いえ天使復活の儀式を行えば、以前のような姿を取り戻せるはずです」


 勇者の村

 夜、寄り合い所で、村人と密談している一団。従者が演壇に立って、全員に言い渡している。

「えー、皆さんお引越しはお済みだと思いますが、今夜は手荷物だけを持って村を出て、待機した馬車に乗り込んで下さい。足元が暗いので、お怪我などなさらないよう、特に注意して下さい」

「自分の村だ、目瞑ってても歩けらぁ、でも何で明るいうちに行かねえんだ?」

「明るかったら、あのアホにばれるからに決まってるべ、おめえは黙ってろ」

「遠出が出来る皆さんは、少年の一行と出会わないよう、旅行して頂く事になります。 ここに残られるお年寄りの方も、暫くご不自由でしょうから、明日以降は近隣の温泉で療養して頂きます」

「ほんに有難い事じゃ、年貢も納めずに済むし、田畑を休ませてやれる」

「ねえお父さん、都に見物に行けるって本当?」

「ああ、子供には内緒だったけど、王様がみんなをただで連れて行って下さるそうだ、有難い事じゃ」

「焼失した家屋は、後ほど新しい建築基準で建て直させて頂きます。尚、建築費用、旅行中の代金等は、全て国家予算で支払われます。道中、食べ過ぎ、飲み過ぎで体を壊されないよう、お願いしますよ」

「「「「「わははははっ!」」」」」

「しーー、お静かに。それでは第1班から出発して下さい」

 小さな明かりを持った案内に続いて、闇夜を歩いて行く村人達。


 勇者?の家

 その頃、僧侶は少年の家にいて話をしていた。

「君は狙われていると言っているのだ、仲間を連れて村を出なさい」

「そんな、僕は勇者なんですよ? おじさん達みたいに、僕を助ける人がいても、傷付けようなんて考える人はいません」

 外見は綺麗で格好良くても、中身が無く、要領が良さそうな少年。張り付いたような笑顔をして、目付きは腐っている。

 それを見た僧侶の前に勇者のパラメーターが出て、「ちのう」と「みりょく」が0に採点される。他の数値はまだ空白。

「君が勇者だから狙われるのだ。また魔王がこの世を乱そうとしている、今こそ君達が立ち上がる時だ」

「そんなのがいたら、王様が退治してくれますよ、僕如きが出しゃばっても、邪魔になるだけです」

 今度は「せいじつ」「きんべん」が0に採点され、頭を押さえる僧侶。

「あの国王こそが魔王なのだ。君の祖父と私が共に戦って来た悪魔。それが再び、この国を破滅させようとしているんだぞっ」

「あははっ、何の冗談ですか? あの王様が魔王なら、僕も家臣になりたいなぁ、魔族の力を貰って、貴族にしてもらうんだ。そしたらもっと女の子にモテるかも」

 僧侶の額に血管が浮かび、「けいけんど(敬虔度)」も0になり他の数値も採点が下げられる。


 やがて村人の退避が終わり、従者の所に山賊らしき格好をした兵士が報告に来る。

「報告します、村人の退避完了しましたっ」

「結構です。では始めましょうか、まず第一声は、お嬢さんにお願いします」

「はい、それじゃあ」

 深呼吸をして、できるだけデカイ声を出せるよう、陛下のためにも頑張る。

「キャーーーーーーーッ!!」

 その声を合図に、村の中を馬が駆け回り、待機していた兵士達が家に火をかけて行く。 女兵士が各所で悲鳴を上げ、兵士達も怒号を上げる。

「な、何だ?」

「ついに始まったのだ、奴に操られた者が、この村を襲撃しに来た」

「そんなっ、どうしてっ、僕知りませんよ、何とかして下さいよっ」

 また頭を押さえ頭痛に耐える僧侶。仏の顔が般若に変わり、怒鳴り声を上げた。

「さっさと立てっ! 剣を取ってその手で村人を救って見せろっ! でなければ私の手であの世に送ってやるっ!」

「ひいいっ」

 慌てて後ずさりし、母親に渡された兜と鎖帷子を着込んで剣を持つ少年。

「ほら、お弁当作っておいたからね、勇クンの大好きな唐揚げも入ってるわよ」

「そんな場合じゃないだろっ、ママも早く逃げ…」

 僧侶の目付きに縮み上がり、弁当を持って家を出るが、馬に乗ると脱兎の如く逃げて行く少年。

「そこまで腐り果てたか… しかし、逃がしはせんっ!」

 僧侶が何かを操るように腕を振るうと、馬が立ち上がって逆方向に走り出し、家が燃えている方向に走り出す。

「待てっ、止まれったらっ、うわああっ!」

 馬を捨てて飛び降りるが、山賊の格好をした騎兵が現れ、少年を囲む。

「動くなっ、お前が勇者を名乗る小僧かっ?」

「ひいいっ、違いますっ、僕はただの子供ですっ!」

「どこの子供が鎧を着て剣を持っている? 銃砲等不法所持だな、任意同行…」

 山賊にふりをして凄んでいるが、つい知性が出て、職務上の単語が出てしまう騎兵。慌てて口を閉じるが、少年に気付かれる。

「さ、山賊じゃない」

「(棒読み)その通り、我らは魔王配下の騎兵隊、最初からお前だけを狙って来た。帰りの駄賃に女と食い物は頂いて行くがな、はははっ」

 別の兵士が、馬の首に巻いてある台本通り読むと、少年の目付きが変わる。

「何だって? 僕の彼女達を連れて行くなんて許さないっ」

「動機が不純だが仕方あるまい。今こそ戦う時だ、防御呪文をかけてやろう」

 追って来た僧侶が呪文を唱えると、少年の体が光り、見えない障壁が出来る。

「行けっ、その呪文は騎兵の槍など通しはせぬっ、思う存分戦えっ」

「えっ、そうなの? はははっ、聞いたか? 僕こそが勇者の血を引く者。お前達の槍なんか、この勇者様には効かないぞっ! たああっ!」

 剣を構えて騎兵に突っ込むが、刺さらない槍で小突付き回され、棒術でぼてくりこかされて馬に踏もまれる。

「どうしてっ、槍なんか通じないんじゃ無かったのっ?」

「その程度は自分でかわせっ! 今まで何を習って来たっ」

「すみません、あの子ったら、仕事や習い事をさぼる口ばかり達者になって。でも本当は心根の優しい子で、剣を持って戦うなんて出来ない子なんです、私には分かってるんですっ」

 その後も他のセリフに被せ、延々子供を弁護する言葉が続くが、母親の下らない言葉を遮るよう、兵士に合図を出す僧侶。

「へっ、そのババアも一緒にあの世に送ってやる。連れて帰る値打ちも無いババアだ」

「何だって? ママの悪口を言うなっ、ママは世界で一番美人なんだっ」

 急に別人になって襲い掛かる少年。騎兵の魔力障壁に剣が当たり、一人が落馬する。少年の後ろで僧侶が腕と足でオッケーサインを出すと、退却する騎兵達。

「いかんっ、引けっ、引けーー!」

「ママッ、僕、一人でも出来たよっ、僕にもできたんだっ」

「そうよ、貴方はやれば出来る子なのよ、ママはずっと信じてたからねっ」

(秘剣、マザコン斬り。彼と同じ技だ)


 王国発祥の地

 夜、神殿の中で壇上に立っている王様、跪いている神父達に向かって演説をする。

「これより、数ヶ月掛け、この場所において、天使降臨の儀式を執り行う」

「おおーーっ!」

 神父、司教、信者に従業員達大喜び。スタンディングオベーションで拍手が鳴り止まない。

「新しい国王のため、再び天の恵みを分け与えて頂けるよう祈願するつもりだ、皆も心してかかって欲しい」

 神父達、感涙にむせび、神に祈ったり、十字を切ったりしている。

(ふふふっ、悪魔が君臨した時、この国には秩序と豊かさが与えられた。よって天使が降臨した時、再び戦乱と混沌、疫病と貧困がこの国を覆い尽くすのだ。それは、わしや魔物達が待ち望んだ世界、ははははははっ!)

 エコーがかかった悪魔的な笑いが響き、フェードアウト。


当時の物はここまでで、12話までこんな話になる、という投稿形式でした。

脚本形式を外れたり、映像表現を抜いてしまうと、台詞が異常に少ない、説明文まみれの読みにくい話になると思われます。

登場人物の服装まで、頭の天辺からつま先まで書くようなことはしません。そういう説明まで欲しがる層がいらっしゃるのも知っていますが、私にはできません。

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