ボマー
やつの居場所を見つけた矢先、謎の足音が。
いったい誰なのか。
足跡のする方をみると、恵美が息を
きらしながらそこにいた。
「恵美さん…?」
「はぁ…はぁ…よかった。追いついた」
恵美はビルの屋上を飛んでいた綾人を
見つけ、走って追いかけてきたそうだ。
「なぜここに?ここにはやつがいるかも
知れないのに」
「ボマーのこと?」
「ボマー?」
「あの人爆発物使ってるでしょ?だから
なんとなくそんな呼び方かなって」
「なるほど。ってそうじゃなくて!」
すると、さらに奥の方から声が聞こえる。
「騒がしいと思ったら、またお前らか」
聞いたことのある声に綾人はすぐ恵美を
かばいながら振り向く。
「ボマー…見つけたぞ」
ボマーと呼ばれた男はニヤニヤしながら
こちらを見ていた。
「確かエレメンタル使いのガキだったな
わざわざ俺に何か用か?」
「知れたこと」
綾人が言うと、風がゆっくり吹き始める。
「お前を止める!」
その姿を見てボマーは
「なるほど、風使いか。やっかいだが
ここは俺の領域だ。気をつけるんだな」
ボマーも両腕を広げて戦闘態勢に入る。
「恵美さん、早くここからにげ…?」
後ろにいたはずの恵美がいつのまにか
ボマーに近づいていた。
「恵美さん!危ない!」
「待って綾人くん!」
綾人は恵美に止められる。
「少しだけ、話をさせて。ボマーと」
その発言にボマーも無表情になり両手を下げた。
(いったい何をするつもりなんだ?)
ボマーとついに対峙した綾人。しかし恵美がボマーと話をしたいといって立ちはだかった。
何をするつもりなのか。