闇落ち
なにもなかった日常の中に突然の変化が訪れる。
その日の夜、人通りも少ないビルの間に
うずくまっている一人の男性がいた。
「畜生、こんな世の中やってられっかよ」
悪態をつきながらお酒を飲んでいる。
周りには暴れたのか散らかった様子もある。
「なんも楽しくねーし、生きててもつまんねぇなぁ…」
そう力なく呟いたときだった。
ビルの奥の方でガタッ!と音がなる。
「誰だ!そこにいやがるのは!」
返事はない。
「馬鹿にしやがって、ぶん殴ってやる!」
彼がよろめきながら立ち上がると
暗闇の中なのに何かの目が見えた。
「なんだぁ?猫かなんかか?」
彼がそういうと、その目がゆっくり
近づいてくる。
すると、うっすらと月明かりに照らされ
出てきたのは人の形をしていない
まるで泥の塊のような影だった。
「お、おい!なんだよこいつ!」
彼も突然の出来事にパニックになっている。
「くっくるな!あっちいけ!」
しかしお酒が入っていたため立ち上がるも
よろめき転んでしまう。
すぐ立ち上がろうとすると、すでに目の前に
影が立っていた。
「ひぃ!なにするつもりだ!やめろ!」
彼が何をいってもその影は反応をしめさず
男性の胸に自らを押し付けてきた。
「なっなにを…ぐぁぁぁぁああ!」
なんとその影は彼の体の中に入ってしまった。
しばらくのたうち回っていたが、急にぴたりと
とまり、何事もなかったかのように立ち上がる。
「…こんな世の中ぶっ壊したらいい…」
そう呟きビルに片手で触れなにかをつけていき
闇に消えていった。
その数秒後ビルの間で爆発がおこる。
月明かりに照らされる爆煙。
それを闇の中でにやりと笑いながら男は
歩いていく…
いったい彼の身に何がおきたのか…